kairakunoza @ ウィキ

ラフメイカー

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
笑ってほしかった


アナタの笑顔が好きだから


いつも笑っていてほしかった


実のところ、理由なんてそんなものだった





彼女が公園のベンチで膝を抱えて泣いているのを見て
楽屋裏で辛辣な嫌味を言われていたのを思い出して
僕はつい、声をかけてしまった
邪魔だから向こうに行けと低い声で怒鳴られたけれど、どうしても放ってなんておけなかった
いつもは傲慢で身勝手で、けれど優しい彼女が、ひどく小さい体を抱き締めて、震える声を押し殺そうとする姿を見てしまったから

でも誰かと話すのさえ苦手な僕が何を出来るとも思えない
事情も知らないはずの僕が慰めたって、彼女の心が癒されるはずもない
それでも、放ってなんておけなかった

「泣き止むまで側に居させてください」
「…誰が泣いてるって?つーかウザいから消えろって言ってんでしょうが」
「すみません、横失礼します」
「おかしいのは耳か?頭か?向こう行けって言ってんの。わかる?て言うかわかれ」
「はあ…すみません。何せほら、僕ってバカですから」
「…勝手にしなさいよ」
「そうします」

むすくれた顔で遠くを睨む少女と、困り顔で頭をかいている少年
端から見れば奇異な二人なのだろうけれど、そんな事はどうでもよかった

「…いつも、感謝してます」
「あぁん?」
「迷惑かけっぱなしで。昔っからこうなんですよ。努力はしてるんですけど」
「言われなくてもアンタの要領の悪さくらい見てれば分かるわよ」
「はは、ですよね…ですから、今くらい役に立たせてください」
「…アンタなんかムカつく」
「はあ、すみません」
「でもまあそう言うなら」
「はい」

小さな両手で僕の胸ぐらを捕んで、そのまま崩れ落ちる
胸元を押す力はとても弱々しくて、触れたら消えてしまいそうな程、儚くて

「ごめん。すぐいつものアタシに戻るから」
「はい」
「すぐに強いアタシに戻るから」
「はい」
「ちょっとだけ、泣かせて」
「…はい」

小さな少女の小さな声が消えてしまわないように
少しでも傷跡の痛みを和らげられるように

微かに聞こえる泣き声と一緒に
強く、強く、抱き締めた





「おはようございますあきら様ー(ズドンっ!!)あぐほぁっ!!」
「30秒遅刻。アンタこの仕事ナメてんのか?あぁん?」
「いえそんな滅相もございません(ズドンっ!!)ぐぉっ!!」
「口応えすんな」
「はいっ!!」
(今日はまたいつにもましてハードですねー…)
「あ、そだ」
「なんでしょうかっ!?」
「アンタが一人前になるまで面倒見てやるって決めたから」
「え?あの…一人前って言うと」
「アタシレベルになるまで」
「それはまた…遠い未来ですねー…」
「遠い未来、だといいよねー」
「はい?」
「なんでもねぇよ」
ズドンっ!!
「ぐはぁっ!?」

おしまい


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