キノウツン藩国 @ ウィキ

燃料生産地

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だれでも歓迎! 編集

燃料生産地



L:燃料生産地 = {
 t:名称 = 燃料生産地(施設)
 t:要点 = 油田,精錬所
 t:周辺環境 = 人里はなれた自然
 t:評価 = なし
 t:特殊 = なし
  *燃料生産地の施設カテゴリ = 藩国施設として扱う。
  *毎ターン燃料+15万tされる。
 }
 t:→次のアイドレス = 燃料精錬所(施設),海軍兵站システム(技術),燃料気化爆弾(技術)

新素材の開発により生産量が+20万t
HQ取得生産燃料+5万t再審査結果
西国人+猫妖精+猫妖精のHQ継承で生産燃料+5万t:第1世代(参照記事


Introduction ~in quietness~

T12:キノウツン第1燃料精錬所にて

ぴとん、ぴとん、と一滴一滴黒い雫が垂れている。
ライゲツ油を精錬する時に出る不純物の塊である。



精錬所の施設で一滴一滴落ちる雫を見ながらキノウ=ツンは考えていた。
長く続くこの戦争で多くの民衆が疲弊している。表面上は皆明るく振舞っていてもいつ終わるとも判らない戦いへの緊張が心や体を蝕んでいる。
何故、誰も彼も戦いを続けるのだろう。どうして戦いは終わらないのだろう。
この油田から産出される燃料だって本来なら燃料の不足している地域を救えるのに、まず戦闘のために使わなければなければならない
戦うから終わらないのか、終わらせるために戦うのではいけないのか。答えの出ない問答がぐるぐると頭の中を回る。
そして皮肉な事に、彼女自身キノウツン藩国を率いて国民を守るために戦っている身なのだ。
一体オーマだとか地べた摺りだとかに何の違いがあるのだろう。この油みたいに最初は同じものだったのかもしれないのに。

ふと、壁にかかっている時計を見る。もうすぐここを出て政庁に戻らなければならない時間だ。
浅田やアシタが仕事を抱えて待っているだろう。
キノウ=ツンは椅子から立ち上がると振り返らずに部屋を出て行った。

雫は落ち続ける。時間も止まることなく動いていく。


オープニング ~あるいは昔話~

 その日、キノウツン首脳会議は紛糾していた。
現在の国の資産問題が浮き彫りになっていたのだ。
ほとんどの資産が少ない中、特出して減る一方の物があった。

そう、燃料である。

「ねえ、なんとかならないの、浅田?」
ツンが尋ねると、複数の作業をこなしていた、お付きのメイド兼摂政(なったばかり)の浅田はあわてふためいて答えた。
「どどどどうしましょツン様ー!」
浅田は他の作業に終われて手一杯だった。
摂政になったばかりで、まだ仕事に慣れていないのである。

その横で浅田の手伝いをしつつ、お茶を啜る男が一人。
ダメな方の摂政、アシタスナオである。
「ほらほら浅田ちゃん、ここはこうだよー。
 それにしてもあわててるのも可愛いね、どう、今度夜明けのコーヒーでも(以下略」

わなわなと拳を振るわせるツン。
「セクハラしてる場合があったら、さっさとなんとかしなさーい!」

「ギャースガガッガー!」
ツンに可愛らしいパンチでたたき出され、
作業着と発掘道具を渡されたアシタスナオは、しぶしぶ燃料探しに行くのであった。

「さて、そうはいっても、どうしたものか・・・」
キノウツンの城壁内は、すでにあらかた探しつくした。
こうなると、人の住まない城壁の外しかないではないか。
ならば、城壁の外、広大な自然である砂漠を掘ってみる事としよう。
それならば、とアシタスナオは自室から怪しげなものを取り出してきた。

「ファーファーファー、これこそは私の最新発明。その名も「モール8号」!
 コレさえあれば、この砂漠を掘り進む事も容易なのだよ!」
そういって、モグラのきぐるみをきたアシタスナオが現れた。
早速電源を入れて砂漠を掘り始める。
「スイッチオン!」軽快なペースで掘り進むアシタスナオ。
「わははは、この調子ならすぐに(プスン)・・・あれ?」
きぐるみが急停止したと思ったら、今度は急発進で潜り始めたでは無いか。
「あばばばば、だれか助けてー、ヒャー」
その日、アシタスナオは帰ってこなかった。

