運命とか知ったり知らなかったり ◆UoMwSrb28k



とノ肆 酒蔵の外

気配を感じた伊良子清玄は、刀を抜いた。
盲目の清玄にとっては、当然の動作である。
この殺し合いの場にあっては、まずはいつでも攻撃できるようにしておかなければ、死活に関わる。
抜いた刀身の切先を地面に突き立てる。一見すると杖をついた盲人。しかしその真の姿は、逆流れの構えをとった剣鬼。
先刻、富田勢源と刃を合わせた際も、このようにして待っていたのだ。
こちらの気配を察したのか、相手が近寄ってくる。目明きなら話を、とも思ったが、相手からもピリピリとした殺気が感じ取れる。
上質だ。これは無言のまま刃を交わすことになるか…と思いきや、発せられた言葉はおよそ緊張感に欠けるものであった。

「こんにちは。面白い構えですね。あなたもこの試合の参加者ですか?」

世間話をするかのような口調と、放たれる殺気の落差に、清玄は戸惑った。
だがその戸惑いをよそに、殺気は容赦なく近づいてくる。迷いは盲目の剣士には致命的となる。
すぐに気を取り直し、逆流れの餌食にせんと腕に力を込め…。

「やめなさい!」

女の声が、両者の動きを遮った。


足利義輝たちと別れた沖田総司と桂ヒナギクは、酒蔵に向かっていた。
城下町を通ればまた違う出会いもあったであろうが、入口のところで地図を確認し、
迷わぬよう川沿いを歩くことを選択したため、誰とも遭遇することはなかった。
途中、一言二言会話をすることもあったが、急がないと芹沢が酔いつぶれているかもしれないという沖田の推測から、
自然と足早になり、ほとんど有益な情報を交わすこともなかった。
そして酒蔵に近づいたところで、沖田が清玄を見つけ、戦いを挑まんとしたのだった。

「沖田さん!強そうだからってすぐ試合しようとしちゃだめでしょう!相手は真剣持ってるじゃない!?」
「相手もその気なんだし、ふりかかる火の粉は払わないと。」
「自分から突っこもうとしてふりかかる火の粉もないでしょう!
それによく見て。この人目が見えないから、身を護るために構えてたのよ。
盲目の凄腕剣士って、些細な誤解から人を斬ったりして、悲劇の人生を歩んだりするんだから!」
「そんなものですか?」

ヒナギクが座頭○をしっかり見ていたかどうかは定かではない。
が、清玄の異様な構えを見てもさほど動揺することなく受け入れられたのは、21世紀からやって来て、
フィクション・ノンフィクション含めて様々な知識があったからだろう。

二人のやり取りをききながら、清玄はしばし沈黙していたが、やがて逆流れの構えを解き、一礼した。

「失礼した。某は伊良子清玄と申す。ご覧のとおりの有様故、まずは刃にて意を示さんとしたこと、お詫び申し上げる。」
「ごめんなさい。私は桂ヒナギク。この殺し合いには乗ってません。」
「沖田総司といいます。僕はちょっと興味あるんですけど…」
「だからダメだって言ってるでしょう!」
「ではあらためて。」

再び漫才が始まりかけたところに、清玄が会話に加わるかのように近寄りながら口をはさんだ。
しかし、その無造作な行動に込められた意思は、懇意ではなく殺意。
声を頼りに間合いをつめ、刀を薙ぐ。不意打ちであった。

ギヂッ

鋸がこすれるような不快な刃音が鳴った時、誰が一番驚いただろうか?

清玄は、威嚇のつもりで打込んだため、踏み込みが甘かった。
沖田は、清玄の動きを注視し、ヒナギクの動きはあまり見ていなかった。

それらを差し引いても、両者の腕を知る者が見たら、驚愕すべき光景であったであろう。

奥義の流れでないとはいえ、元虎眼流一虎双龍の一角、伊良子清玄の横薙ぎを右手の無限刃で受け止め、
その清玄に突進しようとした新撰組一番隊組長、沖田総司の動きを左手の鞘をかざして止めている少女。

「…ダメです。二人とも。」

わずかに声を低くして言ったヒナギクの姿は威風堂々。まさに完璧超人の姿であった。

ヒナギクはこの会場にあっても、独特の戦歴を持つ。
殺し合いをしてきたわけではない。かといって実戦は素人というわけでもない。
白皇学院高等部の生徒会長として過酷な伝統行事を行ったり、また学園を取り巻くちょっと非常識な人々に囲まれる中で、
日常ではありえない戦闘に巻き込まれ、剣術を駆使したこともある。
ここまで殺伐とした環境は初めてだったが、洞察力と適応力に関しては、参加者随一と言っていいだろう。
明らかに消えない殺気。不自然なまでに自然に近寄る清玄。こういうシチュエーションはすぐさまイメージできた。
避けてもよかったが、そうすると沖田と清玄が戦い始めてしまう。とっさの判断で、無限刃を抜いたのだった。

