好き好き大好きスバルスキー

「もっきゅもっきゅ」
「俺の分も取ってくれないか?」
「ん、オッケー」

ルル×スバラバーズと破天荒王子
どちらも対主催という共通のスタンスと、スバル・ナカジマという共通の嫁を持った2人の書き手。
数奇な運命に導かれ、1人の人間の少女と1匹の雄カナブンは出会い、こうして行動を共にしていた。
破天荒王子の広い背中に座りながら、基本支給品の中にあった携帯食料を食べるルル×スバ。
同じものを自分のデイパックから出してもらい、低空飛行しながら口に含む破天荒王子。
質も量も大したことはないが、戦いの合間の朝食タイムだ。
長丁場になることを考えて、あまりにがっつくことは避ける。
正直大飯食らいというスバルのキャラを考えると、
ルル×スバがその辺りを考えられるのかどうかはかなり怪しかったが、どうやら破天荒王子の杞憂に終わったらしい。

(見た目も中身もまんまスバルなんだが……なぁ)

ふと、破天荒王子が背中のルル×スバへと、視線に乗せて思いを馳せる。
ここにいるのは紛れもなく、スバルの姿をほぼ完璧に再現したルル×スバだ。
違うのは髪が長いことくらい。服装なんてのはもっと些細なこと。
それにこのセフィロスの服も悪くない。大胆に露出され、クロスしたベルトで抑えられた胸元はなかなかにセクシー。
そしてそんな微妙な差異はともかく、顔立ちも体格もちわボイスも、残る全てはスバル・ナカジマのそれが完全に再現されている。
性格もそうだ。基本的には、中身も同じような性質の人格らしい。
何せスバルは彼の嫁。その破天荒王子が断じるのだから間違いない。

(だが、能力までスバルのままとも限らないからな)

それが気がかりだった。
事実として彼女のスタミナは、不死身のタフネスを売りにするスバルからは、到底信じられないほどに低い。
これには彼女の書いたキャラが影響しているらしいのだが。
しかし、重要なのはそれだけではない。
そもそもここは書き手ロワ。何でもありのお祭り騒ぎの場所。
いくらスバルの姿をしているとはいえ、ルル×スバに彼女のスキルがそのまま備わっているとは限らない。
ひょっとしたら、スバルの魔法が使えないどころか、思いっきり見当違いな必殺技を身に付けている可能性もあり得るのだ。
例として、破天荒王子と同じkskロワ書き手の、ドジっ子ぶっかけ管理人の存在が挙げられる。
彼女はヴィヴィオの姿をしていながら、ヴィヴィオが習得しているはずもない、ぶっかけバスターなる珍妙な技を使っていた。
更に、これは彼らには知る由もないことだが、
ルル×スバと同じなのはロワの書き手である無常の騎士もまた、闇の中へと潜り込む異能に目覚めている。
これらと同じ現象が、ルル×スバに起きていないとは言い切れないのだ。

(おまけにこんな空っきしな体力……やっぱ、何もないはずはないよな)

皮肉にもマイナス面の変化であるスタミナの低下が、破天荒王子の推論をより強固にする。
ここは自重知らずのカオスの魔窟。
こんな超絶インフレ時空に、こんな弱者が何の考えもなしに放り込まれるはずがない。
それでは結果が見え透いている。
それではロワ的に面白くない。
ひょっとするとこいつには、強者との実力差すらひっくり返す、恐るべき力が隠されているのではないか。
そう考えざるを得なかった。

(可能性があるなら、探っておかないとな)

故に、破天荒王子はそう判断する。
これから共に殺し合いを打倒する仲間なのだ。
背中を預けるかもしれない奴のスペックぐらいは把握しておきたかった。

「おい、ルル×スバ」
「ん? どうかした?」
「いや、少し失礼な言い方になるかもしれないが……俺はお前の参加してる、なのはロワのことを全く知らねぇ。
 つまり、お前がどんなSSを書いてたかも知らねぇってことだ。……よかったら、今のうちに教えてくれないか?」
「えーっと……というと?」
「ほら、例えば、どんな支給品を扱ったか、とか……
 自ロワで書いた超展開が、そのまま自分の能力になるってのは、書き手ロワではよくある話だろ?」
「あー、そういうことか」