~その頃~
「アシタさん、かえって来ませんね・・・」仕事が片付いた浅田がつぶやく。
「ちょっと遅いわねぇ・・・ち、違うんだからね! 心配なんかじゃないんだからね!?」
照れ隠しをするツンを、浅田はうっとりと見つめていた。









その三日後、砂漠に大きな水柱があがった。
調べに行くと、そこには目を回したアシタスナオが居た。
話を聞けば、三日間装置が止まらず掘り続けたら、油田を掘り当てたという。

この油はとても透き通った透明で、油田横に作られた精錬所で精錬すると、その色を変えた。
精錬の仕方にもよるが、白色になった油は、汚れを落とす効果もあったという。
ツンはこの油を、「ライゲツ油」となづけた。通称ライ油である。(ラー油ではない)

なお、掘り続けてくたくたになったアシタスナオは、
医務室のベッドに横たわっていたところを、浅田に襲撃されていた。
セクハラのうらみとは怖いものである。
結局その晩、アシタスナオは浅田にたっぷりと(痛い)御奉仕をされ、入院が長引く事となった。









































Update after a long


 このタイミング。

 なぜ、このときなのだろうか。
 どうして、ここまで待ったのだろうか。
 そんなことを考える。

 技術は、成熟から円熟を迎える。
 まるで無関心に、それらは進み、継続され、進歩してきた。
 共和国では2位、帝國ではそれよりも下。
 目立たない。されど、続いている。
 思うに、キノウツン藩国とはこれなのだろう。
 着々と、こつこつと、まざまざと、ゆるゆると、だらだらと。

 続いている。続けている。
 始めている。やりなおしている。
 そのタフさ、強さ。

 何も変わっていない。だが、遠くから見れば様変わりしていた。
 それを記述していこう。
 ここに更新しよう。
 思い出すように。
 懐かしむように。
 ここにも、キノウツンの息は続いていたのだと、知らせるために

燃料増産計画

開幕 ~ライゲツ油と海水~

「油が出たぞ!」

 噴き出した原油。
 歓声は、しかしすぐに絶望のため息へと変化した。

 油田が海に近すぎたのだった。
 ライゲツ油の層に、海水が深く混じりこんでいた。
 開発者たちは悲嘆にくれた。
 燃料開発チームに、新しい油田を掘り直す予算はない。

――ここまで混じりこんでいては、とても分離できない。

 デッドプロジェクト。
 判ってはいるのだ。開発は確率の低いバクチだ。
 だから、1の成功のために5の失敗が必要なのだと。
 だから、この失敗は、確率論的には"必要"なのだ。
 いつか、成功が訪れるためには。だから、

「ふーん。だから、あきらめろ? ...海水が混じっていたから?
――だから、どうしたってのよ!」

 油が噴出する轟音の中で、
 その叫び声は、確かに油と塩水の混じった地下に響いた。

「分離できる技術がないなら、今から作ってしまえばいいじゃない、なう!
 何もやらないうちから、あきらめるな!!

 それは思えば、明白な賭だった。
 嵩みゆく開発費。容赦のない事業仕分けが、予算を削減していく。

 確かに、失敗すれば莫大な負債が藩国の運命となってのしかかる。後には引けない。
 ここで、この海水混じりの原油と向き合わねば、キノウツンの燃料生産事業に未来はない。
 どのみち、似たような原油が採掘される可能性は、今後もありうるのだから。

 そのとき、また諦めるだけなのか。

 答えは――否だった。


 それから半年後。
 そこには、噴き出す原油を見事に分離し、燃料を生産する油田の姿があった。

 キノウツン藩国燃料開発チームは、独自開発した浸透膜で高純度の分離技術を得ることになる。
 さらには、原油を吐き出し内部圧力の低下した油田に海水を送り込み、その圧力で残りの原油(海水混じり)を噴出させる技術も確立。
 これにより、一つの油田当たりの採油量が大幅に伸びることとなった。