しかし、洞察力や適応力に優れているからといって、判断力も優れているとは限らない。
意外とうっかり者と評されることもあるヒナギクは、すぐに自分がドツボにはまったことを思い知ることとなった。

「へえ…やるじゃないですか。」

沖田が二歩、三歩と後ろへ下がった。引き下がったわけではない。
すうっ、と目を細め、どちらへ攻撃しようか、見定めているかのようである。

清玄の方もしばし受け止められた刃に力を込めていたが、ジャリッ、と無限刃をかき鳴らすように音を立てて、後ろに下がった。
威嚇ではあったが、斬殺も辞さない打込みをしたつもりだ。
避けはされても、かくも容易すく受け止められるとは思いもしなかった。
やはりここには雑魚はおらぬ。そう考えて刀を担ぐ。「流れ」の構えである。

「…ダメですよ。二人とも。」

もう一度、ヒナギクが言った。見た目は冷静に立ち回っているが、内心はかなりパニック状態だった。
これはまずい。とっさに止めたが、後先のことを考えていなかった。
二人とも自分を軽視していたので今のは防げたが、次は油断しないだろう。
これはどうすべきか…。
ヒナギクは必死に考え…こんな時に状況を打破してくれそうな人物を思い出した。
桂雪路…お姉ちゃんならこういうときは…そう、強気に、えらそうに、口で自分のペースに巻き込む。これだ!

まずは極力冷静を装いながら、沖田に向かって言う。

「どうしてもやるって言うなら、沖田さんは手を出さないでくれる?仕掛けられたのは私なんだから。」

これは、沖田が勝手にしかけるのを防ぐと同時に、自分へも攻撃しないようにけん制したものである。
そして沖田が動かないのを確認すると、やおら伊良子に向き直り、居丈高に言い放った。

「伊良子さん…だったわよね?戦うつもりみたいだけど、あなたには致命的な弱点があるわ!教えてあげましょうか?」

「…?」

「それは…」

「…」

「こっちから間合いに入っていかないと、攻撃できないのよ!!」


沈黙が流れ…

ほぼ正確に、清玄がヒナギクへと踏み込んでいく。
声を出しているので、位置がわかるのは当然といえば当然である。

「キャアッ!」

切り込まれるはるか手前からヒナギクは身を大きく引いて…というよりはほとんど逃げるように後ずさりし、距離をとった。
ここまで逃げに徹されると、いかな流れであろうと届くものではない。

「ちょっと!今のところは『ガーン!!』ていう効果音とともにかたまるのがお約束でしょう!?」

ハヤテあたりがいたら「そんなの今時ギャグまんがでもなかなかお目にかかりませんよ」とでもつっこんだことだろう。

――そういえばお姉ちゃんは威勢だけはいいけど、事態が好転したことなんてほとんどなかったっけ。

そう思って激しく後悔したが、そこは負けず嫌いなヒナギクである。さらに言葉をつなげた。

「でもこれでおわかり?全力で避けたら、あなたでは追いつけないわ。
つまり、あなたの攻撃は私には通用しないのよ!!」

ビシィッ、と指をさした際のお互いの距離およそ10メートル…六間ほど。
先ほどと比べると、あまりかっこよいものでなかった。

ヒナギクの言葉に、再び沈黙が流れたが、先ほどのような重苦しいものではない。清玄が無言で刀を納める。
白けた、というよりは、何か別のことを考えている風であった。

「わ、わかってくれたようね。」
「左様。某の進むべき道は、まずは剣に在らず。」

むしろ自分自身に語りかけるようにつぶやいた清玄は、喝と目を開いた。

「心眼を開くことと見つけたり。」

にいっ、と笑ったその顔にある両眼は、横一直線に斬られている。
もはや光を灯さぬはずの目の奥から、不気味な光が放たれたかのように見えた。
その異形に、ヒナギクは思わず構えなおしたが、清玄はそれ以上何をするわけでもなく、慇懃に一礼する。

「ご教授かたじけない。失礼する。」

そう言って、あまりにも無防備にくるりと背を向け、歩き出した。
盲目故スタスタというわけではなかったが、悠然と城下町の方へ向かっていく。

「ちょ、ちょっと待って!」
「ふうん、そういうことですか。」

置いてきぼりにされた感のある沖田は、やや残念そうな顔をしたが、追おうとはしなかった。

「どういうこと?」
「今言った通りですよ。あの人、とても強いですけど、目が見えないから、仕掛けるのを待たねばならない。
相手に戦意がないと、どうしても今みたいになってしまう。だからまず心眼を開く修行をするってことですよ。
現にほら、今刀を杖代わりにせずに歩いているでしょう?目が見える人と変わらぬ動きを身につけようとしてるんですよ。」

確かに、普通盲人は歩く際は杖をつき、障害物を把握しながら歩くものだが、それをしていない。
あくまで目が見えるかのように動いている。尋常な集中力ではなしえないだろう。あれをずっと続ける気だろうか。

