キノウツン藩国 @ ウィキ

キギさんが勲章を受け取っている感じ

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匿名ユーザー

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キギ@無名騎士藩国
作戦参謀。
アイドレスの作戦と名の付く作業のエキスパート。
作戦ライブラリ創設者。
最古にして最長の参謀。

彼の参謀としての歴史は参謀本部が発足されるよりも昔に遡る。
そして――猫の関わる戦争のほぼ全ての作戦立案に、彼は関わった。


参考資料:個人的な参謀仕事まとめ。byキギ

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E18はじめての戦争:対アウドムラ戦の作戦原案提案
E40キノウツンの誇り:たけきのこ救出戦の作戦原案のみ提案
E41第1次共通資格試験:参謀4級取得
E56同時多発爆発:無名騎士藩国の作戦案作成および作戦参謀
E59決戦FVB:ロジャー防衛の原案の提案
E65作戦立案:ゴロネコ藩国偵察作戦案の作成および偵察指揮
E65作戦立案:玄霧藩国偵察作戦案の作成
E65作戦立案:宇宙(FEGリンクゲート)偵察の原案の提案
E65作戦立案:小笠原偵察作戦案の作成(未使用)
E69青森救出戦:青森救出作戦の原案の提案
E70亜細亜の曙:原案の提案および作戦参謀
E72ゴロネコ藩国防衛戦:原案の提案
E72玄霧藩国防衛戦:作戦案の作成
吏族ダンパ小笠原偵察:作戦案作成および作戦参謀
吏族ダンパ広島偵察:作戦案作成および作戦参謀
吏族ダンパ小笠原決戦:作戦案の作成および作戦参謀
吏族ダンパ後ほねっこ偵察:作戦案検討および作戦参謀補佐
後ほねっこ男爵領奪回戦:作戦案検討および作戦参謀補佐
E80広島侵攻:作戦班として作戦案検討および作戦参謀
E85故郷への長い旅:作戦班として作戦案検討およびオペレーター部隊運用の提案
E91ガンパレードブルー:作戦案検討および作戦参謀
E98九州会戦:作戦班として作戦案の腹案作成や検討
E101ラーカウ要塞攻略戦:作戦班として作戦案の検討
E102白いオーケストラ再び :作戦班として作戦案の検討

作戦ライブラリ:随時、戦闘イベントに提出された作戦概要や補正用作戦のまとめ
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――その場所は設定にはない。

 どこかのどこか。
 赤煉瓦の壁に大きな窓を壁一面に張り巡らせた、どことなくヨーロッパの学校校舎を連想させる建築物である。
 その3階建ての...みすぼらしいとは言わないが質素な建物こそが、『にゃんにゃん共和国参謀本部』 だった。

 とはいえ、それは見かけだけのこと。
内部では現在建築学の粋を極めた構造物と設備によって、

「――と言うことではないのであしからず。」

 見たまま町役場程度の建物に、全国から参謀たちが詰めかけている。
 それが参謀本部の実態なのだ。

 キギは誰にともなく呟いて苦笑した。

 現在の参謀本部は休業中なので忙しくはない。
 とは言え、何人かの事務員と参謀長だけは、残務処理に追われていた。

 今はというと、事務室の誰もいない机で、乃亜1型が一人リザルト処理をしている。
 仕事時間が足りない~とは本人の言だが、実のところオーバーワーク気味である。まことにお疲れ様です。

 事務室は教室ほどの部屋にデスクが所狭しと並べられていた。
 というより有り体に言えば狭い。
 ターン中頃の参謀大増員に耐えきれていなかった。

 人が増えた昨今では「参謀本部は狭すぎる、いやショボすぎる、増築すべきだ、いやいっそのこと新築するべきだ」 との意見が絶えない。
 もっともな話だがそれを言われたときの、上層――とりわけ古参は苦笑して「そうだなあ」と言うだけである。具体案が出ることはなく暗黙に却下されるのが常だった。

 キギにしてもこの狭苦しい人が机の間を横になって歩くような参謀本部に愛着を持っていた。
 低い天井も、音を立てる木の床も、誰かの拳で穴の空いた板壁も。
 それらを見るたびに今はいない人間の足跡、らくがき、面影が幻となって庁舎と重なる。

