「セーフッ!!」
俺たちが教室に到着したのはまさに時間ギリギリだった。
開いた扉の向こうでは、黒井先生が名簿を開こうとしていたところだったからだ。
「ギリギリな~。しかし、学級委員の高良が遅刻ギリギリとは、世も末やなぁ」
「すみません……みのるさんの家に迎えに行ってたら遅くなりまして……」
高良さんは息も切れ切れだ。対して泉さんは余裕の表情。
運動に慣れているのか、はたまた胸の質量の違いかと妙な想像をしてしまう。
「白石~、運動後の女の子を観察するのもええけどな。女の子二人連れて遅刻とはええ度胸やな」
クラスメイトからの笑い声。
なんだか俺、女好きキャラのイメージつけられちゃってる!?
俺たちが教室に到着したのはまさに時間ギリギリだった。
開いた扉の向こうでは、黒井先生が名簿を開こうとしていたところだったからだ。
「ギリギリな~。しかし、学級委員の高良が遅刻ギリギリとは、世も末やなぁ」
「すみません……みのるさんの家に迎えに行ってたら遅くなりまして……」
高良さんは息も切れ切れだ。対して泉さんは余裕の表情。
運動に慣れているのか、はたまた胸の質量の違いかと妙な想像をしてしまう。
「白石~、運動後の女の子を観察するのもええけどな。女の子二人連れて遅刻とはええ度胸やな」
クラスメイトからの笑い声。
なんだか俺、女好きキャラのイメージつけられちゃってる!?
「さて、当時はモンロー主義を貫いていたアメリカ合衆国やけど、1915年のルシタニア事件を……」
きーんこーんかーんこーん、と校内にチャイムが響き渡る。
「えーっと、何か質問は……」
と黒井先生は教室を見回そうとして、びくっと引いた。
昼休みを前にした生徒の飢えた顔。一刻も早い昼休みをという、呪詛の視線。
「えー、終わります」
「起立。礼っ」「「ありがとうございましたー」」
日直の合図が終わるが早いか、ダッシュで教室を出る人。
黒井先生も呆れ顔だ。
「みのるくん。台本の読み合わせも兼ねて一緒にご飯食べない?」
教科書とノートをしまい終えた俺に、つかささんが話しかけてきた。
「ああ、いいよ。高良さんと泉さん、あとかがみさんもいるの?」
「こなちゃんは購買にパンを買いに行ってる。あ、おーい、ゆきちゃん」
パタパタと手を振るつかささんに、高良さんは小さく手を振って答える。かがみさんも一緒だ。
「かがみさん。足の具合は……」
「うん、それがちょっと……」
かがみさんの左足にはぐるぐると巻かれた包帯。
さっきから引きずるように歩いている。
「普通に生活する分には問題ないんだけれど……ディバルトとの戦いのシーンがあるじゃない。
さすがにああいった立ち回りは無理みたいだし……」
かがみさんの声は沈んでいる。
そりゃ、大分楽しみにしていたし、今まで練習を積み重ねてきたんだ。
それが台無しになってしまうなんて、悲しすぎる。
「で、でも、教える分には問題ないから。私の代役、充分に果たしてもらわないとね。厳しくいくわよ~」
さっきの沈んだ気分を振り払うかのように、明るくかがみさんが言う。
そうだよな、沈んでても仕方ない。しっかりかがみさんに指導してもらわないと。
「むふふ~、わざと明るく振舞うかがみの健気さに萌え」
にょろーんといつの間にか後ろに立ち、かがみさんの頭に手を伸ばす泉さん。
「うひゃっ、人の後ろに立つな!!」
「オオッ、かがみんは実は凄腕の暗殺者だったのかい?」
「だから意味分からないって!!」
がやがや騒ぎながらも机を四つくっつけ合わせる。
しかし、こんなに女の子に囲まれて昼食というのも初めてだな……
「そうだ。みのるくんの弁当は?どんなのか見てみたいな~」
つかささんが興味津々で見てくる。