「心眼を開く修行って…要するに今度は容赦なく攻撃してくるってこと?」
「ええ、だから僕も見逃したんですよ。次に会った時は、もっと強くなってると思うんで。」
「ちょっと沖田さん!!」

沖田に向き直って、ヒナギクは再び緊張した。目の色がさっきと変わっていない。
沖田はヒナギクの腕前を見てしまった。そして清玄を半ば故意に見逃した。
と、すると、次に予想される行動はひとつ。

「さて、邪魔者もいなくなりましたし、遠慮なくやりましょうか。」

ヒナギクはそう言われることを予想し、どう言い返そうか思考を巡らした時、酒蔵の裏の方から別の声がきこえた。

「おいおい騒がしいと思ったら沖田君じゃないか。」


「ん?」
「ム?」

時は少し遡る。芹沢鴨、石川五ェ門、細谷源太夫の三名は、一人を除いて不本意ながら酒盛りに興じていたが、
公方様の話題あたりから話がすれ違い始め、酒が入っていることもあって、情報交換は一向に進まなかった。
しばし口論は続いたが、どうにも噛み合わないためにどちらともなく黙りこくってしまい、
源太夫は年のせいもあってかうとうとしだしていた。
残った二人も、しばし交代で寝ようかと話をしかけていたとき、人の気配を察したのだ。

「酒蔵の方か。ちと様子を見てくるか。」
「拙者も参ろう。」
「手負いでその刀では、何の役にも立たんぞ。そこのぼやき老人と隠れていたまえ。」
「いや、なにやら言い争いをしているような声がきこえる。相手が徒党を組んでいれば、立っているだけでも頭数はいるだろう。」
「フン。どうなっても知らんぞ。」

芹沢にやや遅れて、五ェ門も立ち上がった。傷は痛むが動けなくはない。
軽く寝息をたてはじめた源太夫を起こさぬよう、そっと外へ出る。
五ェ門としても、源太夫を独りにするのも気になるところだが、芹沢を独りにするのはもっと気になるところである。
この男、どうにも気に喰わないが、現況頼れる唯一の戦力であることは間違いない。
かといって交渉ごとをうまくできるとは思えない。
無口な自分にどこまでできるかわからないが、妙な行動を起こしていさかいが広がるのは避けなくてはならなかった。

そして様子を見に行くと、若い男女が立ち合おうとしている。
事情はわからぬが尋常なことではない。飛び出すべきか、と芹沢を見た時、先に芹沢が無造作に歩み寄り、声をかけたのだった。

芹沢を見た沖田は、にこやかに話しかけた。

「芹沢さん!やはり酒蔵においででしたか。」
「やはりとは失敬だが、まぁその通りだな、ワハハハハハ。」

沖田と芹沢が和気藹々と話し始めたので、ヒナギクもようやく緊張を解いた。
沖田としては連戦、乱戦でもいいから続けたい気持ちもあったが、芹沢がしらふではなく、かといって泥酔状態でもないこと、
そして何者かはわからないがもう一人現れたことなどから機を逸し、かわりに例の頼まれごとを思い出したのだ。

「では先に用件の方を済ませましょうか。桂さん、また後ほど。」

意味深な言葉に、ヒナギクは一瞬めまいを感じた。


ひととおり自己紹介を終えた後、沖田が足利義輝からの伝言を話した。

「と、いうわけで、正午に城に集まって欲しいとのことでしたので、やはりここは芹沢さんが我々の代表として会って欲しいと思ってですね…。」
「ちょっと待て沖田君。本当に相手は義輝公だったのか?」
「証拠はないですけど、嘘を言っているようには思えませんでしたね。太刀筋もなんていうかな、古い型に思いました。
古いといっても弱いわけじゃなくて、こっちもかなりやられちゃったんですけどね。」
「ふむ…」
「それに、佐々木小次郎とも会いましたよ。」
「ほう!佐々木小次郎に?」
「燕返しの太刀筋は話にきくとおり。でもその速さはききしに勝るものでした。
ですから人物帖にある人たち、本物なんじゃないですかね。僕は死者を蘇らせたんじゃないかと思うんです。
ただ、佐々木小次郎は宮本武蔵のことを知らなかったし、義輝様もご自分が討ち死にされたことをご存知なかったので、何か変なんですよ。
僕も記憶は曖昧ですし、記憶を消す術があるんじゃないかとも考えたんですが、よくわからないです。」
「う~む。」

芹沢は腕組みをした。突拍子もないことだが、勘の鋭い沖田の言葉は、特に理を越えた部分では説得力を持つ。
また、ある意味純粋であるので、このような状況で不必要な嘘を言う輩ではない。
この御前試合は一体どうなっているのだろうか。

