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コトダマ

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
日本には言霊というものがあるらしい。
人が発する言葉は力を持ち、人を喜ばせたり、悲しませたりする。
それがもし、好きな人からの言葉だったら…どれほどの力を持つのだろう。

「かがみが好き…」

好き、というたった二つの言葉の羅列にこんなにも心が踊る理由は、その言霊によるものなのだろうか。
叶うはずもないと思っていた想いが、届かないと思っていた手が、青空へと届いた日。
私達は長い時間をかけて一つに繋がった。



―――コトダマ―――



「…ったく」
右腕につけた時計の文字盤とにらめっこを繰り返しながら本日5回目の溜め息を漏らす。
その理由は至極簡潔。
友人であり、一週間前から恋人となった泉こなたのせいである。
集合時間はAM10:00。
ただ今の時間AM10:23。
そう、私は23分もの間こうして人の行き交う駅前で待惚けをくらっているのである。
『デートしよーよ、かがみん』
なんて誘ってきたのは、アッチからなのに。
そう心の中で文句をいいながらも、口元のニヤけは収まらない。
こなたに自分の気持ちを打ち明けて、こなたも私と同じ気持ちだったと知ってから私達は恋人になった。
お互い恋愛経験が0な上に、今まで友達だったという奇妙な距離感に戸惑いながら一週間が過ぎようとしている。
というか未だにこなたと両思いになったという実感がない。
だからこなたからデートしようよ、なんて言われた時は飛び上がるほど嬉しかった。
付き合ってからつかさやみゆきが気を使ってくれてか、帰りはこなたと二人きりで帰ることが多かったけど…変に意識しちゃって無言になることが度々あって。
恋人同士って、この気まずい時間をどうやって過ごしているんだろう…なんて峰岸にそれとなく聞いてみたら顔を真っ赤にして顔を逸らされた。
あー、なんとなく想像つくなぁ…
結局その後、日下部に色々詮索されて答えを聞きそびれたけど、つまりはそーゆー事なんだろう。
て、手とか…握ったり。
き、き、キス…とか?
だーーっ!!!
なんてこと考えてるんだ、私っ!

「あ、いたいた。かがみーっ!」
ブンブンと頭を振って邪念を追い払っていると、小走りで私に駆け寄るこなたが見えた。
ハァハァと肩で呼吸しながら上目遣いで私を見つめてくる。
「……っ」
か、か、可愛い…。
無意識に伸ばしていた左手に気付いて、バッとこなたから視線を逸してしまった。
何をしようとしてるんだ、私の左手!!
「かがみ?」
心配そうなこなたの声に答えるようにゆっくりとこなたの方へ顔を向けると、トレードマークであるアホ毛をピョンと立たせながらこなたが続ける。
「いやー、ごめんね。デート初日から遅刻しちゃって…待った?」
「待った」
春の息吹が感じられるような暖かい気温だけれど、23分も待たせられればいくらこなたといえ少し呆れてしまう。
でも、こなただから許してしまうというこの矛盾。
「ダメだなぁ、かがみん。そこは、俺も今着いたところさ。って言うのがデフォでしょ?」
「どんなデフォだ、ソレ」
そんないつものやりとりに緩む頬を手で隠しながら、こなたの方を向く。
ジャケットから覗く薄い水色のキャミソール、そこから見えるこなたの白い肌。
「……み…、かがみってばっ」
「…へっ?!あ、な、なに?」
その白い肌に見とれていたせいで反応が遅れた。
って、だから自重しろ。私。
むぅ、と少し拗ねたように頬を膨らますこなたが半端なく可愛い。
「ごめん、ちょっと考え事してて」
さすがにアンタの肌(特に胸らへん)に見とれてました、なんて言えるわけもないので弁解してみる。
「…考えごとって?」
「うっ、それは…その、あれよ、あれ」
やばっ、言い訳考えてなかった。
予想外のこなたからの質問に慌ててしまって頭が働かない。
うぅ、これじゃ嘘だってバレるじゃない。
「アレって何?」
私が聞きたいわよ。
なんて、理不尽な回答は心の中に止めておく。
「その…あの、て、…手繋ぎたいなぁ、って」
って、何を言ってるんだっ?!私の口は。
まぁ、そりゃあ手繋ぎたいけど…
だからってこんなタイミングで言うなんて我ながらアホすぎる。
恥かしすぎてこなたの顔を直視出来ないでいると、すっと私の左手に温いものが触れた。
え?と視線を下げると、私より少し小さな手が私の指を掴んでいた。
そんなことするのは一人しかいないはずなのに、確かめようとゆっくり顔を上げると頬を真っ赤に染めたこなたが視界に入った。
「あ、あの…こ、こなた?」
うまく喉から音が出なくて、声が裏返ってしまう。
「は、早く行こっ!!」
そう言うとグッと力を入れられて手を引っ張られる。
チラッと見えたこなたの顔はやっぱり真っ赤で、でもどこか嬉しそうで。
左手から伝わるこなたの温度が嬉しくて、幸せだった。
ほんの微かにこなたの指が動いたのを感じて、ゆっくりと握りかえすとチラッとこなたが私の方を見て
微笑んだ。





