寛永四年八月の虎/哭いて血を吐く不如帰 ◆F0cKheEiqE




――虎よ!虎よ!
――ぬばたまの 夜の林に燃ゆる虎よ
――いかなる不死の眼 または腕の
――よくも作りし ながゆゆしき均整を





藤木源之助は姓も持たぬ百姓の倅である。
本来ならば、粟本村の松の木で縊れ死ぬ運命にあった愚鈍の子である。

そんな源之助を運命より拾い上げたのが岩本虎眼である。
凡百の百姓の一人として、声無き民衆の群れの一人として、歴史の波に消えていくだけの筈だった彼を、
藤木源之助という侍とし、『一虎双竜』の一角を占める剣士として育て上げたのは虎眼である。

故に、虎眼が如何なる理不尽を源之助に与えようとも、
人に対する物とも思われぬ酷い仕打ちをしようとも、
老いて曖昧となりて、醜さ無様を目前に曝そうとも、
源之助は一度たりとも師を軽蔑したり、憎んだりする事は無かった。

むしろ、師よりかかる扱いを受ける自身の未明を恥じ、
一層、虎眼流の鍛錬と、師の世話に粉骨砕身した。

故に、虎眼と柳生連也との戦闘で、師に物の様に扱われた事自体は、
源之助にとっては大した問題では無い。
士の命は士の命ならず、主君のものに他ならぬ。
さすれば、主君が士の命を如何様に扱おうとも、士はただ黙して主の命に従うのみ。
牛股権左衛門が両の頬と歯の半分を虎眼に斬り裂かれながらも、
さような事を仕出かした師に対し、一片たりとも怨みをいだいていなかったように、
源之助もまた、虎眼に斬られた事を怨むどころか、むしろ不用意に主の道行きを塞いだが故の無礼討ちと、
自身で納得するのみならず、むしろあの程度の殺気の籠らぬ太刀打ち一つで済まされた事に安堵した程だった。

現代人には理解できぬ思考様式だが、
藤木がかかる奇怪な思考様式に至るのも無理はあるまい。

士の命は士の命ならず。
主君のものなれば、
主君のために死場所を得ることこそ武門の誉。

封建社会の完成形は、少数のサディストと、
多数のマゾヒストによって構成されるのだ。

だとすれば、
百姓の生まれでありながら、その心意気は生粋の侍以上に侍である源之助が、
師である虎眼を怨むなど、天地がひっくり返ろうとも在り得ぬ事だ。

故に、体の未だ動かぬ源之助に去来する思いは、
自身の体が、虎眼の必殺の太刀を止めてしまった事、
ただ師が目前で討たれるのを見ている事だけしか出来なかった事への、
深海の如く深い慙愧の念に他ならなかった。


麻痺より回復した藤木源之助は、
当初、死せる虎眼の後を追って、
腹を十字に斬り喉を突き殉死するつもりであった。

実際、師の亡骸より木刀を引き抜き、
衣を但し、行李の内にあった手拭いを顔に乗せると、
その傍らで諸肌脱ぎになり、柄を外し、
行李より出した懐紙で覆った脇差を腹に当てる……所までいったのである。
(なお、目釘抜きと木槌は、連也の残した木刀を削って自作した)

師の仇を討たねばならぬ…そういう思いが無い訳ではない。
いや、柳生連也斎への復讐心は、藤木の体を突き破って飛び出さんばかりの強烈さがあった。

しかしそれ以上に藤木の心を支配していたのは、
自身の責任で師を死なせてしまった事への後悔と、虎眼への謝罪の念であった。

『史実』に於いては、虎眼の死骸を目前とした際、その死を認められず、
死骸の喉より血を吸い出すと言う奇行に至ったほどに乱心した藤木源之助である。
その源之助が、師の死を前にして『ただ見る』ほか無く、乱心すら出来きず、
ただ体の麻痺が解けるまで微動さえあたわず、ひたすら思い詰める他なかった…

