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ぼけぼけハート

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匿名ユーザー

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「うわぁ!」

 ごん!

「いたた……」
「あうー」
「ご、ごめんゆきちゃん」
「い、いえ、こちらこそすみません」

 私は朝起きると、叫び声をあげながらゆきちゃんに頭突きをした。でも、朝目を開けたら真っ赤な目を
つぶったゆきちゃんの顔が目の前にあったら誰だってこんな反応をすると思う。だいたい何で私の部屋に
ゆきちゃんがいるのー?
 ん? なんか違和感。何かなーと思っていると、匂いが違うことに気づいた。私の部屋のにおいじゃない。
なんかもっと上品な感じのにおいがする。と、ふと見てみると、これ、私のベットじゃないよ。えっと、
私はどこにいるんだろう。

「つかささん、どうしました? 顔を真っ赤にされて、なにやら考え込んでますが……」
「ふえぇ? い、いや、何でもないよ……」

 わ、私の顔ってそんなに赤くなってるかな? それと、なんかさっきから心臓がどきどきと通常の
三倍ぐらいのスピードで動いてるんだけど……。私の体に何が起こってるんだろう。
 体の異変に気付いて混乱してたんだけど、そのせいか、私は昨日遊園地に四人で行って、そのまま
ゆきちゃんちに泊まったということを唐突に思い出した。そうか、だから私はゆきちゃんの部屋にいるんだ。
なんか状況を把握したら落ち着いてきたかも。

「本当に大丈夫ですか? もしかしてどこか体調が悪いとか……」
「えぇっ? だ、大丈夫だよ」

 再び鼓動が速くなる。なんか今日は変だ。ゆきちゃんの言うとおり本当に病気じゃないよね?
 そうして考えていると、おばさんの「ご飯よー」という声が聞こえてきて、私はゆきちゃんと
一緒に食事を食べに行った。心臓をどきどきさせたまま。



「おーす! つかさ、みゆき」
「おはよー」
「おはよう、お姉ちゃんにこなちゃん」
「おはようございます」

 学校前で手をつないだお姉ちゃんとこなちゃんに会った。今朝のとは別な違和感を感じる。お姉ちゃんと
別々に登校するのはめったにないからかな? それと、なんかお姉ちゃんがやたらとハイテンションなのも
気になる。何でだろう。聞いてみよう。

「お姉ちゃん、今日はテンション高いね。どうしたの?」
「いや、昨日ちょっといろいろあって、それで一睡もしてないのよ。それでナチュラルハイっていうか……」
「あんなことになるとはね……。結果オーライだったからよかったけど。ふぁーあ」
「? 何があったんですか?」
「ん、まあね。あとで話すわよ」
「あ、そろそろ時間ね。じゃあまた次の休み時間に」

 本当に何があったんだろう? もしかしたら昨日の遊園地で二人きりのときに何かあって恋人同士に
なれたのかな? いや、そんな一日や二日じゃうまくいかないよね。私が作戦の大部分を忘れてたんだし……。
じゃあ、何があったんだろう。うーん……。

「……さん? つかささん?」
「えっ? なに、ゆきちゃん?」
「いえ、何かぼーっとしてましたので……。もしかして本当に具合が悪いのですか? 
無理はしないほうがいいですよ」
「う、うん。ちょっと考え事してただけ。何でもないよ」

 私がそう答えると、ゆきちゃんは「無理はしないでくださいね」と言って自分の席に着いた。
 うー。ゆきちゃんにそう言われてからまた心臓がバクバクしてきた。確かにいっつも、主にゆきちゃんと
話してる時に多少心臓の鼓動が速くなることはあるけど、今日は尋常じゃないよ。
ほんとに心臓病とかじゃないよね。



