とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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騙し愛



上条宅。現在インデックス一人でお留守番している。
上条はというとインデックスが唯一部屋の中でおとなしくなる時間『超機動少女カナミン』
の放送中を狙って必要最低限のお金をポケットに突っ込んで激安スーパーに買い物に行っている。
もちろんそのことはインデックスに伝えているため、アニメの終了時間に帰るだろうと
お互い考えていた。

そして『超機動少女カナミン』が終了した。

「とうま、遅い」
プリプリと怒り出すインデックス。次回予告が終わった直後にこの一言。噛み付くくらいの
短期な性格のせいなのだろうか。

ピリリリリリ!
上条宅の電話機が着信音をならした。機械音痴なインデックスはこれを押すだけで会話
ができると教わっていたので通話ボタンを押し、耳に受話器を当てた。

「はい、こちらインデックス・・・じゃなかったかみじょーです」
『・・・・』
「あれ?もしもし?」
『・・・・あー、もしもし』
「もしもし?とうまなの?」
『そう!とうまだよ!』
「早く帰ってくるんだよ!お腹減ったんだからね!」
『ごめん、ちょっと問題が起きて・・・』
「また魔術師に追われてるの?」
『え?魔術?あの~子供を怪我させてしまって』
「なんて悪い事してるんだよとうま!早く謝るんだよ!」
『それが治療代にお金が必要になってしまって・・・』
「ふうん、で?」
『キャッシュカードの番号知ってるかい?忘れたから教えてほしいんだけど』
「わかった。ちょっと待つんだよ」

インデックスは上条が不幸体質でカードを踏んでしまわないために小さい収納ケースに
入れている事を知っていたのでそこから取り出した。

ガチャ。
そこで家主である上条当麻がスーパーの袋を持って帰宅した。

「ただいま~・・ってインデックス、何故カードと受話器を片手に持ってるのでせうか・・・」
「あれ?とうまが帰って来た。電話の向こうのとうま、カードの番号はね・・・」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!!!!!」
プツッ
上条の手によって電話の通話は遮断された。

「とうま!子供を怪我させたんでしょ!」
「その前に!!今の相手は誰だ・・・」
「とうまだよ?」
「じゃあ何故俺がここにいる!今のは恐らくだな・・・・・・ガミガミ」


この日インデックスは上条にたっぷり説教された。いつも悪い人に説教する物だが今回は
インデックスの世間知らずのレベルが酷いということでもっと常識を学べ!等怒られた。

おれおれ詐欺。この学園都市でもまだ滅びてないのかと上条は不安になる反面、なんとか
インデックスの失態を防げた事もあったので少し今回の出来事は面白かったりもした。

         ☆

翌日の放課後、上条は恋人になり今はラブラブな御坂美琴と一緒に帰っているのだが美琴
にとっては全く面白くない事が起きた。
上条から珍しく楽しそうに昨日のインデックスの話を話始め、美琴も笑いながら聞いていたが
邪魔者が入ってきた。
上条のクラスメート、土御門元春が。
偶然ばったり会ってしまい、ばらされたくなかったら俺も一緒に帰ってもいいかにゃ~と
脅しをかけてきたが上条はあたふたする素振りもなくいいぜと返事した。
上条も美琴も誰にも言ってないのでこれで知っているのは土御門のみとなった。
そして今、美琴は二人から少し離れて歩いている。

ガールズトークというものがあるのならボーイズトークもあるらしく、二人とも下品に
がっはっはと笑っていた。
それを気にして美琴は少し距離を置いていたわけだ。
上条は昨日のインデックスの話を美琴と全く変わらない内容で土御門に喋っていた。
土御門はその話題を聞いてさも下品に大笑いしていて、それを後ろから見ていた美琴は
置いてけぼりにされた感覚で嫉妬していた。

(何よ面白そうに男だけで話しちゃって・・・少しからかってやろうかしら)

