至福の音 02:高鳴る胸の続き
「…………」
9月、夏休みが終わって1週間が経過したある金曜日。
私は4時限目の日本史を、ただボーっとして聞いていた。
厳しい残暑に当てられたわけじゃない。
今日は朝から雨が降っていて、半袖で薄着の夏服だと少し肌寒くも感じていた。
9月、夏休みが終わって1週間が経過したある金曜日。
私は4時限目の日本史を、ただボーっとして聞いていた。
厳しい残暑に当てられたわけじゃない。
今日は朝から雨が降っていて、半袖で薄着の夏服だと少し肌寒くも感じていた。
「……じゃあこの問題を……小早川……あれっ、小早川ー!?」
「…………えっ? あ、は、はい!」
「ここ、何が入るかわかるか?」
「あ、え、えーっと……すいません、ボーっとしていました……」
「そうか、授業中はちゃんと先生の話を聞くように。わかったな」
「はい……」
「じゃあ他の人に……岩崎」
「……はい……」
「…………えっ? あ、は、はい!」
「ここ、何が入るかわかるか?」
「あ、え、えーっと……すいません、ボーっとしていました……」
「そうか、授業中はちゃんと先生の話を聞くように。わかったな」
「はい……」
「じゃあ他の人に……岩崎」
「……はい……」
……2学期の授業が始まってから、ずっとこんな感じ。
こういうときに限ってよく先生に当てられて、聞いてなかった理由を言って、
恥ずかしい思いでまた席について、という繰り返し。
こういうときに限ってよく先生に当てられて、聞いてなかった理由を言って、
恥ずかしい思いでまた席について、という繰り返し。
みなみちゃん達も私の異変を気にしてるみたいで、今、私の代わりに当てられたときも、
心配そうに私をチラッと見た後、先生の質問に答えていた。
心配そうに私をチラッと見た後、先生の質問に答えていた。
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
4時限目が終わって、お昼休みの時間。
私はいつものようにみなみちゃん、田村さんと一緒にお昼ご飯を食べていた。
「…………」
この時間になっても、私はどこを見るでもなくボーっとしていた。
何も考えていないわけじゃない。
逆に、あることを思い過ぎてしまって、他の事に頭が回らないだけ。
みなみちゃんと田村さんの会話は聞こえるけど、どんな内容かはわからない。
私はいつものようにみなみちゃん、田村さんと一緒にお昼ご飯を食べていた。
「…………」
この時間になっても、私はどこを見るでもなくボーっとしていた。
何も考えていないわけじゃない。
逆に、あることを思い過ぎてしまって、他の事に頭が回らないだけ。
みなみちゃんと田村さんの会話は聞こえるけど、どんな内容かはわからない。
「……さん……こ…やか…さん」
「……はぁ……」
ひとつ溜息、
「……はぁ……」
ひとつ溜息、
「……小早川さん!」
「ひゃうっ!?」
「ひゃうっ!?」
――と同時に、耳元に大きな衝撃を感じた。
驚いて我に返ると、田村さんが少し怒ったような、
みなみちゃんがどことなく心配そうな顔で私を見ていた。
驚いて我に返ると、田村さんが少し怒ったような、
みなみちゃんがどことなく心配そうな顔で私を見ていた。
「な、なに? 田村さん」
「……明日、岩崎さんの家に勉強がてら遊びに行こうって話なんだけど、小早川さんも来る?」
「あ、うん、いいよ」
「……明日、岩崎さんの家に勉強がてら遊びに行こうって話なんだけど、小早川さんも来る?」
「あ、うん、いいよ」
「……ゆたか、どうしたの?」
「えっ……?」
田村さんとのやり取りが終わったあと、
すぐにみなみちゃんが心配そうな顔そのままで私に尋ねかけた。
「……2学期になってから、少し変。授業中でも、ボーっとしてることが多くなった」
「私もそう思うッス。おまけに私達と会話してるときでも、
たまに心ここにあらず、って状態になってることもありますよ。どうしたんスか?」
「えっ……?」
田村さんとのやり取りが終わったあと、