 視線の向こうで乃亜1型が下敷きで顔をパタパタあおいでいた。
 ちなみにこの参謀庁舎、空調がない。天井で居酒屋とかによくある巨大な扇風機がぐるぐる回っている程度である。クールビズどころではない。
 冷房ぐらいは付けるべきだと思うが、断熱効果など期待できない造りの隙間部屋なのでクーラーなど無駄だという意見で終わるのが常だった。
 
 断熱改装ぐらいはしてもバチは当たらないと思うんですけど。

「ところで、なぜ呼ばれたのでしょうか」

 事務室とパーテーションで区切られただけの「参謀長室」で、両足を机にあげている参謀長――玄霧。
 参謀服も着ず、開襟シャツの胸元をはだけ汗をだらだらと垂らしながら、ガリガリ君を食べている。
 蹴っ飛ばしてやろうかと思いつつキギは訊ねたのだった。

「んにゃ、っと。よいしょ」
と言ってガリガリ君を口にくわえてのけぞった。
勢いを付けて座り直そうとしてそのままこける。
「んぎゃあ」

 このひと万能執事目指してるんじゃなかったっけ、と思いつつキギはぐるりと室内を見回す。
『ノーダイス・ノーヒーロー』
 と書かれた明朝体の張り紙。
 キギは知っている。以前の参謀長が随分昔に貼ったものだった。
 いい標語ですねと聞いたら、沈鬱そうな表情で「あはは」と笑ったのを思い出す。
 まあ、いろいろやりきれないところがあるらしい。

「あー痛。いやいや、暑い中ご苦労様。休暇中なのにねえ」
「まったくです。これでしょうもない内容だったらぶっ飛ばしますよ」
「実は、オレが進言した結果、キギさんに勲章が出ることになりまして」
 玄霧は話を無視してガリガリ君のバーをゴミ箱に捨ててから、抽斗を探った。
「どこだったかな」

「勲章? 参謀勲章でなくて?」
「うむ、参謀勲章でなくて。オレがキギさんって参謀の鏡だよねーって進言した結果、特別に貰えるのよん」

 そう言いつつも玄霧は参謀長デスクの抽斗を探り続ける。
 ごそごそ動く腕の肩口には腕章で『オレってちょーえらい ビクトリー・グミ最強』 と筆書きされていた。
 まあ、こういう人だなあと思いつつキギは半目で事務所――パーテーションの向こうを覗く。乃亜1型は時間が空いたのかお弁当を食べていた。

「あった、これだ。はい、あげる。受勲おめ」
「はあ」

 と、両手の平に収まるぐらいの箱を投げ渡される。紺色のつるっとした生地で覆われた指輪とかを入れるあれだ。
 ちなみに玄霧が掴んでいた部分が汗でにじんで濃いシミになっていた。
 いろいろとため息をつきながら、ゆっくりとケースを開くと、中には柏葉の付いた勲章。
 勲章部分も豪華で剣と槍と翼、銀色に黒と赤が混じった拵えになっている。

「柏葉付勲章というらしーよ」
「そのままですね」
「ちなみに賞状の方は、郵送してるから」
「なら、これも郵送してくれれば良かったんじゃあ」
「ん~む。やっぱりこういうのはてづからじゃないと雰囲気出ないじゃなーい」

 これで雰囲気が出ていると思っている玄霧の脳に驚異を覚えつつ、キギは勲章を手にとって眺めて目を閉じる。

「ありがたいですけど――僕なんかが貰って良いのでしょうか」
「あー、まー言うと思ったけど。作戦ライブラリ、アレのお陰でかなり助かりましたし」
「ライブラリですか」
「うむ、作戦ライブラリの登場で各国の作戦も立てやすくなったし、一つの場所に纏められてるので検索性もいいし、管理は大変だっただろうね、と」

「そりゃあまあ大変でしたけど、」
 どちらかと言えば楽しかった。趣味でやっていた部分もある。
「それにあれは、自分の不甲斐なさを痛感して、それで作ったものです...」

 思えば、猫の戦術面での不得手を指摘されてからの発足である。
 自分の心が一度折れて、真の作戦参謀として進むきっかけになった出来事。

 イラスト、応援が限界を突破して効力を上げていく中での作戦補正の頭打ち。個人の限界、あるいは無知を痛感した。
 そして考え抜いた末、難しいと言われていた作戦の広域募集を行い、そして、

