今日も仲良く昼食ぱくぱく。
昼休み毎に一堂に集う四人の今日の話題は、なんともはや身長である。
この話題というか「身長」という言葉自体が、こなたにとっては禁句といっても過言ではないだけに、彼女は早く他の話題に移らないかなと切に願い、逆にこなたに普段何やらかんやらとからかわれることの多いかがみが殊積極的に話したがったのは、まあなんというか、彼女らの日常が反映されているとも言えなくない現象であった。
「あんた本当に小さいよね」
「需要はあるよ」
「みゆきとは頭ひとつ違うんじゃない? 身長だけじゃなくて成績もだけど」
「アホ毛を含めると、半分くらいで済むんじゃないかな。成績以外は」
「私とも頭半分くらい違うよね」
「アホ毛も含めると、そんなに差はないよ」
「それより、おじさんとの差がすごいよね。近くに立ったら見えなくなるんじゃないの?」
「ん~、アホ毛があるからどうにか見えるみたい。視界の下の方ににょろんと」
「へー。大切なんだ、それ」
「そうだよー」
こなたはアホ毛に手を伸ばし、磨くようにいじる。
「これがないと分からないって言ったの、他でもないかがみじゃん」
「あー、確かに言った。現にそうだったし」
これにはかがみ、反論の余地なく納得する。
「私が誰の目から見ても小さいというのは、千歩譲って認めよう」
「千歩譲ったら学校の敷地の外に出られそうね……」
「でも、そういうみんなはどうなの? 平均より小さければ、その次元では私と同じということになるよ」
「う゛……」
かがみは一気に窮地に陥ったように感じる。
「そういうものの見方も出来ますね」
みゆきはこなたを支持した。そして誰の指摘を受けるまでもなく、この論争(?)に一石も二石も投じることが出来るのはみゆきだけだったので、早速投じた。
「平均身長の数値は、統計の取り方……いえ、まとめ方ですね。それ次第で変化するもので、若年層においては一歳ごとですし、成人層においては十歳ごとにまとめたり、成人を全て一くくりにする場合もあります。そのためこれという確たる数値を示すことは難しいのですが、一般に日本人女性の平均身長は158cmとされてます」
「私ちょうど平均だ」
つかさがどこかとても嬉しそうに言う。
「私はそれ+1cmだから、やっぱり平均以上ね」
これはかがみの勝利宣言となろうか。
「うーむ、あと16cmか。ちょっと難しいな……」
こなたは顎に手を当て唸る。
「いや、もう無理だろ」
「どうかな。こうも規格外に小さいと、まだひょっとしたらっていうのもあるでしょ。ねえ、みゆきさん?」
「そうですね。身長の世界記録を持つ男性は、死亡して死体となった状態でも身長が伸び続けたといいますから」
「いや、そこまでして大きくなりたくもないんだけど……」
「そ、そうですよね、普通は……すみません」
何のフォローにもならないことを言ったみゆきは、真っ赤になって頭を下げる。
「ねえ、男性の方はどうなの?」
ふと思いついたようにつかさが聞く。性別が二つしかない以上、そちらに興味を持つのは当然の流れといえようか。
「男性はこれまた統計のまとめ方によるのですが、170cmとも172cmともいわれています」
こなたがやっぱりという感じに腕を組む。
「ウチのおとーさん、だいぶ大きいや。身長がだけど」
身長以外の何を話してたんだ? というつっこみは置いといて、かがみも我が家の父の身長を思い出し……。
「私の方はどっちにしろ小さいのか……」
少し肩を落とす。
「男性の平均身長においては、統計上はアメリカ人のそれに迫りつつあるそうですよ」
「そうなんだ」
つかさは、道を聞いてきた推定・アメリカ人の巨漢を思い出して目を丸くする。
「多民族国家というのが関係するんでしょ?」
かがみがニヤリとする。平均化のまやかしが垣間見えたようだ。
「さすがかがみさん。アメリカ人は、イギリス系とドイツ系でほぼ半数となります。どちらもゲルマン系ですね。そこに、ゲルマン系と比べれば小柄なラテン系、たとえばフランス系の約12%などが加わります」
「ラテン系って小さいの?」
こなた、つかさはもとより、かがみまでも意外そうな顔をする。
「日本人よりは大柄ですが、ゲルマン人と比べるとやはり小さいという事になります。黒井先生が授業で、ローマ兵の兜の羽根飾りについて話されたの、覚えてませんか?」
