小学校から中学、高校と上がるに従い疎遠になり、社会に出る、あるいは大学に進学すると一挙に親密になる。
それが思春期を経る少年少女達の通常だ。親しい男女づき合いとなると友情というラインを飛び越して恋愛感情になってしまうのが原因だろう。
けれども、『通常』に対しては必ずと言っていいほど『例外』が存在する。
それが思春期を経る少年少女達の通常だ。親しい男女づき合いとなると友情というラインを飛び越して恋愛感情になってしまうのが原因だろう。
けれども、『通常』に対しては必ずと言っていいほど『例外』が存在する。
泉こなたと彼女の友人達も、その例外だった。
ちょこんとした癖毛が一房、通勤時間の駅前にあふれる人の波の間から、まるで潜水艦の潜望鏡のように突き出ていた。
癖毛の主は背の低い、セーラー服の少女だった。たった癖毛以外の髪は、癖の少ないつややかなストレートだ。
「やふー、かがみー、つかさー」
少女が見知った後姿を見つけて声をかける。バスを待っていた一組の学生服が振り向く。
「おーす、こなた」
「あ、おはよ、こなちゃん」
二人の少年達を比べ見たとき、多くの人は二種類の――それも真逆の反応を印象を持つ。
『そっくり』と『正反対』だ。
そっくりという印象を持った人は、その外見的容姿を見ての評価だろう。
背格好、肌や髪の色、顔の基本的な造形。それらがとてもよく似ているのだ。
相違点がるとすれば、片方の目が若干釣り目で鋭く、もう片方が丸く穏やかな印象だというところだ。
逆に正反対という印象を受けた人は、二人の纏う雰囲気について言ったに違いない。
こなたから見て右――釣り目気味の少年は能動的な印象を、こなたから見て左の少年は、やはりその目つき同様柔らかく受動的な印象を受ける。
それは服飾にも言える。右の少年が学生服を適当に着崩し、長髪を首の後ろで結んでいて、左の少年はきっちりと着ていて、額にバンダナを巻いていた。
その印象は、言葉づかいとも一致していた。
「こなた」と呼び捨てたのが右の、左の少年が返した「こなちゃん」と呼んだのが左の少年だ。
右の少年は柊かがみ、左の少年は柊つかさ。名字と類似した容姿から分かるように兄弟であり…
「くぅ~!毎朝性格正反対の双子男子と一緒に登校!BLゲームみたい!改めて人生勝ち組だなって思うよ!」
「BLゲームってなんだよ!つかお前は女だろうが!」
「びーえるー?」
眉をしかめて言うかがみと、BLとは何か解らず首をかしげるつかさ。
こなたの言うとおり、二人は双子だ。しっかり物の兄、かがみとおっとりとした弟のつかさ。
こなたと、そしてもう一人を加えた計4人で、彼らはいつもつるんでいる。そのもう一人と言うのが…
「おや、みなさんもお揃いで。おはようございます。こなたさん、かがみ君、つかさ君」
落ち付いた声音がこなたの頭上方向から聞こえた。
わざわざ一人一人の名前を分けて呼んだ、丁寧な口調と言葉づかいを乗せた低い声。
そちらの方を見れば、三人にはなじみの顔があった。
「おはよう、ゆき君」
「おはよー、みゆき君」
「おっす」
三人それぞれの返事に、声の主はどこぞの韓流スターの様な笑顔で答えた。
彼の名前は高良三行(みゆき)。同世代の少年と比べても頭一つ分近く上背があり、ただでさえ背の低いこなたから見れば見上げるような高さ。
それでも威圧感を感じないのは、その物腰の柔らかさによるところが大きい。眼鏡と、軽くウェーブのかかった、色素の薄い天然パーマが特徴だ。
癖毛の主は背の低い、セーラー服の少女だった。たった癖毛以外の髪は、癖の少ないつややかなストレートだ。
「やふー、かがみー、つかさー」
少女が見知った後姿を見つけて声をかける。バスを待っていた一組の学生服が振り向く。
「おーす、こなた」
「あ、おはよ、こなちゃん」
二人の少年達を比べ見たとき、多くの人は二種類の――それも真逆の反応を印象を持つ。
『そっくり』と『正反対』だ。
そっくりという印象を持った人は、その外見的容姿を見ての評価だろう。
背格好、肌や髪の色、顔の基本的な造形。それらがとてもよく似ているのだ。
相違点がるとすれば、片方の目が若干釣り目で鋭く、もう片方が丸く穏やかな印象だというところだ。
逆に正反対という印象を受けた人は、二人の纏う雰囲気について言ったに違いない。
こなたから見て右――釣り目気味の少年は能動的な印象を、こなたから見て左の少年は、やはりその目つき同様柔らかく受動的な印象を受ける。
