仕事帰り、上司の方々に飲みに誘われた。
この職場において女性の私は比較的稀な存在であり
紅一点の要員としてか、声をかけて下さる事がよくあるのだ。
今、へべれけに酔ったバーコードの肩を担ぎ、タクシーに放り込んだ所で今日の仕事は終わった。
私も酔いでほんのり赤らんだ頬を扇ぎつつ、自宅を目指し踵を返した。
この職場において女性の私は比較的稀な存在であり
紅一点の要員としてか、声をかけて下さる事がよくあるのだ。
今、へべれけに酔ったバーコードの肩を担ぎ、タクシーに放り込んだ所で今日の仕事は終わった。
私も酔いでほんのり赤らんだ頬を扇ぎつつ、自宅を目指し踵を返した。
─────
薄暗い夜道に民家や小ビルが並ぶなか、時たま場違いな程に眩い電光を放つコンビニが存在する。
日の眠る真夜中において、地域住民にとっては迷惑極まりない物だが、生憎遅帰りのリーマンにはオアシスとなり
私もそれの例外ではなく、頻繁に利用している。
今夜も夜食のカップ麺を物色すべく、ぼうっとした頭で光を目指した。
日の眠る真夜中において、地域住民にとっては迷惑極まりない物だが、生憎遅帰りのリーマンにはオアシスとなり
私もそれの例外ではなく、頻繁に利用している。
今夜も夜食のカップ麺を物色すべく、ぼうっとした頭で光を目指した。
と、私が自動ドアの5m程前まで来た所で、機械の鈍い駆動音と共にガラス戸が開き
店内から1人、ちびっこい女の子が出てきた。
店内から1人、ちびっこい女の子が出てきた。
小学生…?こんな夜中に何やってるのよ。
未成年の深夜徘徊は補導の対象だ。
内心でやれやれとため息をつき、節介にも私は口を開いた。
内心でやれやれとため息をつき、節介にも私は口を開いた。
「え…?あ、あの」
途端に少女は口ごもった。
っと…ちょっとキツく言いすぎたか。見た目もあって、怖いお姉さんだと思われているのかもしれない。
実際当たらずとも遠からずなのだけど、それは女として何処か悲しい。
誤解を解いてやるためにも、もう一度、今度は声に若干の優しさを含めて言ってあげた。
っと…ちょっとキツく言いすぎたか。見た目もあって、怖いお姉さんだと思われているのかもしれない。
実際当たらずとも遠からずなのだけど、それは女として何処か悲しい。
誤解を解いてやるためにも、もう一度、今度は声に若干の優しさを含めて言ってあげた。
「だからね。ご両親の方がが心配するから、早くおうちに──」
「むぅ……私、子供じゃないよ」
私の言葉に割り入ってそう言う。
子供じゃないって?
だってその小柄な身体はどう見たって…。
子供じゃないって?
だってその小柄な身体はどう見たって…。
酔いで微かにボヤけた視界を制すように目を凝らし、その顔をじっと見つめてやる。
「…………」
「ほら、おとなおとな。」
自慢げに長い青髪を靡かせる少女。
その印象深い髪と舌足らずな声。
覚えがある。と感じた時には、不思議と酔いは覚めていた。
その印象深い髪と舌足らずな声。
覚えがある。と感じた時には、不思議と酔いは覚めていた。
「……あぁ…。」
それは数日前、雨の中で1人うずくまっていた少女だ。
相変わらずの汚れたリュックサックを背負い、私の目の前にちんまりと立っていた。
相変わらずの汚れたリュックサックを背負い、私の目の前にちんまりと立っていた。
「おぉ、分かってもらえたかね」
「子供は早く帰りなさい」
私にリュックサックを投げつける。
痛いわね。何よ、反抗期か?
痛いわね。何よ、反抗期か?
─────
結局、私への罵声と『絶対返すから』の言葉を残して、彼女は闇の中へと逃げてしまった。
家出かつ深夜徘徊の不良娘ながら、金に関しては律儀な様子が伺える。
これはいわゆる、よく分からん奴なのかもしれない。
私のため息と重なって、正面にそびえるガラスのドアが開いた。
家出かつ深夜徘徊の不良娘ながら、金に関しては律儀な様子が伺える。
これはいわゆる、よく分からん奴なのかもしれない。
私のため息と重なって、正面にそびえるガラスのドアが開いた。
今夜は…お、たまには焼きそばもいいわね。
手に取った空飛ぶ円盤焼きそばをカゴに入れ、財布を開いて残金を確認した。
6070円…あの娘に財布をスッカラカンにされ、急遽下ろした万札はまだ充分に生き長らえている。
彼女に渡した当時の財布にも合計にして一万円近く入っていた筈なのに、一夜で食べ尽くしてしまった所から考えると、本当に身動きの取れない程空腹だったのだろう。
必死になって食い漁るあの少女を想像すると少し可笑しくて、不審にもニヤニヤしつつ財布をバッグに戻そうとした。
手に取った空飛ぶ円盤焼きそばをカゴに入れ、財布を開いて残金を確認した。
6070円…あの娘に財布をスッカラカンにされ、急遽下ろした万札はまだ充分に生き長らえている。
彼女に渡した当時の財布にも合計にして一万円近く入っていた筈なのに、一夜で食べ尽くしてしまった所から考えると、本当に身動きの取れない程空腹だったのだろう。
必死になって食い漁るあの少女を想像すると少し可笑しくて、不審にもニヤニヤしつつ財布をバッグに戻そうとした。
と、ここである疑問が生じた事により、その手をぴたりと止めてしまった。
青い髪の少女は、先程確かにこのコンビニから出てきた。
