「コホッ、コホッ……はぁ……」
6月、梅雨の季節になって、そろそろ一学期の期末テストが始まるころ。
私は家で一人、ベッドの中で横になっていた。
私は家で一人、ベッドの中で横になっていた。
あーあ、久しぶりにやっちゃったなー
私は生まれつき体が弱くて、小・中学生のときはたびたび学校を休むことがあった。
それでも最近はそれほど体調も崩れなかったし、学校にもずっと行けてたのに……
それでも最近はそれほど体調も崩れなかったし、学校にもずっと行けてたのに……
今日、朝目が覚めると、頭がぼんやりして、体もすごく重くて、咳もひどくて。
伯父さんが起こしに来てくれるまで、ベッドから出ることもできなかった。
熱を測ってもらったら、やっぱり38℃くらいの高熱があって。
今日は学校を休んで、一日中ゆっくりすることになった。
伯父さんが起こしに来てくれるまで、ベッドから出ることもできなかった。
熱を測ってもらったら、やっぱり38℃くらいの高熱があって。
今日は学校を休んで、一日中ゆっくりすることになった。
午前中は、今日は家でお仕事の伯父さんと一緒に病院に行って診察を受けて、お薬をもらった。
お昼には伯父さんがおかゆを作ってくれた。
少しだるさはあったけど、食欲はそれほど落ちてはいなかったのは幸いかな。
そして午後からは、たくさん水分を取って、熱を下げるために
しばらくベッドの中で眠りについていた。
お昼には伯父さんがおかゆを作ってくれた。
少しだるさはあったけど、食欲はそれほど落ちてはいなかったのは幸いかな。
そして午後からは、たくさん水分を取って、熱を下げるために
しばらくベッドの中で眠りについていた。
次に目が覚めたころには、お姉ちゃんがそろそろ帰ってくる時間になっていた。
ぬるくなったタオルを取って起き上がってみるけど、まだ顔は火照ってるし、
頭もぼんやりとしていた。
体の重さや気だるさはそれほどでもなくなっていたけど、
この調子だと明日も休まないといけないかなぁ。
頭もぼんやりとしていた。
体の重さや気だるさはそれほどでもなくなっていたけど、
この調子だと明日も休まないといけないかなぁ。
「はぁ……」
もう一度溜息。
自分の体の弱さはわかっていたけど、なんだか情けないなぁ……
もう一度溜息。
自分の体の弱さはわかっていたけど、なんだか情けないなぁ……
そんなことを考えていると、
ガラガラガラ
「ただいまー」
お姉ちゃんの声が玄関の方から聞こえてきた。学校から帰ってきたみたい。
「……おじゃまします」
今の声は……岩崎さんかな? 少し控えめで、でも少し焦っているような声。
私のことを心配して、お見舞いに来てくれたのかな?
お姉ちゃんの声が玄関の方から聞こえてきた。学校から帰ってきたみたい。
「……おじゃまします」
今の声は……岩崎さんかな? 少し控えめで、でも少し焦っているような声。
私のことを心配して、お見舞いに来てくれたのかな?