「あの…」

考え込む芹沢に対し、おずおずと、ヒナギクが手を上げた。

「私、さっき沖田さんと会う前に、新見さんと会ったんです。他にやることがあったみたいで、すぐ別れちゃったんですけど。」

その言葉に芹沢はもはや驚かなかったが、当然の疑問を発する。

「新見君ならつい先日、切腹したはずだが。」
「新見さん、局長って名乗ってました。皆さんのこと心配してましたよ。」

さりげなく新見の株をあげるような言葉を混ぜつつ、ヒナギクが付け加える。
「局長」という言葉に、芹沢は眉根を寄せた。

「新見君は三月程前に局長から副長へ降格されている。確かに傲慢なところもあるが、俺や近藤君がいるにも関わらず、局長と名乗るのは妙な話だな。」
「ええ。ですから今までの皆さんのお話から察するに、死者を蘇らせて記憶を消したんじゃなくて、連れてこられた時期が違うんじゃないかと思うんです。
義輝…様は討ち死にする前、佐々木小次郎は武蔵との決闘の前、新見さんは芹沢さんが連れてこられた時期から三ヶ月前ということになると思います。
どんな術かはわかりません。私たちを含めて、違う歴史を持つ世に来てしまったのかもしれません。」

言葉を選びつつ、ヒナギクは自分の推測を説明した。
タイムスリップとかパラレルワールドとか簡潔に説明しやすい用語はあるが、どれも通じるはずもない。
江戸時代の人にどこまでわかるか疑問だったが、これが精一杯の説明だった。

「ふむ。ならばここは、時を越えて剣豪たちが集う世というわけか。にわかに信じがたいが…そうか!」

芹沢が突如ポンと手を打った。そして五ェ門に向き直る。

「君、いつの生まれだ?」
「…しっ、知らぬ!」

とっさに応える五ェ門に、芹沢は得心したように大きく頷く。

「そうだろうそうだろう、君は天下の大泥棒、石川五右衛門の若き頃の姿だ。」
「なっ…」
「石川五右衛門が剣の達人とはとんときいたことはないが、歌舞伎はしょせん創りものだからな。
今の話とこやつの無知無学ぶりから察するに、五右衛門の若かりし頃に間違いない。」

反論しようとして、五ェ門は考え直した。
言われようは気にくわないが、先ほどまでどう言い繕おうか迷っていたことについて、勝手に納得してくれた。
ここは誤解されたままの方が都合がよいのではないか。
そんな五ェ門の思惑にかまわず、芹沢は続ける。

「いや石川君、君はこれから天下に名を馳せる大泥棒になって、太閤殿下のお命を狙った挙句捕まって、
油で煮られるという、波乱に満ちた人生が待っている。まぁ悔いのないように生きたまえ。」
「芹沢さん、悪いですよそんなこと言っちゃあ。」
「何を言う。この言葉を糧に、別の人生を歩むかも知れぬから、助言してしんぜるのだ。
それに沖田君こそ、話しぶりからすると義輝公に討ち死にされることを言ったのだろう?
こちらの方が始末が悪い。」
「そうなんですか?」
「義輝公は将軍家を建て直そうと何度も近江へ逃れ、再起を図ったという。
ご自身が討死ということは、即ちその努力が報われなかったと言っているようなものだ。
心中穏やかならぬことであったろう。」
「あの…」

得意げに話す芹沢に対し、再びおずおずと、ヒナギクが手をあげた。

「あんまりそういう話、しない方がいいと思います。実は私、皆さんのいた時代から百四十年ほど先の時代から来たんです。」
「何ィ?」

過去の人物に対し、ある種の優越感に浸っていた芹沢は、一瞬固まり、表情が変わる。
歴史上で粗暴と評されることの多い芹沢に意見するのは、ヒナギクといえど勇気のいることだった。
しかし、会話を交わすうちに、今後大変重大な問題が起こる可能性があることを、頭脳明晰なヒナギクは思い至っていた。
ひとつ息をつき、意を決してその重大な言葉を口にする。

「今、近藤さんとあまりうまくいってないんですよね?」
「――!?」

「でも、もし近藤さんが違う時期から連れてこられてたら…態度は違うと思うんです。
新見さんのこともそう。出会った時に、面と向かって三ヵ月後に切腹するなんて言ったらかわいそうです。
そういうことを話していたら、やりにくくなると思います。
だから誰と会っても、こういう話は、できるだけ控えた方がいいと思います。私もこれっきりにしますから。」

ヒナギクの言葉に、芹沢はちらりと沖田の方を見た。表情だけで大体察したが、口に出して確認する。

「沖田君、この娘に近藤君のことを話したのか?」
「いいえ。全く。」
「…なるほど。我々より先の時代から連れてこられたことだけは、確かなようだな。」

百年以上先ということは、形はどうあれ、自分たちが死んでいるはずだ。一瞬、様々な思惑が頭を巡る。
しかし、ヒナギクの目からは、これ以上は話さないという固い決意が伺える。
芹沢はしばしヒナギクを見続けたが、やがて沖田に矛先を変えた。

「沖田、お前はいつの時期から来た?」
「文久三年師走です。何日だったかは覚えてませんが、正月の準備をしていたところなので。」
「ふぅ…ん。俺より二月ほど先か。」
「十月より後のことでしたら、隊の再編が行われて…っと、それも話しちゃだめみたいですね。」

