うん、絶対あんなの間違ってますよね。
朝の伊勢崎線、いつもよりずっと早い時間の電車。
いつもは学生で埋め尽くされる電車もいつもと雰囲気が違う。
ワンカップの酒を片手に寝てる人、派手な格好をしたお姉さん。
ちょっぴり新鮮な車内を、高良みゆきは緊張しながら見回していた。
昨日のかがみの怪我、代役に決まった白石。
でも、こなたの言っていた「萌えさせる」という言葉が気になっていた。
みゆきはあまりオタクについて詳しくないが、なんとなく言いたい事は分かっている。
白石がキスシーンに抵抗あるからって、だから恋人になるなんて……
(そんなの、絶対ダメに決まってるじゃないですか!!)
みゆきだって劇は成功させたい。
いままで何日も打ち込んできた劇だ。このまま終わるなんて耐えられない。
でも、だからといって無理やり白石にこなたと恋人になってもらうってのも間違ってると思う。
みゆきはあんまり恋愛には詳しくない。
でも、小さい頃から読んでいた本の中のような恋愛にもあこがれていた。
朝日の差し込む車内。手元に開いた台本を、窓枠の影が何度も横切る。
『おお、ロミオ、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?
私を想うなら、あなたのお父さまをすてて、お名前を名乗らないでくださいな。
もしそうなさらないなら、私への愛を誓って欲しいですわ。
そうすれば、私はキャピュレット家の人でなくなりましょう』
みゆきの一番好きなシーン。一番好きなセリフ。
何度も読み返したその部分。ジュリエットが愛を告白するシーン。
みゆきにはまだ好きな人はいない、けれどもロミオに恋焦がれるジュリエットの気持ちに憧れていた。
愛するもののためなら、家も、名誉も、命だって惜しくない。
そんな気持ちが恋だと信じていた。だから、
(無理やり恋人にするなんて、間違ってます!!)
見慣れた駅、でもいつもよりもずっと人の少ない駅。
いつも乗るバス、でも今日降りるのはいつもよりも三つ手前のバス停。
(絶対、こなたさんを止めます)
みゆきの目は使命感に燃えていた。
朝の伊勢崎線、いつもよりずっと早い時間の電車。
いつもは学生で埋め尽くされる電車もいつもと雰囲気が違う。
ワンカップの酒を片手に寝てる人、派手な格好をしたお姉さん。
ちょっぴり新鮮な車内を、高良みゆきは緊張しながら見回していた。
昨日のかがみの怪我、代役に決まった白石。
でも、こなたの言っていた「萌えさせる」という言葉が気になっていた。
みゆきはあまりオタクについて詳しくないが、なんとなく言いたい事は分かっている。
白石がキスシーンに抵抗あるからって、だから恋人になるなんて……
(そんなの、絶対ダメに決まってるじゃないですか!!)
みゆきだって劇は成功させたい。
いままで何日も打ち込んできた劇だ。このまま終わるなんて耐えられない。
でも、だからといって無理やり白石にこなたと恋人になってもらうってのも間違ってると思う。
みゆきはあんまり恋愛には詳しくない。
でも、小さい頃から読んでいた本の中のような恋愛にもあこがれていた。
朝日の差し込む車内。手元に開いた台本を、窓枠の影が何度も横切る。
『おお、ロミオ、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?
私を想うなら、あなたのお父さまをすてて、お名前を名乗らないでくださいな。
もしそうなさらないなら、私への愛を誓って欲しいですわ。
そうすれば、私はキャピュレット家の人でなくなりましょう』
みゆきの一番好きなシーン。一番好きなセリフ。
何度も読み返したその部分。ジュリエットが愛を告白するシーン。
みゆきにはまだ好きな人はいない、けれどもロミオに恋焦がれるジュリエットの気持ちに憧れていた。
愛するもののためなら、家も、名誉も、命だって惜しくない。
そんな気持ちが恋だと信じていた。だから、
(無理やり恋人にするなんて、間違ってます!!)
見慣れた駅、でもいつもよりもずっと人の少ない駅。
いつも乗るバス、でも今日降りるのはいつもよりも三つ手前のバス停。
(絶対、こなたさんを止めます)
みゆきの目は使命感に燃えていた。
前日にちゃんと調べておいたお陰で、白石の家は簡単に見つかった。
白石の両親に事情を(萌えさせるなどを一部当たり障りのない事に変えて)説明する。
両親は以外にもすんなりと白石の部屋に通してくれた。
(でも、お二人ともなんだかにやにやしていたのは何故でしょう?)