すぐにみなみちゃんが心配そうな顔そのままで私に尋ねかけた。
「……2学期になってから、少し変。授業中でも、ボーっとしてることが多くなった」
「私もそう思うッス。おまけに私達と会話してるときでも、
たまに心ここにあらず、って状態になってることもありますよ。どうしたんスか?」
……二人とも、気づいてたんだ……
少し驚いている私に、田村さんが追い討ちをかけた。
少し驚いている私に、田村さんが追い討ちをかけた。
「具合が悪いってわけじゃなさそうだし……
そう、まるで、誰かを思って、恋をしてるような……」
「え、ええっ!?」
「……なんていうのは冗談ですけど……って、小早川さん!?」
少しいたずらっぽくつぶやいた田村さんの表情が、驚きに変わった。
「顔、真っ赤ッスよ! 大丈夫ッスか?」
「ふえっ!? な、何でもないよ! あ、は、早くご飯食べないと、時間なくなっちゃうよ!」
私は慌てて両手をブンブンと横に振って、話題を切り替えようとした。
みなみちゃんは心配そうに、田村さんは不審がるようにしばらく私を見ていたけど、
私が急いでお昼を食べているのを見て、その後は特に言及もなく、ただただ無言で
食事を再開した。
そう、まるで、誰かを思って、恋をしてるような……」
「え、ええっ!?」
「……なんていうのは冗談ですけど……って、小早川さん!?」
少しいたずらっぽくつぶやいた田村さんの表情が、驚きに変わった。
「顔、真っ赤ッスよ! 大丈夫ッスか?」
「ふえっ!? な、何でもないよ! あ、は、早くご飯食べないと、時間なくなっちゃうよ!」
私は慌てて両手をブンブンと横に振って、話題を切り替えようとした。
みなみちゃんは心配そうに、田村さんは不審がるようにしばらく私を見ていたけど、
私が急いでお昼を食べているのを見て、その後は特に言及もなく、ただただ無言で
食事を再開した。
「……はぁ……」
学校が終わって家に着き、今日の夕食の準備を済ませて、
私はひとり部屋の中で溜息をついた。
学校が終わって家に着き、今日の夕食の準備を済ませて、
私はひとり部屋の中で溜息をついた。
最近の私の、異変の原因。
それを私自身も理解しているから、こんなにも憂鬱になるんだけど……
それを私自身も理解しているから、こんなにも憂鬱になるんだけど……
その原因は、恋の病。
しかもつかさ先輩という、同性の相手に対しての。
しかもつかさ先輩という、同性の相手に対しての。
4月のあの日、初めて一緒に帰ったその日から、それは始まっていたのかもしれない。
胸の中で鳴る謎の音。
その音の意味に気づいた6月下旬、つかさ先輩がお見舞いに来てくれたあの日。
その時から、完全に私はつかさ先輩に恋をしてしまった。
胸の中で鳴る謎の音。
その音の意味に気づいた6月下旬、つかさ先輩がお見舞いに来てくれたあの日。
その時から、完全に私はつかさ先輩に恋をしてしまった。
お祭りに行ったときも、家で夏休みの宿題を合同でしたときも。
つかさ先輩と一緒にいると、いつも胸がドキドキと高鳴って、苦しくなってしまう。
今ではつかさ先輩がいなくても、頭の中はつかさ先輩のことで頭がいっぱいになってしまう。
つかさ先輩と一緒にいると、いつも胸がドキドキと高鳴って、苦しくなってしまう。
今ではつかさ先輩がいなくても、頭の中はつかさ先輩のことで頭がいっぱいになってしまう。
昼放課に冗談とはいえ、田村さんにそのことを聞かれたときは、本当にびっくりした。
あの時は慌ててうやむやにしたけど、みなみちゃんはともかく、田村さんには
気づかれちゃったかも。
ちなみに二人は「用があるから」と、私とは別に下校している。
あの時は慌ててうやむやにしたけど、みなみちゃんはともかく、田村さんには
気づかれちゃったかも。
ちなみに二人は「用があるから」と、私とは別に下校している。
お友達にも、心配されるようになっちゃったな……
でもこんなこと、みんなに相談できないよ……
でもこんなこと、みんなに相談できないよ……
「……はぁ……」