ヒナギクの表情を見ながら、沖田はしれっと言った。
「暗殺した人に余計なこと言っちゃだめでしょう!」と目で訴えていることがわかる。
沖田の嘘よりもヒナギクの表情で事態がばれてしまいそうだったのだが、少なくともその場では、芹沢は深くは追求しなかった。
言ったことは別のことである。

「まあ、確かに、石川君の人生を言ってしまった我輩も不用意だったかもしれん。以後、気をつけよう。」

しおらしく、というよりは、やや形式的な口調で、芹沢は言った。同時に殺気をはらんだ表情も消える。
しかし、すぐに気を取り直したかのように、ころりと表情を変える。

「だが、我が同志たちはともかく、清河と会ったらすぐ斬り捨てるぞ。そして死に際に嫌味のひとつも言ってやる。
屁理屈ばかりたれておるから二度も斬られるのだ、とな。」

そう言って再びガハハハと笑い出した。
この時清河は既にこの世になく、しかも斬った相手も同一人物であるのだが、それはまた別の話である。

「ちょっと…」

あまり反省の色がない芹沢に、ヒナギクはつっこもうとして、やめた。
心中はともかく、少なくとも表面上は受け入れてくれたようなので、内心ほっとした部分もあった。
かまわずに芹沢はその場を仕切る。

「よし。ではまず義輝公にお会いして、沖田君の件をお詫びをせねばならんな。」
「はあ、僕の件ですか。」
「うむ。会見は昼だったな。しばし間もあるし、まずは皆の出会いを祝して、酒でも飲もうではないか。」
「ちょ…私お酒は飲めません!」
「かまわんかまわん。ついてきたまえ。奥にもう一人、老人が寝ているから紹介せねばならんしな。
今の話をきいたら、あやつの無知ぶりもうなずける。いつの時代の老人か知らんが、きっとびっくりするぞ。」

そう言うと、芹沢は二人の肩をやや乱暴に叩き、裏の母屋へと足を向けた。


ヒナギクは考える。今にして思えば、新見が沖田のことをヒナギクに託した、というよりは押し付けた時は、
嘘が混じっていたこともわかるし、それがやむを得なかったのもわかる気がする。
沖田は素でこういう性格だということが、同行するうちにわかった。そして新見は芹沢派で、沖田は近藤派だった。
となれば、新見としては、芹沢がいない中で沖田と同行するのは気まずいが、かといって放っておくこともできない存在だったのだろう。

――錯乱してるようだから女の私から話してみてくれ、っていうのは、よく考えてみれば苦しい頼み方よね。初対面なのに。

後世の物語等では、新見は決してよく描かれていない場合が多いが、きっと策士のようでいて、こういう抜けた部分があるからだろう、
と、ヒナギクは好意的に解釈した。
また、それを請け負ってしまった自分もちょっと冷静じゃなかったかも、と、独り反省する。
一方で、芹沢と沖田の方は、描かれ方も千差万別だが、会ってみてなるほどと思う部分も多い。
歴史上では袂を分かった芹沢と沖田、先程の沖田の発言には血の気が引いたが、どうにか口裏をあわせてくれた。
今後、それぞれが抱く心情に溝があるようであれば、自分がうまく仲をとりもって、ここではいさかいがないようにしなくてはならない。
もうひとりの石川五右衛門…イメージとは随分違うが、伝説上の人物だし、史実ではあんな感じだったのかもしれない。
というかあの姿…ヒナギクの脳裏に違う人物が浮かびかけたが、深くは考えなかった。
ナギやワタルでなくとも知っている、国民的認知度が高いあのキャラクターにも思えるが…
ここがいくら非現実的な場であっても、実在するなんてありえない。フィクションだしアニメだし。
かわりに思い浮かべたのは、新見のことである。

――できれば新見さんと合流したいなあ。芹沢さんとは親しかったみたいだし。

足利義輝との会見にせよ、他の新撰組の隊員とばったり会った時にせよ、うまく交渉させるのは、自分だけでは荷が重そうだ。
しばらく緊張が続きそうな展開に、ヒナギクは小さなため息をついた。


【とノ肆 酒蔵裏の母屋外/一日目/早朝(黎明直後)】

【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
【状態】健康
【装備】無限刃@るろうに剣心
【所持品】支給品一式
【思考】基本:殺し合いに否定的な人を集めて脱出。
一:足利義輝たちと合流する。
二:沖田総司が馬鹿な事をしないよう見張る。
三:今後もチャンスがあれば新見の株を上げる。できれば合流したい。
四:柳生十兵衛を探して、柳生宗矩の事を聞きたい
五:自分の得物である木刀正宗を探す。
※自分たちが何らかの力で、様々な時代から連れてこられたことを推測しました。
※石川五ェ門を石川五右衛門の若かりし頃と思っていますが、もしかして…。


