kairakunoza @ ウィキ

大そうじⅡ

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
 鬱蒼と茂る木々が、辺り一面に海のように広がっている。
 観光客が通る遊歩道からは遠く離れた、本来ならば人が近付くはずのない場所。
 千年以上の昔、大噴火で焼き尽くされ、溶岩に覆われた土地。冷えた溶岩に木の根は深く腰を下ろすことができず、蛇がのたうつように地表を這っている。
 空を見上げれば、幾重にも絡み合った木々の枝が日の光を遮っている。昼なお暗く、足下には濡れた苔や枯葉が敷き詰められ、歩き難いことこの上ない。
 山梨県は青木ヶ原。いわゆる富士の樹海である。
 おそらくは日本で最も有名な自殺名所でもあるこの樹海には、毎年多くの人が命を捨てに来ている。何故わざわざ樹海で死ぬのか。やはり雄大な大自然の中で人知れず死んでいくのが、ある種の美しさ、ロマンを感じさせるのか。
 だが実際に見る樹海の死体は、野犬や昆虫に食い荒らされ、野ざらしで無惨なものである。御世辞にも美しいとは言えないし、ロマンの欠片も無い。
 そんな場所へ、今、一人の男が足を踏み入れていた。
 白石みのるである。自殺志願者でもなんでもない。自分の意思で来たわけでもない。小神あきらから「樹海行って富士の名水を汲んでこい」と言われた。ただそれだけで、ここにいた。
 一緒にいるはずのスタッフはいつの間にやら姿を消し、気付いた時には一人、遊歩道からはだいぶ離れてしまっていた。周りは四方同じ風景にしか見えず、方向は分からない。
 遭難一歩手前というより、既に遭難していると言ってよかった。白石は青ざめた顔で、苔に覆われた地面に立ち尽くしている。
「ど、どうしよう……何とかしないと……」
 一度入れば出られないと言われる富士の樹海だが、実際には入って出られないことはない。しかし木々が密集し、倒木などで極端に足場の悪い場所なので、深く入ってしまえば出るのが著しく困難となる。
 もしも本格的に迷えば、多くは帰ってこられず、森の仲間達にフレッシュな動物性タンパク質を供給することになる。
 そして白石は今、まさにそのコースへ足を突っ込んでいた。
「そうだ! この鞄……!」
 白石は自分の背負っていたリュックを思い出す。出発の際に持たされた物だ。
「食料とか入ってるのかな……何か、ここを出られるような物が入っていればいいけど――」
 期待を胸にリュックを開けると、そこに入っていたのは――
 講談社コミックス『空手バカ一代』(全二十九巻)。
「これでどーせいっちゅーんじゃーっ!!!?」
 白石、とりあえず空に吠えた。
「確かに大山倍達山籠もりしてたけど、状況が全然違うでしょ! 樹海で空手の修行しろってか!?」
 ひとしきり突っ込んだ白石は、脱力してその場にへたり込んだ。
「困った……このままじゃマジで死ぬかも……」
 何とか外界と連絡を取る手段は無いかと考える白石。
「そうだっ! 携帯! 最近はこのへんも通じるって聞いて――」
 電池残量ゼロ。
「よりによってこんな時にてかちゃんと充電しとけよ俺の馬鹿――――っ!!」
 再び吠える白石。富士の樹海に一人。持ち物は電池の切れた携帯と『空手バカ一代』とスタッフから渡された空のペットボトルのみ。
 にっちもさっちもいかないとはまさにこのことか。
「くそぅ、どうすりゃいいんだ……ん?」
 頭を抱えていた白石は、ふとリュックの底に白い封筒を見つけた。取り出すと、表に「小神あきらより」と書いてある。
「あきら様の手紙……? もしかして、何か役に立つ情報が……!」
 早速中身を取り出して読んでみる。