私はベッドに寝転がって、天井を見上げながらもう一度、大きな溜息をついた。
私はベッドに寝転がって、天井を見上げながらもう一度、大きな溜息をついた。
「ただいまー」
「お帰りなさい、お姉ちゃん」
しばらくして、お姉ちゃんが帰ってきた。伯父さんは、今日は出版社の方に行っていて、
夕食は私とお姉ちゃんの二人で食べることになっていた。
「お帰りなさい、お姉ちゃん」
しばらくして、お姉ちゃんが帰ってきた。伯父さんは、今日は出版社の方に行っていて、
夕食は私とお姉ちゃんの二人で食べることになっていた。
「お姉ちゃん、今日は少し帰ってくるのが遅かったね。どうしたの?」
いつもなら支度が終わったころに帰ってくるお姉ちゃんだけど、
今日は私がしばらく部屋の中で考え事をしていても、なかなか帰ってこなかった。
いつもなら支度が終わったころに帰ってくるお姉ちゃんだけど、
今日は私がしばらく部屋の中で考え事をしていても、なかなか帰ってこなかった。
「ん……ちょっと、ね」
「…………?」
私の質問に、お姉ちゃんは少し顔を伏せて、言い難そうにそう返事をした。
どうしたのかな? とは思ったけど、お姉ちゃんがすぐに2階に上がっていったから、
私は特に何も言わずに、お姉ちゃんの後についていった。
「…………?」
私の質問に、お姉ちゃんは少し顔を伏せて、言い難そうにそう返事をした。
どうしたのかな? とは思ったけど、お姉ちゃんがすぐに2階に上がっていったから、
私は特に何も言わずに、お姉ちゃんの後についていった。
「……ゆーちゃん、聞きたいことがあるんだけど」
お姉ちゃんが言い辛そうにそう切り出したのは、夕食を食べ終わって、
私が後片付けをしていて、お姉ちゃんが食器洗いをしていたとき。
「なに? お姉ちゃん」
「……最近、何かあったの?」
「……どういう、こと?」
私は食器を持とうとした手を止めて、お姉ちゃんに尋ね返した。
お姉ちゃんが言い辛そうにそう切り出したのは、夕食を食べ終わって、
私が後片付けをしていて、お姉ちゃんが食器洗いをしていたとき。
「なに? お姉ちゃん」
「……最近、何かあったの?」
「……どういう、こと?」
私は食器を持とうとした手を止めて、お姉ちゃんに尋ね返した。
「今日ね、帰りにばったりみなみちゃんとひよりんに会ったんだ。
ゆーちゃん、授業中でも上の空になることがあるんだって?」
「……えっ……?」
「夏休みのころから少し変だな、とは思ってたけど、
まさか授業が始まってもそれが続いてるとはねー」
「…………」
放課後みなみちゃん達はお姉ちゃんのところに行ってたんだ、とか、
だからお姉ちゃん今日帰ってくるのが遅かったんだ、とか、
お姉ちゃん、夏休みのころから気づいてたんだ、とか。
いろいろ自分自身が知らなかったことが一気に判明して、
逆に頭の中が真っ白になってしまった。
そのせいで、お姉ちゃんがどんな表情をしてるのかわからなかった。
ゆーちゃん、授業中でも上の空になることがあるんだって?」
「……えっ……?」
「夏休みのころから少し変だな、とは思ってたけど、
まさか授業が始まってもそれが続いてるとはねー」
「…………」
放課後みなみちゃん達はお姉ちゃんのところに行ってたんだ、とか、
だからお姉ちゃん今日帰ってくるのが遅かったんだ、とか、
お姉ちゃん、夏休みのころから気づいてたんだ、とか。
いろいろ自分自身が知らなかったことが一気に判明して、
逆に頭の中が真っ白になってしまった。
そのせいで、お姉ちゃんがどんな表情をしてるのかわからなかった。
「どうしたの? ホントに……
体調が悪いの? それとも夏バテ?」
それらは今の自分には当てはまらないから、耳には入っていかない。
でも、
「――それとも、本当に、恋煩い?」
「………!」
お姉ちゃんの言ったその一言に、私は思わず反応してしまった。
体調が悪いの? それとも夏バテ?」
それらは今の自分には当てはまらないから、耳には入っていかない。
でも、
「――それとも、本当に、恋煩い?」