ぽん、と手のひらを拳で叩きながらルル×スバが言う。どうやら意図を察してくれたらしい。
それから考えること十数秒。実にスバルらしい、うんうん唸りながらの思考だった。
そしてその果てに、口を開くことになるのだが――そこには予想外の返事が待っていた。

「そうだねぇ……たとえば……ブルーアイズを召喚した、とか?」
「はぁ!?」

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)。
おおよそオタクという人種の中で、その名を知らぬ人間はおるまい。
今なおアニメ3作目が展開されている、遊戯王に登場するカードモンスターだ。
初代ライバルキャラ・海馬瀬人が全幅の信頼を寄せる、超強力な上級モンスターである。
原作中でもその圧倒的な攻撃力を振りかざし、数多のモンスター達を蹴散らし、幾度となく対戦相手に絶望を与えてきた。
単行本の作者コメント欄においては、原作者をして「コイツを超えるモンスターはいない」とまで言わしめるほど。
これだけ列挙すれば分かるだろう。
それほどの存在感を持った化け物なのだ。
こんな可愛らしい顔をしておいて、そんなものを呼び出していたとは。
更に込み入った話をすると、なのはロワは一度諸事情でリセットされているのだが、
そのいわゆるリスタート前にブルーアイズを支給し、召喚したのも彼女である。
おまけに参戦元の単発SSを、何気にリリなのクロススレ初の三次創作として手がけたのも彼女だ。
リアルで所持している遊戯王カードのデッキも、ブルーアイズデッキなのだそうだから恐ろしい。
このルル×スバラバーズ、完全にブルーアイズに魅入られているる。
だが、衝撃は一度では終わらなかった。

「それから、大通りをFFⅦのイフリートで焼き払ったこともあったなー」
「なっ、ちょっ、えっ、ええ!? おまっ、そのっ、あの……ええぇっ!?」
「あとは、こっちはアニロワ2ndだけど……ゲッターエンペラーとかも」
「はいィィィィィィ!?」

イフリートとゲッターエンペラー。新たに突きつけられた2つの名前。
前者はFFシリーズにおいてはお馴染みの、地獄の業火を操る炎の召喚獣。
そして後者はゲッターサーガの頂点に君臨する、最大最強のゲッターロボ。
これに先のブルーアイズを含めた3体が、たった1人の職人によって書かれたということか。
要するに、それは――

◇ ◇ ◇

めらめらと燃え盛る光。
轟々と逆巻くは灼熱の炎。
天上の暗雲を真紅に照らす、見渡す限りの火の海だ。
ごろりと無造作に転がるのは、かつて人であったもの。
その魂を焼き尽くされ、今やただの人形と化した死体。
幾千万の屍が、ごろごろ、ごろごろと転がっていた。
さながらこの世の地獄絵図。
腐臭と焦げ臭さが混じり合い、吐き気を催す悪臭と化す。
僅かに残された戦士達の、視線の先に立つのは1人の娘。
おぞましき炎と屍に囲まれた中、1人佇む少女がいた。

「くくく……貴様らの命運もここまでだ」

口元に貼りついた邪悪な笑み。
青い髪は熱風にたなびき、漆黒のコートは火炎に舞う。

「現れろ――ルル×スバ三幻神ッ!」

びしっ、と天を指差す右手。
瞬間、空に閃光が走る。
轟音と共に光を放つのは、暗雲の中暴れ狂う雷。

「来い、召喚獣イフリート!」
『グオオオオオオーッ!』

灼熱の魔神が現れる。
炎の大地を打ち砕き、地中から勢いよく躍り出る。
雄々しき咆哮と共に躍動するのは、全身を鎧のごとく覆った筋肉。
巨大な角を生やした鬼の形相が、身に纏った業火と共に吼えた。