虎眼の死を目前にした衝撃と、その死に臨んで何事も為し得なかった罪悪感は、
体の動きを封ぜられた時間の思索により熟成され、重しとなって源之助の心を押し潰した。


――追い腹切るほか無い


事に臨んで何も為せぬ木偶侍に残された奉忠のスベは、
主の黄泉への道程の供を務める事を除いて在りはしない。
源之助はそう決断し、殉死の決意を固めた。

そして、
さあ、いざ腹を横一文字に斬らん、とした正にその時、
遠方より鐘の音が、すぐ傍の城下より太鼓の音が鳴り響き、
しかと源之助の耳朶を打ったのである。

除夜の鐘は煩悩を払うというが、
予期せぬ鐘の音に、切腹の瞬間の集中をかき乱された源之助は、
一旦、腹より切っ先を外し、集中を乱す鐘・太鼓の音に耳を遣った。

暫時、鐘と太鼓の音を聞いていた源之助だが、
すぐに興味を失うや、再び、腹に切っ先を押し当てる。

鐘、太鼓の音が鳴り響く中、
源之助の脳内に、何処から聞こえて来たとも知れぬ不思議な老人の声が響く。

――御前試合参加者の皆様、急な呼び出しに快く応じ…

しかしその声を一切気にすることなく、腹に当てた切っ先に力を込め、

――御前試合開始より日の出までの間に亡くなられた方は以下の通り…
――犬塚信乃殿の内、御一方
――岩本虎眼殿

そこでピタリと手が止まり、

――伊良子清玄殿

その名を聞いた時、源之助は自身の心臓が高鳴るのを確かに聞いた。




――いかなるを ちのわだつみ または空に
――なんぢがまなこの焔ぞ燃えたる
――何の翼にそも神は乗りて行きし
――何者の手ぞ その火を敢て捕へたる




川辺に造られた盛り土の上には、
小さな積み石の墓標が置かれ、その傍らに脇差が一振り捧げられている。

自身が造った師匠の墓を見詰めながら、源之助は初めて涙を流した。

「……先生」

――先生の跡目、この藤木源之助が見事継ぎ申します

源之助は、胸中でそう決意した。


宿敵、伊良子清玄の死を知らされた時、
この御前試合の中で初めて行李より人別帖を取り出し、見た源之助は、
亡き師、岩本虎眼と、伊良子の名の上に何時の間にか血の朱線が引かれている事に気が付いた。

――伊良子清玄が死んだ

藤木源之助の脳裏を過ったのは、
元和八年、虎眼流道場に初めて姿を現した、
まだ盲いる前の伊良子清玄の姿であり、
あの時感じた、彼の芳香であった。

次いで彼の脳裏に飛来したのは、

――虎眼流の跡目

と言う言葉である。

どうして今の今までその事に思い至らなかったのか。
清玄の魔剣により近藤涼之介、宗像進八郎、山崎九郎右衛門、丸子彦兵衛、
源之助の手に依る粛清により、興津三十郎といった有力高弟、“虎子達”をことごとく失い、
虎眼が名も知らぬ柳生の剣客に討たれ、
伊良子清玄が誰とも解らぬ剣客に討たれた今、
残された虎眼流を引き継げる者は…

――自身、藤木源之助を置いて、他に誰がいるであろう

源之助の耳に、あの白州の柳生の老剣客の声が響く。

――勝ち上がった者には、古今東西天下無双の称号を与え、また如何なる願いとて聞き届けよう……

源之助は理解した。
自身の真に為すべき事、それは仇たる柳生の剣客を討ち、
残れる剣客五十七名、その悉くを斬り殺し、
それを踏み台にして、

――天下の虎眼流と為す事である

それが、ただ一人残された己の役目…
藤木源之助はそう、認識していた。


虎眼の墓に黙祷を捧げた源之助は、
その手の内の包みをあらためて見た。

師の墓を掘る際に、偶然、茂みの中で見つけたそれは、
細長い油紙の包みで、真田紐で厳重に雁字搦めにされている。

油に浸された真田紐の封を解き、
三重の茶色の油紙、二重のハトロン紙の厳重な包みを開けば、
中から大小の絣文様の刀袋が出て来る。

二つの刀袋から出て来たのは、
二尺四寸肥後拵えの打刀に、一尺三寸同拵えの脇差である。
抜けば刃紋も見事な玉散る利刃で、表に見事な『剣巻龍(倶梨伽羅とも)』の、
裏には『竹林虎』の彫り物がある。
この刀身彫りの見事な点は、その美術性もさることながら、
刀身の強度を出来るだけ損なわない用に工夫されている点だろう。

この大小と共に包みに内封されていた懐紙には、
かくの如く記されていた。

『 一竿子近江守二尺四寸
同作脇差一尺三寸 』

『一竿子近江守』なる刀工には源之助は聞き覚えが無かったが、
(これは当然で、元禄年間に活動した一竿子忠綱を、寛永年間に生涯を終えた源之助が知る筈がない)
彼も一流の剣客であり、美術的評価は兎も角、剣の良し悪しならば一見にて知れる。
些か華美のきらいはあるが、良き刀であることに違いはあるまい。

源之助、この差料を、己の血染めの腰間に差した。
今、源之助が来ている衣は、源之助自身の物では無い。
亡き師、虎眼の死に装束を、自身の衣を取り替えて着ているのである。
それは、この戦いに、師匠の魂を同行させたいという、源之助の思いがさせた事であった。

源之助は気づいていない。
虎眼の死に装束の深い血痕が、虎眼の血と、連也斎の返り血が為した血曼陀羅文様が、
虎眼の死相を描いていたことに。
師の魂は、確かに彼と共にある。

股立ちを取り、襷を掛け、鉢巻をしめる。
出陣の準備は済んだ。懐中の霊珠に少し手をやって、源之助は暁を仰ぎ見た。
しばし陽光を見上げていた源之助は、戦場への第一歩を踏み出す。