話をきいた沖田は、割合冷静にその推測を受け止めていた。
既に佐々木小次郎、足利義輝という歴史上名高い人物に実際会っていたこともある。
ヒナギクの推測に沿えば、自分の推測では説明できない部分もいろいろと辻褄が合うし、
ヒナギクが初対面の時から自分のことを知っている風だったことも納得がいく。
結局どんな術で何のためにこの御前試合が行われているのかはさっぱりわからないが、沖田にとっては、そんなことはどうでもよかった。
ヒナギクが桂小五郎の変装ではないかという考えも検討はずれだったが、かなりの使い手であることがわかったのは成果であった。
ただ、先程の初手は見事だったが、その後は明らかに動揺していたみたいだし、本気を出させるのは苦労しそうである。
だが、一対一で追い詰められた状況をつくれば、いい勝負をしてくれることだろう。
それだけでなく、死ぬ前というのでなければ、過去の天寿を全うした剣士たちも、この御前試合の趣旨上、全盛期の頃の年齢である可能性が高い。
今後の楽しみが増えたといってもいい。
それにヒナギクの言ったとおり、新撰組の面々も、年齢によってその実力も、そして人間関係も、かなり異なっている。
特に芹沢である。話からすると、死ぬ直前から連れてこられたようだ。
近藤や土方や山南が、自分と同時期以降の時代から来たのであれば、芹沢と会った時にどんな展開になるか、想像もできない。
ヒナギクは釘を差したつもりだろうが、受け取りようによっては煽っただけにも思える。芹沢の心情は考慮せねばなるまい。
と、いってもその心配はヒナギクとは間逆で、酔った勢いでしかけられたくはないし、先んじて近藤や土方とやって欲しくない。
やるとするなら自分と、しらふでやって欲しいということである。
実のところ、もし問い詰められれば「僕もあなたの暗殺に加わりました」とでも煽って、勝負をしてもよいとは思っていた。
だがヒナギクの手前もあるし、義輝との会見のこともある。まだその時期ではないと考え、先ほどは予め用意していた答えを言ったのだ。
せめて芹沢の酔いが醒め、全力が出せそうな状態であることを見計らわねばならない。
芹沢相手にせよ、ヒナギク相手にせよ、試合う場をつくりあげることを思案しなくてはならなかった。

――義輝様との会見次第かな。

対立して乱戦になるか、別勢力と対決して乱戦になるか…。
新たな相手と戦ってもよいし、乱戦の中で分散した際に、二人きりの状況を作り上げられれば上々だ。
いずれにしても、今後多くの剣豪と刃を交えられそうだ。
情報交換をし、また同行者が増えて、沖田は期待に胸を膨らませていた。
常人が考える期待とは、いささか異なるものであったが。


【とノ肆 酒蔵裏の母屋外/一日目/早朝(黎明直後)】

【沖田総司@史実】
【状態】打撲数ヶ所
【装備】木刀
【所持品】支給品一式(人別帖なし)
【思考】基本:過去や現在や未来の剣豪たちとの戦いを楽しむ
一:芹沢を正午に城に行かせて義輝と会わせる。
二:芹沢、ヒナギクと全力で勝負する状況をつくりたい。
三:伊良子清玄に再会できたら勝負したい。
【備考】
※参戦時期は伊東甲子太郎加入後から死ぬ前のどこかです
※桂ヒナギクの言葉を概ね信用し、必ずしも死者が蘇ったわけではないことを理解しました。
※石川五ェ門を石川五右衛門の若かりし頃と思っています。


ヒナギクと沖田の相反する心配を一身に受けている芹沢はというと、今どう面白くするか、ということに思考を切り替えていた。
あの小娘の表情を見ればわかる。きっと今後、自分は近藤と完全に決別し、どちらかが斃れるのであろう。
単純に勢力から考えれば、新見を失った自分の方が不利。そして小娘は今後話さない方がいいと、ことさらに言った。
つまり自分が負ける側か。そこまで芹沢は看破した。
追放か切腹か暗殺か討死か。いずれにせよろくな人生が待っていなかったということだ。
しかしながら一方で、百年後、こんな小娘まで自分たちの名を知っているということは、それなりに名が知れ渡ったのだろう。
それがわかっただけでも満足だった。
だとするとなおのこと、この御前試合は一から自分のやりたいことをやれる、格好の場といってよいだろう。

沖田にしては面白い話と、面白い小娘を連れてきた。上出来だ。
剣豪将軍とまで言われた者と会うというのであれば、時代も思想も違っても、興味深いものだ。
さすがに昼まで飲む気はない。この小娘に一杯くらいは酌でもさせて、沖田に見張りをさせつつひと寝入りして、それから城へ向かおう。
将軍様と共にあの気にくわない黒幕を斬るもよし。将軍様がいけすかない態度をとるようであれば、歴史どおりの結末にしてやるもよし。
どちらにしても面白くなりそうだった。