悪戯心に火がついた美琴は二人からまた少し距離を開き、携帯を開いて上条にカーソルを合わせ、
非通知発信にして電話をかけた。


「おっ、電話だ。俺に電話かけるのって美琴か土御門くらいしかいねえのによ」
「出ていいぜいカミやん」
「非通知!?誰だろう?」
「変な電話ならすぐ切ればいいぜい」
「そうだな、じゃあちょっと失礼」

「もしもし?」
『上条くんかね?』

低い声だった。もちろん相手はすぐ後ろにいる美琴なのだが上条なので気付くハズ
もない。ちなみに土御門は美琴がかけている事に既に気付いており、笑いを堪える事に
集中した。

「えーと、どちらさまですか?」
『・・・・土御門だ』
「えええ!?」
『声が大きい。俺はテレパシーで今話しかけているんだ』
「お前そんな能力もっていたのか!?」
『また声が大きい。そして隣の俺を見るな!』
「あ!悪い・・・」

いつも猫みたいな口調で喋る土御門だから変だなと気付くハズなのだがそこはやはり上条。
そんな事は全く忘れて必死に耳を傾けた。
土御門はこの通話の内容を地獄耳を使ってニヤニヤしながら聞いていた。

「んで、テレパシー使って何を言おうとしてんだ?」
『驚かないで聞いてくれ。実は俺・・・・』
「・・・・・・」ゴクっ
「・・・・・・」ニヤニヤ

『御坂美琴の事が好きなんだ』
「な、なななんあなんな何だってええええええ!????」
「ブフ!!」

たまらず土御門は吹きだしてしまったが上条は急なカミングアウトと勘違いしているので
ここでも気付かない。
美琴も笑いを堪えて続けた。

『彼女に聞こえたらまずいだろ?だからこうやって伝えているのだよ』
「そ、そうか・・・・」
『お前の彼女だが俺は諦めない!覚えとけ!』
その言葉を最後に通話は途切れた。

「土御門、お前・・・・」
「そ、そういう事ぜよ(やばい、気を抜いたらまた吹き出しそうぜよ)」
「絶対お前なんかにやらねえからな!!!」

殺伐とした二人(上条だけ)の後ろで美琴は声を押し殺して大爆笑した。
(あ、アイツ、本気になってんの!鈍感な故に単純って最悪じゃん!)

いち早く美琴の様子を見た土御門は素早い行動で美琴の隣に立った。上条はあっ!とした
顔をするだけで何もする事ができなかった。
そして土御門は小声で御坂に話しかけた。

「超電磁砲、君はとんでもない事を思いつきやがったにゃ~」
「聞こえてました?面白いと思いまして」
「最高ぜよ。もし良かったらもうちょいカミやんをいじめたいんだが」
「当麻をからかうなら問題ナシです。じゃあ協力してもらってもいいですか?」
「了解だぜい。とりあえずこれから・・・・ヒソヒソ」
「ブフぉ!それ傑作ですね。わかりました!」

上条をからかう作戦会議が終了すると土御門はささっと上条の隣に戻った。上条は何を
耳打ちしたんだよとしつこく質問していたがそれを美琴が打ち切った。

「ねえ当麻、もしよかったらこれからお茶しに行かない?」
この言葉に上条は心から喜んだ。ほら見ろやはり美琴は俺を選んでくれた!と。
「も、もちろんお供します!地球の果てまでも!!」

悪かったな~土御門、これから二人きりでデートだからあ~ばよ!
と言ってやろうと思っていたがそれもまた美琴が打ち切った。

「もしよかったら土御門さんもご一緒しませんか?」
「おお!いいのかにゃ~お邪魔虫になっちまうぜよ。女の子に誘われたの初めてだにゃ~」
「全く構いません。土御門さんは当麻の大切な友達ですから」
とてつもない営業スマイルだったが土御門も把握済みだ。

「・・・・・・・・・・・・」
上条はこれぞ開いた口が塞がらない状態だった。

         ☆

喫茶店に到着。先程とは逆に美琴が先頭に立って二人を案内し、中に入ると美琴は真っ先に
一番奥のテーブルに座り、その隣に土御門が隣は譲らん!といわんばかりに座った。
もちろんこれは土御門と美琴の作戦だなのだが上条はその行動を見て呆気にとられた。
普段の上条なら誰がどこに座るとか考えてなかったのだが先程の土御門のテレパシーと
いう美琴の電話により俺の隣は美琴が座るのが当然だと考えていたが土御門が美琴の隣に
急いで座る様子を見て、コイツ本気なのか・・・と愕然とした。