 白石さんへ
 後任のアシスタントは決まってるから安心して逝ってきてね☆
 PS:綺麗なのを汲んでこいよ。

「……」
 白石、今度は吼えずに、手紙を握りつぶした。グシャっと。
「ふ……ふふふふふふ……」
 不意に笑い声を上げ始めた。次第に体を震わし、大笑いに変わっていく。
「あーっはっはっはっはっは! わかったよ! 汲んでくりゃいいんだろう! やってやらぁコンチキショー!!」
 絶叫するように声を上げながら、白石は歩き出した。もうほとんどヤケクソで。


……とココまで書いて放ったらかしたままにしてあったのでこのネタはここで終わりです
続きを考えるのは非常にめんどくさいのでここからは別な余りネタを書きます



 人生一寸先は闇というが、私は今、その言葉をしみじみと心の中で噛みしめている。

「ねえかがみ。今度二人で旅行に行かない?」
 不意に我が家を尋ねてきたこなたがそんなことを言ってきたのは、夏休みも半ばを過ぎた頃のこと。
「随分唐突ね。でも二人って?」
「いやー実はさー」
 こなたはほくほく笑顔で白い封筒を差し出した。『特等』と墨書されている。
「商店街の福引きでペアの旅行券が当たっちゃって」
「へえ、凄いじゃない」
「うん。漫画だけかと思ってたけど、本当にこういうことってあるんだね」
「そりゃどこかに当たる人はいるだろ」
「まあね。それで、どうかな?」
「どうかなって……」
 誘って貰えて嬉しいのが半分と、何故私を? という困惑が半分。
「こなたのお父さんは誘わないの?」
「仕事が忙しくて無理だって。ゆい姉さんも同じく。ゆーちゃんはみなみちゃんとの予定があるらしいし」
 消去法で私、か……。
つかさやみゆきを誘おうとは思わなかったの?」
「うーん、ちょっとそのへん考えたけどさ……」
 珍しく言葉尻を濁したこなたは、黙っている私に向かって、含みありげな微笑を向ける。こいつのこういう笑いが、何となく苦手だ。嫌いなわけじゃないけど。
「ま、その辺は置いといて。行こうよ、かがみ。船で南の島。三泊四日だよ」
 結局、何でつかさでもみゆきでもなく私なのかの理由は告げず、こなたは決断を迫ってきた。

 ……そういうわけで、私は今、夏の日射しが眩しく降り注ぐ島にいる。
 白い砂浜に、水平線まで青く澄んだ海。箱庭のような規模の島は、南国情緒を思わせる豊かな自然に満ちている。
 空はどこまでも広く、遠くには白い入道雲が圧倒されそうな雰囲気で鎮座していた。
 地上の楽園を絵に描いたとすれば、こんな風景なのかもしれない。

 ただ一つ、この島が正真正銘の『無人島』であるということを除けば。

「……乗ってた船が季節はずれの大時化に巻き込まれて、うっかり甲板に出てた私とかがみが海に放り出された後、気付いたらこの島に流れ着いてもう二日目か」
 やたら説明的な台詞を呟いた後、こなたは大きく息をついた。ため息というほど悲観的なものではない。
「ここが、変なナマモノでいっぱいの南国少年な島だったり、天空都市から廃棄された生物兵器の失敗作がいっぱいの島だったり、明治時代から孤立している女しかいない島だったりしたら面白かったんだけどねー」
「全然面白くねーよ」
 こんな状況でもマイペースを崩さないこなたに、こちらもいつも通りな突っ込みを入れてしまう。
 人がいる島に流れ着いたならまだ対処の仕様があっただろう。……いや、だからといってこなたが言うような漫画チックな原住民は御免だが。
 状況を再確認する。
 今いるこの島は、一周するのに五時間とかからない小島。当然ながら四方は海に囲まれている。周囲に他の島影は無い。
 植物は豊富で、食べられそうな実を生やした木もあった。こなたが率先して口にし、これらを食用に出来ると確認済み。また島のほぼ中央に小さいが湖がある。これもこなたによって、飲用に出来ると確認済み。
 ……警戒心がないのかこいつは。脱水症状とかなっても私には処置できないのに。
 持ち物は無いに等しい。私もこなたも、着ていた服は海水に揉まれてぐちゃぐちゃだったが、それでも無いよりマシで身に付けている。水難事故だと、水に長時間揉まれるうちに衣服が脱げてしまうことも多いらしいから、この点は不幸中の幸いか。
「なにわ小吉の漫画にあったね。こういう都合の良い状況の無人島」
「また微妙に古いの持ってきたわね……」