「出でよ、青眼の白龍!!」
『ガオオオオオオーッ!』

暗黒の雲が切り裂かれる。
天空より飛来するのは巨大な龍。
神々しささえも感じさせる、白銀の鱗に覆われたドラゴン。
青き瞳を闘志に輝かせ、空に羽ばたき上げるは雄叫び。

「そして……ゲッターエンペラー!!!」

天地鳴動。驚天動地。
大地を揺らし、大気すら震わせ、顕現するのは進化の鬼神。
血塗れの鋼鉄の鎧を纏い、地平の彼方に聳え立つ巨人の姿。
太陽系にすら匹敵する巨体。人知など到底及ばぬ絶対者の領域だ。

「フッ……ククククク、ハハハハハ……」

終焉の審判は下された。
暗黒の軍団が押し寄せる。
空を覆う炎、紅く紅く燃えるBURNING。

「ワハハハハハハ! アーッハハハハハハハハハハハハハハ!!」

◇ ◇ ◇

「――って想像しちまったじゃねーかッ!」

妄想の世界より現実に帰還した、破天荒王子が声を荒げた。

「何だよそりゃ!? 何で1つのロワでそんな化け物ばかり書いてんだよ!? しかもなのは関係ねーし!」
「そっ、そんなこと言われたって仕方ないじゃん! イフリートはあたしが支給したわけじゃないし!
 それにゲッペラーはなのはロワで書いたんじゃないよっ!」

とまあそんなこんなで、やんやかんやと騒ぎ合うこと数十秒。
無理もない。
まさか共に対主催チームを組んでいるルル×スバが、そんな凶悪な化け物共を好んで手がけているとは、
破天荒王子も思いもよらなかったのだから。
全く、アニ2じゃあるまいし。いや、うち1つはアニ2だったが。
おまけにあらぬ妄想まで鮮明に連想してしまった。そりゃあもう、BGMまでつけて。
まさか盛大に社長笑いを披露するスバルなんてものを想像することになるとは。
しかもふざけたことに、違和感が全くない。
ホントに何で対主催なんてやってるんだろう、こいつ。

ともあれしばらくした後に、そんな騒ぎも落ち着いた。
互いに食べかけだった食事を続ける。
そして先に食べ始めていたルル×スバが、最後の一口を飲み込んだ。

「……ロワといえば、もふもふさんに会った時のことなんだけどさ」

それと同時に、新たな話題を切り出す。

「何だ?」
「最初、あたしのことをkskロワの書き手だって勘違いしてたんだ。
 何でも、そっちのロワにもスバルがいたらしいんだけど……ねぇ、kskロワのスバルは……頑張ってる?」

破天荒王子の顔面に向かって軽く身を乗り出しながら、ルル×スバが問いかけてきた。
そしてこの瞬間、彼はようやく理解させられる。
ああ、こいつも同じなんだと。
この娘もまた自分同様、スバル・ナカジマが大好きなんだと。
子供を気遣う母親のような声。そこに込められたのは、生半可な愛ではない。
同じくスバルを嫁とする、破天荒王子だからこそ理解できる。

「そうだな……」

しばし、彼は思考した。
現時点でWikiに登録されている、スバルの登場話数は確か16話。
うち4話は、他ならぬ破天荒王子が書いたものだ。
その16話分のスバルの姿を、じっくりじっくりと思い出す。

「……まぁ、頑張って生きてるぜ。ちゃんとスバルらしく、まっすぐにな」

それが結論だった。
破天荒王子が書いたスバルのSSは4作。彼の作品数9作の中でも、半分近くを占めている。
だがスバルの登場話を見れば、所詮その中の4分の1だ。
スバルは確かに頑張っている。
どんな強敵に打ちのめされても、時に絶望しそうになっても、何度でも立ち上がってきた。
それは彼自身だけの努力の結果ではない。残る4分の3がスバルをないがしろにすれば、今ある軌跡は成り立たなかったはずだ。
スバル・ナカジマの歩んだ道は、みんなの力で繋いでいった道なのだ。