それから、新しくできたショッピングモールや映画、勿論ゲマズ、メイト、とらあな、と巡っているうちに、赤い夕日が空を真っ赤に染めていた。
「…とぉっ!!!」
公園のブランコに立ち乗りしていたこなたが、ピョンとブランコから飛び降りながら私が座っているベンチの隣に座ってくる。
「やっぱりこの時期になっても、まだ日短いね~」
その言葉に手首につけていた腕時計に目を落とすと、文字盤は5時を少し回ったところだ。
「なんだかんだいってまだ3月だしね」
だんだん低くなる周囲の気温に思わずブルッと体が震えた。
この時期になると昼間暖かいからついつい春物の洋服着ちゃうのよね。案の定こうやって夕方苦労するんだけど…
「かがみ寒いの?」
「少しね。アンタは?大丈夫?」
私よりも着ている服の枚数が少ないだろうこなたに訊ねる。
「ん。少し、寒いかも…っくし」
両手を交差させて上腕をさすっていたこなたがすべてを言い終える前にくしゃみをした。
「寒いんじゃない。日も暮れてきたしそろそろ帰る?」
「ん~」
口を尖らせて何故か渋っているように見えるこなたに?マークを浮かばせていると、ピトッと肩にこなたが顔を近づけてきた。
「なっ…!!」
いきなりのこなたの行動にズキューンと銃かなんかで心臓を打ち抜かれたような感覚が襲った。
さっきまでの寒さが嘘のように体温が上気する。
「かがみ、あったかいね」
120%アンタおかげなんだけどね。
ふぁっとこなたの髪からシャンプーの香りが鼻孔を掠める。
こなたと触れている肩が火傷するんじゃないかってくらい熱くなって、気が付いたらこなたを抱きしめていた。
「へっ?!か、かがみ…?」
「こなた」
あぁ、ダメだ。止まらない。
目の前にいる小さな恋人がとても可愛くて、守りたくて、私だけのものでいてほしくて…
そんな欲望の渦に巻き込まれていく感覚。
『好き』
…違う、そんな二文字じゃ伝えきれない思いがひしめき合って。
ギュウとこなたを抱きしめている腕に少し力を入れると、慌てていたこなたがおずおずと私の腕を掴んできた。
少し震えているその感覚がリアルで、こなたの匂いでいっぱいのこの状況に私の中の脆い理性という扉が開けられていく。
「…こなた」
キスしたい。
そんな感情を込めてこなたの名前を呼ぶと、私の思いが通じたのか少し恥ずかしそうに俯いて、目を閉じた。
夕日に負けないぐらい真っ赤に染まったこなたの頬に幸せを感じながら、ゆっくりと唇を落とす。
初めて触れるこなたの唇は柔らかくて、甘かった。
うっすらと目を開くとギュッと強く目を瞑っているこなたが見えて、もっとこなたに触れたくて、角度を変えて唇を重ねる。
ここ外なのにとか、誰かに見られるかもなんて考えは頭の奥底に残っていたけど、止まらなかった。
「んっ…かが、っ…」
軽いキスを繰り返しているとこなたの甘い声が聞こえてきた。
口が塞がれているので、うまく呼吸が出来ない。
こなたもそうなんだろうか。
段々と荒くなっていく呼吸のリズムが扇情的で。
潤んでゆくこなたの唇から離れたくなかった。
「んくっ…」
こなたが苦しそうに眉を潜めたのが見えて、名残惜しいけどチュッと音をたてて唇を離す。
「っ…はぁ、はぁ…」
肩で息をしながら私を見上げるこなたの潤んだ瞳が夕日に映えて綺麗だった。
その瞳には私しか映ってなくて、それが私に幸福感をもたらす。
「こなた」
こなたほど息が上がってない私はもう一回キスしたいという欲望を抑えてこなたに囁く。
「キス、しちゃったわね」
キスという言葉に反応したのかこなたがプイッと私から顔を背けた。
一瞬見えてこなたの耳は明らかに真っ赤で。
普段はエロゲやらギャルゲやらの単語を平気で言うくせに、なんでこうプラトニックな事で照れるんだろう。
まぁそこが可愛いんだけどね。
「…がみ……い、よ」
虫が鳴くように小さな声が聞こえた。
まぁここには私とこなたしかいないわけで。
その声の発信源はこなたしか考えられないんだけど。
未だ顔を背けているこなたの肩にそっと触れて「何?」と聞こうとした瞬間。