そうそう、自分も弁当を忘れちゃならない。
鞄の中に手を伸ばし……
「え?」
も一度、鞄の中に、手を伸ばし……
「嘘だろ!?」
鞄の中に入れた手が何も掴まずにすり抜ける。
中を覗いてみても一緒。つまり……
「弁当忘れた……」
やっちまった~。昨日弁当頼んだんだけれど、朝のどたばたで受け取るのをさっぱり忘れていた。
「パンはもう売り切れてたよ。義理の妹とかいないの?」
泉さんがチョココロネ片手に聞いてくる。
「え、どうして義理の妹?」
「こーゆーとき、『お兄ちゃん。弁当忘れてるよ』って来るのが王道でしょ」
「あんたはまた訳分からない事言って……仕方ないわね。ほら」
かがみさんが裏返した弁当箱のフタの上に、ひょいひょいとおかずを乗せていく。
「ほら、ちょっと量少ないけれど、ないよりはマシでしょ?」
「じゃ、私も~」
つかささんもその横におかずを乗せる。
「私のでよければ……」
と高良さんまで。
「う、じゃあ私も……」
その横にぽんと置かれるチョココロネ。泉さんのだ。
みんなの優しさが身にしみる。
「ああ、皆さん。ありがとうございます……白石はなんとか生きていけます……」
「大げさだよ~。あ、でも箸ないけどどうやって食べるの? やっぱりあーんって?」
……まったくその点に思い至りませんでした。
泉さんはニヤニヤ見ていらっしゃる。またフラグか何かか?
「あ、私おっちょこちょいだから落とした時用にもう一個箸あるんだ。はい」
つかささんがかわいらしい箸入れに入った箸を差し出してくれる。
女の子から箸を借りるのも充分恥ずかしいのだけど、あーんしてもらうよりよっぽどマシだ。
「くそっ、私がせっかくフラグ立てようと思ったのに。つかさのフラグクラッシャーめ」
「どんだけ~?」
泉さんが小さく呟き、つかささんが目を丸くして首をかしげる。かがみさんはそれを見て呆れるばかり。
「あ、あの。時間もありますし、そろそろ食べませんか?」
高良さんの声にみんな頷き、手を合わせる。
「「「「「いただきまーす」」」」」
きーんこーんかーんこーん、と校内にチャイムが響き渡る。
「えーっと、何か質問は……」
と黒井先生は教室を見回そうとして、びくっと引いた。
昼休みを前にした生徒の飢えた顔。一刻も早い昼休みをという、呪詛の視線。
「えー、終わります」
「起立。礼っ」「「ありがとうございましたー」」
日直の合図が終わるが早いか、ダッシュで教室を出る人。
黒井先生も呆れ顔だ。
「みのるくん。台本の読み合わせも兼ねて一緒にご飯食べない?」
教科書とノートをしまい終えた俺に、つかささんが話しかけてきた。
「ああ、いいよ。高良さんと泉さん、あとかがみさんもいるの?」
「こなちゃんは購買にパンを買いに行ってる。あ、おーい、ゆきちゃん」
パタパタと手を振るつかささんに、高良さんは小さく手を振って答える。かがみさんも一緒だ。
「かがみさん。足の具合は……」
「うん、それがちょっと……」
かがみさんの左足にはぐるぐると巻かれた包帯。
さっきから引きずるように歩いている。
「普通に生活する分には問題ないんだけれど……ディバルトとの戦いのシーンがあるじゃない。
さすがにああいった立ち回りは無理みたいだし……」
かがみさんの声は沈んでいる。
そりゃ、大分楽しみにしていたし、今まで練習を積み重ねてきたんだ。
それが台無しになってしまうなんて、悲しすぎる。
「で、でも、教える分には問題ないから。私の代役、充分に果たしてもらわないとね。厳しくいくわよ~」
さっきの沈んだ気分を振り払うかのように、明るくかがみさんが言う。
そうだよな、沈んでても仕方ない。しっかりかがみさんに指導してもらわないと。