「………!」
お姉ちゃんの言ったその一言に、私は思わず反応してしまった。
「……やっぱり、そうなんだね?」
「…………」
私は何も言えずに顔を俯けた。
ほっぺたが徐々に熱くなっていくのがわかる。
今、お姉ちゃんから見たら、私の顔、真っ赤なんだろうなぁ……
「…………」
私は何も言えずに顔を俯けた。
ほっぺたが徐々に熱くなっていくのがわかる。
今、お姉ちゃんから見たら、私の顔、真っ赤なんだろうなぁ……
しばらく沈黙のときが流れて、
「……鎌をかけるようで悪いけど」
その沈黙を肯定と受けとったお姉ちゃんが、真剣な顔でそう宣言をして、
「その相手って……みなみちゃん?」
「……ふえっ?」
……事実とはまったく違う人の名前が出てきて、私は気の抜けた声を出した。
「……鎌をかけるようで悪いけど」
その沈黙を肯定と受けとったお姉ちゃんが、真剣な顔でそう宣言をして、
「その相手って……みなみちゃん?」
「……ふえっ?」
……事実とはまったく違う人の名前が出てきて、私は気の抜けた声を出した。
「だってさ、普通に異性の人に恋をしてるなら、みなみちゃん達にも相談するでしょ。
相談できないってことは、言いにくい理由があると思ってさ。
それで、みなみちゃんなら直接本人に相談するのは難しいし、同性なら尚更だよね。
だから、そうなのかなって。
まぁ私には同性愛の趣味はないし、全部ゲームの知識だけどね」
お姉ちゃんが自信ありげに、最後はおちゃらけた風に理由を説明した。
相談できないってことは、言いにくい理由があると思ってさ。
それで、みなみちゃんなら直接本人に相談するのは難しいし、同性なら尚更だよね。
だから、そうなのかなって。
まぁ私には同性愛の趣味はないし、全部ゲームの知識だけどね」
お姉ちゃんが自信ありげに、最後はおちゃらけた風に理由を説明した。
「ち、違うよー! みなみちゃんとは確かに仲良しだけど、それは友達としてだよぅ」
私は一安心をして、お姉ちゃんの仮定を否定した。
半分は当たってるけど、私はみなみちゃんに恋をしてるわけじゃないから。
私は一安心をして、お姉ちゃんの仮定を否定した。
半分は当たってるけど、私はみなみちゃんに恋をしてるわけじゃないから。
「まぁそうだよねー。私も何度かゆーちゃんがみなみちゃんと一緒になっているのを
見たことがあるけど、そこまで発展してるようには見えないしねー」
お姉ちゃんは目を細めてお姉ちゃん自身の意見を否定した。
「そうだよー、お姉ちゃんの考えすぎだよー」
私も少し笑ってもう一度念を押すようにそう言った。
見たことがあるけど、そこまで発展してるようには見えないしねー」
お姉ちゃんは目を細めてお姉ちゃん自身の意見を否定した。
「そうだよー、お姉ちゃんの考えすぎだよー」
私も少し笑ってもう一度念を押すようにそう言った。
そこで気を抜いたのがいけなかった。
「アハハ、そうだねー……じゃあ――」
お姉ちゃんがそこで、さらに真剣な表情になっているのに気づけなかった。
お姉ちゃんがそこで、さらに真剣な表情になっているのに気づけなかった。
「――ゆーちゃんの好きの人は、つかさ?」
「……えっ……?」
油断していた。完全に不意打ちだった。
冷めかけていた頬の熱さが、また広がっていくのがわかった。
油断していた。完全に不意打ちだった。
冷めかけていた頬の熱さが、また広がっていくのがわかった。
「……夏休みのころから変だったことに気づいてたのはさっき言ったよね。
その中でも、つかさと一緒に行動してたときとか、つかさが近くにいたときとか、
そういうときによくゆーちゃんの顔が赤くなったり、無口になって俯いたり、
さらに変になってたからさ」
……そんなところまで……?
私は呆然としながら、お姉ちゃんの話を聞いていた。
その中でも、つかさと一緒に行動してたときとか、つかさが近くにいたときとか、
そういうときによくゆーちゃんの顔が赤くなったり、無口になって俯いたり、
さらに変になってたからさ」
……そんなところまで……?