そして、
「……おじゃましま~す」
「……おじゃましま~す」
トクン
「……えっ?」
その後に、お姉ちゃんの友達の、あのほのぼのとした声が聞こえてきた。
「ゆたかちゃんは?」
「こっちだよ」
その人と、お姉ちゃんの会話が聞こえて、私の部屋に三つの足音が近づいてきた。
そして、私の部屋のドアが開いた。
「こっちだよ」
その人と、お姉ちゃんの会話が聞こえて、私の部屋に三つの足音が近づいてきた。
そして、私の部屋のドアが開いた。
ガチャ
「ゆーちゃん、みなみちゃんとつかさがお見舞いに来てくれたよー」
そこに立っていたのは、いつも通りのお姉ちゃんと、
「……大丈夫?」
予想したとおり心配そうな表情の岩崎さんと、
「ゆたかちゃん、大丈夫?」
これまた少し心配そうな表情の、つかさ先輩だった。
そこに立っていたのは、いつも通りのお姉ちゃんと、
「……大丈夫?」
予想したとおり心配そうな表情の岩崎さんと、
「ゆたかちゃん、大丈夫?」
これまた少し心配そうな表情の、つかさ先輩だった。
「いやね、昼休みにゆーちゃんが風邪引いて学校休んでるって話をしてたら、
つかさが「お見舞いに行ってもいい?」って聞いてきてさ」
とはお姉ちゃんの弁。
それから駅で偶然岩崎さんにも会って、一緒に行こう、という風になったみたい。
そのお姉ちゃんは今、何か食べたいという私の注文で、
冷蔵庫からヨーグルトを取りにキッチンの方に向かっている。
だから部屋には、私と岩崎さん、そしてつかさ先輩がいた。
つかさが「お見舞いに行ってもいい?」って聞いてきてさ」
とはお姉ちゃんの弁。
それから駅で偶然岩崎さんにも会って、一緒に行こう、という風になったみたい。
そのお姉ちゃんは今、何か食べたいという私の注文で、
冷蔵庫からヨーグルトを取りにキッチンの方に向かっている。
だから部屋には、私と岩崎さん、そしてつかさ先輩がいた。
岩崎さんはぬるくなったタオルを冷水で絞ってくれていて、私はつかさ先輩とお話をしていた。
「……調子はどう? ゆたかちゃん。起き上がってて大丈夫なの?」
「はい、お昼はずっと寝ていたので、だいぶ楽にはなりました。
でも、まだ少し頭がボーっとします……」
「そっか~……早く元気になってね」
少しシュンとした後、いつものほわほわした笑顔で私を励ましてくれるつかさ先輩。
「……調子はどう? ゆたかちゃん。起き上がってて大丈夫なの?」
「はい、お昼はずっと寝ていたので、だいぶ楽にはなりました。
でも、まだ少し頭がボーっとします……」
「そっか~……早く元気になってね」
少しシュンとした後、いつものほわほわした笑顔で私を励ましてくれるつかさ先輩。
トクン
……まただ。この前、二人っきりでお話をしたときから、
何でだろう、先輩の嬉しそうな声やその笑顔を見ると、胸の奥から妙な音が聞こえてくる。
でも、その音は気持ち悪いものでもないし、むしろ心地よい感じがする。
何でだろう、先輩の嬉しそうな声やその笑顔を見ると、胸の奥から妙な音が聞こえてくる。
でも、その音は気持ち悪いものでもないし、むしろ心地よい感じがする。
「……小早川さん、どうしたの……?」
「あ、ううん、なんでもないよ!」
その音に気をとられていたからか、岩崎さんが少し心配そうに私に問いかけた。
私は慌てて首を横に振って、そのことを紛らわすために、つかさ先輩に質問をした。
「……そういえば、つかさ先輩」
「ん、なに?」
「かがみ先輩は一緒じゃないんですか?」
「お姉ちゃん? えっとね、今日はゆきちゃんと一緒に参考本買いに行くって
言ってたかな。受験も近いから、追い込みかけなきゃ、って」
「……柊先輩や、泉先輩もそうでは……?」
「あ、あはは……それ、お昼にお姉ちゃんにも言われたよ……」
珍しい岩崎さんの突っ込みに、つかさ先輩は乾いた笑いで返した。
「あ、ううん、なんでもないよ!」
その音に気をとられていたからか、岩崎さんが少し心配そうに私に問いかけた。
私は慌てて首を横に振って、そのことを紛らわすために、つかさ先輩に質問をした。
「……そういえば、つかさ先輩」
「ん、なに?」
「かがみ先輩は一緒じゃないんですか?」
「お姉ちゃん? えっとね、今日はゆきちゃんと一緒に参考本買いに行くって
言ってたかな。受験も近いから、追い込みかけなきゃ、って」
「……柊先輩や、泉先輩もそうでは……?」
「あ、あはは……それ、お昼にお姉ちゃんにも言われたよ……」
珍しい岩崎さんの突っ込みに、つかさ先輩は乾いた笑いで返した。
そう、つかさ先輩は3年生。受験シーズンの真っ只中にいる。
それなのに……
それなのに……
「……どうして、つかさ先輩は私のお見舞いに来てくれたんですか?」
「……えっ?」
つかさ先輩が頭に疑問符をつけた。
「つかさ先輩達は、受験で忙しいんですよね? それならどうして私なんかの
お見舞いにきたんですか? 後輩のことよりも、自分のことは考えなくていいんですか?」
「……えっ?」
つかさ先輩が頭に疑問符をつけた。
「つかさ先輩達は、受験で忙しいんですよね? それならどうして私なんかの
お見舞いにきたんですか? 後輩のことよりも、自分のことは考えなくていいんですか?」
……あれっ? 私、何を言ってるの?