だが有り金を全て使い果たしたであろう家出少女が、コンビニで何を買うことが出来るというのだろか。
あのう○い棒ですら購入には10円玉が一枚必要だし、そもそも彼女は手にコンビニ袋等は持ってはいなかった筈だ。
怪しいのはあのリュックサックだ。中に商品を詰め込み、レジを通さずに持ち帰る事はボロと言えど可能。
彼女がカウンターを素通りして店を出たのだとすれば、これは疑うに値してしまう。
だが有り金を全て使い果たしたであろう家出少女が、コンビニで何を買うことが出来るというのだろか。
あのう○い棒ですら購入には10円玉が一枚必要だし、そもそも彼女は手にコンビニ袋等は持ってはいなかった筈だ。
怪しいのはあのリュックサックだ。中に商品を詰め込み、レジを通さずに持ち帰る事はボロと言えど可能。
彼女がカウンターを素通りして店を出たのだとすれば、これは疑うに値してしまう。
信じたくはないけれど、もし彼女が間違った道を歩んでいるのなら正してやらなければならない。
真偽を見い出すべく、カウンターに店員を呼ぶ。
彼女の親戚だという出任せで、割とあっさり話してくれた。
真偽を見い出すべく、カウンターに店員を呼ぶ。
彼女の親戚だという出任せで、割とあっさり話してくれた。
「あぁ…いえ、アルバイター募集の貼り紙を見て、当店で働きたいとの事でしたので」
彼女がコンビニに居た理由…私の推測が思い過ごしであった事に、安堵する暇もなかった。
アルバイト…小学生がアルバイト?
先進国日本において、10を過ぎたばかりであろう乙女が労働に勤しむなんて事、少なくとも私の常識の上では有り得ない。
そして、その無茶を押し通そうと行動する彼女の原動力が私への借金返済なのだとすれば、尚更に平然ではいられない。
アルバイト…小学生がアルバイト?
先進国日本において、10を過ぎたばかりであろう乙女が労働に勤しむなんて事、少なくとも私の常識の上では有り得ない。
そして、その無茶を押し通そうと行動する彼女の原動力が私への借金返済なのだとすれば、尚更に平然ではいられない。
「それで…採用なさったんですか?」
「いえ…身分証明書を提示頂けない上に、住所不定、連絡先も無いとの事でしたので、今日の所はお引き取り頂きました」
─────
夜の公園を月の光が淡く照らす。
木陰に座り込む少女がいる。
それは絶望に暮れたかのようで、何かに怯えるかのようで。
膝を抱えて眠る姿は、二度見てもやはり儚いと思った。
木陰に座り込む少女がいる。
それは絶望に暮れたかのようで、何かに怯えるかのようで。
膝を抱えて眠る姿は、二度見てもやはり儚いと思った。
住所不定…ホームレスの代名詞とも言えるそれを、この幼い少女が背負っている。
家出少女故の偽りか、事実帰る家が無いのか。
どちらにしても、野を寝床とする彼女の現状は酷に変わりない。
家出少女故の偽りか、事実帰る家が無いのか。
どちらにしても、野を寝床とする彼女の現状は酷に変わりない。
「すぅ……すぅ……」
「………。」
これは偽善に過ぎない同情かも知れない。
正義者ぶりたいだけかも知れない。
でも…どのみち彼女にお金を恵んだ時点で、既にどちらかに決まってしまったなら
今更、取り繕う事は無かった。
正義者ぶりたいだけかも知れない。
でも…どのみち彼女にお金を恵んだ時点で、既にどちらかに決まってしまったなら
今更、取り繕う事は無かった。
また、余計な世話だと言ってくれてもいい。
嫌なら引き留めたりはしないから。
ただ…今はあなたを知りたいだけ。
嫌なら引き留めたりはしないから。
ただ…今はあなたを知りたいだけ。
私は、彼女をそっと抱き上げた。
─────
少しだけ肌寒い朝。
ベッドの中でふと気が付く。
今日は休みなのでアラームは鳴らない。
私はくっと身体を伸ばした。
ベッドの中でふと気が付く。
今日は休みなのでアラームは鳴らない。
私はくっと身体を伸ばした。
「………。」
はれて休日を迎えた私は、遊びに出るも二度寝するも自由だ。
もちろん、後者となっても誰も怒りはしない。
そう…今日は、したい事をする日なんだ。
内心で確認してから、ゆっくりと目を開けていった。
もちろん、後者となっても誰も怒りはしない。
そう…今日は、したい事をする日なんだ。
内心で確認してから、ゆっくりと目を開けていった。
「…おはよ。」
「………。」
ベッドの隅にちょこんと座る少女は、返事もせずにじっと私の方を見ている。
その目線に込めた意は怒りと呆然、どちらなのだろう。
なにせむっすりと無表情を決めているのだから、到底感情なんて伺えない。
その目線に込めた意は怒りと呆然、どちらなのだろう。
なにせむっすりと無表情を決めているのだから、到底感情なんて伺えない。
私はまず、無愛想なあなたの名前を知りたいと思った。
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- 神作、巡礼中 -- 名無しさん (2014-01-30 22:03:18)
- いい!これいいよ〜
これ好きだぁww -- 名無しさん (2007-12-05 18:51:51) - やべえ、チョットおもしろいww -- 名無しさん (2007-12-05 03:19:54)