こなたとつかさは当然のように首を横に振る。かがみも首を傾げた。
「こっちじゃ話さなかったかも。どう関係するの?」
「あ、いえ、何の事はないんですが、ローマ兵の羽根飾りは、体格的に勝るゲルマン人に対して、見劣りしないようにするための……いわば虚勢を張るための小道具だったそうなのです」
「「「へー」」」
「あるいは、新大陸やカリブ海の、スペインの要塞の天井の高さとか……」
「またえらく限定的なものを持ち出すわね」
「これは、つまりですね……。天井の高さがラテン系のスペイン人の身長に合わせて作られていて、スペイン兵は立ったままでいられるのに対し、襲撃するイギリス系の海賊にとっては低すぎて、中腰にならないといけなかったのです。これが戦闘時など、スペイン兵にとっての大きなアドバンテージとなったそうですよ」
「「「ふーん」」」
三人はラテン系の身長について納得がいったようだ。
「アメリカ人の身長については、さらにアジア系なども統計に加わりますから、平均としてはゲルマン系だけものに比べてかなり低くなることになりますね」
「そうなればアジア人でも、食糧事情のいい国の平均は、アメリカ人のそれに迫ることも可能ということね」
かがみが思案顔で言う。聞きながらこなたも、なにやら思案顔になっていく。
「そうです。長らくその代表が日本だったわけですが、最近の統計で韓国に抜かれ、現時点でも中国と大差はなく、経済成長が続けば中国にも抜かれるのは確実と見られているそうですが……」
「そんな数値までが、日本の凋落を暗示してるってこと?」
「経済に関しては、私達の世代が頑張るよりないということですが、身長は民族単位の遺伝や食文化とか……ああ、何かいい訳めいてしまいますね。どこまでかが真実だとしても」
みゆきは苦笑い。かがみは含み笑いでこう言う。
「まあ、私とつかさとみゆきは、平均以上ということで責任を果たしたとしときましょ」
そしてその笑いの先にいたこなたはというと、なにやらまだ考え込んでいた。
「平均化、かあ……」
「こなちゃん、どうしたの?」
残る二人もこなたを見る。
「かがみ、つかさ」
改まって何か言おうとしていることを、柊姉妹は感じ取る。
「へ……平均値で決闘(デュエル)だ」
「はい?」
かがみのみならず他の二人も、頭から「?」を射出してその心理状態を視覚的に表現する。
「だから空気読もうよ」
「読んでないのはどっちだ、藪から棒に」
「だからね、需要がある……というか、なくもないという一点以外に、私が身長の話題では何を言っても太刀打ちできないわけだからさ」
「そうでしたか」
みゆきが心痛そうに肯く。
「この話題が楽しかろうはずはありませんよね。もうやめましょう」
「といいたいところだけど」
苦痛を訴えながら、自らまぜっかえしてしまうのが、あるいはこなたのこなたたる由縁なのかもしれない。
「私も一矢報いたいわけよ。分かる、この気持ち?」
「はあ……」
「だから、日本人男子の平均よりはるかに高いおとーさんを加えて平均化すれば、かがみの家に勝てるんじゃないかなーって思ったの」
残る三人は顔を見合わせる。
それで負けたりしたら目も当てられないのではと危惧するのは、みゆき。
微妙に難しいこと言われて理解できてないのが、つかさ。
そしてかがみは……。
「いいわよ」
……受けて立った。
「心の友よ~」
感激したこなたは、かがみの両肩を掴んで揺する。
「いや、敵だし。ていうか食後にそれはきついからやめてくれ」
かがみとて考えなしに受けたわけではない。家族で一番小さいのが158cmのつかさだから、平均化した数値はそれより大きくなるわけで、そこに勝算を感じ取ることが出来たのである。まあ、つかさと1cmしか違わない自分が、平均値を押し上げるのにあまり寄与しないのは、やや心苦しい点がなくもないのだが……。
というわけで。
「みゆき、計算お願いね」
「お任せください」
紙と書くものを取り出し、準備完了。
まずは泉家のターン。
「おとーさんが181cm、私が142cm。以上」
昼休み毎に一堂に集う四人の今日の話題は、なんともはや身長である。
この話題というか「身長」という言葉自体が、こなたにとっては禁句といっても過言ではないだけに、彼女は早く他の話題に移らないかなと切に願い、逆にこなたに普段何やらかんやらとからかわれることの多いかがみが殊積極的に話したがったのは、まあなんというか、彼女らの日常が反映されているとも言えなくない現象であった。