 お昼。今日も四人でお弁当を食べている。

「……ずみさんもきょ……当なんですね」
「うん、かが……一緒だよ」
「本当ですね、ど……んですか?」
「お母さんが……れってさ。せっかくだ……」
「……けなく答えつつも真っ赤……がみ萌え」
「うっさいな! あんただっ……かでしょ!」
「えっ……ついてください。そ、そう……たちもお弁当おそろいなんですよ」
「ほんとだ。みゆきさ……かさのテクニックが合わさっ……うですなー」
「変な言い方するなよ。でもほんとにおいしそ……かさ」
「……さん? つかささん!?」

 はっ! 心臓ドキドキにとらわれててぼーっとしてたみたい。

「ちょっとつかさ。一口も手つけてないじゃない」
「つかささん、朝からずっと調子悪そうですけど本当に大丈夫ですか? 調子悪いなら保健室に
行ったほうがいいですよ」
「……ごめん。なんかほんとに調子悪いみたいだから保健室に行ってくるね」

 ゆきちゃんにお姉ちゃん、こなちゃんの心配そうな視線を受けながら保健室に向かう。
ちゃんと保健の先生に心臓を見てもらって治さないと。



 保健室に来てみたけど、保健の先生はいなかった。ゆきちゃんが「心臓の薬は使い方が難しいから
素人にはお勧めできない」って言ってたっけ。仕方ないからベットに潜る。
 しばらく経つと心臓の鼓動も収まってきた。混乱も収まってきたことだし、今日の出来事を整理してみよう。
なんだか常時心臓ドキドキにとらわれててあんまり今日のこと覚えてないんだよね。

 えっと、朝、起きたらゆきちゃんの目をつぶった真っ赤な顔のどアップがあって、びっくりして頭突き
しちゃったんだよね。ゆきちゃんごめん。で、あんまり覚えてないんだけど、私とゆきちゃんとおばさんの
三人で朝御飯を食べて、お弁当を作った。半分は晩御飯の残りを詰めて、半分はオリジナルで作ったり、
晩御飯の残りをアレンジしたり。すごく豪華だった、ということだけは思い出せるんだけど、晩御飯の残りの
具体的な内容はさっぱり思い出せない。オリジナルで作ったおかずも何だったか思い出せない。
ああぅ、本当にまずいかも。

 で、ゆきちゃんとほとんど無言で登校したんだよね。二人とも顔真っ赤で。あの時は気付かなかったけど、
今思うと変な目で見られてたかもしれない。電車内でももちろん無言。駅からももちろん無言。
でも、こんな時間を心地よいなと感じてたような気もする。

 学校前でお姉ちゃんとこなちゃんに会って、お姉ちゃんがハイテンションで、なんだか違和感があって。
すぐ時間になって一時間目が始まったんだった。授業中は心臓の鼓動も収まってきて普通に近づいて。
そして普通どおりだんだん眠気が襲ってくる。そんなとき目の前に浮かぶのは朝見たゆきちゃんの
目をつぶった真っ赤な顔のどアップで。確か「うわぁ!」とか叫んじゃった気がする。うー、思い出すだけでも
恥ずかしい。一時間目の休み時間のときにゆきちゃんにそのことで心配かけちゃったんだよね。

 その後、授業中は、ドキドキが収まってくると、さすがに叫び声はあげなかったけど何度かゆきちゃんの
目をつぶった真っ赤な顔のどアップが目の前に浮かんで、ドキドキが再び大きくなり、休み時間はドキドキが
大きくなってほとんどぼーっとしてたって感じだったなぁ。しかも時間がたつにつれてだんだん
ひどくなっていったという感じ。……本当に大丈夫なんだろうか? 私の体。

 そんなことを考えながら、とにかく寝ようとしたんだけど、目を閉じるとゆきちゃんの例の顔が浮かんできて、
全然寝れそうになかった。



「うわぁ!」

 いつの間にか寝てしまっていたらしい私が次に目を開けたら、ゆきちゃんの涙目で真っ赤な顔が目の前にあって、
叫んでしまった。心臓は再びバクバク鳴り出し、どんどん混乱していって私が今どこにいるのかもわからなかった。