「むふふ~、わざと明るく振舞うかがみの健気さに萌え」
にょろーんといつの間にか後ろに立ち、かがみさんの頭に手を伸ばす泉さん。
「うひゃっ、人の後ろに立つな!!」
「オオッ、かがみんは実は凄腕の暗殺者だったのかい?」
「だから意味分からないって!!」
がやがや騒ぎながらも机を四つくっつけ合わせる。
しかし、こんなに女の子に囲まれて昼食というのも初めてだな……
「そうだ。みのるくんの弁当は?どんなのか見てみたいな~」
つかささんが興味津々で見てくる。
そうそう、自分も弁当を忘れちゃならない。
鞄の中に手を伸ばし……
「え?」
も一度、鞄の中に、手を伸ばし……
「嘘だろ!?」
鞄の中に入れた手が何も掴まずにすり抜ける。
中を覗いてみても一緒。つまり……
「弁当忘れた……」
やっちまった~。昨日弁当頼んだんだけれど、朝のどたばたで受け取るのをさっぱり忘れていた。
「パンはもう売り切れてたよ。義理の妹とかいないの?」
泉さんがチョココロネ片手に聞いてくる。
「え、どうして義理の妹?」
「こーゆーとき、『お兄ちゃん。弁当忘れてるよ』って来るのが王道でしょ」
「あんたはまた訳分からない事言って……仕方ないわね。ほら」
かがみさんが裏返した弁当箱のフタの上に、ひょいひょいとおかずを乗せていく。
「ほら、ちょっと量少ないけれど、ないよりはマシでしょ?」
「じゃ、私も~」
つかささんもその横におかずを乗せる。
「私のでよければ……」
と高良さんまで。
「う、じゃあ私も……」
その横にぽんと置かれるチョココロネ。泉さんのだ。
みんなの優しさが身にしみる。
「ああ、皆さん。ありがとうございます……白石はなんとか生きていけます……」
「大げさだよ~。あ、でも箸ないけどどうやって食べるの? やっぱりあーんって?」
……まったくその点に思い至りませんでした。
泉さんはニヤニヤ見ていらっしゃる。またフラグか何かか?
「あ、私おっちょこちょいだから落とした時用にもう一個箸あるんだ。はい」
つかささんがかわいらしい箸入れに入った箸を差し出してくれる。
女の子から箸を借りるのも充分恥ずかしいのだけど、あーんしてもらうよりよっぽどマシだ。
「くそっ、私がせっかくフラグ立てようと思ったのに。つかさのフラグクラッシャーめ」
「どんだけ~?」
泉さんが小さく呟き、つかささんが目を丸くして首をかしげる。かがみさんはそれを見て呆れるばかり。
「あ、あの。時間もありますし、そろそろ食べませんか?」
高良さんの声にみんな頷き、手を合わせる。
「「「「「いただきまーす」」」」」
「もう一度話しておくれ、輝く天使。まさしくそうだ。あなたは人々が……ごめん、なんだっけ?」
シーンごとにセリフを覚えつつ読み合わせをしている。
短いセリフや動作などはすぐに頭に入っていくんだけれど、長台詞となるとさすがに覚えきれない。
指を挟んだ台本を取り出そうとすると……
「もう一度話しておくれ、輝く天使。まさしくそうだ。あなたは人々がうち退いて見つめる、
天上からやってきたお使いのように、ぼくの頭上にいるのだから。」
すらすらとよどみなく、高良さんがセリフを読み上げる。
しかも、その声にはしっかりと感情がこもっている。
抑揚も発声も、まさに完璧だ。
「このシーンは物陰からジュリエットの様を伺うシーンです。こっそりと見つからないようにしているシーンなのですが、
私たちは舞台でやっているので大きな声を出さないと後ろの席まで声が届きません。
ですので、ここは仰々しくはなく、若干大人しめで、けれども後ろに届く大きな声でお願いします」
高良さんがにっこりと笑う。
……今のシーン、台本を一瞥もしてなかった。
「あ、あの、高良さん?」
