曖昧に笑うしかない、柊かがみはそう思った。放課後の教室。こなたの机を前にして行われるとりとめのない話が続いている。
これが日常なら良かった、いつものように喜怒哀楽をはっきりしてかがみは突っ込んだり笑ったりすればよいだけなのだから。
でも、この状況。非日常的な日常――言葉まで曖昧になった。
「これ…どうすればいいんだ?」
これが日常なら良かった、いつものように喜怒哀楽をはっきりしてかがみは突っ込んだり笑ったりすればよいだけなのだから。
でも、この状況。非日常的な日常――言葉まで曖昧になった。
「これ…どうすればいいんだ?」
「だーかーらー、かがみんは私の嫁なの!」
「うるせえちびっこ! 柊はうちんだ!」
「違うよ~お姉ちゃんは私のお姉ちゃんなの!」
「あの…間をとって私ということで、よろしい……とか?」
「うるせえちびっこ! 柊はうちんだ!」
「違うよ~お姉ちゃんは私のお姉ちゃんなの!」
「あの…間をとって私ということで、よろしい……とか?」
きっと三人の目が高良みゆき――今世紀最大のKY発言――のほうに向く。
目が本気である。殺意が見え隠れしていて、獲物を狩るときのような危険さを孕んでいた。
目が本気である。殺意が見え隠れしていて、獲物を狩るときのような危険さを孕んでいた。
「「「それはない!」」」
は、はう…
この中で一番押しの弱いみゆきはうな垂れて声を萎ませた。
三人は向かい合い、それぞれが「かがみは私のもの!」と出張した。
一人脱落。早すぎる出番の終了はまさに原作準拠――おっとそれ以上は禁句だ。
この中で一番押しの弱いみゆきはうな垂れて声を萎ませた。
三人は向かい合い、それぞれが「かがみは私のもの!」と出張した。
一人脱落。早すぎる出番の終了はまさに原作準拠――おっとそれ以上は禁句だ。
「てゆーかだいたいちびっこは高校からの付き合いだろ~私なんて五年だぜ!」
中一からと勘違いしている読者諸君もいるかもしれないが、柊かがみと、こなた達とかがみ争奪戦を繰り広げている日下部みさおは中2からの付き合いである。
「そのわりには『日下部』ってみさきちは苗字で呼ばれているみたいだけどね~
私なんて『こなた』だし、時には『あなた』って呼ばれてるんだぞ」
「よんでないって!」
事態の収拾を諦めて、とりあえず静観を決め込むことにしたかがみが絶好の突っ込み機を捉えてかがみ砲を発射する。
こなたはそれを予想していたのか「――ほらみろみさきち。私とかがみんはこーんなに息があうのだよ~」
「く…あやの~、なんとかしてくれよー」
同じく事態に苦笑しながら、みさおの背後で微笑んでいるあやのに問いかける。あやのは「ふふ…頑張ってねみさちゃん」とだけ言うのだった。
中一からと勘違いしている読者諸君もいるかもしれないが、柊かがみと、こなた達とかがみ争奪戦を繰り広げている日下部みさおは中2からの付き合いである。
「そのわりには『日下部』ってみさきちは苗字で呼ばれているみたいだけどね~
私なんて『こなた』だし、時には『あなた』って呼ばれてるんだぞ」
「よんでないって!」
事態の収拾を諦めて、とりあえず静観を決め込むことにしたかがみが絶好の突っ込み機を捉えてかがみ砲を発射する。
こなたはそれを予想していたのか「――ほらみろみさきち。私とかがみんはこーんなに息があうのだよ~」
「く…あやの~、なんとかしてくれよー」
同じく事態に苦笑しながら、みさおの背後で微笑んでいるあやのに問いかける。あやのは「ふふ…頑張ってねみさちゃん」とだけ言うのだった。
てゆーかみさちゃんは私のものだし。柊ちゃんにも渡さないんだよ。
あやのは曖昧な笑顔でみさおの嘆願を一蹴した。
あやのは曖昧な笑顔でみさおの嘆願を一蹴した。
「はいはい仲の悪いみさきちは退却退却。 しっしっ!」
「うう~、覚えていろよちびっこ!」
第二ラウンド、こなたの勝利。
RPGで言う雑魚的が吐くような捨て台詞を残してみさおはあやのに引きずられて退散した。
「うう~、覚えていろよちびっこ!」
第二ラウンド、こなたの勝利。
RPGで言う雑魚的が吐くような捨て台詞を残してみさおはあやのに引きずられて退散した。
「残りはつかさだけか」
「お、お姉ちゃんは私のなんだから…」
「お、お姉ちゃんは私のなんだから…」
こなたに見つめられてつかさはびくっと身構える。
