とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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1.幼かった日の記憶


わたしの名前は御坂美琴。
自分でも気に入っている大好きなママが名づけてくれた大切な名前…。

あの人の前では、気恥ずかしいからママと
素直に言えず、ついアンタ!このバカ母!と口走ってしまう。
いつからわたしってこんなに素直じゃなくなっちゃったのかな…?

わたしが泣いている時、何も言わなくても
いつも察してくれて悲しみを取り除いてくれた…
守られている…心地よかった。
ずっと守られている側にいたかった。

でも……!わたしはあの日から他人に甘えるのは辞めると決めた。

わたしが小さい頃、学園都市はテレビなどの様々なメディアを介して
超能力者養成キャンペーンを行っていた。
ママとわたしもその番組を何度も目にしていた。

美琴「超能力者ってすごいね!
   わたしも手からビーム飛ばしてわるものをやっつけたいな!
   ママをわるものたちから守るの!」

美鈴「あはは、ありがとう!
   大丈夫よ。ママはそんじょそこらのわるものなんかにやられないんだから!」

美琴「えー、でも昨日みたケロリンライダーの怪人ヘビーが
   いつ襲ってくるかわからないだもん!
   ママはわたしが守ってあげるんだもん…」

美鈴「あらら、美琴ちゃんったらまた涙目になっちゃって。
   もう、一度言い出したらきかないんだから…
   わかったわよ。明日幼稚園の帰りに学園都市にいってみようか!」

美琴「わーい!ママ大好き!」

その翌日、学園都市をわたしたちは訪れた。
超能力者キャンペーンのことを受付で話すと、
とある研究施設に連れて行かれ、頭に奇妙な装置を取り付けられた。
ちょっとした不安はあったものの、超能力が使えるようになるかもしれない!
という子供ながらの期待感の方がよっぽど大きかったようで
些細な不安など霧散してしまった。

装置をとりつけたまま、種々の簡単なトレーニングをこなし、
研究者の催眠暗示を受ける…
そして、自分の心の中に広がる幻想の中に意識を沈めていく…

…停電が起こって家の中が真っ暗になったことがある。
「美琴ちゃーん?大丈夫?電気がないとほんと不便よね?」
暗闇の中でママに抱きしめられながら、そんな言葉を聞いた記憶がある。
暗くて顔は見えなかったけれど、声の調子から不安な感じが伝わってきた。
何か問題が起きるとテキパキと片付けてしまうママでも
さすがに電気を起こすわけにもいかなかった。

こんな時、わたしが電気を魔法みたいにパッ!とつけられたらなぁ…
いつもいつも私のことを想ってくれてるママに今度はわたしが答えたい。
そんな気持ちが生まれた時…

わたしの手の中にわずかだけど、青白い電磁波が飛び散っていた。

ガラス越しに見守っていたママはおめでとう!
と走りよってきて、自分のことのように喜んでくれた。
そして、頭をナデナデしてくれた。
能力に覚醒したことと、ママに褒められて、
その日は自分にとって忘れることのできない幸せな一日だった…

しかし、それと同時に最も不幸な一日でもあったかもしれない…
実験後にママが研究所で出された昼食を食べたあと、
お腹の調子が悪いと、我慢できずにトイレに直行していった。

すると、とある研究者がすかさず
「すばらしいねえ。何万人と能力開発をしてきたけれど、
一回目の試行で能力を発現した子を私はまだ見たことがないよ。」
とわたしに声をかけてきた。
そして、おもしろいものを見せてあげると言われた。
褒められて悪い気がしなかったし、持ち前の好奇心からついつい
あとについて行ってしまった。

そこにあったのは、おもしろいものでもなんでもない、
悲痛な顔をして歩行訓練を行う子供たちの姿だった。
なぜ、わたしをここに連れてきたのだろう?