果たして彼が向かった先は…


「―――ッ!?」
「あっ、目を覚ましましたか」

目を覚ましたトウカの目に飛び込んできたのは、
自分の顔を覗き込む二人の男の顔である。

片や、三十がらみの月代頭の温和そうな顔の男。
片や、首に襟巻きを巻いた、十代の爽やかな美少年である。

「ここは…?」
まだうすぼんやりとした意識で、トウカは二人に尋ねた。

「旅籠“やませみ”の一室です」
答えたのは、月代の男―山南敬助―である。
トウカが首を廻して周囲を見れば、
天井の木目と、山南、襟巻の少年―烏丸与一―両名の顔、障子の開けられた窓から覗く、
遠く東の空から昇らんとんとする暁の光を見る事が出来た。

(やませみ…?)
(ああ…たしか…)
(“センゴク”殿と最初に…)
(…センゴク?)
(…センゴク!?)

トウカの背中に冷たい予感が通り過ぎる。

「セ、センゴク殿はっ!?」
被せられた布団を撥ね退けて、発条の如くトウカは上体を起こした。
ジクジクと、腹部に痛みが広がる。

「――ッ!?」
「ダメです、そんな激しい動きをしては!貴方の傷は浅くないんですよ!?」

見れば、着衣が改められ、平素の唐風の服から、軽い無地の襦袢に着せかえられており、
腹には、サラシか何かが巻かれている様な感触がある。

「――センゴク殿は…」
「えっ?」
「センゴク殿は…某と一緒にいた墨染の着物の御仁は大丈夫でござるかッ!?」

腹部を右手で押さえ、顔を痛みに歪ませながらも、
トウカはハッキリとした口調で山南と、与一に問うた。

この問いに与一は顔を蒼褪めさせ、山南は顔を曇らせた。
両者の反応に、トウカは最悪の事態の気配を感じつつも、
敢えてその先を視線で問う。

「すまない…我々が君を見つけた時には…」
「申し訳ござらん…拙者達が…もう少し早くついておれば…」

予感はしていた。
彼女の記憶に残る最後の情景は、
シシオマコトなる異形の武芸者の操る切っ先が、
センゴク、久慈慎之介の心の臓を貫きつつ、自身の腹を突きさした場面である。
心臓を貫かれて、その後も生命を全うできる可能性の殆ど無きが如し事は、誰もが知る所だ。

「そうで…ござるか…」

トウカは俯いて、布団の端を握りしめた。
余りにも強く握りしめたが為に、布団の布が破れんと思うほどであった。

「不甲斐…ない…」

トウカはそうしゃがれた声で絞り出すように言うと、そのまま俯いて沈黙した。

山南も、与一も、彼女に掛ける言葉を何一つ持っていなかった。


「貴殿達…その…名は何と…?」

暫時あって、トウカはおもむろに口を開いた。

「名?…ああ、私は山南敬助と言います」
「拙者は烏丸与一と申す」
「では、山南殿、烏丸殿…某はトウカ。エヴェンクルガのトウカ…」
「貴殿らに折り入って頼みがある。貴殿らの差料を一振りお借りしたい…」
「?…何故です?」

ここでトウカが口にした内容は、山南、与一の両名の想定をはるかに超えた物であった。

「…腹を切る」
「な、何と!?」
「な、何故です。若い娘があたら自らの命を粗末に…」
「――某はッ!」

叫んだが故に、腹の傷が痛んだが、トウカは一向に気にせず、言葉を続ける。

「某は、某はッ!センゴク殿を死なせてしまった!」
「センゴク殿は…あの剣鬼相手に最善を尽くしていた!」
「それなのに某が…某が…」
「センゴク殿の足を引っ張ってしまった」
「某が…某が…センゴク殿を…」

「センゴク殿を死なせてしまった…」


――浪子の病は治らぬか
――ごうごうごうごうなる汽車は
――武雄と浪子の別れ汽車
――二度と逢えない汽車の窓
――哭いて血を吐く不如帰


血を吐く様な言葉を紡ぐトウカに、与一は何と言ってよいか見当が付かず、
山南は、ただ険しい表情で彼女の言葉を黙して聞いていた。

「だから…腹を切って…切って詫びを…」
「――士道不覚悟」
「…何ィ!?」
「や、山南殿!?」

予期せぬ山南の辛辣な言葉に、トウカは目をむき、
与一は思わず狼狽した。

「山南殿…何をいきなり…」
「与一君、お静かに!…貴方は桃香殿と言いましたな」
「…」

山南は、厳しい口調でトウカに言った。

「センゴク…と申す御仁と、貴方の関係を私は知りません」
「しかし」
「その仇討ちも済まぬ内に、腹を切るとは…士道不覚悟も甚だしい」
「ひょっとすると、センゴク殿を斃したであろうあの怪剣鬼…」
「彼を打ち斃す自信、覚悟が無いから左様な事を…」