そうすると四人となった同行者をどうすべきか。
まずはあの小娘、桂ヒナギクと名乗ったか。偶然なのかふざけているのかわからないが、名乗りからして面白い。
生意気なところはあるが、頭もよさそうだし、女にしては腕も立つようだ。
だが考え方が甘い。先ほどの話も気遣いのつもりだったのだろうが、要は相手の態度次第。
いきなり斬り合いになる場合もありうるということをわかっていない。
使えるうちは行動を共にしてもよいだろうが、自分の行動を邪魔するようなら容赦するつもりはない。
そして五ェ門と源太夫についてだが、この手負いと老人は足手まといにしかならない。
置いていきたいところだが、言動からして、おそらく同行を希望するだろう。
無理やり放り出すか。道すがら盾くらいにはなるだろうか。鬱陶しいから斬ってしまおうか。
それに何より気をつけなくてはならないのは、沖田の態度だ。
沖田は独特の純粋さと、世渡り上手な老獪さを併せ持っている。
先程の話と小娘の表情からも、沖田の連れてこられた時期については、あまり信用できない。
だが、近藤子飼いであるにも関わらず芹沢とも親しかったように、沖田本人は派閥の対立などに左右されるような男ではない。
命令であれば忠実に遂行するが、それ以外であれば自分の思うままに行動する性分である。
即ち、注意すべきは、老獪さの方でなくて、純粋さの方。剣豪との勝負を求める姿勢の方だ。
その証拠に、先ほど自分が現れる際、明らかに小娘と立ち合おうとしていた。
この御前試合の趣旨は彼好みなものだ。状況によっては敵味方区別なく、自分のやりたいように勝負を挑むだろう。
その相手が自分であることも十分考えられる。
つきあってやってもよいが、面白いことに水を差されるのだけは勘弁してもらいたい。

――邪魔になるようなら、全員斬っちまうだけだな。

悪意や憎しみを持っているわけではなく、ごく自然に、芹沢は物騒なことを考えた。
先ほど情報交換をする際は、浪士組の名乗りをあげ、局長としてまとめあげた教養が前に出たが、
ある程度事態を把握し、落ち着いてくると、力士を斬り、京都で乱暴狼藉を繰り返した粗暴な欲望が頭をもたげてくる。
自覚しているかどうかは定かではないが、芹沢もまた沖田と同様、どこまでもマイペースに、やりたいことを思案していた。

【とノ肆 酒蔵裏の母屋外/一日目/早朝(黎明直後)】

【芹沢鴨@史実】
【状態】:若干酔っている
【装備】:近藤の贋虎徹、丈の足りない着流し
【所持品】:支給品一式 、ドブロク入りの徳利二つ(一つは半ばまで消費) いずれも母屋に置いてあります。
【思考】
基本:やりたいようにやる。 主催者は気に食わない。
一:もう一杯飲んでから寝るか。
二:昼になったら沖田たちと城へ向かい、足利義輝に会う。どうするかその後決める。
三:桂ヒナギクは利用価値がありそうだが、石川五ェ門、細谷源太夫は足手まとい。沖田を少し警戒。
四:会った時の態度次第だが、目ぼしい得物が手に入った後、虎徹は近藤に返す。土方は警戒。
【備考】
※暗殺される直前の晩から参戦です。
※桂ヒナギクの言葉を概ね信用しました。
※石川五ェ門を石川五右衛門の若かりし頃と思っています。


そして。
黙って裏の母屋にむかいながら、五ェ門はヒナギクに目を奪われていた。

「可憐だ…。」

セーラー服姿ということは、まだ高校生のはずだが、頭と口はまわるようで、自分の言いたいことや、気にしていたことを解決してくれた。
だが、こんな様々な時代の人物が入り乱れる中で、先ほどのような真っ正直なやりとりがどこでも通用するとは限らない。
そして、芹沢も沖田も、積極的に共闘してくれるとも思えない。
芹沢は言わずもがな。沖田もヒナギクに立ち合おうとしていたところを見ると、少なくとも危機が迫っても決して守ってくれるようには見えない。

――自分がこの少女を守らねば。

口には出さないが密かにそう決意し、五ェ門は三人の後をついていった。


【とノ肆 酒蔵裏の母屋外/一日目/早朝(黎明直後)】

【石川五ェ門@ルパン三世】
【状態】腹部に重傷
【装備】打刀(刃こぼれして殆ど切れません)
【所持品】支給品一式 母屋に置いてあります。
【思考】
基本:主催者を倒し、その企てを打ち砕く。
一:桂ヒナギクを守る。
二:斬鉄剣を取り戻す。
三:芹沢・沖田を若干警戒
四:ご先祖様と勘違いされるとは…まあ致し方ないか。
【備考】
※ヒナギクの推測を信用し、主催者は人智を越えた力を持つ、何者かと予想しました。
※石川五右衛門と勘違いされていますが、今のところ特に誤解を解く気はありません。