でも負けじと美琴の目の前に座った。

(超電磁砲、どうやらまずは効果てきめんみたいぜよ)
(みたいですね。大体座る席なんてどっちでもいいのにこれだけの事にムキになっちゃって)
「おい二人とも、ひそひそ話してないでさっさと決めろ。俺はとっくに決まったぞ」
珍しく上条がイライラした様子でメニューを開きながら話しかけた。

「あ、ゴメンね。私はもう決まったから」
「おっ!御坂ちゃんは何にしたのかにゃ?俺もそれにするぜい」
(ちゃ、ちゃんだと?・・・・)
「当麻、何勝手にワナワナしてんのよ。早くボタン押して店員さん呼んで・・・」
「・・・・・・・・」

美琴が今まで見たことない上条の怖い顔を見た。ギラッと土御門を睨みつけながら
呼び出しボタンを押した。

(土御門さん、当麻本気にしているみたいだし怒っているみたいですよ)
(安心しろい。俺が上手くはい!ドッキリ大成功~まで行ってやるぜよ)
(これが原因で別れる事があったらぶっ殺しますからね)
(可愛い顔してとんでもない事言うにゃ~。そのへん俺はプロだから安心しろい)

それから注文をしてドリンクが運ばれ、全員が飲み終わるまで土御門は作戦としてずっと
美琴に話しかけていた。まさに上条が美琴に話しかけるタイミングを全て崩すかのように。

(さあ超電磁砲、次の作戦に移るぜよ)
(了解!)
上条の目の前でも構わず耳打ちをした二人は作戦を実行した。

「当麻、土御門さん、私トイレに行ってくる」
そう言って美琴はそそくさとトイレにかけこんだ。フリをした。実際上条から見えない
死角に行きここで先程の電話をやろうとの考えだ。土御門と入念なネタ合わせをしたので
通話が土御門に聞こえなくても問題ない。
美琴が遠くから二人を見ていると上条が土御門に何やら怒った口調で話しかけていた。

「土御門、てめえ俺の彼女にあそこまでやるとはふざけすぎだぞ!たとえ好きだとしても!」
「俺はカミやんから奪うつもりで行動しているぜよ。友人の彼女だからと言って恋に
ブレーキはかけられないにゃー」
「だとしてもアーンはねえだろアーンは!まだ俺もやってないっつーの!」
「でも御坂ちゃんは拒否したぜよ。これはどっちが先にアーンにたどり着くか・・・
あっ!ウエイトレスさんお冷やのおかわりちょうだいぜよ!」

これは美琴に今電話をかけろとの合図だった。それを確認した美琴は非通知にする事を忘れずまた上条に電話をかけた。

ぴりりりり!
「また非通知・・・てことはお前か?」
「・・・・・早く出てくれい」
土御門はそう言って両肘をテーブルに立て口を隠すように両手を口の前に置いた。
これで上条からは真剣に見え、笑いを堪える準備は完了。
恐る恐る携帯を耳にあてた。電話の声の主はもちろん美琴だが土御門のテレパシーによる
物だと上条は未だに信じていた。



『いつ御坂ちゃんがトイレから戻ってくるかわからないからこうやって伝える。俺は本気だ』
「本気だからって美琴がお前を選ぶとは決まってない。美琴は俺を世界で一番愛してるって
言ってくれたんだ!」
『お前はそれにどう応えた?』
「もちろん俺も世界で一番愛してるって応えたさ!!」
「クク・・・」