 技術者達は、当時を思い出して語る。

「あのとき、あきらめるなと言ってくれた人に礼を言いたい。
今のキノウツン燃料事業は、間違いなくあの人のお陰であるのだから」

 彼らは、その後、何度もその声の主を捜したという。
 だが、どうさがしても、そのとき声を上げた人物が誰なのかは判明しなかった。

 原油採掘の現場にとても似合わぬ、かわいらしい少女の声。
 思えばそれは、キノウツン藩国に住まうライゲツ油の精だったのかもしれない。


 ・
 ・
 ・

「何、このとってつけたようなまとめ方...これ、どう考えてもツ――」
「(しー)」

 人気ドキュメンタリー雑誌『そのときリサーチ創世記チャンネル200X』を読んでぼやくアシタスナオを静止したのは、イナガキだった。
 その腕抱かれるように、少女がひとりかわいらしい寝息を立てて微笑していた。


あきらめないひとたち ~これより我はM*よりはじまる――~


「燃料生産地、採油量向上プロジェクト。ねえ」

 会議室。
 おりしも、燃料不足が深刻化していた時のこと。
与えられたプロジェクトネームはそのまんまであり、至ってシンプル。
 しかし、それに挑む彼らの表情は一様に、難しそうだった。

 とまれ、トップバッターは高原鋼一郎である。

「r:キノウツン藩国に現在の状況を調べる」
「回答:まるで成長していない」

ちなみに、SD役は「はる」だった。

「ん? うちの国ってさ、燃料事情はそこそこ明るくなかったか?」

「キノウツンが燃料大国であるのは、精製技術と、新素材の開発によるところが多いのだ。採油量自体は、変わってない」

「...つまりは、ヤリクリがうまくなっただけであって、基本的な部分は未だにシーズン1当初の油田だのみ。だから新たに油田を見つけろと」

「それも、はずれである」

 今度はVZAが首を傾げた。
 両となりの小宇宙と桜城キイチも似たようなものだ。

「はずれ?」

「アシタがモグラで掘った最初の油田なんて、とうの昔に枯れているのである。油田ってのは、枯渇資源なので、常に新しい油田をさがさにゃならんのさぁ」

「――油田って、そんなぽんぽん見つかるものなのか」

「見つからないのである。一般的に1億~10億にゃんにゃん使って30%で油田が見つかる。
 そこから採算の見合う油田とまでなると、さらに下がる。

 燃料技術とは、油田を捜し当て、採油し、供給する技術のこと。

 しかし、永劫に枯れない油田などはない。
 だから、常に燃料を供給しようと思えば、常に新しい油田を探さねばならんのだ」

「でも、うちの国そんなに原油あったかなあ。
以前まとめた燃料部の予測だと、逆にそろそろ尽きてもいい感じだったぞ」

「高原のいうことは、ある意味で正しい。が、」
と、間を置く。
「リアルでもこんな話がある。昔は原油の寿命30年と言われていた。
だが、20年ほど経った現在の原油寿命の概算はなんと40年以上とも言われている」

「そうなのか」

「そうだよ」
 頷いたのはVZAだった。
「常に余命30~40年なのが原油」

「どういうことだ?」と、高原の相の手。

「原油資源ってのは、実際のとこ無尽蔵にあるのさ。
 北海島全域の燃料資源と、キノウツンなら、申し訳ないがこっちが滅びるが先さ。
 ただ、はるの言ったように、その中で採算の取れる――純度が高くて、十分に量のある油田ってのは限られてるだけなんだよ」

「とどのつまり、俺たちが黒字で掘り出せる油田の寿命が、30年ってことか」

「そういうことである、だが」
 ディスプレイに映し出されたのは昔の採油の光景。
 そして、次に映し出されたのは最新の発掘機器、情報分析のノウハウ。
「人は進化をする。過去にはない技術を持って、未来の我々は油田を掘ることができる。
 昔では分離できなかった不純物を精製する方法があるなら、これまで売り物にならなかった原油も商品になる」