「ゆきちゃん、な、何? なんで、何で泣いてるの!?」

 無意識のうちに、そんな言葉が私の口から出てきた。でもゆきちゃんはしゃくりあげるだけで何も言わない。
どうしたんだろう。ゆきちゃんも混乱してるのかな。それともこの心臓病って伝染するのかな。だとしたら大変。
ゆきちゃんにうつっちゃったらどうしよう。
 心臓病に苦しむゆきちゃんを想像したそのとき、胸の奥が痛んだ。ドキドキとは違うんだけど、これもこの
心臓病の症状の一つなんだろうか。
 そんなことを思っていると、ゆきちゃんの声が聞こえてきた。

「怖かったんです……」

 私の肩に圧力を感じた。その時はじめて私はゆきちゃんに抱きしめられていることに気がついた。
今感じた圧力はゆきちゃんが抱きしめる力を強くしたからなのかな。そう思って、私も、涙目で真っ赤な
ゆきちゃんを抱きしめた。
 ゆきちゃんは安心したみたいに少し顔を緩めた。より一層ドキドキが激しくなる。

「怖かったんです……。昨日まで元気だったつかささんが、朝起きてからずっと変で、つらそうで……。
この前見た夢みたいに、私の誰よりも大好きなつかささんが、いなくなってしまいそうで……」
「大丈夫だよ、ゆきちゃん」

 何の根拠もないけど、無意識のうちに口から言葉が出た。ゆきちゃんは優しく微笑み、つられて私も笑顔になる。
 そのまましばらく二人とも無言だった。


 いつの間にかまた眠っていたらしい。目を開けると、ゆきちゃんの優しく微笑んで真っ赤な顔が目の前にあった。
でも、今度はドキドキで叫び声さえ出なかった。
 時計を見てみると、五時五十二分。授業はもう完璧に終わっている。みんな帰ったに違いない。でも、
ゆきちゃんは私の隣にいる。なぜかすごく安心した。
 ゆきちゃんも寝てるみたい。でも、そろそろ帰らないとまずいよね。

「ゆきちゃん、ゆきちゃん」
「……つかささん?」
「……そろそろ帰らないと。もうこんな時間だよ」
「本当ですね」

 まずい。また心臓がドキドキしてきた。それでもなんとか起き上がって、帰る準備をした時、ゆきちゃんが
私の手をとった。

「ゆきちゃん……?」
「つかささん、聞いてほしいことがあります」

 何かを決意したようにゆきちゃんは切り出した。もちろんそんなときにも私のドキドキは止まらない。

「今までは、これを伝えたら今までの関係が崩れてしまいそうで言えませんでした。今までは、つかささんの
そばにいれさえすればいいと思っていました。でも、今日のことがあって、もう抑えきれないと気付いたんです」

 ゆきちゃんは私の両手をとり、私の眼を真剣に見つめて言った。

「つかささんが、世界の誰より、大好きです」



 あれからどうやって帰ってきたかわからない。気づいたら、私は部屋にいた。ドキドキは相変わらず。
いや、もっとひどくて、心臓が破裂しそうだなと感じてる。
 何の前触れもない、突然のゆきちゃんの告白に私は混乱したような気がする。で、そんな私にゆきちゃんは
「返事は落ち着いたときでいいですよ」って言ってくれたような気がする。……だめだ、記憶があいまいすぎる。
 ゆきちゃん……。ゆきちゃんのことはもちろん大好きなんだけど、それが恋愛感情なのかどうかと聞かれると、
いまいち自信がない。いや、恋愛感情で好きというのがわからない。……恋愛感情って何だろう?