「あんた本当に小さいよね」
「需要はあるよ」
「みゆきとは頭ひとつ違うんじゃない? 身長だけじゃなくて成績もだけど」
「アホ毛を含めると、半分くらいで済むんじゃないかな。成績以外は」
「私とも頭半分くらい違うよね」
「アホ毛も含めると、そんなに差はないよ」
「それより、おじさんとの差がすごいよね。近くに立ったら見えなくなるんじゃないの?」
「ん~、アホ毛があるからどうにか見えるみたい。視界の下の方ににょろんと」
「へー。大切なんだ、それ」
「そうだよー」
こなたはアホ毛に手を伸ばし、磨くようにいじる。
「これがないと分からないって言ったの、他でもないかがみじゃん」
「あー、確かに言った。現にそうだったし」
これにはかがみ、反論の余地なく納得する。
「私が誰の目から見ても小さいというのは、千歩譲って認めよう」
「千歩譲ったら学校の敷地の外に出られそうね……」
「でも、そういうみんなはどうなの? 平均より小さければ、その次元では私と同じということになるよ」
「う゛……」
かがみは一気に窮地に陥ったように感じる。
「そういうものの見方も出来ますね」
みゆきはこなたを支持した。そして誰の指摘を受けるまでもなく、この論争(?)に一石も二石も投じることが出来るのはみゆきだけだったので、早速投じた。
「平均身長の数値は、統計の取り方……いえ、まとめ方ですね。それ次第で変化するもので、若年層においては一歳ごとですし、成人層においては十歳ごとにまとめたり、成人を全て一くくりにする場合もあります。そのためこれという確たる数値を示すことは難しいのですが、一般に日本人女性の平均身長は158cmとされてます」
「私ちょうど平均だ」
つかさがどこかとても嬉しそうに言う。
「私はそれ+1cmだから、やっぱり平均以上ね」
これはかがみの勝利宣言となろうか。
「うーむ、あと16cmか。ちょっと難しいな……」
こなたは顎に手を当て唸る。
「いや、もう無理だろ」
「どうかな。こうも規格外に小さいと、まだひょっとしたらっていうのもあるでしょ。ねえ、みゆきさん?」
「そうですね。身長の世界記録を持つ男性は、死亡して死体となった状態でも身長が伸び続けたといいますから」
「いや、そこまでして大きくなりたくもないんだけど……」
「そ、そうですよね、普通は……すみません」
何のフォローにもならないことを言ったみゆきは、真っ赤になって頭を下げる。
「ねえ、男性の方はどうなの?」
ふと思いついたようにつかさが聞く。性別が二つしかない以上、そちらに興味を持つのは当然の流れといえようか。
「男性はこれまた統計のまとめ方によるのですが、170cmとも172cmともいわれています」
こなたがやっぱりという感じに腕を組む。
「ウチのおとーさん、だいぶ大きいや。身長がだけど」
身長以外の何を話してたんだ? というつっこみは置いといて、かがみも我が家の父の身長を思い出し……。
「私の方はどっちにしろ小さいのか……」
少し肩を落とす。
「男性の平均身長においては、統計上はアメリカ人のそれに迫りつつあるそうですよ」
「そうなんだ」
つかさは、道を聞いてきた推定・アメリカ人の巨漢を思い出して目を丸くする。
「多民族国家というのが関係するんでしょ?」
かがみがニヤリとする。平均化のまやかしが垣間見えたようだ。
「さすがかがみさん。アメリカ人は、イギリス系とドイツ系でほぼ半数となります。どちらもゲルマン系ですね。そこに、ゲルマン系と比べれば小柄なラテン系、たとえばフランス系の約12%などが加わります」
「ラテン系って小さいの?」
こなた、つかさはもとより、かがみまでも意外そうな顔をする。
「日本人よりは大柄ですが、ゲルマン人と比べるとやはり小さいという事になります。黒井先生が授業で、ローマ兵の兜の羽根飾りについて話されたの、覚えてませんか?」
こなたとつかさは当然のように首を横に振る。かがみも首を傾げた。
「こっちじゃ話さなかったかも。どう関係するの?」
「あ、いえ、何の事はないんですが、ローマ兵の羽根飾りは、体格的に勝るゲルマン人に対して、見劣りしないようにするための……いわば虚勢を張るための小道具だったそうなのです」