「なるほど! だから――寿命が延びるのか!」
 拳で架空の机の上を何度も叩くような動作で、高原ががってんしていた。

 話の流れがひと段落すると、船橋が前に出た。

「つまりはどういうことだ」

「油田を探すのを手伝うとか」
「そんなの」高原は何か言いたげにスカーフの男を見た。「楽勝じゃないか」

 全員がうなづく。

「なお、幸運に物言わせて、直接油田を発掘するのは禁止」

「えー」
 ブーイング。
「んなもんが通るなら、アシタがバンタンクで採掘すれば100年は安泰じゃねえか、ばーかばーか」

「TLOだバカ野郎w」
「身も蓋もねえwww」

「イヤでも、最初の採掘だってアシタのモグラロボだし、」

「おまえらな、そーいうギャグが許されるのは、シーズン1まで!!」

「akiharu国、全・否・定www」
「ゴボウから人型ロボ作ってるのはギャグじゃないのかよw」

「だーかーらー」地団太踏むが、「まあいいや」諦めた。
「ともあれ、直接的な支援はするな。あくまで、間接的にじわじわとやんわりとさりげなくなにげなく回りくどく支援するんだ。自力で解決しなきゃ、地力にならない。
こつこつと、ひとつひとつ、技術を積み上げていくんだ。俺たちならそれが出来る」
 言い切ってはるは、ひとつ頷いた。
「俺たちに出来るんだから、キノウツンのみんなならきっとできるさ」

施設案内


居住区

 居住区は、無限の労働需要を背景に発展していった。
 第一油田に隣接する形で開拓された居住区域は、油田が新掘されるたび、アメーバのように伸びてその領域を拡大していった。

 当初より、キノウツン燃料生産地帯は、単身の赴任ではなく、世帯ごとに赴任することが奨励され、そのように制度と環境が整えられてきた。
 従事する国民たちが、安定・安心して生活を送ることこそが、国家の燃料生産業を陰で支えるという、上層部の信念によるものだった。

 パイプラインと平行に延びる国道は、首都と街とを一日で往復可能にし、物資食料等の不便はない。
 十六車線に及ぶ渋滞しらずの大幹線道路は、非常時には滑走路として使用することができた。

 また、生産地帯から供給される豊富な電力は、砂漠地帯の厳しい温度差にも耐える環境を育み、地熱地帯からは温泉が湧き出、労働者たちの衛生を守り、疲れをいやした。
 街には雷球の電灯が街の夜を照らしており、いつでも活気に溢れていた。

 いまやキノウツン第二の首都と呼ぶにふさわしい規模へと発展し、燃料事業成功の象徴として繁栄していたのだった。

旧プラント跡記念公園(緑地化プラント)

旧施設を利用した緑地プラント
コンクリートの天蓋は砂漠の天日を防ぎ、ポンプから組み上げた地下水が大地を潤わせる。


 農政浅田による緑地化政策、フィーブル藩国の農業開発、またはレムーリア移住者の受け入れによる、自然事業、自然回帰への意識が高まりつつある昨今、燃料生産地もまたその波を受けて変化が始まっている。
 事の起こりはそれよりも昔、取得当初より危惧されていた砂漠化と環境汚染問題に誕を発する。
 掘削、採油、燃料生成、発電、それら工場施設による大気汚染、水質汚染、施設の老朽化、あるいは不必要と化した施設の廃棄などは、設計時からいくつかの対策がなされていた。

 廃棄施設を用いた緑地公園プラント計画もそのひとつである。
 緑地公園プラント計画とは、老朽化した生産プラントを一部を残して解体し、また地下ポンプを転用することで、緑地化を促進するプラントへと再利用する計画である。
 人工庭園の天井は日陰を作り、壁は乾いた風による地表の砂漠化を防ぐ。
 コンクリートが打たれた床は、随所で雨水を貯めるプールを形成し、雨水の蒸散を緩やかにし、地下ポンプはライゲツ油の代わりに地下水を汲み上げる。
 ポンプは同時に砂漠地層に体積した塩分をまきあげた。
 この辺は、宰相府の砂漠緑地化用ロボットと同じ理屈である。
 人工庭園化するには、沼地が土壌を形成し、やがて森と化すのと同様のプロセスを行う。
 そのため、生産プラント廃棄後も長い年月が必要となるが、浅田の緑地化技術も併用され、居住区近くの廃プラント――第一プラント跡地緑地公園は、現在では緑の森と化している。
 第二、第三の廃棄プラント群も緑化が進み、順調に人里離れた自然としてキノウツンに緑をたたえている。