それは服飾にも言える。右の少年が学生服を適当に着崩し、長髪を首の後ろで結んでいて、左の少年はきっちりと着ていて、額にバンダナを巻いていた。
その印象は、言葉づかいとも一致していた。
「こなた」と呼び捨てたのが右の、左の少年が返した「こなちゃん」と呼んだのが左の少年だ。
右の少年は柊かがみ、左の少年は柊つかさ。名字と類似した容姿から分かるように兄弟であり…
「くぅ~!毎朝性格正反対の双子男子と一緒に登校!BLゲームみたい!改めて人生勝ち組だなって思うよ!」
「BLゲームってなんだよ!つかお前は女だろうが!」
「びーえるー?」
眉をしかめて言うかがみと、BLとは何か解らず首をかしげるつかさ。
こなたの言うとおり、二人は双子だ。しっかり物の兄、かがみとおっとりとした弟のつかさ。
こなたと、そしてもう一人を加えた計4人で、彼らはいつもつるんでいる。そのもう一人と言うのが…
「おや、みなさんもお揃いで。おはようございます。こなたさん、かがみ君、つかさ君」
落ち付いた声音がこなたの頭上方向から聞こえた。
わざわざ一人一人の名前を分けて呼んだ、丁寧な口調と言葉づかいを乗せた低い声。
そちらの方を見れば、三人にはなじみの顔があった。
「おはよう、ゆき君」
「おはよー、みゆき君」
「おっす」
三人それぞれの返事に、声の主はどこぞの韓流スターの様な笑顔で答えた。
彼の名前は高良三行(みゆき)。同世代の少年と比べても頭一つ分近く上背があり、ただでさえ背の低いこなたから見れば見上げるような高さ。
それでも威圧感を感じないのは、その物腰の柔らかさによるところが大きい。眼鏡と、軽くウェーブのかかった、色素の薄い天然パーマが特徴だ。
「どしたの?今日はいつもより遅いね?」
みゆきは三人とは電車の方向も違い、また遅刻しないようにと早めの電車できているので、登校で会えることはめったにないのだが…
「ええ、少々出掛けの際に少し眼鏡を見失いまして…」
「メガネ?」
「ええ。顔を洗った際にどこかにやってしまったのですが……その…」
「その…どうしたんだ?きになるじゃんか」
言葉を濁すみゆきにかがみがたずねる。
みゆきは照れ臭そうに、女性のように白い肌を少し染めて
「おはずかしながら…頭の上にありまして…」
こんな風に、とみゆきは眼鏡のグラスを額の所に上げてみせる。
「って!マジでやる奴がいるのか!?」
「けど、そう言うのって結構やるよね。僕も料理で使うバルサミコ酢を手に持ちながら、バルサミコ酢を探してたり…」
「ああ、王道だねー。GJ!」
「GJじゃねえよ。というかつかさ、お前いつもそんなことやってるのか?」
「ひ、ひどいよお兄ちゃん。いつもじゃないよ、たまにだよ」
それでも十分だと、言うかがみと、そんな二人の言い合いを見て顔をほころばせるみゆきとこなた。
と不意に、こなたが少し神妙な顔をする。
「……けれど、結構珍しいかもね、私たち」
「ん?朝にこうやってそろうことが?」
かがみの確認にこなたは首を横に振る。
「そうじゃなくてさ、こうやって男子女子混合でつるんでるのって、私たちぐらいじゃない?付き合ってるとかそう言うの抜きでさ」
「そーいえばそうかも」
つかさが同意を示す。
高校生。多感な年ごろだ。特に男女関係ではその傾向は強い。
クラスメートに異性を感じ、ただ一緒に歩いていただけで関係が邪推され、噂される年齢だ。
そんな中で、こうして男女入り乱れて仲の良い友達グループというのは珍しい。
「そう考えると……僕たちがこのような関係を構築できたのは、ある意味奇跡かもしれませんね」
「奇跡ってオーバーな…」
言いながらも、かがみは少しだけ共感を覚えた。
居心地のいいこのメンバー。こなたが異性であることを考えると、この気の置けないメンバーが、この居心地のいい空気を形作る可能性は、どれほどのものだったのだろうか?
そう考えると、確かに奇跡なのかもしれない。
「―――ま、こなたが男か女かわかんない体型と性格だからってのも、その奇跡の一因かもな?」
「なんですと!」
「お、お兄ちゃん…」
「だいたい、なんでまたそんなことを考えたんだよ、こなた」
気になってかがみが訊いてみると、こなたはいつもの寝起きの猫のような弛んだ顔をして
「ん、もしもさ、かがみや、つかさや、みゆき君が女の子だったらどれほどの萌キャラになろうかと考えていたらその流れで…」
「結局そっち方面かよ!」
「いやいやいや、自分の持ってるポテンシャルをなめちゃいけませんよ?
