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違和感

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匿名ユーザー

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「ふゆき、いるか?」
 聞きなれた声と共に、ドアが唐突に開けられた。
 ここが保健室であるということを、この人はいつになったら理解してくれるのでしょうか。
「ノックしてくださいね、桜庭先生。――なんですか」
「ちょっとな」
 いつものように火のついてないタバコをくわえて、白衣のポケットに両手を突っ込んで、
 しかしいつもと違って、言葉が微妙に濁される。
「なんですか? また『結婚してくれ』ですか?」
「いや、今日はそれはいい」
「……」
 え?
「実は指を……どうした?」
「え? あ、ああ、いえ。別に」
「そうか? まあいい。それより、ちょっと指を切ってしまってな。手当てしてくれ」
「……わかりました。珍しいですね」
 桜庭先生を丸椅子に促し、傷を見せてもらう。
 深いというほど深くはないけれど、舐めておけば治るというものでもない。
「何で切ったんです?」
「紙だ」
 なるほど。
 たまにありますね、そういうことも。
 消毒液と傷薬を取り出す。脱脂綿を消毒液に浸し、傷口に近づける。
「少し沁みますよ」
「む」
 無表情の眉が少しだけ寄る。
 脱脂綿を取り替えて、今度は傷薬をつける。ガーゼを当て、傷テープで固定。
「――はい。お風呂はそのまま入っても構いませんが、上がったら絆創膏に張り替えてくださいね」
「うむ」
 桜庭先生がうなずいたのを受けて、用意した治療具を片付ける。
「ふゆき」
「なんですか」
「言ってほしかったのか?」
「……」
 片付けの手が止まってしまった。それはもう、あからさまに。
「何をです?」
「いつものアレだ」
 自分で言いますか、「いつもの」なんて。
 振り返り、向き直る。
「そんなわけないでしょう。……『今日はいい』なんて、何かあったのかなとは思いましたけど」
「そうか」
 無表情に言って、
「――いや、なに」
 桜庭先生は指を立てる。
「場所が場所だけにな、下手に動揺させてで手当てをしくじられてはたまらんと思ってな」
 たった今、私が手当てをした、左手の薬指を。
「逆効果だったか」
「……なんでそうなるんですか」
 ため息をついた。
「気を遣うなら、もう少しまともな遣い方をしてください」
「まともなつもりなんだがな」
 両手がポケットに仕舞われる。
「では、私は戻る」
「そうしてください」
「ふゆき」
「なんですか」
 ぴこ、と。
 くわえられたタバコが小さく跳ねて、くわえた口元が小さく微笑んだ。
「結婚してくれ」
「……仕事に戻ってください」
 そして私も、微笑んだ。




















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コメント:
  • 桜庭センセが激渋な件 -- 名無しさん (2009-01-22 01:14:26)
  • やっぱひかる×ふゆきが最強だな -- 名無しさん (2009-01-22 01:10:33)
  • いいわ〜!
    最近ひかふゆが密やかに好きでたまりませんw
    良ssGJです!!! -- 名無しさん (2008-10-27 08:40:36)
  • とってもほんわかした気分になりますた
    あぁ・・・和むわあ・・・ -- 名無しさん (2008-10-12 20:08:30)
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