こなたはどんな言葉を発して論破しようか考えをめぐらす。つかさは、えっとあっとその、と言葉に詰まっていた
こなたはどんな言葉を発して論破しようか考えをめぐらす。つかさは、えっとあっとその、と言葉に詰まっていた
「て、ゆーか、さあ」
「「なに!?」」
「あ、いや、その…」
「「なに!?」」
「あ、いや、その…」
放課後の教室。雨がしんしんと降り注ぐ6月のごろのひと時である。
鬱陶しいような湿度でかがみ達の額からはうっすらと汗がにじみでていた。
柊かがみは二人の剣幕に気落ちしながらも、なんとか言葉を搾り出した。
「て、ゆーか…私があんた達のものっていうのは、決定事項なの?」
鬱陶しいような湿度でかがみ達の額からはうっすらと汗がにじみでていた。
柊かがみは二人の剣幕に気落ちしながらも、なんとか言葉を搾り出した。
「て、ゆーか…私があんた達のものっていうのは、決定事項なの?」
「てゆーか私の嫁でしょ? 結婚届も出しているし」とこなたが即答。「ううん、私の!」とつかさ。
堂々巡りであった。
堂々巡りであった。
「あ、そ、そうですか…はい」
ため息を深くつく。
二人は向き合って、お互いに自己出張を開始した。
ため息を深くつく。
二人は向き合って、お互いに自己出張を開始した。
肝心の本人を蚊帳の外において話し合う二人横目に、かがみは高校生活を振り返る。
こなたがみさおと不本意ながら「嫁合戦」は見慣れた風景になりつつあったし、かがみも今更止めようとは思っていなかった。それがエスカレートして、いつの間にかみゆきやらつかさやらまで参加している。
こなたがみさおと不本意ながら「嫁合戦」は見慣れた風景になりつつあったし、かがみも今更止めようとは思っていなかった。それがエスカレートして、いつの間にかみゆきやらつかさやらまで参加している。
――それでも、かがみはなんとなく思った。
それでも、好かれているということは幸せなのかもしれない。
どうしてこうなったのかと、時には辟易もしたが、それでもこんな日常が幸せなのだと思う。
「私の嫁だ~」という言葉に、かがみは顔を赤らめながらも不思議と微笑んでしまうのであった。
それでも、好かれているということは幸せなのかもしれない。
どうしてこうなったのかと、時には辟易もしたが、それでもこんな日常が幸せなのだと思う。
「私の嫁だ~」という言葉に、かがみは顔を赤らめながらも不思議と微笑んでしまうのであった。
「私のなんだからね! だって私なんておねえちゃんの大事なところも洗ったことあるし、胸の大きさとか使っている下着の色とか――」
「私なんてかがみんの盗撮――おっと、データフォルダはかがみ様でいっぱいなんだぞ。愛情の深さが違うよ~」
「私なんてかがみんの盗撮――おっと、データフォルダはかがみ様でいっぱいなんだぞ。愛情の深さが違うよ~」
ガタンっ。椅子とワックスできれいになった床に無造作に倒れる。
その音に驚き、威圧感を感じた方向に二人が振り向く。
その音に驚き、威圧感を感じた方向に二人が振り向く。
「てゆーかお前らだまれええええええええええ!!!!!!」
ここは学校だああああああああああああああああああ、と叫びながら鉄拳制裁を加える。
ごつんっ!と威勢のいい音が響き渡る。
ここは学校だああああああああああああああああああ、と叫びながら鉄拳制裁を加える。
ごつんっ!と威勢のいい音が響き渡る。
――前言撤回よ!
ぷんぷんと怒りながら、かがみはそっぽを向く。
それでも口元が緩んでしまうことは我慢できなかったのは、みゆきのこともかがみのこともつかさのことも大好きだからだ。
日下部のことはどうなんだろ? 今日はどちらと帰るんだろうと、そう思いながらかがみはふんっと鼻を鳴らすのであった。
ぷんぷんと怒りながら、かがみはそっぽを向く。
それでも口元が緩んでしまうことは我慢できなかったのは、みゆきのこともかがみのこともつかさのことも大好きだからだ。
日下部のことはどうなんだろ? 今日はどちらと帰るんだろうと、そう思いながらかがみはふんっと鼻を鳴らすのであった。
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- ワゥオ‥‥ -- フウリ (2008-04-29 03:19:56)