時計の秒針を刻む音が静かな部屋に響き渡る。
今日は私の誕生日に、みさちゃんや柊ちゃんや――たくさんの人がお祝いに来てくれた。
……でもそこにあの人は居なかった。
大切な、あの人が。
今日は私の誕生日に、みさちゃんや柊ちゃんや――たくさんの人がお祝いに来てくれた。
……でもそこにあの人は居なかった。
大切な、あの人が。
「はあ……」
今日お祝いに来てくれた人たちには聞かせられないぐらいのため息をつく。
仕方がないのは分かってる。
今日お兄さんに急な仕事が入って。
それは1日じゃ終わらないぐらい大変なもので。
そしてお兄さんからは、まだ――。
そんなことを考えてると、テーブルの上に置いてある携帯が振動した。
仕方がないのは分かってる。
今日お兄さんに急な仕事が入って。
それは1日じゃ終わらないぐらい大変なもので。
そしてお兄さんからは、まだ――。
そんなことを考えてると、テーブルの上に置いてある携帯が振動した。
「誰かな……?」
そう言いながら携帯を開く。
画面に表示された名前は――みさちゃんのものだった。
電話に出る。
画面に表示された名前は――みさちゃんのものだった。
電話に出る。
「もしもし」
『もしもしー』
「どうしたの、みさちゃん?」
『あやのー、今うちに来れるか?』
「え?……うーんと」
『もしもしー』
「どうしたの、みさちゃん?」
『あやのー、今うちに来れるか?』
「え?……うーんと」
みさちゃんの台詞と同時に窓の向こうを見る。
外はすっかり暗闇に包まれている。
しばらくさっきみたいなのことを考えていたら、もうこんな時間になったようだった。
外はすっかり暗闇に包まれている。
しばらくさっきみたいなのことを考えていたら、もうこんな時間になったようだった。
「……みさちゃん。それって今日行かないと駄目?」
「駄目ー。絶対今日じゃないといけないらしい」
「駄目ー。絶対今日じゃないといけないらしい」
らしいって……。
そして少し考えて、みさちゃんの家が近いのも決め手となり行くことにした。
そして少し考えて、みさちゃんの家が近いのも決め手となり行くことにした。
「うん、分かった。今からそっちに行くね」
『オッケー。早めになー』
『オッケー。早めになー』
通話が終わり携帯電話を閉じる。
さっき気にしなかった画面に表示された時間は、今日が終わりに近いことを私に教えてくれた。
さっき気にしなかった画面に表示された時間は、今日が終わりに近いことを私に教えてくれた。
「……急いで着替えなくちゃ」
――――
「お邪魔します……」
真夜中なのでみさちゃんの家の人を起こさないよう小さな声で言う。
「お、来た来た。んじゃこっち来てくれー」「あ、うん」
靴を揃えてみさちゃんの背中を追う。
そして私とみさちゃんが辿り着いたのは……何故かお台所。
そして私とみさちゃんが辿り着いたのは……何故かお台所。
「ちょっとそこで待ってろー」
そう言うとみさちゃんは冷蔵庫を開けて何かを探し始める。
しばらくすると冷蔵庫の中から小さな四角い箱を取り出した。
しばらくすると冷蔵庫の中から小さな四角い箱を取り出した。
「お待たせー。んじゃあやの。ちょっと手、出して」
みさちゃんはその小箱を私が差し出した手のひらにポン、と置いた。
長い時間入ってたのか、ひんやりと冷たい。
長い時間入ってたのか、ひんやりと冷たい。
「これって……何?」
私がその箱を開けようとしたときだった。
「ストーップ!」
「きゃっ!」
「きゃっ!」
みさちゃんが突然大声で叫んだ。
「び、びっくりした……。もう、急に大声出しちゃ駄目よ?家族の人皆寝てるんでしょ?」
「まあまあ落ち着けって。物事には順序っていうのがあってだな……」
「まあまあ落ち着けって。物事には順序っていうのがあってだな……」
そう言いながらポケットから携帯電話を取り出しピッピッと番号を押し始める。
「あ、それ開けるなよ。絶対だかんな」
「う、うん。分かった」
「う、うん。分かった」
「あ、もしもし。兄貴?
