ピンク

原語

  • pink

和訳

名詞

  • ハネズ、ウスクレナウィ、ウスベニ、桃色、 薄紅 (うすべに/うすくれない)、桜色、淡紅色、薔薇色、鴇色、撫子色、紅梅、薄紅梅、宍色、桃花色、乾鮭色、石竹色、薄紫
  • 赤紫、牡丹色、躑躅色、萩色

漢字一字

  • 桃、桜、梅

やまとことば

  • ももぞめ(桃染)、さくらいろ(櫻色)、うすくれなゐ(薄紅)、はねずいろ(唐棣花色)、なでしこいろ(撫子色)、ゆるしいろ(許色)、あさあけ(淺緋)
  • あかむらさき(赤紫)

備考欄

辞書 説明
廣辭林新訂版 (名) [一]せきちく。
[二]淡紅色。
新訂大言海 (無記載)
角川国語辞典新版 名 ①せきちく。なでしこ。
②淡紅色。もも色。
③〘俗〙好色的。
大英和辭典 〔名〕[一]【植】①撫子〔ナデシコ〕屬(Dianthus)ノ植物.
②撫子屬植物ノ花.
[二]撫子屬ニ似タ植物(又ハ其ノ花).
[三]石竹色〔セキチクイロ〕,淡紅色,桃色,鴾色〔トキイロ〕.
[四]一種ノ濃紅繪具.
[五]典型,手本,完全ナモノ,精華,粹,申分ノナイ人(又ハ物).
[六]【魚】石竹色ノ魚(①=minnow.
(minnow:〔名〕【魚】鰷魚〔ヤナギバエ〕(Phoxinus aphya).)
②=parr.
(parr:〔名〕[一]鮭ノ子.
[二]魚(鱈ナド)ノ子.)
③胡瓜魚〔キウリウヲ〕(Thymallus 屬)ノ子.
[七]赤色ノ上衣,深紅色ノ獵服.
[八]赤色ノ獵服ヲ着タ獵人.
[九]〘俚〙美人.
[十]〘俚〙惡イ評判,惡評,ヨクナイ風聞.
[十一]†ハイカラ.

直訳音写語は「桃色」か。
カタカナ語話者はこの語の日本語をすっかり忘れているのか知らないが、「日本人が」、或は、「日本語で」今も用いる語は普通に「 桃色 (ももいろ)」または「 薄紅色 (うすべにいろ)」。
「薄い赤色」を日本語の一単語として、近代・現代では普通「 薄紅 (うすべに)」と言う。
近代の翻訳家はその理解の上で、昔の英和辞典ではこの「撫子の色」に対する直訳として「石竹色」が頻出するが、日本語では古くより「桜」か「桃」の色に譬える。「桜の~」と言えば桜の花の色をいう。また、その「 石竹 (せきちく)」の和名たる「なでしこ」を以て普通に「なでしこいろ」というヤマトコトバが存在する。
現代で学術的に用いる言葉は「 淡紅色 (たんこうしょく)」。
「なんとか色」という言い方をしない時に用いる言葉は「(もも)」。即ち、ピンク色に対し「桃色」。ピンクに対し「(もも)」。
「紫」の例の他、橙色を単に「(だいだい)」と言って色を示すように、桃色は「(もも)」と言う。

一般の日本語母語話者として、「桃の()又は花の色を謂う『 桃色 (ももいろ)』」や「桜の花の色を謂う『 桜色 (さくらいろ)』」などと言うのに比べて、この語に字面を見ても何の物事を指しているのか全く不明であるが、カタカナ語話者はそれらよりも日本語モドキの方がよく分かり、また、pinkが「撫子」のことだという理解があるのかどうかは不明。
又、「現実に在る物に因んで呼ぶ色の() 桃色 (ももいろ) 桜色 (さくらいろ) 鴇色 (ときいろ)など)」で呼んだとき、それが日本語だった場合、その色がどんな色か分からないのか。現実に在る物に因んでその色を指すということは多くの言語で行われていることだから、もはや、「お前らは本当に日本語が母語なのか」などいう話では留まらず、「お前らは母語を持っているのか」「お前らの母語はなんだ」ホドの話となれば、カタカナ語話者の言語能力・物事の理解などの観点で全くの未知・未開である。
普通、母語を以て外来語などの言葉を理解するという過程を以て言えば、「ピンク」という謎の言葉は「桃の実の如き色、即ち『 桃色 (ももいろ)』」などの解釈するが、カタカナ語話者はこれらの言語理解が全く不明で、譬えば、誰かが明らかに「 赤色 (あかいろ)」である色を「ピンク」だと(のたま)えば、その色の()として理解するか。

+ 他言語の自国語化の例

中国語:粉红色
韓国語:분홍색(粉紅色)
モンゴル語:ягаан(yagaan)
イタリア語:rosa
フランス語:rose
スペイン語:rosa
ドイツ語:rosa
ロシア語:розовый(rozovyj)
ギリシャ語:ροζ(roz)
フィンランド語:vaaleanpunainen
アイスランド語:bleikur
ハンガリー語:rózsaszín
トルコ語:pembe
ヘブライ語:ורוד(varod)
アラビア語:وردي(wardy)
ヒンディー語:गुलाबी(gulābī)
タイ語:ชมพู(chomphū)
ベトナム語:hồng
以上を見てもどの言語も自国語に於ける言い方があるのが確認できる。
英語の言い方に近いものが無いことからどの言語も借用しておらず、現代で原始的な色の名を言葉狩りし、英語から輸入するなどいう日本語モドキの異常性がよく分かる。

その物事を言うのに、日本語が母語でない上に日本語を学ぶココロバセが無いカタカナ語話者には、どこぞの名称でしかこの色を呼べず、また、この色に限らず、あらゆる物事をその表現・言い方でしか認めないという排他精神・排他主義によって、この片葉の日本語の如く、数多の日本語が失われているとはこの語がよく顕示している。かつての日本文学・日本語表現の豊かさ・自由さなんぞはもう無いという空しさや。

同義等式

原語単位
 pink=桃色
カタカナ語単位
 ピンク=桃色

附箋:P 英語

最終更新:2025年06月21日 13:37