「――痛感して、そして広島戦で作戦補正は限界突破をした」
 玄霧はにやりと、いやらしく笑った。
「むろん個人として戦術、戦略の勉強もしたけれど、でもな。それよりも、作戦をすべての藩国に募集して、それを班長としてまとめ上げて提出した。
 オレはそんな自分を奢らずに人々の協力を無限に発揮させる――そんなキギさんの後押しこそが実を結んだんだって思うのよ」

「そんな、大げさですよ。あのときだって反省しなきゃいけないことがいっぱいありましたし...」

「いやいや。んでもって、キギさんはそこから募集した作戦やその結果を、保存、データソース化してライブラリを作成した。それが作戦ライブラリ。
 ライブラリ。あれはいいよ。過去の戦闘イベントから戦術を学ぶこともできるし、各国のエキスパートの意見を蓄積できる。戦闘単位が藩国ごとになっても生き抜けたのは、あれのおかげだと思うよ」

「でも、マジックアイテム探しでは流用できませんでしたし」

「参考にはできたさ」

「しかし、あれは持ち込み品として維持費もいただいておりますし――」

 なおも食い下がるキギに、玄霧は「う~ん」と唸る。
 立ち上がって、どう言おうかなあという表情だった。
 視線を彷徨わせながら、あちこちを見る。
 ふと、その視線が何かを見つけた、

「ん~まあ、これは言うつもり無かったんだけど。でも言った方が良いのかなあ。」
 そんな前置きをしてから、玄霧は。
「別に、ライブラリだけじゃないよ」
 と言った。
 彼が見つけたのは天井近くの額縁だった。
 それは、ターンごとに映された集合写真で、玄霧とキギはもちろんすべての写真に写っていた。玄霧は写真の中心――つまり中期の写真を見ている。時期的にはゴロネコ・玄霧防衛戦の頃だ。この頃の参謀本部は物凄く数が少ない。4・5人動いていればいい方だった。
 玄霧とキギは共に指揮官として両国の防衛に参加した。
「あのころ、キギさんが全ての作戦を担っていた。どんな逆境でも青森防衛イベントが起ころうとも、全部やってくれた。オレたちも、キギさんならやってくれると信じてキギさんに頼った。今思えばむちゃぶり以外の何者でもないんだけどなぁ」
 と、玄霧は苦い思い出を噛みしめてデスクに肘を置いた。
 そして、ここだけは真剣な表情で、
「作戦補正が頭打ってよーがなんだろーが、そんなの関係ねぇよ。あんとき、そんなコトをやってくれる――くれた人はキギさん。あんたしかいなかった」
 苦笑。真剣な顔が続かなくなって、もとの玄霧らしい顔に戻る。
「もちろん、ライブラリのキギさんも作戦班長としてのキギさんも感謝している。
...でもなぁ、オレはあのころのキギさんに一番ありがとうって言いたいのよ。そんでもって、そのあと心が折れても...くじけても...それでもずっと、最初から最後までいっしょに戦ってくれた、陰でみんなを支えてくれたキギさんにお疲れ様って言いたいのよ」
 くしゃくしゃと笑ってからキギの持つ勲章を拳でこん、と叩いた。「内緒だからな」と、前置きをして、
「てーなわけで、猫参謀にして参謀長である玄霧は、その柏葉の勲章を無名騎士藩国のキギに授ける。受け取ってくれるな?」

 玄霧の一方的な演説に、キギはしばらくぼんやりしていた。
 参謀長室(兼事務室)の熱さのせいでおでこからはだらだらと汗が流れている。せめて冷房は必要だなとまた思った。外ではまだ夏と勘違いしているのか、蝉が盛大に大合唱をしている。
 パーテーションの向こうでは、乃亜1型がリザルト提出の遅れている藩国に催促の電話を掛けていた。
 煉瓦にはめ込まれた大きめの窓の外には、建物を覆うように生えた木々の風景。
――微かに笑ったのだろうか。
 少し開いた口でキギは、玄霧に応えた。

「背景の木の役」

「?」

「いえ、背景の木の役みたいに目立たなくて...それこそ、どこかにでもある木々のように存在して舞台の一員としてこっそり頑張っている。
――そんな風になれたらなって、昔思ってたんですよ」

「ふうん」
 玄霧も窓の外を見た。
「まー、ずいぶんとでっかい木になっちゃったねぇ」

 それには応えなかったが、かわりにキギはもう何も言わなかった。
 玄霧はそんな彼の顔を眺めてから口の端を曲げて笑みをつくった。

「柏葉勲章、受勲おめでとう」
「はい」


(終わり)