「「「へー」」」
「あるいは、新大陸やカリブ海の、スペインの要塞の天井の高さとか……」
「またえらく限定的なものを持ち出すわね」
「これは、つまりですね……。天井の高さがラテン系のスペイン人の身長に合わせて作られていて、スペイン兵は立ったままでいられるのに対し、襲撃するイギリス系の海賊にとっては低すぎて、中腰にならないといけなかったのです。これが戦闘時など、スペイン兵にとっての大きなアドバンテージとなったそうですよ」
「「「ふーん」」」
三人はラテン系の身長について納得がいったようだ。
「アメリカ人の身長については、さらにアジア系なども統計に加わりますから、平均としてはゲルマン系だけものに比べてかなり低くなることになりますね」
「そうなればアジア人でも、食糧事情のいい国の平均は、アメリカ人のそれに迫ることも可能ということね」
かがみが思案顔で言う。聞きながらこなたも、なにやら思案顔になっていく。
「そうです。長らくその代表が日本だったわけですが、最近の統計で韓国に抜かれ、現時点でも中国と大差はなく、経済成長が続けば中国にも抜かれるのは確実と見られているそうですが……」
「そんな数値までが、日本の凋落を暗示してるってこと?」
「経済に関しては、私達の世代が頑張るよりないということですが、身長は民族単位の遺伝や食文化とか……ああ、何かいい訳めいてしまいますね。どこまでかが真実だとしても」
みゆきは苦笑い。かがみは含み笑いでこう言う。
「まあ、私とつかさとみゆきは、平均以上ということで責任を果たしたとしときましょ」
そしてその笑いの先にいたこなたはというと、なにやらまだ考え込んでいた。
「平均化、かあ……」
「こなちゃん、どうしたの?」
残る二人もこなたを見る。
「かがみ、つかさ」
改まって何か言おうとしていることを、柊姉妹は感じ取る。
「へ……平均値で決闘(デュエル)だ」
「はい?」
かがみのみならず他の二人も、頭から「?」を射出してその心理状態を視覚的に表現する。
「だから空気読もうよ」
「読んでないのはどっちだ、藪から棒に」
「だからね、需要がある……というか、なくもないという一点以外に、私が身長の話題では何を言っても太刀打ちできないわけだからさ」
「そうでしたか」
みゆきが心痛そうに肯く。
「この話題が楽しかろうはずはありませんよね。もうやめましょう」
「といいたいところだけど」
苦痛を訴えながら、自らまぜっかえしてしまうのが、あるいはこなたのこなたたる由縁なのかもしれない。
「私も一矢報いたいわけよ。分かる、この気持ち?」
「はあ……」
「だから、日本人男子の平均よりはるかに高いおとーさんを加えて平均化すれば、かがみの家に勝てるんじゃないかなーって思ったの」
残る三人は顔を見合わせる。
それで負けたりしたら目も当てられないのではと危惧するのは、みゆき。
微妙に難しいこと言われて理解できてないのが、つかさ。
そしてかがみは……。
「いいわよ」
……受けて立った。
「心の友よ~」
感激したこなたは、かがみの両肩を掴んで揺する。
「いや、敵だし。ていうか食後にそれはきついからやめてくれ」
かがみとて考えなしに受けたわけではない。家族で一番小さいのが158cmのつかさだから、平均化した数値はそれより大きくなるわけで、そこに勝算を感じ取ることが出来たのである。まあ、つかさと1cmしか違わない自分が、平均値を押し上げるのにあまり寄与しないのは、やや心苦しい点がなくもないのだが……。
というわけで。
「みゆき、計算お願いね」
「お任せください」
紙と書くものを取り出し、準備完了。
まずは泉家のターン。
「おとーさんが181cm、私が142cm。以上」
(181+142)÷2=161.5
「平均化すると何と言うか……すごく伸びるといったとこ? 日本人女性の平均をも超えちゃってるし」
かがみが呆れたように言う。
「最大と最小の差が39。分布域が広いからでしょうね」
「さあさ、私のターンは終了だよ」
というわけで柊家のターン。
「大きい方から順に168cm、166cm、162が二人、私が159cm、つかさが158cm」
かがみが呆れたように言う。
「最大と最小の差が39。分布域が広いからでしょうね」
「さあさ、私のターンは終了だよ」
というわけで柊家のターン。