「あ、え?私、セリフ間違ってましたか?」
慌てて台本を開く高良さん。
「いや、セリフは多分合っているけれど、もしかしてすべてのシーン暗記してるの?」
「そうそう、すごいんだから、みゆきは」
かがみさんが自慢げに胸を張る。
「すべてのシーンの照明、音響、舞台効果に役者の立ち回り、すべてみゆきが考えたんだから」
「え、いえ、私はこの台本の通りにやっているだけで……」
「ううん、セリフと動作しか書いてない台本からイメージ作ったのはゆきちゃんだから、さすがゆきちゃんだね」
高良さんは真っ赤になって恐縮している。
監督といえば後ろで踏ん反り返っていろいろ命令を出しているというイメージが強かったんだけれど、
台本からイメージを膨らませて舞台を作るのは監督の仕事なんだよな。
チャイムが鳴り響く。もうすぐ昼休みも終わりだ。
「じゃあ、続きは放課後ですね」
台本をしまい、くっつけていた机を戻す。
さて、ここからがまた辛い授業の再開だ。
「あ、そだ、みのるくん。みのるくんは誰のお弁当が一番おいしかった?」
藪から棒に、泉さんが聞いてきた。
「かがみとつかさのお弁当? それともみゆきさんの? 思い切って私のチョココロネ?」
ずいずいっと身を乗り出して聞いてくる。
そうだな、一番おいしかったのは……
「高良さんの……かな。卵焼き、ふわふわでおいしかったし」
卵焼きは二人からもらったけれど、自分としては高良さんの卵焼きの方がおいしかった。
つかささんとかがみさんの卵焼きもおいしかったけれど、なんだか高良さんの卵焼きはふんわりしていて、バターの柔らかい香りがした。
なんだか、家で食べる卵焼きと違う、ホテルで食べるような上品な味がした。
「あ、ありがとうございます。朝、急いで作ってきたのですがお口に合ったか心配で……」
こっちが気の毒になるほど真っ赤になって小さくなる高良さん。
ってか、こっちが卵焼きもらった方なんだし、こっちの方が悪いぐらいだ。
「にょほほ、じゃあ今日の卵焼きはかがみが作ったんだね」
「何よ。悪い? どーせ私の作った卵焼きはおいしくないですよ」
「や、かがみさん。そういうわけじゃなくて……」
「そうだよ、お姉ちゃん上手になってきてるよ」
慌ててつかささんと揃ってフォローする。
泉さんはにょほほと笑っている。
「しかし、ここでチョココロネを選べば私ルートだったけれど、そっか、みゆきさんルートか」
いや、訳分からないって。
ガラガラと扉の開く音、次の授業の先生が来る。
「ほら~、さっさと席に着け~」
「ををっ、もう来た。それじゃ」
みんなそれぞれの席に慌てて戻る。
授業の再開だ。
シーンごとにセリフを覚えつつ読み合わせをしている。
短いセリフや動作などはすぐに頭に入っていくんだけれど、長台詞となるとさすがに覚えきれない。
指を挟んだ台本を取り出そうとすると……
「もう一度話しておくれ、輝く天使。まさしくそうだ。あなたは人々がうち退いて見つめる、
天上からやってきたお使いのように、ぼくの頭上にいるのだから。」
すらすらとよどみなく、高良さんがセリフを読み上げる。
しかも、その声にはしっかりと感情がこもっている。
抑揚も発声も、まさに完璧だ。
「このシーンは物陰からジュリエットの様を伺うシーンです。こっそりと見つからないようにしているシーンなのですが、
私たちは舞台でやっているので大きな声を出さないと後ろの席まで声が届きません。
ですので、ここは仰々しくはなく、若干大人しめで、けれども後ろに届く大きな声でお願いします」
高良さんがにっこりと笑う。
……今のシーン、台本を一瞥もしてなかった。
「あ、あの、高良さん?」
「あ、え?私、セリフ間違ってましたか?」