「この子たちは、筋ジストロフィーといってね。
現在の我々には治療できない難病なんだよ。
でも、君みたいに自分の力で発電する能力が備われば話は別だ。
筋肉を動かせなくなるこの難病も脳からの電気信号を
操ることによって、治療へのメドがたつかもしれない…。

今日の君のテスト結果をみて確信した。
君はエレクトロマスターとして、かなりの才能を持っていると。
DNAマップを提供してもらえば、きっとこの子たちは救われる。
どうだい?ほんの2~3分で済む。少量の血と髪の毛をもらうだけでいいんだ。」

そのころ、わたしは人を疑うことをしらない無垢な女の子だった。
そして、目の前の必死な子供たちをみて、なんの迷いもなく快諾してしまった。
それがおぞましい計画の幕開けになるとも知らずに…


その日、私は決めた。
将来は医者か、研究者になると。あの子たちの姿をみて…
ママが私にしてくれたように、今度はわたしが他の人たちの為に
なれる人間になると決めた。

実験で、わたしは電気を操る能力を手に入れた。
この力は、磨くことによって様々に応用が効くらしい。
今はちょっとした電流を流せるだけだけど、
レベルがあがれば磁力も操れるようになり、動力を生むことができる。
人が自分の力で発電できれば、これ以上ないクリーンなエネルギー
を得ることができるし、さっきみたいな子達を救う鍵になりえるかもしれない。

大好きなママは私に伸び伸びと育ってほしかったようで、
いつか美琴ちゃんに大好きな王子様ができて、
その人と幸せになってくれることが私の唯一の望み。
美琴ちゃんはかわいいし、きっと素敵な王子様にみそめられるわよ。
とよくいってくれた。
だから強制で何かをやらされたこともなかったし、
ほんとに元気で明るくいてくれさえばいいと、自分の好きなことをやらせてくれた。

そんなわたしに明確な目標ができた。
科学技術が外より30年は進んでいると言われる学園都市で勉強できれば
きっと成りたい自分に成れると思った。
「わたし、学園都市で勉強したい…」
ママはわたしと離れるのが辛かったらしく、最初は反対していたけれど、
「美琴ちゃんが自分でやりたいって言ったことだもんね…
それに今回はいつものわがままと違って、
なんか目の色が違うし…本気なのね。わかった!負けたわ…」
これを最後のわがままとして、これからは自分を律して強く生きていくと決めた。

それから数年…
学園都市のとある小学校に入学し、勉強と能力開発にあけくれた。
もとからの才能もあったのかもしれないが、明確な目標を持っている為、
取り組み方が他と違うという自負があった。
その成果もあって、すぐに頭角をあらわすようになった。
元気で活発。勉強もできて、能力開発でもトップの成績。
これだけ目立つと、しだいに自分の周りに人が集まってきた。
でも、みんなわたしのことを「御坂さん」
すごい子になると「御坂様」同い年なのに「お姉さま」とまで呼ぶ。
ママやパパみたいに「美琴ちゃん」「美琴」って気軽に呼んで
接してくれる子はいなかった…
自然と自分はまわりの子より大人の対応をとらなくてはならない、
模範生として、責任を果たさなくてはならない、という自意識が芽生え
不本意ながら本当の自分とは違う自分を演じるようになっていった。

男の子の中に「けっ、女のくせになんでもできやがって。かわいくない奴」
と言ってくる嫉妬深い奴がいたりした。
そういう奴に限って、ケンカしてもわたしのほうが強かったし、
すぐにちょっかいだしてくるし、考えてることが単純だし、
男ってほんとつまんない生き物って思っていた。
わたしの外見のことしか知らない別の小学校の子に、告白されたことがある。
そういう時、わたしは必ず勝負を挑む。自分より弱い男なんて眼中にない。
ちょっと電磁波を出すとみんな決まって逃げていった。情けない…

対照的に女子からはやたらとモテた。
どうやらわたしは男前らしい…バレンタインの日にもらったチョコの数は数え切れない。
これもアネゴ的ポジションで、自分と対等な子はいなかったな…

授業が終った後は、他の子は揃って遊びにいったりしていたが、
わたしは周りの期待に答えなくてはならないという責任感と
将来の目標の為、遊びに興じる暇もなく、勉強と能力開発に打ち込むしかなかった。
大切な何かを犠牲にしたような気がしたが、努力は実っていった為、
犠牲を犠牲ともおもわず、ひたすら自分の道を進んだ。
そして、中学にあがるころには、レベル4のお嬢様と呼ばれるようになっていた。


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