「大きい方から順に168cm、166cm、162が二人、私が159cm、つかさが158cm」
(168+166+162+162+159+158)÷6=162.5
「くああぁ……負けた」
膝を突き、頭を垂れ、全身と全霊を以って絶望を表現するこなたと……。
「……」
これといって感慨も何もないかがみ。
「かがみ、嬉しいかい? 粉砕? 玉砕? 大喝采?」
吹流しのような涙をるーと流しながら、こなたが問う。
「玉砕だと負けてないか?」
というかがみのつっこみにもめげず、こなたはすぐに気を取り直してこう言うのだった。
「まあ、私が規格外に小さいということは、一万歩譲って認めよう」
「一万歩譲ったら、駅まで行けそうだけどね」
「でもさ、かがみの家の人たちも大きい人揃いで、それはそれで普通じゃないんじゃないかな」
「確かに……。お父さんが平均より小さい割には、みんなよく育ったわ」
「これは、それぞれどなたの身長なんですか?」
みゆきが何気なく問う。
「168がお父さん。平均よりは小さいけど、一家では一番大きいわね。166が長女のいのり姉さん。162がまつり姉さんと母さん」
かがみが何気なく答える。
「生まれた順に大きいんだね、私達」
つかさが大発見をしたかのように言う。
「どうしてかな?」
なんて誰かが言えば、部外者のこなたとみゆきとて、理由を考えずにはいられない。そして二人同時に、ある不躾な考えに行き着いてしまった。二人は顔を合わせ、互いが同じ考えであることを感じ取る。
「死んでからも伸びるくらいなら、お姉ちゃんたち、まだ成長しているのかも」
「年齢に比例するってこと? どうなのみゆき。そういうのってあるの?」
膝を突き、頭を垂れ、全身と全霊を以って絶望を表現するこなたと……。
「……」
これといって感慨も何もないかがみ。
「かがみ、嬉しいかい? 粉砕? 玉砕? 大喝采?」
吹流しのような涙をるーと流しながら、こなたが問う。
「玉砕だと負けてないか?」
というかがみのつっこみにもめげず、こなたはすぐに気を取り直してこう言うのだった。
「まあ、私が規格外に小さいということは、一万歩譲って認めよう」
「一万歩譲ったら、駅まで行けそうだけどね」
「でもさ、かがみの家の人たちも大きい人揃いで、それはそれで普通じゃないんじゃないかな」
「確かに……。お父さんが平均より小さい割には、みんなよく育ったわ」
「これは、それぞれどなたの身長なんですか?」
みゆきが何気なく問う。
「168がお父さん。平均よりは小さいけど、一家では一番大きいわね。166が長女のいのり姉さん。162がまつり姉さんと母さん」
かがみが何気なく答える。
「生まれた順に大きいんだね、私達」
つかさが大発見をしたかのように言う。
「どうしてかな?」
なんて誰かが言えば、部外者のこなたとみゆきとて、理由を考えずにはいられない。そして二人同時に、ある不躾な考えに行き着いてしまった。二人は顔を合わせ、互いが同じ考えであることを感じ取る。
「死んでからも伸びるくらいなら、お姉ちゃんたち、まだ成長しているのかも」
「年齢に比例するってこと? どうなのみゆき。そういうのってあるの?」
ガタッ
表情を暗くしたこなたが、不意に立ち上がる。
「ちょ、ちょっとトイレ」
立ち去る寸前、そんの半瞬だけみゆきに目線を送りアイコンタクトを行う。
「ちょ、ちょっとトイレ」
立ち去る寸前、そんの半瞬だけみゆきに目線を送りアイコンタクトを行う。
ガタッ
みゆきも立ち上がる。口元にいつもの笑みはなく、反射光に翳る眼鏡が表情を隠すが、寄せられた眉根がそれの険しいことを教える。
「わ、私も、失礼させていただきます」
二人が逃げるように去った教室で、柊姉妹は首を傾げる。
「弁当が当たったのかしら?」
「こなちゃん、コロネだよ」
「期限切れのでも食べたんじゃない?」
姉妹は特に気にもしてなかったが……。
「わ、私も、失礼させていただきます」
二人が逃げるように去った教室で、柊姉妹は首を傾げる。
「弁当が当たったのかしら?」
「こなちゃん、コロネだよ」
「期限切れのでも食べたんじゃない?」
姉妹は特に気にもしてなかったが……。
こなたとみゆきは、人気の少ない空き教室の多い一角の廊下で、互いの気持ちを確かめ合っていた。といっても告白的なそれではなくて……。