――この話もココで終わりです
中途ハンパなのでもう一つ余ったのを書きます



 ある休日。柊家に遊びに来たこなたは、何やら大きな紙袋を携えていた。
「何それ?」
「良い物だよ。壷じゃないけどね」
 楽しそうな笑みを浮かべるこなたに、かがみは何となく嫌な予感がした。
 とりあえずかがみの部屋で、つかさも一緒にその良い物とやらを拝見する。
「わー……こなちゃん、これって何?」
「見ての通りカチューシャだよ」
 ただのカチューシャではない。猫耳やら犬耳やら、色々な動物の耳を模したアクセサリー付きのカチューシャ。それが紙袋いっぱいに詰まっていた。
「ケモノ耳はいいねぇ……ケモノ耳は心を潤してくれる。リリンが生み出した文化の極みだよ」
「どうしたのよこれ?」
「先日フリマで見つけてね。安かったからまとめて買っちゃった」
「こんなマニアックな物まで売ってるのか……」
「それがさー、これ売ってた人って別にオタクっぽくない、普通のサラリーマン風のオジサンだったんだよね。何であんな人がこんなの売ってたのか、全くの謎だよ」
「周りの人から見れば、こんな物を大量にまとめ買いしてるあんたも十分奇異に映ってたと思うぞ」
「まあ、それはさておき……」
 こなたはいくつかあるカチューシャのうちから、迷わず一つを選んでかがみに差し出した。
「はいかがみ! Kanonの舞でお馴染み! ウサ耳カチューシャいってみよう!」
「来ると思った……」
 予想通りの流れに、かがみはため息をついた。
「いいじゃん別に。遊びでカチューシャ付けるぐらい」
「そう言いながら、付けたらあんた絶対からかうだろ」
「天地神明に誓ってそんなことはいたしません」
「本当だろうな……」
 気乗りしない様子で、かがみはウサ耳カチューシャを付けてみる。
「……どう?」
 少々気恥ずかしげに尋ねるかがみ。
「「お~……」」
 こなたとつかさは二人揃って声を上げた。
「どういう意味の『お~』だ……?」
「いやいや。凄く似合ってるよ」
「うん。可愛いね」
「正直ここまでとは思わなかった」
 喋りながら、こなたは携帯のカメラでウサ耳かがみをロックオンする。
「ちょっ、何撮ろうとしてんのよ!?」
「あ、動かないでよ」
 何とか写真に収めようと追うこなた。逃げるかがみ。
「こなちゃん、私もつけてみていい?」
「うん、是非とも……あーダメダメ! つかさはこっち! 同じ犬耳でも垂れてる方! こういうセオリーはちゃんと守ってくれなきゃ宇宙の法則が乱れる」
「どんな法則だよ」


ネタそうじ終了




















コメントフォーム

名前:
コメント:
  • 白石どうなった!? -- 名無しさん (2013-01-15 02:05:28)
  • タイノ君「煮てよし、焼いてよし。でも刺身はイヤ!
    ワサビが身体にしみるから。」


    シンタロウ「寄るなナマモノ、眼魔砲‼」
    パプワ君「ウンバボンバンバ、メガッサメガッサ。」
    あぁ。南国少年パプワ君懐かしいなぁw


    -- 名無しさん (2010-06-12 02:56:08)
  • またお前かwww
    第3弾も楽しみにしています -- 名無しさん (2008-04-02 02:51:59)
  • 大そうじってのはそういう事かいw -- 名無しさん (2008-02-27 12:36:36)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー