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37th lucky! 4話

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だれでも歓迎! 編集
ラジオ収録は無事に終了した。
俺は日下部と二人、電車で帰路についている。

「大変だったなー」
「ああ、大変だった」

お互いの苦労を労う。
だが実のところ大変だったのは収録ではなく、収録が終わった後だった。



――――



それは収録終了直後からの出来事。

「はい、お疲れさまでーす!」

スタッフさんの掛け声によってスタジオの緊張が解ける。

「お二人ともお疲れさまでした」
「お疲れ。いや~、やっぱ緊張しちまったぜ」
「でも流石でした。初めてであれだけうまく出来る人も居ませんよ」
「そ、そっか?照れるな~」

恥ずかしそうに自分の頭を掻く日下部。
だが実際あそこまで上手くいくとは思わなかったのでこっちも結構驚いた。
特に中の人とか。
……とにかくかがみの人選は正しかったようだ。

「あきら様もお疲れ様です」

あきら様にも声をかける……と、彼女から何だか黒いオーラが漂っている。

「あきら様……?どうかされましたか?」
「白石ぃ……」
「はい、何でしょうか」
「『何でしょうか』じゃないわよ!あの最初の扱いは何なのよ!」

あきら様の言う『あの扱い』とは収録中にスルーしたことだろう。



それは樹海での出来事の仕返しというちょっとしたものだったが、ここは一応誤魔化しておくことに。

「あきら様、あれは進行上の演出といいますか……」
「そんなもん台本に書いてないわよっ!」
「それは僕のアドリブですので……」
「アドリブぅ?」
「は、はい。すみません」
「……ったく。私を不快にさせるようなこと言ってんじゃないよ、この馬鹿」

プチン、と。
この前の出来事で外れやすくなっていたリミッターが急に解除された。

「大体あんたはね――」
「黙れ」
「……はあ?」

しばらく互いに顔を睨めつけあう。
間に挟まれた日下部は終始オロオロしている。

「やんのかコラ!」
「上等だこの野郎!」
「ふ、二人共落ち着けってば!」
「「部外者は黙れ!」」
「……みゅ~」

せっかく仲裁に入った日下部は、いつの間にかスタジオの隅で「柊ぃ~。あやのぉ~。助けてくれ~」の台詞をエンドレスでリピートしていた。

「白石のくせに偉そうなこと言ってんじゃないわよ!」
「んだと!?お前、いい加減にしろよ!」

罵詈雑言の浴びせ合いを始めたまさにその時だった。

「コラァ!お前たちまたやってんのか!」
「「「!!」」」




脊髄反射でその声の主のほうを向いた。
そこに居たのは。

「ゴ、ゴットゥーザ様……」
「お前らの反省は上っ面だけだったのか!ああ!?」

木刀を片手にずんずんとこちらに向かってくる阿修羅。
スタジオの隅から「ヤ、ヤンキー!?」という日下部の声がした気がする。

「な、何言ってるんですか。そんなことありませんよ……。ですよね、あきら様」
「そ、そうですよ。私と白石君は至って普通にお話を」

こんなときでも話を合わせるのがうまい俺たち。

「嘘ついてんじゃねえぞコノヤロウ!!」

だが健闘虚しく彼女の木刀が一閃し、マイクが吹き飛ばされた。
ああ、それ高いのに……。
マイクは日下部の近くの壁に叩き付けられ、日下部はより一層震え上がっていた。

「お前ら……そこに座れ」

言われるがままに一瞬でゴットゥーザ様の前に正座するあきら様と俺。

「白石」
「は、はい」
「小神」
「な、何でしょうか~……」
「今日はみぃーっちり説教してやるからな……」

その言葉を聞いた瞬間、俺は生きて帰るという選択肢を放棄した。


――――






それが数時間前の話。
今回はゴットゥーザ様にボコされはしなかったが、長々と説教を聞かされるハメに。
ちなみにその間日下部はその場から動かず、本物のヤンキーを見てさらに体を震わせていた。

「なんか……さっきはすまないことしたな」
「気にしなくていいぞー。ラジオ自体は結構楽しかったしな。でも、さっきみたいなのはもう勘弁だな……」

日下部の心にはどちらの意味でも一生忘れられない思い出が刻まれたに違いない。合掌。

「すまん。この埋め合わせは今度必ずするからさ」
「埋め合わせかー。あ、そうだ。それじゃあな……」

と日下部がいいかけたところでその台詞を中断する。

「どうした?」
「次で降りるんじゃねえのか?」

電車のアナウンスによく耳を澄ませてみれば、俺が利用している駅に到着するところだった。

「日下部。お前の考えてる埋め合わせっていうのは……今すぐ実行したほうがいいのか?」
「ん~。今すぐは無理かな。また今度言うわ」
「分かった」
「と、いうわけで」

話を切った後、日下部は笑顔でこう言った。

「今日はお疲れ。楽しかったぜ」
「お疲れ様。今日は本当にありがとうな」




電車がスピードを落とし、停止する。
少し間を置いてドアが開いた。
そのドアを出る。

「んじゃまた明日な~」
「おう、また明日」

ドアが閉まり、電車が出発してもなお日下部は無邪気にこちらに手を振り続ける。
それに応えて俺も日下部が見えなくなるまで手を振り続けた。
加速した電車は、やがて線路の向こうへ遠ざかっていった。
俺は改札に繋がる階段へと歩き……その足を止める。

「また明日……か」

アシスタントとして付き合ってくれるのは今日まで。
それなのにあいつはまだ、

「……ふう」

何、今までのように一人になるだけだ。
そう自らに言い聞かせて俺は階段を昇りはじめた。



――――



翌日。
やはり昨日のラジオのことは聞かれなかったなー、とかそんなことを考えながら弁当の蓋を開けようとした瞬間、

「おーす」

一週間前と同じパターンで日下部はやってきた。

「お、みさきちだー。セバスチャンに用事なら年中無休で貸し出し中だからどうぞー」

待て泉、俺はお前のなんなんだよ。

「んじゃ行くぞー」




そんな思考も日下部に引きずられることによって強制的に中断させられた。
そして結局昨日と変わらない位置で弁当の蓋を開けることに。

「なあ、日下部」
「ん、なんだ?」
「昨日で俺のアシスタントは終わりだし、わざわざ俺に付き合う必要なんてないんだぞ?」
「なーに言ってんだよ。そんなの関係ないって」
「関係なく無いだろ」
「そっかぁ?うーん」

日下部は少し考え込み、再びその口を開いた。

「それじゃああれだ。今日からお前の友達ってことでどうよ?」
「友達?」

俺たち一週間ほど、時間を共にしてきただけ。
関係は薄いが彼女にとってはそれでも友達も同然なのだろうか。
……俺にはそれを断る理由が見当たらない。

「――分かった。んじゃ今日から友達ってことで。これから色々迷惑かけるかもしれないけど、二人ともよろしく」
「おう」
「これからもよろしくね、白石君」
「んじゃお近づきの印にミートボールをひとつ……」
「って、それが目当てかよ!」













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  • GJ!続くのなら次が楽しみです
    -- 名無しさん (2007-10-29 03:19:40)

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