「私はともかく、みゆきさんもとは意外だよ……」
24センチ上のみゆきの顔を見上げて、こなたが言う。
「このような考えは、口が裂けても言えませんね」
24センチ下のこなたを見下ろしながら、みゆきは肯く。
「とにかく今後、身長の話題はしないという方向で。もとより、私はその方がありがたいわけだけど」
「心得ました。でも、口を滑らせたりしたらどうしましょう」
「その時は、冗談じゃ済まない事になるかもね」
「絶交ということですね……」
「この考えは、誰にも話さずに墓場まで持っていかねばなるまいよ」
なぜ四姉妹は、生まれた順に身長が大きいのか。
こなたとみゆきが直感的に思いついた理由は、二人とも一人っ子で、親の愛情を一身に受けたからこそ思い至ったといえるのかもしれない。
「たとえ二人に三行半を叩きつけられても、私たちは強く生きていこうね」
「泉さん……」
「私はともかく、みゆきさんもとは意外だよ……」
24センチ上のみゆきの顔を見上げて、こなたが言う。
「このような考えは、口が裂けても言えませんね」
24センチ下のこなたを見下ろしながら、みゆきは肯く。
「とにかく今後、身長の話題はしないという方向で。もとより、私はその方がありがたいわけだけど」
「心得ました。でも、口を滑らせたりしたらどうしましょう」
「その時は、冗談じゃ済まない事になるかもね」
「絶交ということですね……」
「この考えは、誰にも話さずに墓場まで持っていかねばなるまいよ」
なぜ四姉妹は、生まれた順に身長が大きいのか。
こなたとみゆきが直感的に思いついた理由は、二人とも一人っ子で、親の愛情を一身に受けたからこそ思い至ったといえるのかもしれない。
「たとえ二人に三行半を叩きつけられても、私たちは強く生きていこうね」
「泉さん……」
ひしっ
二人は抱き合う。
「みゆきさん。私が秘密を守って先に死んだら墓碑銘は、『秘密とともにここに眠る』とでもしてね。私はみゆきさんの右の眉と、墓碑銘を見届けてから天国へ行くよ」
「私の場合も、同じくお願いいたします」
「うむ、良きに計らう」
「みゆきさん。私が秘密を守って先に死んだら墓碑銘は、『秘密とともにここに眠る』とでもしてね。私はみゆきさんの右の眉と、墓碑銘を見届けてから天国へ行くよ」
「私の場合も、同じくお願いいたします」
「うむ、良きに計らう」
こなたとみゆき、かく考えり。
四姉妹は生まれた順に身長が高い。言い換えると、姉から妹に下るにつれて身長が小さくなる。
それは子供が産まれ、扶養家族が増えるに従って家計が圧迫され、栄養状態が悪くなったことが子供の身長に影響した結果なのではないか。
かがみの大食いも、つかさが料理に、しいては食べ物にやたら拘るのも、そういった幼少時の栄養状態が遠因ではなかろうか、と。
それは子供が産まれ、扶養家族が増えるに従って家計が圧迫され、栄養状態が悪くなったことが子供の身長に影響した結果なのではないか。
かがみの大食いも、つかさが料理に、しいては食べ物にやたら拘るのも、そういった幼少時の栄養状態が遠因ではなかろうか、と。
おわり
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- 最後の考えが正しいと仮定しても、つかさが平均身長ならみんな十分に栄養が行き届いているのではないかと思うのですが・・・ -- 名有りさん (2009-08-11 22:59:42)
- うち、四人兄弟(女男女男)だけどマジでこーなってる。
長男長女:でかい・偏食
次女:平均・料理好き
次男:平均・大食らい -- 名無しさん (2008-06-22 15:10:22) - 禁止ワード:ローレル指数 -- 名無しさん (2008-06-22 10:06:47)
- 禁止ワード:欠食児童 -- 名無しさん (2008-06-08 10:13:36)
- 幾ら何でも考えすぎだよ!
と言いたいんだけど、本編の鍋の時の様子からすると、ありそうで笑える -- 名無しさん (2008-06-07 19:03:58) - 身長だけでここまで深い話しが出来るとは…GJ!!! -- 名無しさん (2008-06-07 14:12:40)
- こなたもみゆきも頭いいな -- 名無しさん (2008-06-07 10:30:55)