「 山 南 ど の ! 」

ここで、与一が口を挟んだ。

「いくらなんでも言っていい事と悪い事が…」
「いや、いいのだ与一殿…」
「トウカ殿?」

トウカは山南に微笑んだ。

「良い人なのだな、貴殿は。見ず知らずの某に左様な言葉を…」
「いえ…」

トウカは山南の言葉の意図を理解していた。
山南は、トウカの慟哭を聞いて、彼女が性、善なる乙女であることを見抜いた。
そして、この少女を、このような場所で死なせるのは偲びないと思ったのだ。
そして死に急ぐ彼女に残った闘志を焚きつけて、トウカの生きる意思を呼び起こさんと思ったのだ。
これが同じ新撰組でも、芹沢鴨ならば、面白がって切腹を煽っただろうし、
近藤、土方、あれば、「介錯つかまつる」などと言っていたかもしれない。
(沖田はちょっと想像が付かない)

しかし山南は、新撰組きっての穏健派で、
その死に際し、鬼の副長、土方ですら涙したと言われる有徳の人である。
見ず知らずの少女とは言え、死に急ぐトウカをそのまま見ている事など出来はしなかったのだ。

「有難う…某、少し元気が湧いて来た」
「それならば…重畳」

与一は、予期せぬ展開に、少し狼狽した。




――そも亦何の肩 何のわざの
――よくも捩リしなが心臓の腱を
――またその心臓うち始めたるとき
――用ゐられしは何の恐ろしき手 何の恐ろしき足




「本当に大丈夫ですか?」
「山南殿…大丈夫でござる…」

少し苦しそうにしながら傍らを歩くトウカを、山南は気遣った。
血戦を潜り抜けて来た歴戦の新撰組隊士である山南は応急手当の方法ならばある程度通じているものの、
逆に言えば応急手当以上の事は、流石に外科の蘭医か、金倉医に頼らねばなるまい。

故にトウカの怪我の治療は、傷口に膏薬を塗り込んで、
ニカワを塗った紙で無理矢理傷口を塞ぎ、サラシで巻いて固定しただけなのだ。
本来ならば安静にしているべき所だが…

(二十三人…余りにも死人が多い…)

「やませみ」で情報交換をしていた彼らの耳に飛び込んできたのは、
鐘の音、太鼓の音、そして、死者を告げる忌々しい主催者の声であった。

告げられた死者の名は二十三。
その中には、山南の元同士、新見錦
それ以外にも、仏生寺弥助清河八郎といった良く知った名もあった。
トウカがこの御前試合で知り合ったという座波間左衛門もまた、その中に含まれていた。
(幸い、与一の知り合いの名は無かった)

トウカの目前で連れ去られたという、
神谷薫の名が呼ばれなかった事に安心したのもつかの間、
人別帖に何時の間にか引かれた朱の線を見たトウカが、
「怪我などに構っておれぬ」と、朋友のオボロを探さんと、
出立しようとしたのがそもそもの始まりである。

山南も与一も、最初は安静にするようにトウカを説得したものの、
センゴクに死なれ、知り合ったばかりの座波にも死なれたトウカは、
かつてない不安に駆られていたのだ。

「仕方ありません…私たち同行しましょう」
「そ、そんな!貴殿達に迷惑はかけられませぬ!」
「いや、困った女性を放っておくほど、拙者達は無情では御座らん!」

すったもんだあって、結局同行することになった三人は、
一先ず、トウカの朋友たるオボロを探す事を第一の指針に、
旅籠「やませみ」を出立した。

「少し休みましょうか?」
「いや、本当に大丈夫でござる。お気づかいは嬉しいが…」

そうはにかむトウカの服装は、紺の小袖に、灰色の伊賀袴、ゲートルに革足袋、
そして縞模様の入った道中合羽に着替えられており、腰間には、見慣れぬ無骨な差料がある。
見れば山南の腰の物も、エクスカリバーから普通の日本刀に代わっている。

これは、トウカの応急処置の為に膏薬や包帯を探していた山南が、
「やませみ」の奥の部屋の桐箪笥から見つけた物で、膏薬やサラシと同じ道具箱に入っていたものだった。
直ぐには見つからぬ所にこう言う物を仕込んでおく辺りに、主催者達の底意地の悪さが察せられる。

見つかったのは都合三振りの差料。
トウカの薩摩拵えの同田貫と、
山南の相州無銘の二尺五寸の大刀、
そして与一の腰に木刀並んで差された、日本刀ながら、見慣れぬ拵えの緑鞘の刀である。

刀身に使われている鋼にも見覚えは無く、
山南には正体の知れぬ差料であったが、
それもそのはず、与一の腰間にあるのは、
明治期に入って作成された、軍刀拵えの村田刀であったからである。

村田刀とは軍刀の一種で、『村田銃』で著名な村田経芳が造った刀で、
刀身にはゾーリンゲン鋼が使用されている。
錆に強いばかりか、折れず曲がらず良く斬れると評判の刀だが、
実用第一で美術性が乏しい為に、現在では余り評価されてない不遇の刀である。
(そもそも、軍刀というジャンル自体、刀剣史での扱いが全般的に悪い)

