とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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上条さんを悩ませたかったんです



とある日の夜 上条宅


……………ん?電話か?誰だろ?

携帯を開いてみる。………あれ?美琴だ。俺は光の速さで通話ボタンを押した。

「み、御坂か?なな何か用か?」

落ち着け俺、いくら嬉しいからって…………まずは落ち着くんだ。

「ア、アアアンタ、明日の放課後その……暇?」
「あぁ特に予定は無いけど?」
「じゃ、じゃあえっとその…ちょっと付き合ってくれない?」
「あ、あぁいいけど………どっか行くのか?」
「その…………え、映画なんだけど…………」
「ん。まぁいいけど。てか何見るんだ?……はっ!ま、まさかゲコ太とか……」
「っ!!な、なんでわかっ…………………………と、とにかく!明日4時にいつもの公園で!」
「あっ……と、切れちまったか………………マジでゲコ太関連っぽいな」

でもこれって………ま、まさかまさかのデート的な?
い、いやいや不幸な上条さんにそんなラッキーイベントある訳がない……………いや、少しくらい期待してもいい、のか?
まぁそれはそれとして明日は遅刻しないようにしなくちゃな。うん。

         ☆

翌日とある公園


ということで待ち合わせ場所に早めに来たわけだが………俺の方が先だったみたいだ。よし。
と思ったところで丁度美琴がやってきた。

「ごめん!待った?」
「い、いや俺もちょうど今来たところだ」

よし、一度は言ってみたかった台詞言えた!

美琴はいつも通り常盤台中学の制服だ。俺も学校が終わってすぐ来たので学ランのままだ。
………こうしてると学生が放課後デートしてるっぽいよな。違うけど。
それだけでも結構幸せだったりする。

「そ、それじゃ行きましょ!」
「ああそうだな!」

俺と美琴は映画館に向かって歩きはじめた。

「そういえば結局見るのはゲコ太なのか?」
「……そ、そうよ!悪い!?」
「いや、悪くないけど……………なんで俺となんだ?」

ま、まさかそういう事か?そういう事なのか!?見るのはゲコ太だけど!

「それは、その………こ、これ……」

美琴が一枚のパンフレットみたいなものを差し出してきた。

「入場者プレゼント!スペシャルゲコ太携帯ストラップ!さらにカップルの方にはゲコ太とピョン子の
手をつないでるバージョンもプレゼント!」

………………やっぱりね。ていうかこれって小さい子向けじゃないのか?カップルっておいおい……………

「それで男友達ってアンタしかいないじゃない?だ、だからか、彼氏役ってやつよ」
「ふ~ん、そういうことか。まぁ前にも一回やったことあるし、別にいいけど」

なんだろうこの複雑な気持ち。
まぁ友達だと思われてるみたいだからいいか。
「妹達」の時の借りを返してるだけかもしれない、なんて考えてたこともあったもんな。
それに彼氏、か………「役」でもそれなりに、いや、結構嬉しい。「役」だけど。

なんだかんだで映画館に着いた。

「それじゃ、入るか?」
「うん!」

美琴はかなり楽しみみたいだな。よし、俺もちゃんと見ておこうかな。





「結構面白かったな」
「でしょ!!アンタもやっとゲコ太の良さが分かってきたみたいね!」

これが意外にもなかなか面白かったのだ。内容は割愛するが、ふむ、これはゲコ太の評価を改めなくてはな……

「ね、ねぇ?」
「ん?なんだ?」
「えっと…………その、さ。な、何か気付く事……ない?」
「何が?」
「だ、だから!その……いつもと違うトコ、とか……」
「ん、そうだな……」

実は会った時からなんか違和感というかそういうのは少しあった。今改めて探してみる。
う~む、別に服はいつも通りだし顔は………………その、か、可愛いし、髪は…………………

「ん?あれ?髪止めるやつ変えたのか?」
「あ、う、うん。ちょっと違うのに変えてみたんだけど………………どう、かな?」
「えっと、そ、そのに、似合ってるんじゃないか?」
「そ、そそそうなんだ………………………あ、ありがと」

う~ん、でも………

「まぁ俺はいつも付けてる花のヤツの方が可愛……」
「ん?何か言ったかしら?」
「っ!いや!なんでもない」

ヤバかった。心の声出てたし。うわぁ、スゲェ恥ずかしい!