 ……そうだ、お姉ちゃんに聞いてみよう。お姉ちゃんはこなちゃんのこと恋愛感情で好きなはずだからわかるかも。




 というわけで、お姉ちゃんの部屋前。でも、ノックしようとしてもどうしても手が止まってしまう。
なんだか入りずらい。

「つかさ、こんなとこで何やってんの?」
「うわぁ!」

 そんなことを考えてる時に後ろから突然声をかけられて叫んでしまった。うー、叫んじゃったの本日何回目だろう。

「じ、実は、お姉ちゃんに、相談したいことが、あって……」
「ふうん。じゃあ、まずは部屋に入りなさいよ」




「へぇー、告白されたんだ」
「そ、そんなあっさり。お、お姉ちゃんはゆきちゃんが私のこと、す、す、す、好きだってこと、気づいてたの……?」
「そりゃーもちろん。だから今日もお見舞いに行かなかったんだし。気づいてないのはつかさだけだって」
「えー?」

 そ、そんな、どこでみんな分かるのー? まったく兆候なかったのに。

「で? 相談したいことがあるんでしょ?」
「あ、うん。……えっとね、ゆきちゃんのことは大好きなんだけど、それが恋愛感情なのかわからなくて……」

 ゆきちゃんはいつから私のことがす、好きなんだろう? ざっと今までのことを思い返してみても
やっぱり分んないし……。思い返してみると、お姉ちゃんに相談しようとした時から少々落ち着いていた心臓が
再び大きくなってきた。

「……かさ、つかさ!」
「……えっ、何、お姉ちゃん」
「どうしたのよ、ぼーっとして。そういえば体の様子はどうなのよ。保健室で見てもらったんでしょ?」
「いや、実は保健室の先生がいなくて見てもらってないの。なんかゆきちゃんと一緒にいると心臓が
ドキドキするの。これって心臓病なのかな」
「……つかさ、それ病気じゃないわよ」
「えっ、そうなの?」
「人を恋愛感情で好きになると、その人と一緒にいたりその人のことを考えるとドキドキが止まらなくなる
ものなの。私だってこなたのこと考えるとドキドキするわよ」
「そうなんだ……」
「まあ自覚するまでには時間がかかるかもしれないけど、とりあえず、次にみゆきに会ったら、
最低限ドキドキすることは言いなよ。なるようになるでしょ。見てられないのよ」
「……うん、わかった」


 ががががっ

「うわぁ!」

 部屋に戻って考えていると、突然バイブレーターの音が鳴った。それに驚いてまたも叫び声をあげてしまった。
ほんとに今日叫び声何回目だろう。

「……もしもし、ゆきちゃん」
「もしもし、つかささん、今晩は」
「……ええとね、ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」

 ゆきちゃんからのいつもの電話を忘れてたからちょっとびっくりしたけど、丁度いいし、今言うべきだよね。

「あのね、まだよく分かってないんだけど。今朝からゆきちゃんのことを考えると、心臓がドキドキするの。
今日調子悪かったのはこのせい。ごめんね、心配かけて。……それで、お姉ちゃんに聞いてみたりして、
いろいろ考えたんだけど」

 ここでいったん深呼吸。心臓のドキドキは最高潮。

「私は、恋愛感情で、ゆきちゃんのことが好きだと思う」




 あのあと、何を話したのかよく覚えていない。確か、「これからもよろしくね」といった内容だと思う。
 それにしても、あの言葉を言ってから、ゆきちゃんのことしか考えられなくなってる。
これも恋愛感情っていうのかな?
 ……分んないことはこれからゆきちゃんと付き合っていく中で分かっていけばいいよね。
 ――ゆきちゃん、これからもよろしくね。おやすみ。



















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コメント:
  • みゆつかもGJ -- 名無しさん (2019-07-29 03:45:35)
  • ぼけぼけうんこまそ -- 名無しさん (2019-07-25 11:56:32)
  • みゆつかキマシタワー☆
    まだまだ続くのも嬉しい! -- 名無しさん (2011-04-15 10:59:37)
  • みゆつか最高! -- サイコパス綿引 (2009-12-15 15:59:39)

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