下の階では「転校して早々すぐに女の子を引っかけるなんて、あの子もなかなかやるものね」
などという会話がされている事を、みゆきは知る由もない。
白石の部屋の前。どきどきする。兄以外の男の人の部屋に入るのなんて、初めてだ。
ノックをする。返事は返ってこない。両親は開けていいといっていたけれど、ノックのない部屋を空けるのは緊張する。
「失礼します……」
恐る恐るドアを開ける。
部屋の中は思ったよりも綺麗に整頓されている。引っ越してきたばかりだからだろうか。
白石はベッドの上で熟睡していた。
両親にもまだこなたが来ていないか聞いてみたのだけれど、やっぱりまだ何もされていないのをみて安堵の息をつく。
こなたなら窓から忍び込むぐらいやりかねないし。
(ふぅっ、落ち着いたらなんだか眠くなっちゃいました)
もともと都内からの遠距離通学を強いられているみゆきは早起きだ。
しかし今日はこなたに先を越されないためにさらに早起きをしてきている。
連日の監督としての疲労もたまってきていれば、眠気もなおさらだ。
(あ、毛布、直してあげないと)
やわらかい布団の誘惑に誘われ、乱れている毛布に手をかける。
ふわっとした感触。程よいぬくもりにだんだん降りてくるまぶたを押さえることも辛くなる。
毛布を直すとそのままみゆきはベッドにもたれかかる。
(ふふっ、白石さんって、寝顔、かわいいですね)
眠りに落ちつつある思考の隅で、ちょっとだけみゆきはそんな事を考えた。
白石の両親に事情を(萌えさせるなどを一部当たり障りのない事に変えて)説明する。
両親は以外にもすんなりと白石の部屋に通してくれた。
(でも、お二人ともなんだかにやにやしていたのは何故でしょう?)
下の階では「転校して早々すぐに女の子を引っかけるなんて、あの子もなかなかやるものね」
などという会話がされている事を、みゆきは知る由もない。
白石の部屋の前。どきどきする。兄以外の男の人の部屋に入るのなんて、初めてだ。
ノックをする。返事は返ってこない。両親は開けていいといっていたけれど、ノックのない部屋を空けるのは緊張する。
「失礼します……」
恐る恐るドアを開ける。
部屋の中は思ったよりも綺麗に整頓されている。引っ越してきたばかりだからだろうか。
白石はベッドの上で熟睡していた。
両親にもまだこなたが来ていないか聞いてみたのだけれど、やっぱりまだ何もされていないのをみて安堵の息をつく。
こなたなら窓から忍び込むぐらいやりかねないし。
(ふぅっ、落ち着いたらなんだか眠くなっちゃいました)
もともと都内からの遠距離通学を強いられているみゆきは早起きだ。
しかし今日はこなたに先を越されないためにさらに早起きをしてきている。
連日の監督としての疲労もたまってきていれば、眠気もなおさらだ。
(あ、毛布、直してあげないと)
やわらかい布団の誘惑に誘われ、乱れている毛布に手をかける。
ふわっとした感触。程よいぬくもりにだんだん降りてくるまぶたを押さえることも辛くなる。
毛布を直すとそのままみゆきはベッドにもたれかかる。
(ふふっ、白石さんって、寝顔、かわいいですね)
眠りに落ちつつある思考の隅で、ちょっとだけみゆきはそんな事を考えた。
眠りの向こうでなにやら騒がしい声が聞こえる。
腕にぎゅっと抱いた温かみが気持ちいい。
その抱いている中かがもぞもぞと動く。
「んん……ふぁぁ……どうされました?」
「――それは俺のセリフだ!なぁ、何なんだよこれは?」
ああ、そうだ。たしかこなたさんが白石さんに何かするからそれを止めないと……
あれ、でもさっき電車に乗って白石さんの家に……
「これといわれましても……どれのことでしょう?」
「これのことだよ、何で一緒に寝てるんだよ!!」
「……え?そんなことは…………」
周りを見回す。目の前にいる白石の顔。
ふかふかのベッド、見覚えのない部屋。それとニヤニヤ笑いながら見ているこなた……
「あ」
やっと理解する。白石の家に着いて、毛布を直してそれから……
「すすすすすすいませーんっ!」
慌ててベッドから飛びのく。
さっきからぎゅっと腕を抱きしめていたみたいで、恥ずかしくてたまらない。
「これは、あの、かくかくしかじかで……!」
寝起きの混乱した頭に、目の前に白石の顔があった事実。
みゆきの顔は真っ赤になっている。自分で何を言ってるのかすらさっぱりだ。
(うう~、お、男の人と同じベッドで寝るなんて……恥ずかしい事をしていました)
その言い方、どこか誤解を招きそうだが、それ以前に本人も分かって言っているのか。