「そ、それじゃお前の門限も近いだろうし俺はそろそろ帰るよ。き、気を付けて帰れよな!」
「………あ、あの!………ま、待って!!」
「は、はいぃ!」

美琴が俯きながら服の裾を掴んできたんですけど!それに「待って」って!?

………な、何なんでせう?この普通に良い雰囲気…………………こ、これならこ、こここここ告白とかで、出来るかも!?

「ぁ…」
「あのさ!」
「な、ななななななな何だ!?」
「えっと…その……さ」

美琴は俯きながら両手を胸の前で組んでいる。なんとなく顔が赤いように見える気がする。
え?も、もももももしかしてそういう事?……………いいいいいいやいやいやいやそんなまさかそんな事ある訳………

「……………………………………や、やっぱり何でもない!ア、アアンタも気をつけて帰りなさいよね!じゃ、じゃあね!!」

…………ないよな。なに期待してんだよ、俺…………はぁ。





「わ、私はアアアンタのことがす、好きなの。だ、だから………付き合ってくれませんか?」


……………………………返事はすでに決まっている。

「俺も御坂のことが好きだ。大好きだ」

と言った瞬間美琴が俺に泣きながら抱きついてきた。………え?泣きながら?

「え、えええええっと、上条さんは美琴さんに泣かせてしまうようなことをしてしまったでしょうか?」
「バカ………嬉し泣きよ」

やばい。やばすぎる。美琴が可愛すぎる。てかなんか抱きついたまま顔真っ赤にして上目遣いで俺の顔の方を向いたまま
目を閉じてきたし!………………………うんさすがの俺もこの体勢ですべき事くらいは分かる。
俺は両手を美琴の肩に置く。

そして俺は美琴の唇にキスを………………








「……………っ!。…………………夢か」

後もう少しだったんだけどな~。はぁ、不幸だ。いやこんな夢を見れたのは幸せか?
それにしてもいくら好きだからってこんな夢を見るなんて………………いやいや、嬉しいけどさ。

にしても美琴は俺のことをどう思っているのだろうか。いや、この前の映画デート(仮)の事だけどさ。
あ、あんな事普通に頼んでくるってことはま、まままさか美琴が俺の事を好……………って、
不幸な俺にそれはありえないな。うん、ありえない。精々良き友人といったトコだな。




さて、6時だしちょっと勉強しようかな。
ちなみに俺は放課後、美琴に会う時間を割きたくないが為に補習が無くなるよう頑張って勉強している。
………まぁ補習を受けなきゃいけない程バカというのは…………やっぱマズイかなと思うわけでして。
「アンタってかなりバカだし…」なんてそんな事は思われたくないし、うん。

ということで帰宅してからの時間や朝の時間はかなり必死に勉強(おもに復習とか課題)したりとか
授業を超真面目に聞くといった健全な?生活を上条さんは送っていたわけですよ。
…………まぁ当然美琴に会える時間は削ってないけどな。
そしたら驚くことに補習が少しずつ減っていってなんと!!ギリギリ(←ここ重要!)進級ラインとやらをスレスレで通過したと
小萌大先生からお達しが最近きたわけですよ!!!………………………『恋』の力ってすげぇな。マジで。
自分でもまさかここまで出来るとは思ってもいなかったぜ。



さて、そろそろ朝飯でも食べようかな。今日は日曜だし食った後はいつものように外をブラブラとしてようか。
……………………………………美琴に会えたらいいな~なんて思ってたりするワケで。


というわけでなんとなく俺はいつもの公園に着いた……全く不幸な目に遭わずに………………あれ?おかしいな?
ま、まぁ美琴は当然いないわけで……………近くの大通りにでも行ってみるか?
なんだか半分ストーカーみたいだな俺。いやいや断じて違うけどな!!!
偶然会えたらいいなぁとか思ってるだけだから!!!
と、自分に言い訳しながら大通りに出てみた。

すると道路の向こう側に美琴を見つけた。

いや、正確には俺が知らない男と美琴が話し合っているのを見つけた。

「っ…………!」

俺は咄嗟に二人に見つからないように電柱の影に隠れた。そして電柱の影から2人を見る。

ナンデ美琴はいつも俺にはしてくれないような笑顔なんだ?
ナンデ美琴は楽しそうなんだ?
ナンデ二人とも仲良さそうにおしゃべりしているんだ?
ナンデ二人は並んで歩き始めたんだ?
ナンデ二人は一緒にファミレスに入っていくんだ…………………………デート?コイビトダカラ?