 宿泊、温泉施設は改装後、維持存続されており、キノウツンの新たな観光スポットとなっている。燃料事業の環境対策及び緑地化技術のモデルケースとして、海外からも訪れる研究者は後を絶たない。


工場隣接居住施設

 経年に連れ、居住区と油田との距離は、新たな油田ほど、必然遠くなりつつある。
 工業地帯に住まえどまだ遠いのだ。
 両間には四車線の道路が延び、ラッシュ時には7分刻みのスケジュールで往来している。
 通勤には不便はないが、それでも忙しい時期は帰る暇さえない労働従事者も多く、各工場ごとに宿泊施設が設けられるのが常だった。
 これら施設は、施設備え付けの仮眠所などではなく、公営のきちんとした宿であることが多かった。
 全室ベッドルーム、エアコン完備、個室あり、風呂(地熱温泉)、保健室など各種衛生施設から、売店、ゲームセンター、食堂は勿論メイド喫茶であり、それとは別にカフェ用のメイド喫茶も存在し、さながらビジネスホテルである。
 実際、外来の客もここに寝泊まりすることができた。

 社宿にかかわらず、ここまでアメニティが行き届いている理由には、施設工場地帯という世間一般とはとかく離れがちな場所で勤務する人たちに、少しでも生活感を持ってもらおうという配慮からである。
 また、工場勤務者の家族など、勤務者以外の居住区民労働需要に応えるためでもあった。

 場所によっては廃田となり緑地プラントへと変容した後も、観光客相手の宿泊所となったりするケースがあった。

燃料精錬所


 精錬次第で様々に特性を変えるライゲツ油を、精錬しブロックごとに管理する施設が燃料精錬所である。
 プラント5区画に対して1区画程度の割合で建造され、パイプラインを通して原油を集約する施設がここにあたる。
 精製した燃料はそのまま様々な方法で輸送されていくいくため、燃料と人と機械の集約施設とも言えた。
 大規模かつ、性格上様々な居住、輸送、研究施設が密集して立ち並ぶ精錬所区画は、航空図から見れば都市のようでさえあったという。


新素材研究所


 精錬施設に併設された建築物で最も有名なのは、新素材研究所である。
 様々な性質を持つライゲツ油を実験調査する機関であり、キノウツンの科学の粋を極めた場所とも言えるであろう。
 デザイン建築の際だつモノリス状の研究施設では、研究の集大成である飛梅雷球で作られたイルミネーションが、見る者の目を楽しませる。
 夜に煌めく雷球の光は幽玄で、施設内は関係者以外立ち入り禁止にもかかわらず、その幻想的な明かりを見るために訪れる者は多い。



地熱発電所

 再生可能エネルギーとして注目されている地熱発電は、現在研究中の新技術でもある。
 地熱発電で無限に得ることの出来る電力を、ライゲツ油から精製した飛梅雷球に充電し高出力電池を得る、その核ともなる実験施設である。
 このシステムが完成すれば、燃料としてのライゲツ油は再利用可能な媒介として利用されることとなり、現在の燃料生産システムに革命を起こすことになるだろうと見込まれている。
 地熱発電所は、マグマのエネルギーを利用するため、燃料生産区とは離れた場所に存在する。
 研究が進めば、飛梅雷球生産工場が、精錬所と発電所を結ぶように設立されることであろう。


Maid cafe ~was made again~

 メイド喫茶は絶えたのだろうか。
 それは、違う。
 奉仕の心さえあれば、そこにメイドはあるのだ。
 故に、メイド喫茶もまた不滅なのだ。

カフェ『ブラックブラックマンデー』


「(どうしよう...恥ずかしい)」
 ホットパンツから露出する肌を隠そうと身悶えする浅田(人妻)。

 防砂加工をしたキャンピングカーの移動喫茶。
 それがブラックブラックマンデーである。

 ムラマサ事件以後落ち込んでいたのは、燃料生産地も同様である。
メイド喫茶は風前の灯火どころか一度潰えたとさえ言われていた。
 しかし、そんな風評に負けじと立ち上がったのが、キノウツンメイドさん達である。
 別に風評に抵抗するために立ち上がったわけではない。
 そこに、癒しを求める人がたくさんいたからである。
 彼女たちはいつでも、人を癒すために立ち上がるのだ。