(恥ずかしい、恥ずかしいです。それに、勝手に腕ぎゅっとして、怒っていらっしゃらないでしょうか……)
「いや、だからちゃんと説明してくれよ」
白石といえば、怒っているというより疲れたといった感触。
ただ、ちょっぴり赤くなっている。
こなたとみゆきが事の顛末を説明する。
白石はベッドに胡坐をかき、その説明を聞く。
「本当にすみません。ご迷惑をおかけしました」
ぺこりとみゆきが頭を下げる。
「別にいいって。元凶はこっちだし」
白石が気にしていないことに、みゆきは安堵する。
指差されたこなたはぷくーっと頬を膨らませる。
「そんなことないもーん。私、何もしてないもーん」
「未遂に終わっただけ、寝坊してなかったら今頃……」
「ああああ、もうこんな時間だ! 準備よろしくねーっ!」
逃げるように降りてゆくこなた。
それを呆れたように白石は見送る。
「……ったく、逃げ足の早い……」
「でも、時間ありませんよ。急がないと遅刻かと」
「あ、ごめん、すぐ支度するよ」
「はい。下でお待ちしますね」
小さく頭を下げて、扉を閉める。
白石の姿が見えなくなって、やっとみゆきは小さく息をつく。
「あ……」
手の平に残った感触。
白石の腕をぎゅっと抱きしめたときの感触を思い出して真っ赤になるみゆき。
「ん?どしたのみゆきさん。もしかしてフラグ立っちゃった?」
「ひゃうっ!!」
気づけばさっき部屋を出て行ったはずのこなたが目の前にいた。
「む~、やっぱりみのるくんもおっきい方が好きなのかなぁ……
やっぱり私でフラグ立てるよりも、みゆきさんのほうが楽かも。属性も多いし」
「な、何の話ですか!!」
赤くなった顔を隠せない。
こなたの頭をぽこぽこ叩く。「みゆきさん、痛いよ~」と笑うこなた。
「お支度、よろしいですか?そろそろ時間ですよー」
「わ、わかってるよ。今行くから」
素早く着替えを済ませ、部屋を飛び出してくる白石。
こなたがその口にジャムを塗ったパンを咥えさせる。
「朝急いでいるときはパンを咥えながらダッシュってのが基本なの。ほら、行くよ」
こなたがすごいスピードで走り出す。
白石とみゆきも慌てて後を追いかける。
でも、少しだけ、白石の事が気になって、まっすぐ白石の方を向けないみゆきがいた。
腕にぎゅっと抱いた温かみが気持ちいい。
その抱いている中かがもぞもぞと動く。
「んん……ふぁぁ……どうされました?」
「――それは俺のセリフだ!なぁ、何なんだよこれは?」
ああ、そうだ。たしかこなたさんが白石さんに何かするからそれを止めないと……
あれ、でもさっき電車に乗って白石さんの家に……
「これといわれましても……どれのことでしょう?」
「これのことだよ、何で一緒に寝てるんだよ!!」
「……え?そんなことは…………」
周りを見回す。目の前にいる白石の顔。
ふかふかのベッド、見覚えのない部屋。それとニヤニヤ笑いながら見ているこなた……
「あ」
やっと理解する。白石の家に着いて、毛布を直してそれから……
「すすすすすすいませーんっ!」
慌ててベッドから飛びのく。
さっきからぎゅっと腕を抱きしめていたみたいで、恥ずかしくてたまらない。
「これは、あの、かくかくしかじかで……!」
寝起きの混乱した頭に、目の前に白石の顔があった事実。
みゆきの顔は真っ赤になっている。自分で何を言ってるのかすらさっぱりだ。
(うう~、お、男の人と同じベッドで寝るなんて……恥ずかしい事をしていました)
その言い方、どこか誤解を招きそうだが、それ以前に本人も分かって言っているのか。
(恥ずかしい、恥ずかしいです。それに、勝手に腕ぎゅっとして、怒っていらっしゃらないでしょうか……)
「いや、だからちゃんと説明してくれよ」
白石といえば、怒っているというより疲れたといった感触。
ただ、ちょっぴり赤くなっている。
こなたとみゆきが事の顛末を説明する。
白石はベッドに胡坐をかき、その説明を聞く。
「本当にすみません。ご迷惑をおかけしました」
ぺこりとみゆきが頭を下げる。
「別にいいって。元凶はこっちだし」
白石が気にしていないことに、みゆきは安堵する。
指差されたこなたはぷくーっと頬を膨らませる。
「そんなことないもーん。私、何もしてないもーん」
「未遂に終わっただけ、寝坊してなかったら今頃……」
「ああああ、もうこんな時間だ! 準備よろしくねーっ!」
逃げるように降りてゆくこなた。
それを呆れたように白石は見送る。
「……ったく、逃げ足の早い……」
「でも、時間ありませんよ。急がないと遅刻かと」
「あ、ごめん、すぐ支度するよ」
「はい。下でお待ちしますね」
小さく頭を下げて、扉を閉める。