特に、与一の腰間にある物は、村田経芳が自ら鍛えた代物で、
最初は「不殺」の精神を持つ与一は差すのを嫌がったモノの、
念のためと、山南が念を押すので、差す事になったのである。

ちなみに、山南の腰間にあったエクスカリバーは、
結局「やませみ」のさる部屋の床の間に置いて来た。
名刀には違いないが、西洋剣は、彼の肌には合わない。

「山南殿―っ!人影がー!?」

少し先行していた与一―彼自信が、用心の為の先駆けをかってでたのだ―の声が、
山南の耳に入った。

見れば、確かに、少し先の路上に、
恐らくは男だと思われる人影が背を向けて仁王立ちしている。

近づいて仔細に眺めれば、男はずぶぬれで、
着物には――

「――!大丈夫でござるか!?」

赤々と広がる血痕。
それも見た所返り血では無く怪我によるものである。

路上に突っ立っていたのは気にかかるが、
怪我人を放ってはおけまい。

あまり人を疑う事を知らない与一が、
男に駆けよらんとする。

男が、首だけ動かして、与一の方を覗い見た。
その横顔は――

「!」
――― イカンッ!

男の背に殺気は無かった。
目にも殺気は無かった。
だが、むしろ異様に殺気を感じさせぬ据わった目付きだった。
山南敬助は、こういう眼をした男を一人知っている。
新撰組きっての暗殺の名人、『人斬り』大石鍬次郎――
彼も、たしかあんな眼をしていた。

「与一君!危ない!」
「えっ?」

俊足で与一に駆け寄り、
右手でその襟首をつかんで引きもどす。
左手は既に鯉口を切っていた。

もし仮に、与一へ制止の促しは言葉で留めて、
右手で最初から太刀を引き抜いていれば、あるいは山南は死なずにすんだかも知れない。
与一を思ったが故の一手の遅れ。
それが致命傷になった。

男が、腰間に手を伸ばし、振り向いた。
まだ、刀剣の間合いには遥かに遠い。
ああ、されど…

――死の流星は、遠く遠く伸びた

(切っ先が伸び――ッ!?)

男の刀身が暁を裂いて飛ぶのを見た一刹那後、山南敬助が思考出来たのはそこまでである。
男、藤木源之助の動きに、ようやく右手を柄にかけ、半ばまで抜いた所で山南の動きが止まる。
彼の頭蓋に斬りこまれた一竿子近江守の切っ先は、山南の意識を永遠に刈り取った。

猫科動物が爪を立てるが如き異様な掴みより、振り向きざま、
飛び込み・抜き打ちの『流れ』一閃―――
虎眼流は最小の斬撃で敵手を斃す。三寸斬り込めば人は死ぬのだ。


「キ、キサマぁぁぁぁぁぁっ!」

額より血の尾を引きながら、仰向けに斃れる山南の姿に、
トウカが激昂する。
気炎を上げながら、腰間の同田貫二尺三寸を正に抜かんとするが…

「アグッ…」

腹部の激痛に思わず立膝をつく。
気合い一声を上げ、居合の為に素早く腰を捩じったが故に腹部の傷が開いたのだ。
腰のサラシに、血がジワリと滲む。

一方、与一は蒼天の霹靂の如き山南の突然の死に、
刹那、茫然としていたものの、トウカの叫びに自失より返り、
反射的に村田刀を抜刀、青眼に構えていた。
殺さずを信念とする与一に、木刀では無く真剣を抜かせたのは、
年若くとも卓越した彼の剣士の本能である。
彼の本能は認識していたのだ。目前の剣士、藤木源之助の危険性を。
しかし、本人は瞬時、思わず真剣を抜いてしまった事実に驚きつつも、
次の瞬間には、

「トウカ殿!逃げられい!」

と、膝をついたトウカに叫ぶ。
そんな与一の顔面に、迫る一つの流星!

(脇差っ!?)

振り切った『流れ』は二の太刀を生み出せぬ。
隙を生じさせぬが為に、源之助の腰間から左手によって手裏剣の如く抜き撃たれた脇差であった。

「クッ!」

稲妻の如き見事な脇差手裏剣であったが、対する与一も浮羽神風流きっての俊英、
迫る脇差を即座に打ち払う。打ち払われた一竿子近江守の脇差は、少し離れた地面に突き立った。

(ま、まずい!?)

与一は、次いで来るであろう山南を斃した奇怪な『延びる神速の横薙ぎ』を警戒し、
入身青眼で剣を盾の如く立てる。

しかし飛んできたのは『流れ』ではない。
恐るべき俊足に乗せて、飛来したのは藤木源之助の肉体その物である。

「!?」

青眼からの摺り上げ面の太刀筋。
これを与一、真っ向から受け止めるも、

(し、しまった!?)