そんな外の騒ぎを露知らず。
細谷源太夫はごろりと横になり、小さな寝息どころか、大いびきをかいて眠っていた。

「う~む、わからん…」

時々、寝言をつぶやきながら。


【とノ肆 酒蔵裏の母屋内/一日目/早朝(黎明直後)】

【細谷源太夫@用心棒日月抄】
【状態】アルコール中毒 就寝中。
【装備】打刀
【所持品】支給品一式
【思考】
基本:勇敢に戦って死ぬ。
一:話がわからぬ…。
二:五ェ門に借りを返す。
【備考】
※参戦時期は凶刃開始直前です。
※この御前試合の主催者を江戸幕府(徳川吉宗)だと思っています。
※まだ沖田総司、桂ヒナギクのことを知りません。



「離れぬ…か。妙な組み合わせだが。」

清玄は橋を渡り、城下町入り口近辺で一時足を止め、つぶやいた。
盲目でありながら橋を渡りきることができたのは、この会場に何かの力が働いているからだろうか。
視覚を除いた清玄の四感は明らかに研ぎ澄まされてきている。
先刻も、どうにも場違いな空気のこともあったが、それよりも新手の気配を感じ取り、立ち去ったのだ。
誰の気配も消えないし、殺気も発せられないところを鑑みると、どうやら仲間となったらしい。
二対一ならまだしも、四対一では分が悪い。立ち去って正解だったようだ。
だが、感覚が研ぎ澄まされた清玄としては、むしろ不思議でならない。
明らかに異なる意思を持つものが同行している。
たとえるなら、狼と虎…いや、女の方は虎というよりせいぜい山猫か。
その違和感は、二人が四人に増えたところで変わるものでなく、むしろ火種が大きく膨れ上がっているように感じた。
餓えれば己たちで喰らい合う狼の群れ…そこに山猫が一匹紛れ込んでいる。仲良くやれるとも思えない。
いずれにしてもあの群れは、しばらく様子を見るしかない。別れるか、生き残った者を斬るのみである。

それよりも自分のことだ。
あの女の言葉、随分とふざけた言われ方であったが、痛いところをつかれたのも事実だ。
虎眼流への復讐の際は、相手が戦意があり、むこうからかかってきたから斬ることができた。
少なくともそういう状況をつくりあげてきた。
しかしこちらに来て二度続けて、相手が手練れであるにもかかわらず戦意がなく、思うような勝負ができなかった。
身の回りの世話をしてくれるいくもいない。
目明きの誰かと行動を共にしようとも考えたが、先ほどのような妙な組み合わせだと、交渉もうまくできるものではない。

このままではいかん。清玄は頭をふった。

この御前試合、最後の一人になるまで戦わねばならぬという。
最後の一人になるためには、むかってくる者だけでなく、逃げ回る者も斬れるようにしなくてはならない。
そして何より、独りでも戦い抜けるようにならなくてはならない。
人の気配や動きについてはほぼわかる。立ち合った時、わずかな息遣いや動きも把握できるように修行してきた。
だがそれだけでは不十分だ。

「こちらにはもっと大勢…か。」

清玄は振り向いた。そこは城下町。風の流れや音から、家屋が密集していることくらいはわかる。
そして、盲目故強く感じ取れること。あちこちで剣気や殺気が発せられては消え、離合集散が繰り返されている。
家屋の近くや屋内は、清玄にとっては最も不利な戦場である。
人の気配は読み取れても、初めての場所で、そしてすばやく動かねばならぬ中で、壁や柱の位置を正確に把握することは困難だ。
多くの剣豪たちがひしめいている城下町は、自分にとっては文字通り死地となる可能性が高い。
だが、屋内での勝負で勝つ見込がなければ、どうしてこの戦場で勝ち残ることができよう。
それに、かつて逆流れのきっかけを見出したのも、山林で夜盗に襲われ、木に刃が刺さってしまったことからだった。
また何かきっかけをつかめるかもしれぬ。

清玄は城下町に足を踏み入れた。

心眼を開くために。

より高みを目指すために。


【とノ肆 北西 橋をわたった城下町入口付近/一日目/早朝(黎明直後)】

【伊良子清玄@シグルイ】
【状態】健康、強い復讐心
【装備】打刀
【所持品】支給品一式
【思考】:『無明逆流れ』を進化させ、この試合に勝ち残る。
一:心眼を開き、どこでも誰とでも立ち合えるようにする。
二:とにかく修練する。
岩本虎眼を斬った後、藤木源之助の仇討ち前からの参戦です。


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すれ違う思惑 桂ヒナギク すれ違い続ける剣士達
すれ違う思惑 沖田総司 すれ違い続ける剣士達
一期一会は世の常なれど― 伊良子清玄 ただ剣の為に
一期一会は世の常なれど― 芹沢鴨 すれ違い続ける剣士達
一期一会は世の常なれど― 石川五ェ門 すれ違い続ける剣士達
一期一会は世の常なれど― 細谷源太夫 すれ違い続ける剣士達

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最終更新:2010年07月06日 22:14