兄貴という一言に思わずピクッ、っと反応してしまう。
「……うん、ちゃんと渡したぞ。……何だよー、馬鹿にするなよなー。……ん、分かった。ちょっと待ってて」
と、みさちゃんは通話中の携帯を私に差し出した。
「ほい、兄貴から」
私はその携帯を素直に受け取る。
「終わったらちゃんと返せよ?」
「あ、うん」
「それじゃ、邪魔者は退散しますかなー」
「えっ、みさちゃん?」
「あ、うん」
「それじゃ、邪魔者は退散しますかなー」
「えっ、みさちゃん?」
私が引き留める前に「ごゆっくりぃぃぃ!!」と言いながらドタドタと自分の部屋に戻っていった。
そんなに大声出したら家の人が起きちゃうんじゃ……。
そんなに大声出したら家の人が起きちゃうんじゃ……。
「ふう……」
何故か緊張してきたので一息入れてから電話に出た。
「……もしもし」
『もしもし。あやの?』
「お兄さん……?」
『ああ。そうだよ』
『もしもし。あやの?』
「お兄さん……?」
『ああ。そうだよ』
その声を聞いた瞬間、なんだか安心した気持ちになった。
『おーい。あやのー?』
「えっ?あ、ごめんなさいお兄さん」
『いやいや、謝る必要はないだろ。……そうだ、みさおに言っておいたやつ、見てくれたか?』
「ううん。まだだよ」
「えっ?あ、ごめんなさいお兄さん」
『いやいや、謝る必要はないだろ。……そうだ、みさおに言っておいたやつ、見てくれたか?』
「ううん。まだだよ」
でも、こういう風に何かをくれただけでも本当に嬉しかった。嬉しかったんだけど……。
「……そういえば、なんで冷蔵庫の中だったの?」
『ほら、そんくらい簡単な場所じゃないとみさおに言っても分からないだろ?あいつは単細胞だしな』
「お、お兄さん……」
『ほら、そんくらい簡単な場所じゃないとみさおに言っても分からないだろ?あいつは単細胞だしな』
「お、お兄さん……」
それはいくら何でも言い過ぎだよ……。
『まあまあ。そんなことより、早く箱の中見てくれって』
「うん」
「うん」
お兄さんの言葉に従って箱の中を開けてみる。
「これ……」
その中に入ってたのは……とても綺麗な指輪だった。
『まあ所謂給料三ヶ月分のものだな』
「でも、これってやっぱり高いんじゃ……」
『気にするなって。一番好きな人への誕生日なんだから、これくらい当然だ。……出来れば俺の手で直接渡したかったんだけどな。ごめん』
「ううん、そんなことないよ」
「でも、これってやっぱり高いんじゃ……」
『気にするなって。一番好きな人への誕生日なんだから、これくらい当然だ。……出来れば俺の手で直接渡したかったんだけどな。ごめん』
「ううん、そんなことないよ」
だって……こんな、一生大切に出来るものを貰ったんだから。
『でも』
「お兄さんのそういう気持ちだけで嬉しいの」
「お兄さんのそういう気持ちだけで嬉しいの」
こうして話をしている間でさえも、目から涙が溢れ落ちそうになるから。
「だから……ね?」
『……分かった。なんだか情けなくてごめん』
「そんなことないよ。それにそういうところも含めて、お兄さんが好きなんだから」
『……なんだか微妙に嬉しくないな……』
「ふふっ。だからそんなことないって、ね?」
『今度は笑われた……。くそう、帰ったら今日のぶんまでとことんギューってしてやるからな。覚悟しろよー』
「うん。優しくしてね?」
『エロい発言もやめれ。そんなんだからみさおに――っと』
『……分かった。なんだか情けなくてごめん』
「そんなことないよ。それにそういうところも含めて、お兄さんが好きなんだから」
『……なんだか微妙に嬉しくないな……』
「ふふっ。だからそんなことないって、ね?」
『今度は笑われた……。くそう、帰ったら今日のぶんまでとことんギューってしてやるからな。覚悟しろよー』
「うん。優しくしてね?」
『エロい発言もやめれ。そんなんだからみさおに――っと』
そのとき、お兄さんによって突然会話が中断された。
『危ない危ない。もう少ししたらあやのの誕生日が終わるところだった』
「え……?」
「え……?」
携帯を耳から離して画面を見る。
その画面から、あと数分で今日が終わるということを知らされた。
その画面から、あと数分で今日が終わるということを知らされた。
「本当だ……」
『だろ?』
「それじゃもうそろそろ――」
『あーストップストップ』
『だろ?』
「それじゃもうそろそろ――」
『あーストップストップ』
みさちゃんと似たような感じで制止される。
「?どうしたのお兄さん?」
『一日の締めくくりとして言わせてくれないか、あれ。その為に今朝言わなかったんだよ』
「あ……」
『一日の締めくくりとして言わせてくれないか、あれ。その為に今朝言わなかったんだよ』
「あ……」
そういえば、まだお兄さんからお祝いの言葉を言ってもらって無かった。
『なんか電話越しで悪いな』
「大丈夫。目の前に居なくても、気持ちは十分伝わるから」
『そうか……。それじゃあ改めて』
「大丈夫。目の前に居なくても、気持ちは十分伝わるから」
『そうか……。それじゃあ改めて』
今日。
誕生日という大切な一日が終わるその前に、
誕生日という大切な一日が終わるその前に、
『誕生日おめでとう、あやの』
私は大切な物と、大切な言葉を受け取った。