拳を握り大きい声で電話に向かって堂々と告げた上条を見て土御門は必死に笑いを我慢した。
美琴は失神しそうになったがなんとか踏ん張り土御門との打ち合わせ通り続けた。

『じゃあ御坂ちゃんのためならなんでもできると?』
「当たり前だ!あっ、金銭面以外ならだけど」
『なんでも・・・ね。なら今ここで御坂ちゃんに愛の言葉を叫べ』
「トイレに行ってるじゃねえか。戻ってこないと無理だろ」
『そうか・・・なら俺が今トイレにいる御坂ちゃんに向かって気持ちを伝えるぜ。
俺の声は響くからトイレにいても聞こえるだろう』
「それは困る!」
『お前が困っても結構。じゃあ俺が気持ちを・・・』

ぷつっ
通話が切れた。
「あれ?もしもし!!」

土御門は美琴が通話を切った事を確認するとおもむろに立ち上がりトイレの方向に体を
向け、口に手を当てた。今にも叫ぼうとする仕草で。

「すう・・・・」
(うおおおおおおお!告白なんか死んでもさせん!!その幻想をぶち殺す!!)

「美琴ぉぉおおおおおお!!わたくし上条当麻は世界でいっっっっっっっちばんお前を愛してるぞぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

土御門を制止させるつもりでトイレに向かって愛を叫んだ上条。だがその行動はまず周りの
お客さん達の目を一気に引きつけてしまった。
シーンとした空気の中で一斉に上条を見つめるお客さん一同。土御門はもうたまらず大爆笑。
たまらず上条は顔を真っ赤にしながら席についた。

「うひ、うひひひ!本当に言いやがったぜい!」
「お、お、お前に言わせてたまるかってんだ!恥ずかしくても俺は負けないからな!!」
「お~っと、もう一回テレパシーするぜい」
土御門は遠くで漏電しかけている美琴に合図をして再び電話をかけさせた。

ぴりりり
「何だよ!また美琴が戻ってくるからテレパシーってか!?」
『・・・・・・・・・・ホントにバカ』
「・・・・・・・・・へ?」
『私によく伝わったわよ。後ろを見て』
電話の言葉通り振り返ると美琴が電話を耳に当てたまま立っていた。

『「おーい」』
電話の声と美琴の声が少し遅れながら聞こえてきた。

「・・・・・・・・・へ?」
『どうせなら直接言ってもらいたいわね』
「・・・・・言えません」
『言え!!』
「ひいい!!」



「土御門さん、今日はありがとうございました!とても楽しかったです!」
「こちらこそだぜい。明日からカミやんをおちょくるネタが増えたからいい事ぜよ」
「あっ、私の話を入れたら許しませんからね。当麻に聞くんで。焼きますよ」
「・・・・・・できるだけ努力するぜい」


その後美琴は土御門がこっそり録音してくれた上条の愛の言葉をゲコ太時計に入れ、
毎日の目覚ましに使い幸せを感じながら起きる毎朝を迎える事になった。白井は毎朝
ヒステリックを起こすようになったのだが。
一方上条は、愛の言葉を土御門に録音されていた事は知らず、昼休みの校内放送に突然
流されたことに驚き椅子から転げ落ち、それを見ていた土御門は大爆笑し、何も知らない
生徒は激怒しフルボッコにされる結末だった。

「・・・・・・・・不幸だ」
「ごめんね。ちょっとやりすぎちゃった」
「いつか美琴にバチが当たるぞ」
「私に当たる訳ないわよ!ふふ~ん」

美琴は既にバチが当たっている事にまだ気付いていなかった。


「お邪魔しま~す!珍しいですね白井さんから常盤台の寮に誘ってくれるなんて」
「またパンツと御坂さんの盗撮した写真を見せてくれるんですかね」
「初春、佐天さん!お姉様が帰って来られる前に急いでくださいませ!」
「御坂さんも一緒じゃないんですか?これもまた珍しい」
白井は美琴の枕元にあるゲコ太の目覚まし時計を手にとり説明を始めた。

「お姉様愛用のこのゲコ太時計。録音した音源をこの中に入れてその音源を目覚まし変わり
にできるんですの」
「知ってますそれ。最近色んなキャラクターで発売されてるヤツですよね」
「それがどうしたんですか白井さん?」
「お二人の様子だと何も知らないようですわね。驚かないでこれを聞いてくださいまし」


そう言って白井は目覚ましボタンを押した。


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