こんな強い言い方で……つかさ先輩に八つ当たりするようなこと言って……
こんな強い言い方で……つかさ先輩に八つ当たりするようなこと言って……
そう思ってるのに、私の口は止まってくれなくて。
「どうして、私なんかのために……」
「……小早川、さん……?」
「あっ……ご、ごめんなさい……」
岩崎さんが目を見開きながらおずおずと私の名前を呼んでくれて、
私はようやく正気に戻ることができた。
「どうして、私なんかのために……」
「……小早川、さん……?」
「あっ……ご、ごめんなさい……」
岩崎さんが目を見開きながらおずおずと私の名前を呼んでくれて、
私はようやく正気に戻ることができた。
どうしたんだろう、私……熱を出して休むのが久しぶりだったからかな?
なんだか、昔の私みたい……
なんだか、昔の私みたい……
私は恐る恐るつかさ先輩の顔を覗いてみた。
つかさ先輩はやっぱり驚いてしまったみたいで、目をぱちくりとさせていた。
……悪いこと、しちゃったかなぁ……
私がそう思えたのは、しかし一瞬だった。
つかさ先輩はやっぱり驚いてしまったみたいで、目をぱちくりとさせていた。
……悪いこと、しちゃったかなぁ……
私がそう思えたのは、しかし一瞬だった。
つかさ先輩はその見開いた目をすぐ細めて、
「あはは……私って、あんまり勉強とか好きじゃなくって、
ついついいつも逃げ出しちゃうというか……」
頬をポリポリと掻きながら、乾いた笑顔をこちらに向けた。
「あはは……私って、あんまり勉強とか好きじゃなくって、
ついついいつも逃げ出しちゃうというか……」
頬をポリポリと掻きながら、乾いた笑顔をこちらに向けた。
そして私の方に、いつか見せてくれた、優しくて、ふんわりと柔らかい笑顔を向けて、
「……それに、私はゆたかちゃんの為にここに来たんじゃなくて、
ゆたかちゃんに会いたいから、ここに来たんだよ」
ゆたかちゃんに会いたいから、ここに来たんだよ」
――ドクン
……えっ?
その言葉は、どこかで聞いたことがあった。
確かだいぶ昔に、私がわがままで学校を休んだとき。
そのときお見舞いに来てくれたゆいお姉ちゃんに、私は今日と同じように反発して、
そしてゆいお姉ちゃんは、つかさ先輩と同じようなことを言ってくれたんだ。
確かだいぶ昔に、私がわがままで学校を休んだとき。
そのときお見舞いに来てくれたゆいお姉ちゃんに、私は今日と同じように反発して、
そしてゆいお姉ちゃんは、つかさ先輩と同じようなことを言ってくれたんだ。
その言葉があるから、今の私がいる。
つかさ先輩は、その言葉とまったく同じことを言ってくれた。
つかさ先輩は、その言葉とまったく同じことを言ってくれた。
どうしたんだろう、何故だか胸の鼓動が大きく、速くなってる気がする。
――ドクン ドクン
止まらない、収まらない。
何なんだろう、これ……
何なんだろう、これ……
「ゆたかちゃん?」
「ふ、ふえっ!?」
ふと気が付くと、いつの間にか目の前につかさ先輩の心配そうな顔があって。
「なんか、顔が赤いよ? まだ熱があるんじゃない?」
つかさ先輩は私の両肩をつかんで、何故かその額を私のおでこにくっつけた。
「ふ、ふえっ!?」
ふと気が付くと、いつの間にか目の前につかさ先輩の心配そうな顔があって。
「なんか、顔が赤いよ? まだ熱があるんじゃない?」
つかさ先輩は私の両肩をつかんで、何故かその額を私のおでこにくっつけた。
「ひ、ひゃわ……」
……冷たい感覚がおでこに広がっていく。
……冷たい感覚がおでこに広がっていく。
――ドクン ドクン
それなのに、胸の高鳴りは止まらない。
「うーん……あんまり熱はなさそうだけど……」
「ゆーちゃん、おまたせー。ヨーグルト持ってきた……」
つかさ先輩が熱を測っていた額を離そうとしたとき、
お姉ちゃんが私の部屋のドアを開けた。
