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遠くにある明かり 二話

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匿名ユーザー

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「あれ? 今日みなみちゃん休みなの?」
「そうなんすよ~。普段はなにやっても完璧な岩崎さんが、急に風邪で休みってちょっとした噂になってるんすよ~」

ありゃりゃ……
きっと私のせい、だよね。
こないだはみなみちゃんにお見舞いに来てもらったし……

よしっ!
今日は私がみなみちゃんのお見舞いに行こう。

「田村さん。今日帰りにみなみちゃん家にお見舞いに行こうと思うんだけど、田村さんも一緒に行かない?」
「…………いやいや、私は遠慮しとくっす。二人の邪魔は出来ないというか……」
「?? 別に邪魔じゃないけど?」
「いやいやいや。今日はちょっと用事あるんで遠慮しとくよ」
「そうなんだ……。じゃあ、しょうがないね」

一人でお見舞いかぁ………
そういえば、誰かのお見舞いに行くのって初めてかも。
よしっ!
みなみちゃんも一人で寂しいだろうから、私が少しでも元気づけてあげよう。




「『病気の恋人を見舞う嫁』 これ以上のシチュはないっす。急いでネーム切って下書きしないと………」




う~、なんだか緊張するなぁ………。

コンコン

「みなみちゃん? ゆたかだけど……」
「ゆたか?」
「お見舞いに来たんだけど……。入ってもいいかな?」
「………どうぞ。入って」
「お邪魔しまーす……」

うわー、みなみちゃんの部屋だー。
思ってたよりも、ずっとシンプルだ。
必要最低限のものだけ置いてあるって感じかな?

「みなみちゃん。風邪、大丈夫?」
「熱もだいぶ下がったし、明日には学校に行けそう」
「そっか。よかったね」

病気になって、ベッドの中で寝てなきゃいけない辛さは私もよく知ってる。
それに、みなみちゃんがいないと学校も寂しいしね。

「ゆたか、ごめんね……」
「??? なんで謝るの?」
「私が風邪をひいたのは、ゆたかのせいじゃないのに……」
「違うってば、そんなんじゃないよ」
「ゆたか?」
「私はみなみちゃんが心配だからお見舞いに来たの。みなみちゃんがそんなふうに思うことないよ」
「ゆたか………ありがとう」

それから、いろんな話をした。
普段じゃなかなか見れない表情とか見れたりして、なんだかちょっと得した気分。

「ゆたか?」
「あっ! その、なんでもないの」

いけないいけない。
なんだか、みなみちゃんの顔を見ながらニコニコしてたみたい。
私ってば、思ってることがすぐに顔に出ちゃうのかなぁ?

「ゆたか、なんだかちょっと、顔が赤い……」
「えっっ!? その、本当になんでもないから」
「体調が優れないなら、そろそろ帰って休んだ方が……」
「だ、大丈夫だよ。うん、大丈夫」

そうは言ったけど、自分でも顔が真っ赤になってるのが分かるよ~。
う~、なんか恥ずかしいな……
「じゃあ、そろそろ帰るね」
「あ、玄関まで送る」
「大丈夫。みなみちゃんは、無理しないで」
「…………なんだか、昨日と逆」
「そっか……なんか、変だね」

今日まで何度か繰り返された、何気ないやりとり。
立場が逆転しただけで、今までしたことのない事のように感じた。

「じゃあ、また明日。学校でね!」
「うん。ゆたか、今日はありがとう………」
「うんっ!」



「あ、雨降りそう……」

さっきまであんなに晴れてたのに。
ちょっと早めに帰った方がよかったかな?

それにしても……
今日のみなみちゃん、可愛かったな。
いつものクールなみなみちゃんも良いけど、今日みたいにちょっと弱く見えるみなみちゃんもいいかも……
思い出したら、なんだか顔が赤くなっちゃうよ……



あれ?
でも、なんで私はこんなに嬉しそうなんだろ?

考えれば考える程、なんだか頭がボーッとしてきて……

もうちょっと。
あと少しで家に着く。
一歩踏み出すごとに、体の熱が高まって。

でも、ダメ。
家のドアの目の前で、力無く倒れる自分がいた。

あ、雨。
降ってきちゃった………

だめ。
苦しくても、いい気持ちなんだから。

これ以上私の心を冷たくしないで………















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  • イイ感じの百合展開になってきました…続きにwktk! -- 名無しさん (2011-04-15 09:04:00)

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