「ねー白石ぃ。」
「なんでしょう?」
「あつい。」
「知ってます、もう25回目です。」
「そんなこと数えてたの?馬鹿じゃないの?!」
「なんでしょう?」
「あつい。」
「知ってます、もう25回目です。」
「そんなこと数えてたの?馬鹿じゃないの?!」
…あながち間違ってはいませんけど、
思いっきり馬鹿扱いされるのは何故か腹がたちますね。
思いっきり馬鹿扱いされるのは何故か腹がたちますね。
「…そんなこと言うなら、扇風機、消しますよ?」
「ダメ、それだけはダメ!」
「ダメ、それだけはダメ!」
学校の補習の帰りになんとなく立ち寄ったの、
と我が白石家にやってきたあきら様は、
すぐさまエアコンのリモコンを探した。
と我が白石家にやってきたあきら様は、
すぐさまエアコンのリモコンを探した。
「ちょっと、エアコンの、ぴっ、ってやるやつは?」
「ありませんよ?というか、エアコンは家にありませんよ?」
「あぁぁぁ?!」
「ありませんよ?というか、エアコンは家にありませんよ?」
「あぁぁぁ?!」
青筋たてて怒られた。
そんな贅沢なものは、一人暮らしのこの家には存在しませんよ。
そんな贅沢なものは、一人暮らしのこの家には存在しませんよ。
「あんた…よくそんなんで生きて行けるわね…」
「風通し良いですからね、案外快適ですよ?」
「風通し良いですからね、案外快適ですよ?」
黄色のハンカチで顔を拭うあきら様を見て、
僕は提案した。
僕は提案した。
「あきら様、これに着替えたらどうですか?」
「なんで、あんたのなんかに…」
「そんな制服着てたら暑いですよ?」
「なんで、あんたのなんかに…」
「そんな制服着てたら暑いですよ?」
かぁっ、とあきら様の頬が赤く染まる。
表情の変化を楽しんでいたら、殴られた。
表情の変化を楽しんでいたら、殴られた。
「いでっ」
「い…いつまで見てるのよっ…この変態!」
「す、すいませんすいません!」
「い…いつまで見てるのよっ…この変態!」
「す、すいませんすいません!」
僕はあきら様が着替えない理由をやっと把握して、
慌てて風呂場に駆け込む。
…そういえばこの紫色の入浴剤、中身はまだあったかな、と振ってみる。
あまり音はしない。買いだめしてあったかな。
慌てて風呂場に駆け込む。
…そういえばこの紫色の入浴剤、中身はまだあったかな、と振ってみる。
あまり音はしない。買いだめしてあったかな。
「いいよー」
着替え終わったらしく、あきら様の明るい声が聞こえる。
僕の渡したぶかぶかのオレンジのTシャツは、裾をゴムで留められていて、
学校のスカートはそのままだった。
学校のスカートはそのままだった。
「やっぱりあきらは何色でも似合うねっ」
「そですね」
「そですね」
フツーな返事ですいません。
あ、睨まれた。
あ、睨まれた。
大きめのTシャツの下から、申し訳なさそうに灰色のスカートが覗く。
靴下は真っ白い三つ折りソックス。
…そのスカート暑くないですか?
靴下は真っ白い三つ折りソックス。
…そのスカート暑くないですか?
「あつい…」
「26回mへぶっ!」
「だから、数えるな!」
「すいません!」
「26回mへぶっ!」
「だから、数えるな!」
「すいません!」
はー、とひとつため息。
ぱたぱたと、オレンジ色のTシャツをめくり、それで風をおくっている。
…な、なんだよ、僕が頼んだんじゃないし。
あきら様はぱたぱた、ぱたぱたと、おへそのところまでめくりあげて風をおこしている。
危ない、いろんな意味で、危ない。
ぱたぱたと、オレンジ色のTシャツをめくり、それで風をおくっている。
…な、なんだよ、僕が頼んだんじゃないし。
あきら様はぱたぱた、ぱたぱたと、おへそのところまでめくりあげて風をおこしている。
危ない、いろんな意味で、危ない。
「なによ。」
「い、いや、なんにもっ!」
「そっ」
「い、いや、なんにもっ!」
「そっ」
あれ?怒らなかった。
ぷい、と僕から顔を背けて、僕のベッドにダイビングするあきら様。
軽いからか、ぽすん、と僕がダイビングしたときよりも軽い音がする。
ぷい、と僕から顔を背けて、僕のベッドにダイビングするあきら様。
軽いからか、ぽすん、と僕がダイビングしたときよりも軽い音がする。
「はー♪涼しくなったー」
くるり、と仰向けになる。
彼女の目が、窓の外に向けられる。
彼女の目が、窓の外に向けられる。
「もう、空がこんな色、してる…」
空を見上げる。
藍色の空が僕たちをみていた。
藍色の空が僕たちをみていた。
「涼しい…」
「でしょう?」
「でしょう?」
あきら様は僕のベッドでころり、と寝返りをうつ。
じっと僕を見ている。
布団の上をぽんぽん、とたたく。
ここに来い、ということらしかった。
じっと僕を見ている。
布団の上をぽんぽん、とたたく。
ここに来い、ということらしかった。
おとなしくそこに座る。
もう一度、ぽんぽん、と布団をたたく。
ここに寝ろ、ということらしかった。
もう一度、ぽんぽん、と布団をたたく。
ここに寝ろ、ということらしかった。
あきら様に目線を合わせてねっころがる。
だめだ、目をあわせられない。
だめだ、目をあわせられない。
何故だ、
あきら様の顔が、ほんのり赤くなっていく。
あきら様の顔が、ほんのり赤くなっていく。
「みないでよっ…」
「すいません、あきら様が可愛くって…」
「すいません、あきら様が可愛くって…」
つい、本音が出てしまう。
この顔を見られて欲しくなくって、
その小さな体を抱き寄せる。
この顔を見られて欲しくなくって、
その小さな体を抱き寄せる。
同じ、風が吹き抜けて行く。
同じ時間を、感じている。
それがなんとなく嬉しくて。
ついついにんまりしてしまう。
ついついにんまりしてしまう。
彼女は虹の色みたいに、
いろんな彼女がいる。
いろんな彼女がいる。
僕は今、言える。
虹色の彼女が、好きなんだということを。
虹色の彼女が、好きなんだということを。
「ねぇ、白石?」
「なんでしょう?」
「なんでしょう?」
彼女の頭をそっと撫でる。
頬をぷにっとして、その感触を楽しむ。
とろん、とした眼は、すぐに閉じてしまいそうだった。
頬をぷにっとして、その感触を楽しむ。
とろん、とした眼は、すぐに閉じてしまいそうだった。
「おやすみなさい…」
「おやすみなさい、あきら様…」
「おやすみなさい、あきら様…」
つん。
彼女の鼻が、僕の鼻に当たる。
目が合ってしまうのが、恥ずかしくて。
ちょっと距離が近づく。
目が合ってしまうのが、恥ずかしくて。
ちょっと距離が近づく。
そっと、唇が触れる。
このままでいたい。そう思った。
あきら様もそう思ったのか、動く気配はなかった。
唇を触れ合わせたまま、僕らは眠りについた。
このままでいたい。そう思った。
あきら様もそう思ったのか、動く気配はなかった。
唇を触れ合わせたまま、僕らは眠りについた。
それが、僕たちの、
初めてのキスだった。
初めてのキスだった。