俺はそれ以上二人を見ていられず振り返って全速力で寮へと走っていった………何も考えないようにして………………





俺は自分の部屋に入るとベッドに寄りかかりながら座って天井を見上げた。

あぁ……御坂には彼氏がいたのか………そりゃそうだよな、あんなに可愛いからな、ハハハ……

そうか。朝から何も不幸が無かったのは、これの為だったのか……。
イヤ………だな。この頃初めて知る感情が多い。『好き』とか自分だけに笑顔を見せてほしいとかいう『独占欲』とか。
今はひたすら『嫉妬』という感情に染まっている。……具合悪くなりそうだな。
今頃御坂はデートというものを楽しんでいるのだろうか………………やめよう。それを考えるともう狂ってしまいそうだ。

前の映画館に行った時のあの髪留めはあの彼氏の為って訳か。男である俺の意見が欲しかったのかもしれない。
ってかあの時何か言おうとしてた事って多分彼氏のことだろうな。男友達はいないけど彼氏はいる、みたいな。
「私ね、彼氏できたの」なんて言われてたら俺どうなってたんだろう。




ふと、今までの事を思い返してみる。
ロシアから帰ってきた時は…………………………………………………………


「た、ただいま?」
「ぁ…………………………………………」

御坂が俺に泣きながら抱き付いてきたんだっけ。あの時はびっくりしたな、マジで。

「え!ちょ!御坂さん?」

あの時御坂がせっかく助けに来てくれたのにそれを断ったからてっきり怒られるとばかり思っていたんだが。
多分心配してくれてたんだろうな…………………不謹慎にもこの時御坂を可愛いと思ってしまった事は秘密だ。

「……ごめんな、御坂」
「…………………うん。心配、したんだからね?」


きっとこの時から、いや、もっと前から俺は御坂の事を意識していたような気がする。
ていうかもう好きになっていたんじゃないかなぁとも思う。
一端覧祭では御坂に思い切って誘ってみたらOKされて嬉しかったな。一緒に回れて楽しかった。
年末では恐ろしいほどの量の冬休みの宿題が渡されて手伝ってもらったっけ。…………優しいよな、御坂。
最近は結構仲良くなれたんじゃないかと思っていたけど…………結局は友達止まりだったか。

………………そんな優しくしないで欲しかったな。どうして期待させるような事をするんだろう。
明日御坂に会ったときどんな顔すればいいんだ?。どんな風にしてもきっと暗い顔になる気がする。

ホント、どうすればいいんだ?いっそ告白してしまおうか?そしたらもう会わなくなるだろうか。
……………そうやってスパッと切られた方が俺も諦められるかもな。


ははは……………無理だ。彼氏がいるのに告白とかありえないだろ。御坂とはせめて友達でいたいと思う自分がいる。
随分なヘタレだな。結局告白する案は却下。

じゃあどうしようか?
今までどおりに友達として接していようか?
この感情を押し殺せるかというとまったく自信が無いが。
彼氏がいるんだから男の俺はあまり会わない方がいいのか?
でも御坂と一緒にいたい……………もう取り返しが付かないくらい重症だな、俺……
ホント明日からどう接していけばいいんだ?