源之助の一竿子近江守は、村田刀と刃を擦り合わせながら下方に流れ、
鍔と鍔、ハバキとハバキ、刃と刃がガッキと組みあう。

――鍔迫り合い
藤木源之助の最も得意とする戦形である。

虎眼流と言えば、余人は得てして『流れ』などの遠間の剣を連想しがちだが、
虎眼流筆頭の剣士である藤木源之助が得意とするのはその我慢強い性格から来る、
入り間の粘剣である。
一度この男に間合い深く入られれば、その剣は蛸の足の如く絡み付き、容易に離れる事は出来ない。

(マズイ、相手にペースを完全に握られている!)

間合いを取って、切り返しの太刀を放とうにも、
源之助の鍔迫りはまるでニカワの様にしつこく粘りつき、与一の太刀を完全に封じている。
これでは、たとえ間合いを離せても、切り返しを放つのは相手の方が先なのは明白だ。

(足払いを――)

――掛ける事は出来ぬ。
源之助が足を巧みに動かして、足払いを掛けさせぬ。
むしろ、源之助こそ隙あらば足払いを掛けんと狙っており、
それを警戒しつつ鍔迫り合いを行わねばならず、
どうしても与一は受け身の剣を取らざるを得ない。
この『虎』を相手に、それは余りに致命的だ。

ギチギチ、ガチガチ、キリキリと、
鍔と鍔、ハバキとハバキ、刃と刃が鳴って、気持ちの悪い音を立てる。

絡みあう二人の剣士の足が、
ザッ、ザザッ、と円を描く様に忙しなく動き、
その度に、バッ、バッ、と土埃が宙に舞う。

そうした攻防が幾度か繰り広げられた後、傍目には互角に見える均衡が崩れる。

「グゥッ!?」

与一が、源之助の粘り気の強い難剣を前に、遂に膝をついたのだ。
この好機を逃す阿呆はいまい。
源之助は、柄頭の左手を刃半ばの峰に持って行き、
一層強い力で与一を押し潰さんとする。
対する与一も左手を切っ先近くの峰に移し、
身を刀架の如くしてこれを受け止めるも、劣勢は明らかだった。

(もし、木刀であったなら…)

しかし劣勢とは言え、ゾーリンゲン鋼で鍛えられた村田刀は、
恐るべき圧力を誇る源之助の太刀を見事に受け止めている。

もし木刀でこの男に相対していれば、
如何に刃筋を立たせぬように相手の太刀を受け止めようとも、
とうの昔に木刀ごと圧し斬られいた筈だ。
その事を瞬時に見抜いただけでも、与一が充分達人である事を覗わせる。
だとしても…

(このままでは…潰される…)
この期に及んで息一つあげぬ源之助の鉄面皮に慄然としつつも、
劣勢を返す一手を必死に考え続ける。
このままではジリ貧なのは明白なるが故に。

「ガッ…ガガガ」

だが、立ち合いとは非情である。
与一の策が浮かぶより早く、その体勢が崩れる時が来ようとしていた。

(ト、トウカ殿…うまく逃げ…)

――与一が正にそう考えた時

「慮外者!こっちを向けぇ!!」

視線を背後に流した与一の双眸に、疾走するトウカの姿が見えた。





(動け…動けこの体!何故に動かぬ!)

膝をついたトウカは、襲撃者・藤木源之助と鍔迫り合いを始めた、
烏丸与一への助太刀をせんとするも、正体不明の金縛りに襲われていた。

それは、トウカが思った以上に深かった志々雄に付けられた腹の傷が開いた事、
それに伴って、何とか騙していた志々雄戦による体の疲労が一気に噴き出た事、
そして…

――源之助と与一が『鍔迫り合い』という密着した状態にあること。

トウカは無意識に恐れていたのだ。
もし自分が飛び込んで行った正にその時に、与一の体を盾にされるのではないかと言う事を。

一先ずは切腹を思いとどまったとは言え、トウカの胸中の罪悪感消えた訳ではない。
罪悪感と、センゴクを志々雄に人の盾にされたと言う記憶は、不可分に結びついている。

――もし、与一殿を盾にされたら…
そういう無意識の連想が、強烈な感情と結びついて、重しとして、彼女の体と心を縛る。

そんな彼女を余所に、与一と源之助の立ち合いは佳境を迎えていた。
与一が膝をつき、源之助が攻勢を強める。
今はまだ耐えているが、圧し斬られるのは時間の問題だ。

トウカの視線が僅かに泳ぎ、そして視た。
額に傷を横一文字、山南敬助の死骸の顔を。
そうして想起した、久慈慎之介の死に様を。
かくして見た、今まさに圧し斬られんとする烏丸与一の姿を。

トウカの胸中にて、何かがはじける。
かほど彼女を苦しめた金縛りは一瞬にして破られ、
全身を駆け巡る闘志は、モルヒネの如く痛覚すら麻痺させる。

彼女は居合腰に構え、走った、絶叫した。

「慮外者!こっちを向けぇ!!」

藤木源之助の双眸に一瞬「驚」の色が映る。
初見の際に身を崩した事、その額に浮かんだ汗より重傷を察し、
動けぬと踏んで与一に鍔迫りを仕掛けた源之助である。トウカの行動は想定外であった。

しかし歴戦の『虎』は知っている。
立ち合いでは予期せぬ事、望まぬ事は常に起こりうると。
故に源之助の『驚』は一瞬。鉄面皮のまま、与一の刀身を強く弾き飛ばす。

「ヌゥッ!?」

その反動で後方に飛びつつ、源之助は瞬速の切り返しを放った。
しかし相手は与一では無くトウカ…

――ビュン!
――キイン!