 諸事情さておき、車一台から始められるBBMはメイド喫茶復興には最適だった。燃料は山ほどある。支援する人たちも、いっぱいいた。
 たとえばそれは、新素材研究所で、彼らは飛梅雷球の蓄電池モーターエンジンを冗談抜きで、メイド喫茶復興のために開発した。
 彼らの開発力はメイド喫茶復興のためなら、十倍にも二十倍にもヒートアップしたのである。
 かくして、砂漠を渡るメイド喫茶は再び新たな力を得て、復活。
 キノウツンの天地に再び、メードさんの慈愛が溢れるようになるのである。

 ・
 ・
 ・


 彼女らも、そんなメイドさん達の一員ではあった。

「めいどさーん。コーヒーおかわり」

「はあい...」
 もじもじしながら、おかわりのコーヒーを注ぐ浅田。
 お客はその姿を、懐かしそうに見ている。
 視線を感じて、浅田は死にたい...と呟いた。

「は、恥ずかしいなら、キッチンにいて良いよ」
 ばん、と登場したのは大概の予想通り遥であったが、その遥の方がよっぽど真っ赤だった。

 ホットパンツにタンクトップ、申し訳程度にエプロン。
 それが、ブラックブラックマンデーの制服である。

 視線を感じてか、遥は更に耳を真っ赤にして
「わたしがやるから」そう叫んだ。悲壮感。

 それはそれで是非見たいと思ったが、さすがに浅田が止めた。
 ふるふると首を振って微笑む。

「いいの。私だって、たまには戦う以外で援軍したいから」

「っ」息を呑む遥。「――わかった」

 何を感動したのか、遥はそれで納得したらしい。
 キッチンに帰っていった。

 そんな小芝居があったところで、肌の露出量は変わりはしないが。
 店は盛況、世の中平和である。



雑話

バトル・オブ・キノウツン

「で、なんで戦闘が」

この入り方もマンネリだな、とひとりごちたのは高原である。

「血が騒ぐ――するわ、しておるわ。狂気の気配が、くくく」

 狂気というか驚喜しているのは小宇宙だった。
 鮫のように邪悪に哄笑している。

「――帰りたい。肌が荒れる。暑いし」
 生産プラントからもくもくとあがる煙を見上げて、蓬莱山。気むずかしげだった。
「ていうか、何で私、メイド喫茶応援班じゃないの?」

「一応、五重のフィルターで無毒化してるんだけどなあ。あの煙とか...」

 遠く陽炎の向こうの生産工場を見やって、青狸。

「気分の問題じゃないか。確かに暑いな。
――言葉の前後ろに暑いとつけたくなるぐらいに」

 と、船橋。以上がメンバーである。
 居住区から少し離れた岩の多い砂漠に5人。
 変身前の戦隊ヒーローみたいではある。

 他のメンツは別の仕事をしていた。

「暑いなぁ。めずらしいな、アシタは来ないのか?」

「――暑いねぇ。あいつなら、冷房効いた政庁で地質学の講義をしてるな。満員御礼だ」

 アシタ素直は知る人ぞしる地質学者である。
 キノウツンの地形地質で彼の知らないものは何もない。
 油田を探索する者たちにとって、アシタは神なのであった。

「なにこのなに、この差。暑いし」

「あはは、今回、貢献度的にいえばあいつが一番上なんだよねえ。こんなに暑いのに、理不尽だ」

「うおおおおおお」間が持たなかったのだろう、番長が吠えた「熱ぃぜえええええええ」

「あいつのはなんか違うな」 と、船橋。「漢字とか」


 ともあれ、バトルであった。
 目の前にいるのは大量の、黒いカニである。
砂漠のカニだった。
 そのカニが輸送コンテナを持ち上げている。戦利品だろうか。
 あきらかにサイズがおかしかった。カニ型I=Dと説明されれば納得しそうなほどに。
 そんなカニがわんさかいた。カニの穴だ。
 カニたちははさみをガシンガシン言わせて威嚇している。
 アジトに訪れたこちらを、攻撃対象と見なしているみたいだった。