「かがみ、ずるいよ」

その言葉とともに再度唇に柔らかい感触。
聴覚と触覚が脳を経由している間に、視覚がこなたにキスされていると認識した。
「んっ?!」
驚きのあまり唇を開くとヌルッとしたものが口内に入ってきた。
「んんっ、こ、な…んぁ」
初めて感じる感覚に必死に今の状況を把握しようとするけど、うまく頭が働かない。
「か、がみ…んくっ」
何か別の生き物みたく私の口内を犯すこなたの舌が気持ち良くて、萎縮してしまっていた私の舌を絡めるとこなたが甘い声を出した。
その声をもっと聞きたくて、歯茎に沿って舌を這わせる。
それにピクピクと反応するこなたを強く抱きしめた。
「はぁ…んむぅ、くぁ…」
こなたからの絡まる舌の力が弱くなっていくのを感じて、ゆっくりと唇を離すとツゥと銀色の糸がお互いの唇を繋いでいた。
それに気づいたこなたが恥ずかしそうに口をぬぐう。
うっわ、これかなりクるわね。
ディープキスをしたという事実が時間と共に実感してきて、お互い気恥ずかしくなって顔を背けてしまう。
それでもやっぱりチラチラと相手の顔を見てしまって、視線が合って照れ笑い。
「そろそろ帰ろうか」
さっきまで真っ赤に大地を照らしていた夕日は、ようやく今日の役目を果たしたのかビルの隙間に消えかかっていた。
まだ一緒にいたいけど、明日も休日だし。
宿題を手伝ってあげるとかいう理由で私の家に誘ってもいいだろう。
ベンチから腰を浮かせてこなたへ手を伸ばすと、私の手を一瞥したこなたが足下に視線を下げて小さな声で呟いた。

「今日私の家に泊まらない?」

と。
いつの間にか消えてしまった夕日の残像を見ながら、この言葉にはいったいどれくらいの言霊が宿っているのだろうか、なんて見当違いな思考が頭の中を掠める。
凛とした青色の瞳が私を吸い込んでいき、私は重力に沿って首を動かした。




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  • これだな!!
    続編はー? -- 名無しさん (2008-06-12 23:43:01)
  • こなたの言霊は読者の心までも翻弄する・・・! -- 名無しさん (2008-04-06 16:07:51)
  • 癒された。 -- 名無しさん (2008-03-19 22:05:20)
  • 続編まだー? -- 名無しさん (2008-03-18 22:51:04)
  • これだよこれ。うんうん -- 名無しさん (2008-03-18 13:49:24)

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