風を切る二つの音と、一つの金属音が鳴る。
横殴りの飛燕の如き切り返し太刀は、トウカの居合太刀に見事、弾き飛ばされる。

しかし源之助もサル者。弾き飛ばされた太刀を燕返しの要領で返し、
居合の勢いそのままに飛び込んでくるトウカを迎撃せんとする。

「浮羽神風流剣術一の太刀……疾!」

源之助の耳朶を、与一の声が打つ。
同時に、突如降って湧いた様な強烈無比な突風が、源之助の体を襲ったのである。

「ッ!?」

吹き飛ばされながらも、トウカへの牽制の横殴り太刀を放ったのは、流石、虎眼流剣士である。
たたら踏みつつも、流れる様に体勢を直すと、素早く八双の構えを取った。

それを見て、トウカの動きが止まる。
驚くべき事に、トウカは既に納刀している。
一体何時の間に納刀したのか、居合使いとは幾度か立ち合った事もある源之助も、
その刀の『再装てん』の速さには驚いた。

トウカは居合腰に、左手を鯉口、右手で鍔元を握りながら、じりじりと間合いを測る。
トウカは居合からの続けての立ち技が使えぬ訳ではない。そちらも充分に一流である。
しかし、この恐るべき剣鬼に相対するには、それでは及ばぬと、トウカは判断した。
故に、牽制の横殴り太刀をいなしながら飛びこむのではなく、敢えて引いて、納刀するのを選んだのである。

これは正解であった。
迂闊に虎眼流剣士の間合いに、ましてや藤木源之助の間合いに踏み込めば、
たとえ太刀を封じても、すかさず虎拳が飛んで来るからである。

トウカの右隣、少し間を置いた場所に、烏丸与一が遅れて来る。
先程までの鍔迫り合いと、その後の渾身の『疾』を放ったが故に、
肩で息をしているが、何とか、まだ戦えそうではあった。

源之助から見て右にトウカが居合腰のまま、
左に与一が青眼の構えで、じりじりと間合いを詰めんとする。
これに源之助は依然、八双の構えのままである。

現代剣道では殆ど用いられる事の無い八双の構えだが、
この構えの目的は、太刀を立てる事による敵への威圧にある。

殺気が隈なく満ちた不動の八双は、殺気を増幅させて与一、トウカに浴びせかける。
もはや与一、トウカの眼には源之助は人と映っていなかった。


――虎よ!虎よ!
――ぬばたまの 夜の林に燃ゆる虎よ
――いかなる不死の眼 または腕の
――よくも作りし ながゆゆしき均整を


餌食を裂いて喰らう、太刀を咥えた猛虎がそこにいる。
霊感のある人間には、その背後の、白い総髪を生き物の如く逆立たせ、
太刀を八双に構えた一人の老剣客の亡霊が見えたかもしれない。
これに対し、疲労困憊の与一と、腹部の傷の痛みが、闘志を上回り始めたトウカには、
遂に挑み、飛びこむ事が出来なかった。

『虎』は背を向けた。
しかし二人は追わない、追えない。

『虎』は路傍の藪に消えた―――


戦いが終わって、闘志が抜け切った二人は、
山南敬助の死体の傍にどっと崩れ落ちた。

与一は、村田刀を地面に突き立てて、
茫然とした様子で空を仰ぎ見ていた。

――拙者のせいで…
――拙者のせいで山南殿は死んだのだ…

彼の心をむしばんでいた追い目は、
ここに及んで、最高潮に達していた。
疲労心労に依る自失から還れば、彼はそれと向き合わねばならぬだろう。

トウカは、跪き頭を垂れる様子で、
もう動く事は無い山南を見た。

――センゴクも山南も、共に過ごした時間は短くとも
――素晴らしい好漢であった事だけは、間違い無かった
――決して、こんな所で死んでいい人間では無かった

そして、二人は死んだ。
しかし、自分はまだ生きている。

「某は…」
「某は…何をやっておるのだ…」

トウカは慟哭した。腹に血がにじむのも構わず慟哭した。
与一は、その慟哭を、その傍らで茫然と聞いた。



――浪子の病は治らぬか
――ごうごうごうごうなる汽車は
――武雄と浪子の別れ汽車
――二度と逢えない汽車の窓
――哭いて血を吐く不如帰


【山南敬助@史実 死亡】
【残り五十六名】

【はの肆 街道/一日目/朝】

【トウカ@うたわれるもの】
【状態】:腹部に重傷(治療済み、再出血)、火傷数か所、深い悔恨
【装備】:同田貫薩摩拵え@史実、脇差@史実
【所持品】:支給品一式
【思考】
基本:主催者と試合に乗った者を斬る
一:某は…何を…ッ!
二:山南殿の仇を討つ
三:センゴク殿の仇を討つ

