とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ ヤキモチバレンタイン



 明日はバレンタインデー……なんだけど、今年は月曜日。
 明日はあいつに会えるかどうか分からない。
 だから、ちょっとハッキングして、アイツの住所を調べて、学生寮の前までは来てみたんだけど……。

 踏ん切りが付かない。足が前に進まない。
 ここからアイツの部屋が見えるんだけどな。私の足は動かない。

 持ってきたのは、チョコレートケーキ。
 可愛くデコレーションして、『I Love Touma』と書いてある。
 コレを渡したいんだけど……(思いっ切り恥ずかしい……)。

 さっきから、アイツの部屋は取っ換え引っ換え訪問者が訪れている。
 二重まぶたの子に、巨乳シスター、シッポをはやした小さな子に、サムライガール。さっき、リムジンで乗り付けた人も居たっけ。
 どんな付き合いしてんのよ、アイツは!?

 明日は明日で、アイツはいっぱいチョコ貰うんだろうな。
 モテるんだろうな、アイツ。あの体質だし。
 そんなことを考えてたら、段々ムカムカしてきた。
 分かってるけど、感情は納得しない。アイツには私だけを見て欲しい。
 だから“ヤキモチ”。

 思わず駆け出して、近くのスーパーに入る。
 目に入ったチョコを掴んでレジに行こうとしたら……。

「きゃっ……!?」

「あ、スミバゼン……なんだ、びさがか・・」

「あ、アンタ……どうしたのよ、こんなトコで」

「おばえこぞ、だにしでんだよ……」

「なんか、発音が変なんだけど……どしたの?」

「カゼ、びいちばって……ばなびずがとばんねぇんだ……」

「そう言えば、顔もちょっと赤いかも……ちょっと……」

 私は手をアイツのおでこに当ててみる。

「ちょっと、熱があるじゃない。ダメよ、熱があるのに彷徨いたりしたら!!」

「じがだねぇだろ、ひどりぐらじなんだがら……ざっざとくずりかっで、でるよ」

「ねぇ、何か食べたの?」

「あんまじ、じょくよぐねえがら、いいよ」

「何言ってんの?カゼの時はちゃんと栄養取って、温かくしとかなきゃダメじゃない!!」

「んなごど、いっだって……」

「もう、病人が四の五の言わない。私が看病したげるから、ちょっとここで待ってなさい!!」

「あ、びさが……いっぢまいやがっだ……」

「お待たせ」

「おう、こっぢもくずりががえだぜ」

「じゃ、行きましょ?」

「おい、おばえ、おでんちじっでんのか?」

「え?……あ、そうか……(ホントは知ってるけど……)」

「ん?だんがいっだが?」

「何でも無い」

「じゃ、いぐか……」

「うん……」

 何が何だか分からない内に、アイツの部屋に……。アレ?コレってラッキーなのかな?

「ぢょっど、ぢらかっでるけど……」

「う、うん。オジャマ…しま~す。……へぇ、結構綺麗にしてんのね」

「ば、ばあな……」

「んじゃ、台所借りるわよ」

「あ、ばるいな」

「病人が遠慮何かしないの」

「はいはい……ヘックシ!!」

「ああ、もう。はい、ティッシュ」

「いいよ、さっぎがらばなのかびずぎでばながいでえんだ」

「コレは柔らかい方のしっとりしたタイプだから、大丈夫だと思うわよ」

「え゛ぞうなのが……ブビーーッ、あ、ホントだ、痛くねえぞ」

「アハハ、普通に話せるようになったわね」

「しょうがねぇだろ?さっきまで、鼻かむと痛くなるから我慢してたんだから……」

「ねぇ、何か食べる?」

「あんまり食欲ねぇんだけど……」

「じゃあ、雑炊でもしよっか。暖まるし、お粥じゃ味が分からないだろうし」

「イイのか、オレなんかの看病してて……何かやることあったんじゃないのか?」

「病人が要らない心配しないの!」

「へいへい……」

「じゃあ、ちょっと待っててね」

「お待たせ~。美琴さん特製のニラ雑炊よ。ニラは風邪にイイんだからね」

「おっ、美味そうだな?どれどれ……」

「今よそったげるから、待ってなさいよ……ハィ、召し上がれ」

「いただきます……フーフー、パクッ……うん、美味い!!」

「そっ、良かった」

「御坂がこんなに料理上手だとは思わなかったぞ……うん、美味い、美味い」

「褒めても何にも出ないわよ」

「ありがとな、御坂。ホント助かったよ」

「どういたしまして……って、アレ何?」

「ああ……明日はバレンタインだろ?明日は来れない連中や宅配業者がチョコ持ってきてくれるのはイイんだけどさ、風邪引いてるもんだから……ゆっくり出来なくってまいってたんだ」

(10個以上はあるわね……コイツ、どれだけモテるのよ……)

「ところで御坂?お前スーパーで何してたんだ?」

「えっ!?……えっと、あの……その……まぁ、ちょっとね……」

「ちょっとって何だよ?」

「ウッサイわね!!女の子には色々あんのよ!!!」

「ワー、オレの部屋でビリビリするのは止めて下さいそんなことされたらウチの家電製品が全部天国に旅立っちゃうしせっかく御坂が作ってくれた美味しい雑炊も食べられなくなっちゃう~」

「もう……それだけ元気なら大丈夫そうね。じゃあ、私帰るね」

「えっ、もう帰るのか?まぁ、あんまり長居するトコじゃないし、オレと一緒に居たら風邪うつっちまうかも知れないからな。だけど、ホント助かったよ御坂。ありがとな」

「あっ、そうだ……ハイ、コレ」

「ヘッ、……なに、コレ?」

「何って、チョコよ。……義理だけど……(素直じゃないなぁ……私……)」

「あ、ああ、サンキューな。例え義理でも御坂からチョコが貰えるなんて、上条さんは幸せですよ」

「えっ?」

「ん?なんだ?」

「……べ、別に……じゃあ、温かくして休まないとダメよ」

「ああ、今日はホントにありがとな。それとチョコも」

「うん、じゃあね」

「ああ、またな」

 そう言って、私はアイツの部屋を出た。

(ハァ、結局本命のケーキは渡せなかったなぁ……でも、アイツの部屋に行けたし、看病も出来たから……ちょっと幸せ)

 でも……ホントは自分の気持ちを伝えたかったなぁ……。

 寮に戻ってシャワーを浴びて携帯を見たら……アイツからメールが入っていた。


To 御坂 From 上条

今日はホントにありがとな。
助かったよ。
お礼と言っちゃ何だけど、今
度の休みにどっか行かないか

そうそう、義理チョコ美味か
ったよ。良く、オレの好みを
知ってたな?
じゃあ、またメールする。


 ヤキモチ妬いて、半分当てつけに買ったビターチョコ。
 それがアイツの好みに合ってたなんて……。コレってラッキーなのかな?

(明日はもう少し素直になって、本命チョコを渡してみようかな……)

 そう思った私は、明日待ち合わせが出来るようにと返信メールを打ちだした。


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