「……そっか」

この殺し合いから抜け出して、またみんなでスバルを書こう。
彼女に瓜二つのルル×スバの笑顔を見て、破天荒王子は固く誓った。
本物のスバルが、笑顔で結末を迎えられるように。
ルル×スバのようなスバルスキー達に、スバルの笑顔を見せるために。

「それと、俺が書いた話ではな、中トトロをもふもふしてたぞ」
「ほほう、中トトロをもふもふ……」

破天荒王子の声に応えたルル×スバが、そのまましばし沈黙する。
さっき彼がしていたように、その様子を想像しているようだ。
そしてその結果、

「(*´ω`*)」

無言で思いっきりにやけた。
とても幸せそうな笑顔。
どうやら気に入ってくれたらしい。書き手として、破天荒王子も鼻が高い。

「よっし、決めた! あたし、この殺し合いから脱出したら、まず最初にkskロワを読んでみるよ」

元気な声で、ルル×スバが宣言する。
そしてそのkskロワの住人たる破天荒王子へと、矛先を転じた。

「王子さんも、戻ったらなのはロワ見に来てよ?
 うちのスバルは、まだあまり派手には動いてないけど、あたしもkskに負けないくらい、すっごいの書いてみせるから!」
「そ、そっか……だったらまぁ、その、なんだ……い、一応見に行ってやらんこともないが……」
「わーい! ありがと、王子さんっ!」
「べ、別にお前のために読みに行くんじゃないんだからなっ!」

何となく、ルル×スバは理解する。
ああ、スバルにとってのティアナって、こんな感じだったんだ。
素直になれない相方と一緒にいるのって、こんな気分だったんだ、と。
それが何だか面白くて、また少し笑った。

(……そういや、結局こいつの能力は分からなかったな)

破天荒王子が思い出したことは、今はまだ後回しにしておくことにした。
今はまだ、仲間達を捜している真っ最中なのだ。
共に殺し合いから脱出し、共にスバルを書いていく仲間達を。

(べっ、別にあいつらのためじゃないんだからっ! 俺がスバルを書きたいだけn(ry)

【1日目・早朝 長野県 道路】


【破天荒王子@kskロワ
【状態】健康、ロリィタに少し恐怖心
【装備】無し
【持物】基本支給品、不明支給品0~2
【思考】
0、ロリィタさん、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
1、助けられる人間を助けながらロワ脱出を目指す。べ、べつに他の奴らのためじゃ(ry
2、ルル×スバとともにうっかりゲリラ突撃犯をはじめとした仲間を探す。べ、べつにこいつらの(ry
3、KYMは……どうすっかなあ
【備考】
※外見はロリ二人なら背に乗れそうなくらい大きなカナブンです
※kskロワのカナブンのように治癒能力を持っているかは不明

【ルル×スバラバーズ◆9L.gxDzakI@なのはロワ】
【服装】セフィロスの服(黒いロングコートに黒いズボン。胸元が大きく開いている)
【状態】疲労(中)、破天荒王子の背中に乗っている、幸せ
【装備】ウィルナイフ@勇者王ガオガイガー
【持ち物】デイパック、基本支給品、ランダム支給品0~2
【思考】
 基本:とにかく熱血対主催!
 1.スバルのもふもふ(*´ω`*)
 2.破天荒王子と共にもふもふ氏や王子の仲間を探す
 3.いるとしたら、同じなのはロワの書き手を捜す
 4.はう……疲れた……
【備考】
 ※外見はスバル@なのはStSの身体、ディエチ@なのはStSの後ろ髪とリボン、セフィロス@FFⅦの服装です。
 ※正確な運動能力は不明ですが、少なくともスタミナはルルーシュ@コードギアス並です。

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長野県がこげちゃう! 破天荒王子 必殺パワー! サンダーブレーク
長野県がこげちゃう! ルル×スバラバーズ 必殺パワー! サンダーブレーク

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最終更新:2009年05月22日 19:35
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