【烏丸与一@明日のよいち!】
【状態】疲労困憊、深い悔恨
【装備】村田刀@史実、木刀@史実
【所持品】支給品一式
【思考】
基本:人は殺さない。
一:山南殿…ッ!
二:愛用の木刀を探す。
三:あの男(柳生宗矩)を倒す。
【備考】
登場時期は高校に入学して以降のいつか(具体的な時期は未定)


※山南敬助の死体の傍に、相州無銘二尺五寸@史実が、
旅籠「やませみ」の一室にエクスカリバー@Fate/stay nightが放置されています。



藪より出でて、源之助は街道に戻った。

彼が二人を『見逃した』のは、無論故あっての事である。
与一の放つ奇怪な『遠当て』の如き技と、
手負いの猪と化したトウカを警戒したが故である。
虎は熟練の狩人だ。だから知っている。
手負いの猪は、時に百戦錬磨の獅子すら屠る事を。
故に討つのは、傷から血が抜け落ち、息が上がり、
窮死の意気込みが抜け切った、その時で良い。

「・・・・」

――『浮羽神風流』と、あの少年は言っていただろうか。
聞いた事の無い流名だが、恐ろしく奇怪な太刀筋を使う。

虎眼流にも『遠当て』に類似する技法は有るには有るが、
『晦まし』はあくまで殺気を固めて矢の如く放つ業であり、
あの少年の技の様に物理的実体を持ってはいない。

ふと、源之助は路傍の立木に目を遣った。見目麗しい爛漫の紅梅の木がある。
腰間の一竿子近江守を抜き、大上段に構える。
屹立した源之助の剣は、ある種の威厳を備えていた。
神然たる切っ先に暁の陽光がぶつかり、玉となって四方に散っいく。

――ビャッ

空気を引き裂いて、裂ぱくの大上段が雷の如く振り下ろされる。
否、振り下ろされていない、振り下ろされたのは柄頭を握る左の手刀のみ。

それど…

一瞬、紅梅の木が膨張した。
否、膨張したのではない。
梅の枝葉にに爛漫と咲いていた満開の花が一斉に飛び散り、

――吹きたるは一陣の風

千万の梅の花弁は、薄紅色の奔流となって中空を流れた。

この光景を見て、源之助の頬は何時になく紅潮し、
鉄面皮の動かぬ唇が柔い弧を描いた。

――この太刀筋、研鑽すべき物
――再戦はその後ならんや

一竿子近江守を鞘に納め、新たな敵を求めて源之助は歩き出す。
名も知らぬ柳生の剣客を斃す為には、少なくとも後数人は、
『生き試し』し、胆と業を練らねばなるまい。

暁、昇るなか、一人の侍が、猛き心を孤剣に乗せて、只征くは修羅の巷。

―――藤木源之助はもはや『虎子』ではない。
―――『虎』であった。餌食を引き裂き喰らう、一匹の『虎』であった。





――槌や何なりし 鎖や何なりし
――いかなる鎔爐に なが腦髄はありし
――鐡砧は何なりし いかなる畏き手のよくも
――その死を致す怖畏を握りし


――あまつむら星槍を投げて
――涙に空をうるはせしとき
――神その創りし汝を見て笑みしや
――仔羊を創りし彼または汝を創りしや


――虎よ!虎よ!
――ぬばたまの 夜の林に燃ゆる虎よ
――いかなる不死の眼 または腕の
――よくも作りし ながゆゆしき均整を



―――ウィリアム・ブレイク『虎』




【はノ肆 街道(にノ参との境界付近)/一日目/朝】

【藤木源之助@シグルイ】
【状態】背中に軽傷(回復済み)、不動心
【装備】一竿子近江守@史実、岩本虎眼の死装束@シグルイ
【所持品】「忠」の霊珠、支給品一式
【思考】
基本:勝ち残り、虎眼流の最強を示す
一:敵を探し、「生き試し」を行う。
二:虎眼の仇、柳生の男(柳生連也斎)を討つ
三:『遠当て』の剣を研鑽する
【備考】
※人別帖を見ました。


時系列順で読む

前話:日の出 次話:過失なき死

投下順で読む


修羅の道行き 山南敬助 【死亡】
修羅の道行き 烏丸与一 [[]]
修羅の道行き トウカ [[]]
霊珠に導かれて 藤木源之助 [[]]

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最終更新:2010年06月22日 22:16