「ま る で ー」

「まるでもなにもカニだよ、というかそれ以上歌うなよ」

 危険な気配を感じて、蓬莱山に釘を差す高原。

「なぁに、」と、青狸「俺たちのセッション音撃にかかれば」

「攻撃だろ、音撃いうな」

「雌が強いんですよねえ」

「そりゃ、Aマホだろう...」

 ため息ついて、高原が一歩前に出た。
 鞘から剣を引き抜き、顎から拳一個ほど離れたところに抱えあげる。
騎士の剣を装備しているときの敬礼に似ていた。
 翠玉の嵌め込まれた刀身に、彼は祈りを捧げる。

「高原鋼一郎の名の下に命じる! 
剣よ、我が慈悲と正義の心を持て、その秘めたる力を――顕現せよ!」

 突如、翠玉が目映い光を放った。
 そして、刀身に蔓草の意匠が芽吹くように浮かび上がり、複雑な蔓草模様を編み上げる。
 高原の名剣「植物の剣」が慈悲なる呼びかけに応え、悪を断つために自ら姿を変えたのだ。 

 そこにカニのハサミが、襲いかかる。
 前進することでそれを躱し、神速で斬りつけると、カニのハサミは腕から千切れて舞い上がり、砂漠へと埋もれた。

「終わりだ!」

 大上段に斬りつける。
 とどめの一撃。
 だが、その一撃を横から現れた更に大きなハサミが受け止める。

 ハサミを失ったカニよりも、一回りはでかいカニだった。

「っ、でけえっ。大小つがいの大ガニ。まさか、本当にレムーリアのカニなのか? こいつらも移住者ってことかよ」

 堅い甲殻に阻まれ、刃は明らかに切れ味を鈍らせる。
 舌打ち、

「仕方ない。まさか、カニ相手にこれを使うとは思わなかったが――」

 言うがいなや、高原は剣を水平に構え、目を閉じる。
 大気が震え、大地が鼓動する。

『剣聲開放――円刃、翡翠蓮華!(ひすいれんげ)』

 剣の翠が、深緑にまで染まり、蔦の文様から緑の葉が溢れ、旋風を巻き起こし中空を舞踊する。
 植物の剣が生み出した無数に舞う睡蓮の葉は、その全てが刃である。
 円を作る刃葉の盾。それが高原の剣聲が生み出す最終剣技だった。

「...悪いな。この状態の俺の剣を見て生きていた敵は誰もいない。おまえさんに恨みはないが、退治させてもらうぞ。」

 冷酷に宣言する高原。


 それはさておき、
 高原とカニのバトルがヒートアップする中、船橋は一つ頷いて。

「まあ...たびたび襲われたのでは、国民が安心して燃料生産できないんでな」

 ちなみに、このカニの巣窟(そのままだが)を見つけたのは彼の追跡能力のおかげだった。

 いぶし銀である。地味ではない。

「カニに襲われる工場なんて聞いたことないので辞めますね^^;」

 ひどい理屈だとは思ったが、誰もつっこみはしなかった。

「まあ、いいんじゃないか」船橋も頷いた。「カニ食えるし」

 といっているうちに、他のエリアでも戦いが始まっている。

「よっしゃあああ! カニパーティじゃあああああああああ!!」

 眼光に、カニたちがビビってのけぞる。
 純然たるパンチで甲殻が粉砕されていく。
 かと思えば、その辺の岩を、持ち上げて投げつけた。

「ふふ、煮ても焼いても食えそうだ...」
 完全にいっちゃった目で、蓬莱山が刀の刃をぺろりと舐めた。
「鍋がいいよねえ、やっぱり」

「食うのかよ...あれ」

 なんだかんだで出遅れた船橋は、一人その様子を静観しているのであった。

 この、キノウツン裏歴史10大謎バトルの中でも、最たる謎のバトルは謎のままに収束された。
 この戦いによって燃料生産地に貢献できたかどうかは、謎である。




イラスト(庄津K太郎)(KATZE)(キノウ=ツン)
文章(アシタスナオ)(高原鋼一郎)(はる)