私は呆然としながら、お姉ちゃんの話を聞いていた。
「だからみなみちゃんの話は囮。やっぱり、そうだったんだ」
「ち、違……」
「ゆーちゃん、また顔が真っ赤になってるよ」
ゆーちゃんはわかりやすいねぇと、また茶化すようにお姉ちゃんはそう指摘した。
そう言われて慌てて顔を手で隠しても、もう遅かった。
……もう、隠しきれないかな……
「ち、違……」
「ゆーちゃん、また顔が真っ赤になってるよ」
ゆーちゃんはわかりやすいねぇと、また茶化すようにお姉ちゃんはそう指摘した。
そう言われて慌てて顔を手で隠しても、もう遅かった。
……もう、隠しきれないかな……
「……うん。わたし、つかさ先輩を、す……好き、に、なっちゃったみたい」
私はもじもじとお姉ちゃんに告白して、そこまでの経緯を事細かに話した。
「……なるほどね」
私がすべてを話し終えると、お姉ちゃんは納得するように、首をうんうんと縦に振った。
「そんなころからつかさを好きになっていたとは……
いやぁ、鎌はいくつでもかけてみるもんだねぇ」
「えっ!? お姉ちゃん、私がつかさ先輩のことを好きになってるってこと、
確信してたんじゃないの?」
「薄々は気づいてたけどねー、確信とまではいってなかったかな。
これで違ってたら、みなみちゃんと同じように笑い話にしてたよ」
そ、そうだったんだ……
私はお姉ちゃんのニマニマした顔を、しまったと思いながら見ていた。
私がすべてを話し終えると、お姉ちゃんは納得するように、首をうんうんと縦に振った。
「そんなころからつかさを好きになっていたとは……
いやぁ、鎌はいくつでもかけてみるもんだねぇ」
「えっ!? お姉ちゃん、私がつかさ先輩のことを好きになってるってこと、
確信してたんじゃないの?」
「薄々は気づいてたけどねー、確信とまではいってなかったかな。
これで違ってたら、みなみちゃんと同じように笑い話にしてたよ」
そ、そうだったんだ……
私はお姉ちゃんのニマニマした顔を、しまったと思いながら見ていた。
そんなお姉ちゃんの緩んだ顔が、少し引き締まった。
「それで? つかさには告白したの?」
「!……そ、それは、まだ……」
私は目を見開いた後、俯きながらそう答えた。
「つ、つかさ先輩のことは確かに、す……好き、だけど……
さっきもお姉ちゃんが言ってたけど、先輩とは同性の関係だから、なかなか言い出せなくて。
それに私が告白して、先輩に変な人だって思われるのが怖いの。だから……」
私はそこまで言って、言葉を切った。
「それで? つかさには告白したの?」
「!……そ、それは、まだ……」
私は目を見開いた後、俯きながらそう答えた。
「つ、つかさ先輩のことは確かに、す……好き、だけど……
さっきもお姉ちゃんが言ってたけど、先輩とは同性の関係だから、なかなか言い出せなくて。
それに私が告白して、先輩に変な人だって思われるのが怖いの。だから……」
私はそこまで言って、言葉を切った。
しばらく、私とお姉ちゃんの間に、再び沈黙が流れる。
「……ふむ、よし、わかった」
その沈黙を破ったのはまたお姉ちゃんで、
「ゆーちゃん、今度の日曜日、空いてるかな?」
「えっ? う、うん」
「その日に、つかさん家に勉強会しに行くんだ。ゆーちゃん、そのときに
思い切って、つかさに告白しちゃいなよ」
「え、えぇぇー!」
その提案に、私はとても驚いてしまった。
「お、お姉ちゃん、勉強会に行くんだよね? そ、そんなことしたら、
お姉ちゃんだけじゃなくて、先輩方にも迷惑がかかるんじゃあ……」
「だいじょぶだいじょぶ。休憩時間を使って告白すればいいから。
みなみちゃん達も呼んでしばらくはホントに勉強会をすればいいし」
「で、でも私、土曜日にもみなみちゃん家で勉強会をする約束を……」
「そこは私が後でみなみちゃん達にも連絡しとくから。
もちろん、本当のことは言わないけどね」
「で、でも……」
お姉ちゃんが一人でぐいぐいと予定を決めていく。
私が言い澱んでも、お姉ちゃんはすぐにその対処を簡単にしてしまう。
その沈黙を破ったのはまたお姉ちゃんで、
「ゆーちゃん、今度の日曜日、空いてるかな?」
「えっ? う、うん」
「その日に、つかさん家に勉強会しに行くんだ。ゆーちゃん、そのときに
思い切って、つかさに告白しちゃいなよ」