「ゆーちゃん、おまたせー。ヨーグルト持ってきた……」
つかさ先輩が熱を測っていた額を離そうとしたとき、
お姉ちゃんが私の部屋のドアを開けた。
私がそっちのほうを向いて、つかさ先輩と、私達のことを黙って見ていた岩崎さんも
ドアのほうに振り返った。
ドアのほうに振り返った。
今の私達の位置関係は、
開いたドアにお姉ちゃんが、
私が座っているベッドとドアの間に岩崎さんが、
そしてつかさ先輩は、私のベッドに腰をかけて、私の肩を抱いて、
顔を私に近づけていて……
開いたドアにお姉ちゃんが、
私が座っているベッドとドアの間に岩崎さんが、
そしてつかさ先輩は、私のベッドに腰をかけて、私の肩を抱いて、
顔を私に近づけていて……
「……おじゃまだったみたいだねー。あ、私のことは気にしないで。
そのまま続けてていいからねー」
お姉ちゃんは細目になってそう言って、ギギギ、とドアを閉めた。
そのまま続けてていいからねー」
お姉ちゃんは細目になってそう言って、ギギギ、とドアを閉めた。
しばらく私とつかささんはそのまま固まってドアのほうを見ていたけど、
「……あっ、ご、ごめんね!」
つかさ先輩は慌てて私の肩から手を離して、ベッドから腰を上げた。
一瞬見えたつかさ先輩の顔は、気のせいかな、心なしか赤くなっていたように見えた。
「……あっ、ご、ごめんね!」
つかさ先輩は慌てて私の肩から手を離して、ベッドから腰を上げた。
一瞬見えたつかさ先輩の顔は、気のせいかな、心なしか赤くなっていたように見えた。
……そっか、そうだったんだ……
「じゃ、じゃあ長居するのも悪いから、もう帰るねっ」
「……あ、私も……」
「あっ……」
慌てた様子のまま、つかさ先輩は私の方を見ずにドアに向かった。
それに岩崎さんも倣い、つかさ先輩についていった。
「……あ、私も……」
「あっ……」
慌てた様子のまま、つかさ先輩は私の方を見ずにドアに向かった。
それに岩崎さんも倣い、つかさ先輩についていった。
「……つ、つかさ先輩!」
私はそのつかさ先輩の後ろ姿に声をかけた。
その声に反応したつかさ先輩が、私の方を振り向いてくれた。
その表情は少し驚いているようで、
そしてほんの少しだけ、赤みがかかっているようで……
私はそのつかさ先輩の後ろ姿に声をかけた。
その声に反応したつかさ先輩が、私の方を振り向いてくれた。
その表情は少し驚いているようで、
そしてほんの少しだけ、赤みがかかっているようで……
「……今日は、お見舞いに来てくださって、ありがとうございました。
元気になったら……また、お話しましょう!」
私の言葉を聞いて、つかさ先輩はまた、ゆっくりと笑って。
元気になったら……また、お話しましょう!」
私の言葉を聞いて、つかさ先輩はまた、ゆっくりと笑って。
「……うん、また一緒に!」
――ドクン
その笑顔に、今日何度目かの胸の高鳴りを感じた。
もうわかってる、この音の正体。
私はその「恋に落ちる音」を聞きながら、
外に出て行くつかさ先輩と岩崎さんの後ろ姿を見送った。
外に出て行くつかさ先輩と岩崎さんの後ろ姿を見送った。
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- 下の方と、同意見です。それと、かがみ
とみゆきが冷たく感じます… -- チャムチロ (2012-10-30 10:42:57) - いい! けど、みなみちゃんにもお見舞いのお礼言ってあげようよ ゆーちゃんw -- 名無しさん (2009-10-23 15:27:29)
- gj!!!2828がとまr(ry -- 名無しさん (2009-04-29 23:48:49)
- これは……クるものがありますな。GJ! -- 名無しさん (2009-04-26 21:01:03)