天然ドジっ子に双子巫女で、しかも片方が料理上手で片方がツンデレ!そしたら私ゃちょっとしたエロゲの主人公じゃん!」
「人の性別を勝手に変えて妙な想像するな!大体、人をツンデレ呼ばわりすんじゃねえ!」
「おやあ、私、かがみんがツンデレなんて、今日は一言も言ってませんよ?それともついに自覚が出てきた?」
「~~~~っ!…ふんっ!バスが来たぞ!」
「自分の失言に真っ赤になりつつも、反論したらどつぼにはまることが分かってて、なんとか我慢して話題を変えようとするかがみん萌え~」
「あ・の・な・あ!」
みゆきは三人とは電車の方向も違い、また遅刻しないようにと早めの電車できているので、登校で会えることはめったにないのだが…
「ええ、少々出掛けの際に少し眼鏡を見失いまして…」
「メガネ?」
「ええ。顔を洗った際にどこかにやってしまったのですが……その…」
「その…どうしたんだ?きになるじゃんか」
言葉を濁すみゆきにかがみがたずねる。
みゆきは照れ臭そうに、女性のように白い肌を少し染めて
「おはずかしながら…頭の上にありまして…」
こんな風に、とみゆきは眼鏡のグラスを額の所に上げてみせる。
「って!マジでやる奴がいるのか!?」
「けど、そう言うのって結構やるよね。僕も料理で使うバルサミコ酢を手に持ちながら、バルサミコ酢を探してたり…」
「ああ、王道だねー。GJ!」
「GJじゃねえよ。というかつかさ、お前いつもそんなことやってるのか?」
「ひ、ひどいよお兄ちゃん。いつもじゃないよ、たまにだよ」
それでも十分だと、言うかがみと、そんな二人の言い合いを見て顔をほころばせるみゆきとこなた。
と不意に、こなたが少し神妙な顔をする。
「……けれど、結構珍しいかもね、私たち」
「ん?朝にこうやってそろうことが?」
かがみの確認にこなたは首を横に振る。
「そうじゃなくてさ、こうやって男子女子混合でつるんでるのって、私たちぐらいじゃない?付き合ってるとかそう言うの抜きでさ」
「そーいえばそうかも」
つかさが同意を示す。
高校生。多感な年ごろだ。特に男女関係ではその傾向は強い。
クラスメートに異性を感じ、ただ一緒に歩いていただけで関係が邪推され、噂される年齢だ。
そんな中で、こうして男女入り乱れて仲の良い友達グループというのは珍しい。
「そう考えると……僕たちがこのような関係を構築できたのは、ある意味奇跡かもしれませんね」
「奇跡ってオーバーな…」
言いながらも、かがみは少しだけ共感を覚えた。
居心地のいいこのメンバー。こなたが異性であることを考えると、この気の置けないメンバーが、この居心地のいい空気を形作る可能性は、どれほどのものだったのだろうか?
そう考えると、確かに奇跡なのかもしれない。
「―――ま、こなたが男か女かわかんない体型と性格だからってのも、その奇跡の一因かもな?」
「なんですと!」
「お、お兄ちゃん…」
「だいたい、なんでまたそんなことを考えたんだよ、こなた」
気になってかがみが訊いてみると、こなたはいつもの寝起きの猫のような弛んだ顔をして
「ん、もしもさ、かがみや、つかさや、みゆき君が女の子だったらどれほどの萌キャラになろうかと考えていたらその流れで…」
「結局そっち方面かよ!」
「いやいやいや、自分の持ってるポテンシャルをなめちゃいけませんよ?
天然ドジっ子に双子巫女で、しかも片方が料理上手で片方がツンデレ!そしたら私ゃちょっとしたエロゲの主人公じゃん!」
「人の性別を勝手に変えて妙な想像するな!大体、人をツンデレ呼ばわりすんじゃねえ!」
「おやあ、私、かがみんがツンデレなんて、今日は一言も言ってませんよ?それともついに自覚が出てきた?」
「~~~~っ!…ふんっ!バスが来たぞ!」
「自分の失言に真っ赤になりつつも、反論したらどつぼにはまることが分かってて、なんとか我慢して話題を変えようとするかがみん萌え~」
「あ・の・な・あ!」
小学校から中学、高校と上がるに従い疎遠になり、社会に出る、あるいは大学に進学すると一挙に親密になる。
それが思春期を経る少年少女達の通常だ。親しい男女づき合いとなると友情というラインを飛び越して恋愛感情になってしまうのが原因だろう。
けれども、『通常』に対しては必ずと言っていいほど『例外』が存在する。
泉こなたと彼女の友人達も、その例外だった。少なくともこの時はまだ、例外的な存在だった。
それが思春期を経る少年少女達の通常だ。親しい男女づき合いとなると友情というラインを飛び越して恋愛感情になってしまうのが原因だろう。
けれども、『通常』に対しては必ずと言っていいほど『例外』が存在する。
泉こなたと彼女の友人達も、その例外だった。少なくともこの時はまだ、例外的な存在だった。
ひょっとしたら、こなたは気付いていたのかもしれない。
この例外的な―――みゆきの言葉を借りるならば『奇跡』のような関係を崩す種が、それぞれの心の中に育ち始めていたことに…。
この例外的な―――みゆきの言葉を借りるならば『奇跡』のような関係を崩す種が、それぞれの心の中に育ち始めていたことに…。
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