慌てて台本を開く高良さん。
「いや、セリフは多分合っているけれど、もしかしてすべてのシーン暗記してるの?」
「そうそう、すごいんだから、みゆきは」
かがみさんが自慢げに胸を張る。
「すべてのシーンの照明、音響、舞台効果に役者の立ち回り、すべてみゆきが考えたんだから」
「え、いえ、私はこの台本の通りにやっているだけで……」
「ううん、セリフと動作しか書いてない台本からイメージ作ったのはゆきちゃんだから、さすがゆきちゃんだね」
高良さんは真っ赤になって恐縮している。
監督といえば後ろで踏ん反り返っていろいろ命令を出しているというイメージが強かったんだけれど、
台本からイメージを膨らませて舞台を作るのは監督の仕事なんだよな。
チャイムが鳴り響く。もうすぐ昼休みも終わりだ。
「じゃあ、続きは放課後ですね」
台本をしまい、くっつけていた机を戻す。
さて、ここからがまた辛い授業の再開だ。
「あ、そだ、みのるくん。みのるくんは誰のお弁当が一番おいしかった?」
藪から棒に、泉さんが聞いてきた。
「かがみとつかさのお弁当? それともみゆきさんの? 思い切って私のチョココロネ?」
ずいずいっと身を乗り出して聞いてくる。
そうだな、一番おいしかったのは……
「高良さんの……かな。卵焼き、ふわふわでおいしかったし」
卵焼きは二人からもらったけれど、自分としては高良さんの卵焼きの方がおいしかった。
つかささんとかがみさんの卵焼きもおいしかったけれど、なんだか高良さんの卵焼きはふんわりしていて、バターの柔らかい香りがした。
なんだか、家で食べる卵焼きと違う、ホテルで食べるような上品な味がした。
「あ、ありがとうございます。朝、急いで作ってきたのですがお口に合ったか心配で……」
こっちが気の毒になるほど真っ赤になって小さくなる高良さん。
ってか、こっちが卵焼きもらった方なんだし、こっちの方が悪いぐらいだ。
「にょほほ、じゃあ今日の卵焼きはかがみが作ったんだね」
「何よ。悪い? どーせ私の作った卵焼きはおいしくないですよ」
「や、かがみさん。そういうわけじゃなくて……」
「そうだよ、お姉ちゃん上手になってきてるよ」
慌ててつかささんと揃ってフォローする。
泉さんはにょほほと笑っている。
「しかし、ここでチョココロネを選べば私ルートだったけれど、そっか、みゆきさんルートか」
いや、訳分からないって。
ガラガラと扉の開く音、次の授業の先生が来る。
「ほら~、さっさと席に着け~」
「ををっ、もう来た。それじゃ」
みんなそれぞれの席に慌てて戻る。
授業の再開だ。
「おーい、みんな。そろそろ時間や。はよ帰れ~」
放課後の練習。日も暮れて大分外が暗くなってきた頃。
見回りに来た黒井先生がまだ残っている生徒に声をかける。
そろそろ下校の時間も迫っている、みんながいっせいに片づけを始める。
「はい、お疲れ様でした。今日はここまでですね」
みゆきさんの声に、床に崩れ落ちるように座り込む。
演劇って、ここまで疲れるものなんだと改めて思い知る。
「ほら、へたり込んでる場合じゃないよ。さっさと後片付け」
かがみさんに背中を叩かれ、立ち上がる。
いつまでもへたり込んでいる場合じゃない。とっとと片付けしないといつまでたっても帰れない。
くたくたの身体に鞭を打って立ち上がる。
とりあえず、昼間読んでみたところまで動きをつけながらやってみたものの、出来具合はさっぱりだ。
そりゃ昼間読み合わせしてその日の夕方に劇ができるなんて思ってもいなかったけれど、
それにしても相当ひどい有様だった。
「つかささん。そっちは手伝う事ない?」
「ううん、こっちはおしまい」
他のところも一通り片づけが終わったらしい。