「え、えぇぇー!」
その提案に、私はとても驚いてしまった。
「お、お姉ちゃん、勉強会に行くんだよね? そ、そんなことしたら、
お姉ちゃんだけじゃなくて、先輩方にも迷惑がかかるんじゃあ……」
「だいじょぶだいじょぶ。休憩時間を使って告白すればいいから。
みなみちゃん達も呼んでしばらくはホントに勉強会をすればいいし」
「で、でも私、土曜日にもみなみちゃん家で勉強会をする約束を……」
「そこは私が後でみなみちゃん達にも連絡しとくから。
もちろん、本当のことは言わないけどね」
「で、でも……」
お姉ちゃんが一人でぐいぐいと予定を決めていく。
私が言い澱んでも、お姉ちゃんはすぐにその対処を簡単にしてしまう。
でも、一番の問題は……
そのことを言おうとして、
「だいじょーぶっ」
それはお姉ちゃんの、自信ありげな励ましによって防がれた。
「だいじょーぶっ」
それはお姉ちゃんの、自信ありげな励ましによって防がれた。
「もしもゆーちゃんが告白して、つかさがそれを拒否することがあっても、
つかさはゆーちゃん自身を拒絶したりなんかしないよ。
つかさは私が高校に来て初めてできた友達だし、私がオタクだってわかっても
今までずっと仲良くしてくれた。
多分、分かり合える人となら誰とでも仲良くなれる結構なお人よしだから。
だから、つかさはゆーちゃんを嫌いになったりしない。
それに、そんなつかさだから、本当にお付き合いをOKしてくれるかもしれないし」
つかさはゆーちゃん自身を拒絶したりなんかしないよ。
つかさは私が高校に来て初めてできた友達だし、私がオタクだってわかっても
今までずっと仲良くしてくれた。
多分、分かり合える人となら誰とでも仲良くなれる結構なお人よしだから。
だから、つかさはゆーちゃんを嫌いになったりしない。
それに、そんなつかさだから、本当にお付き合いをOKしてくれるかもしれないし」
「あ、でも、ゆーちゃんが告白しても、勘違いして「私も友達として好きだよー」って
言うかもしれないけどねー」とおちゃらけた後、お姉ちゃんは私に優しく笑いかけて、
言うかもしれないけどねー」とおちゃらけた後、お姉ちゃんは私に優しく笑いかけて、
「だからさ、ゆーちゃん。勇気を出して、告白してみようよ。きっと、大丈夫だからさ」
お姉ちゃんは念を押すように私に語りかけた。
私はその言葉を、ただ黙って聴いていた。
またしばらく、長い沈黙が流れる。
またしばらく、長い沈黙が流れる。
自身ありげな表情とは裏腹に、何の根拠もない、想像だらけの励まし。
聞く人、言う人によっては、逆に不安を煽ってしまうかもしれない。
聞く人、言う人によっては、逆に不安を煽ってしまうかもしれない。
でも私は、聞いてるうちになぜだか心が軽くなってきて。
同時に、心の中に、何か強い力が流れてきて。
同時に、心の中に、何か強い力が流れてきて。
「……まぁ私が決めることじゃないから、別に無理して……」
「うん、わかった」
「……えっ?」
「日曜日、つかさ先輩に、私の気持ちをぶつけてみる」
私の決心に、お姉ちゃんは少し驚きながら、
「……そっか。じゃあ私はみなみちゃん達に連絡してくるから」
そう言って、お姉ちゃんはキッチンから廊下に出ていった。
その表情は、どことなくホッとしたように見えて、そして少し、嬉しそうにも見えた。
「日曜日、つかさ先輩に、私の気持ちをぶつけてみる」
私の決心に、お姉ちゃんは少し驚きながら、
「……そっか。じゃあ私はみなみちゃん達に連絡してくるから」
そう言って、お姉ちゃんはキッチンから廊下に出ていった。
その表情は、どことなくホッとしたように見えて、そして少し、嬉しそうにも見えた。
告白に失敗するかもしれない、つかさ先輩に嫌われるかもしれない。
さっきまではそう思っていたのに、お姉ちゃんの話を聞いてたら、
なんだか大丈夫だって思えてきた。
さっきまではそう思っていたのに、お姉ちゃんの話を聞いてたら、
なんだか大丈夫だって思えてきた。
私は心の中に、「心配」よりも「期待」のほうを多く持ちながら、
次の日曜日を、楽しみに待つことにした。
次の日曜日を、楽しみに待つことにした。
コメントフォーム
- 面白いです!珍しいカップリング! -- チャムチロ (2012-10-30 12:09:09)