白石の姿が見えなくなって、やっとみゆきは小さく息をつく。
「あ……」
手の平に残った感触。
白石の腕をぎゅっと抱きしめたときの感触を思い出して真っ赤になるみゆき。
「ん?どしたのみゆきさん。もしかしてフラグ立っちゃった?」
「ひゃうっ!!」
気づけばさっき部屋を出て行ったはずのこなたが目の前にいた。
「む~、やっぱりみのるくんもおっきい方が好きなのかなぁ……
やっぱり私でフラグ立てるよりも、みゆきさんのほうが楽かも。属性も多いし」
「な、何の話ですか!!」
赤くなった顔を隠せない。
こなたの頭をぽこぽこ叩く。「みゆきさん、痛いよ~」と笑うこなた。
「お支度、よろしいですか?そろそろ時間ですよー」
「わ、わかってるよ。今行くから」
素早く着替えを済ませ、部屋を飛び出してくる白石。
こなたがその口にジャムを塗ったパンを咥えさせる。
「朝急いでいるときはパンを咥えながらダッシュってのが基本なの。ほら、行くよ」
こなたがすごいスピードで走り出す。
白石とみゆきも慌てて後を追いかける。
でも、少しだけ、白石の事が気になって、まっすぐ白石の方を向けないみゆきがいた。
『らっきー☆ちゃんねる』
「おはらっきー☆ さて、始まってしまいましたらっきー☆ちゃんねる出張版、私、ナビゲーターの小神あきらです」
「どうも、アシスタントの白石みの……」
ドンっ!!
「ひぃっ!!」
「あのさぁ……あんたさ、主人公気取り? 何?この私を差し置いて?」
「い、いえ、これは勝手に主人公の名前を私の名前に……」
ドンっ!!
「ひぃっ!!」
「ああん? 本編に出てるだけでも気に食わないってのに、あんた何様のつもり?」
「ひ、ひぃぃっ、す、すみません」
「あ、そーだ。白石くん? 君にこーんなにはがき届いてるんだよ。は・が・き」
「あ、は、はいっ。あ、ありがとうございます」
「はーい、一枚読みますよ……『白石、お前は俺を怒らせた』」
「ひぃぃっ!!」
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』『もはや貴様には死すら生ぬるい!!!』
『白石くたばれ』『つまりぶっ殺すってことですよね^^』『OK、殺せばいいんだな』
「よかったね~、君を応援するはがきがこんなに届いてるんだよ~」
「殺される殺される殺される殺される殺される、俺は絶対殺される~っ」
「そうだ、次回はリスナーから白石の殺し方募集して、その中から実際一個やってみるってのはどうかな?」
「いやいやいや、そんなことしたらその次回ありませんから。ってか、僕の人権無視っすか!?」
「え~、だって、視聴者の期待にこたえるのがアイドルの仕事なんだよ。
ということで、次回はみんなのアイドル、白石くんが素晴らしい死に方をしてくれまーす」
「ちょ、ちょっと待ってください。そんなのあんまりで……」
「ばいにー☆」
「おはらっきー☆ さて、始まってしまいましたらっきー☆ちゃんねる出張版、私、ナビゲーターの小神あきらです」
「どうも、アシスタントの白石みの……」
ドンっ!!
「ひぃっ!!」
「あのさぁ……あんたさ、主人公気取り? 何?この私を差し置いて?」
「い、いえ、これは勝手に主人公の名前を私の名前に……」
ドンっ!!
「ひぃっ!!」
「ああん? 本編に出てるだけでも気に食わないってのに、あんた何様のつもり?」
「ひ、ひぃぃっ、す、すみません」
「あ、そーだ。白石くん? 君にこーんなにはがき届いてるんだよ。は・が・き」
「あ、は、はいっ。あ、ありがとうございます」
「はーい、一枚読みますよ……『白石、お前は俺を怒らせた』」
「ひぃぃっ!!」
『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』『もはや貴様には死すら生ぬるい!!!』
『白石くたばれ』『つまりぶっ殺すってことですよね^^』『OK、殺せばいいんだな』
「よかったね~、君を応援するはがきがこんなに届いてるんだよ~」
「殺される殺される殺される殺される殺される、俺は絶対殺される~っ」
「そうだ、次回はリスナーから白石の殺し方募集して、その中から実際一個やってみるってのはどうかな?」
「いやいやいや、そんなことしたらその次回ありませんから。ってか、僕の人権無視っすか!?」
「え~、だって、視聴者の期待にこたえるのがアイドルの仕事なんだよ。
ということで、次回はみんなのアイドル、白石くんが素晴らしい死に方をしてくれまーす」
「ちょ、ちょっと待ってください。そんなのあんまりで……」
「ばいにー☆」