やった、これで帰ることができる。
「皆さんお疲れ様でした。では、明日もよろしくお願いいたします」
高良さんの終了の声とともに、みんながばらばらと帰り始める。
「あ~、もう本っ当に疲れたよ。帰ってネトゲする元気もないかも」
「ネトゲする余裕あるなら少しでも練習しろっての。みのるくんもお疲れさん」
片付けを済ませたみんなはぞろぞろとバス停の方へ帰っていく。
大分人が減ってき体育館。高良さんはまだ舞台の方で何か作業をしている。
「高良さん。お疲れ様っ」
俺の声に振り向いて、手を振ってくれる高良さん。
いつまでも俺のミスで迷惑かけてばかりもいられない。
今夜は台本の読みこみ、頑張らないとな。
放課後の練習。日も暮れて大分外が暗くなってきた頃。
見回りに来た黒井先生がまだ残っている生徒に声をかける。
そろそろ下校の時間も迫っている、みんながいっせいに片づけを始める。
「はい、お疲れ様でした。今日はここまでですね」
みゆきさんの声に、床に崩れ落ちるように座り込む。
演劇って、ここまで疲れるものなんだと改めて思い知る。
「ほら、へたり込んでる場合じゃないよ。さっさと後片付け」
かがみさんに背中を叩かれ、立ち上がる。
いつまでもへたり込んでいる場合じゃない。とっとと片付けしないといつまでたっても帰れない。
くたくたの身体に鞭を打って立ち上がる。
とりあえず、昼間読んでみたところまで動きをつけながらやってみたものの、出来具合はさっぱりだ。
そりゃ昼間読み合わせしてその日の夕方に劇ができるなんて思ってもいなかったけれど、
それにしても相当ひどい有様だった。
「つかささん。そっちは手伝う事ない?」
「ううん、こっちはおしまい」
他のところも一通り片づけが終わったらしい。
やった、これで帰ることができる。
「皆さんお疲れ様でした。では、明日もよろしくお願いいたします」
高良さんの終了の声とともに、みんながばらばらと帰り始める。
「あ~、もう本っ当に疲れたよ。帰ってネトゲする元気もないかも」
「ネトゲする余裕あるなら少しでも練習しろっての。みのるくんもお疲れさん」
片付けを済ませたみんなはぞろぞろとバス停の方へ帰っていく。
大分人が減ってき体育館。高良さんはまだ舞台の方で何か作業をしている。
「高良さん。お疲れ様っ」
俺の声に振り向いて、手を振ってくれる高良さん。
いつまでも俺のミスで迷惑かけてばかりもいられない。
今夜は台本の読みこみ、頑張らないとな。
『らっきー☆ちゃんねる』
「おはらっきー☆ パソコンの前の皆さんこんばんわ~。らっきー☆ちゃんねる出張版、私、ナビゲーターの小神あきらです」
「どうも、アシスタントの白石みの……ぐはっ……」
「さて、今回は新企画『白石をぶっ殺せ』のコーナーです」
「いやだから、そのコーナー名、放送コード引っかかりますって……ぐふっ……」
「さて、さっきからみんなのアイドル白石さんがどうなっているか説明しますと、このはがきのように、ふるぼっこされてます~」
「って、あきら様が蹴っ飛ばしているだけで……のぅわ……」
「東京都のPN.白石暗殺教教祖さまからのお葉書です。『ぼっこぼっこ ふるぼっこ ぼっこぼっこ 白石みのる』だそうです」
「いや、それってオープニングの替え歌……ひでぶっ……」
「いやぁ、素晴らしい替え歌ですね。歌はいいよ歌は。人類の文化の極みだよ」
「そのネタも……大分古いですよ」
「大体さ~、何。転校して三日で女の子と一緒にお弁当? 何それ、そんな事あるわけないじゃん。ゲームじゃあるまいし」
「いや、かがみさま、これはゲーム……」
「こーゆーのってロクに女と付き合えないようなオタクがやるんでしょ?
こんなのばかりやってるから現実の女の子と付き合えないんだよね~」
「あ、あきら様。それ以上はリスナーの方に失礼じゃないかと……」
「それにさ、いつになったら私の出番あるわけ? こんな端役で終わる器じゃないのよ、私だってお弁当ぐらい……」
(ま、まずい。何とかこの暴走を止めなければ!!)「そういえば、あきら様はどんな料理が得意なんですか?」
「は? そんな暇あると思ってるの? 私は女優。料理なんて下っ端がやればいいの!!」
(そんな無茶苦茶な話を!!ってかさっきのお弁当発言と矛盾してるし)
「あ、そうだ。白石さーん。白石さんって魚捌けるんだよね。あきら、お刺身食べたいな~」
「え、や、そんな事言われても……」
「白石さんって魚釣りが趣味だとか。あと、魚もさばけたりするんですよね~」
「あ、ええ、そうですけれど(ラジオ版らっきー☆ちゃんねる参照)」
「ということで、来週は白石さんがマグロ漁船に乗ってくれるそうです~」
「は? ち、ちょっとマグロ漁船ってなんだすか!? 突然何を……」
「らっきー☆ちゃんねる発、スタジオを飛び出してのロケ。次回をお楽しみに~」
「……って、ちょっとあきら様。なんですかその契約書……いーやーだー、判子は押したくない~」
「ばいにー☆」
「おはらっきー☆ パソコンの前の皆さんこんばんわ~。らっきー☆ちゃんねる出張版、私、ナビゲーターの小神あきらです」
「どうも、アシスタントの白石みの……ぐはっ……」
「さて、今回は新企画『白石をぶっ殺せ』のコーナーです」
「いやだから、そのコーナー名、放送コード引っかかりますって……ぐふっ……」
「さて、さっきからみんなのアイドル白石さんがどうなっているか説明しますと、このはがきのように、ふるぼっこされてます~」
「って、あきら様が蹴っ飛ばしているだけで……のぅわ……」
「東京都のPN.白石暗殺教教祖さまからのお葉書です。『ぼっこぼっこ ふるぼっこ ぼっこぼっこ 白石みのる』だそうです」
「いや、それってオープニングの替え歌……ひでぶっ……」
「いやぁ、素晴らしい替え歌ですね。歌はいいよ歌は。人類の文化の極みだよ」
「そのネタも……大分古いですよ」
「大体さ~、何。転校して三日で女の子と一緒にお弁当? 何それ、そんな事あるわけないじゃん。ゲームじゃあるまいし」
「いや、かがみさま、これはゲーム……」
「こーゆーのってロクに女と付き合えないようなオタクがやるんでしょ?
こんなのばかりやってるから現実の女の子と付き合えないんだよね~」
「あ、あきら様。それ以上はリスナーの方に失礼じゃないかと……」
「それにさ、いつになったら私の出番あるわけ? こんな端役で終わる器じゃないのよ、私だってお弁当ぐらい……」
(ま、まずい。何とかこの暴走を止めなければ!!)「そういえば、あきら様はどんな料理が得意なんですか?」
「は? そんな暇あると思ってるの? 私は女優。料理なんて下っ端がやればいいの!!」
(そんな無茶苦茶な話を!!ってかさっきのお弁当発言と矛盾してるし)
「あ、そうだ。白石さーん。白石さんって魚捌けるんだよね。あきら、お刺身食べたいな~」
「え、や、そんな事言われても……」
「白石さんって魚釣りが趣味だとか。あと、魚もさばけたりするんですよね~」
「あ、ええ、そうですけれど(ラジオ版らっきー☆ちゃんねる参照)」
「ということで、来週は白石さんがマグロ漁船に乗ってくれるそうです~」
「は? ち、ちょっとマグロ漁船ってなんだすか!? 突然何を……」
「らっきー☆ちゃんねる発、スタジオを飛び出してのロケ。次回をお楽しみに~」
「……って、ちょっとあきら様。なんですかその契約書……いーやーだー、判子は押したくない~」
「ばいにー☆」