…………なんてほとんどループになってきた考え事をしながら一日は過ぎていった。



さて、どうしよう。結局月曜日になってしまったが何の案も浮かんでいない。もうどうにでもなれ!……的な感じだった。


最近はよく御坂と一緒に登校していた。御坂がいつもの公園で待ってて俺がそこに行って合流するという感じだ。
きっと御坂だって友達と世間話くらいしたいだろうし、
もしかすると俺と話してると楽しいのかもしれない……………………………それはないか。
ん?じゃあ白井とは登校してないのか?ジャッジメントの仕事で忙しいのだろうか。そういえば彼氏とは登校しないのか?
う~ん、あぁ、学校が遠いのかもな…………………まぁどうでもいいか。
俺は回り道すればいいのに通学路であるいつもの公園に向かってしまった。
するとやはりいつもの公園の自販機に寄りかかっている御坂がいた。

「お、おっす……」
「あ!お、おはよう!」

御坂はいつも通り返事をしてくれた。ケンカ腰じゃなくなってきたのは彼氏が出来たからだろうか?
…………………………………こういう事考えるのもうやめた方がいいよな。キツイ。

「そ、それじゃ、行きましょ!」
「ああ、そうだな……」


………なんというか話しかけ辛い。

「そ、そういえばアンタって最近勉強の方はどうなのよ?」

助かった。御坂から話しかけてきてくれた。

「まぁなんとかなってる。冬休みに御坂に教えてもらったからかもな」
「そ、そうなんだ………」

なんでちょっと残念そうにしてるんだ?ここは「へぇ~なかなか頑張ったじゃない」的な感じで
勉強の出来なかった上条さんを見直す所では……………………ってもう遅い、か。

「ね、ねぇ、アンタ悩みでもあるの?暗い顔してるけど…………また何か厄介事でも抱えてるの?」

なんで分かったんだ?でもこれはさすがに本人には相談できない。

「いや、別に何にもねぇよ」
「本当に?」
「本当だ。それに俺が暗い顔してるのっていつもの事じゃねーか?不幸とかで」
「う~ん、そうかな~?」
「そうだよ」
「ふ~ん。ま、まぁ相談事だったらいつでも聞いてあげるわよ?」
「え、あ、あぁ、ありがとな」

なんとか誤魔化せたみたいだ。
時々御坂はドキッとするような事を言ってくるから困る。きっと「友達」にはいつもこれくらい優しいんだろうな。

この後俺と御坂は俺が通ってる高校と常盤台中学への道へとそれぞれ別れた。


習慣というものは結構身に付くもので以前程やる気というのはないが授業の内容は普通に頭に入ってくる。
別に留年しないだけいいんだけどさ……………

「どうしたんだにゃーかみやん。勉強が多少は出来るようになったのに暗い顔してるぜよ」

金髪でグラサンのぶっちゃけこれ校則違反だろ!的な悪友の土御門が話しかけてきた。
……………………こいつには別に話してもいいか。

「いや、別に。好きな子に彼氏がいただけだ」
「好きな子ってあの超電磁砲の事かにゃ~?」

そっか。なぜかこいつは知ってたんだっけ。

「まぁ、そういう事だ」
「ふ~ん?」

なんだ?ニヤニヤしてきやがって気持ち悪い奴だな。

「まぁ、だったら諦めた方がいいんじゃないかにゃ~?」
「うっ!ま、まぁそう……だよな」

いざ人に諦めろと言われるとかなりキツイものがあるな。
………やっぱりそうした方がいいよな。でもそれは無理そうな気もする。



なんというかこう沈んでる時は静かでちょっと薄暗い裏路地とか通ってみたくなる訳で。
で、
こういうとこにいると大体………………………

「キミ可愛いねー」
「今からオレ達と遊び行かない?」
「帰りはオレ達が送ってやっからさ」
「まっ、いつ帰れっかはわかンねーけどさ。ヒャッヒャッ」

とまあこんな不良的な方々にお会いするわけで。
平和になってもこういうのっているんだよなぁ。いや、いるから平和なのか?
まったく、こんな時くらい静かに過ごしたいもんなんだけど。
………………………よし。


「おーいたいた。こんなとこにいたのか~。ダメだろー勝手にはぐれちゃ」

不良達の間を掻き分け、長い黒髪に白い花飾りを付けた女の子の手を掴む。

「いやー連れがお世話になりました。はい通して通してー」

そしてまた不良達の間を掻き分けてなんとか逃げようと、

「ちょっと待てよ、なんだテメエナメたマネしやがって、何か文句あんのかコラ!」

ですよねー。そうなりますよねー。はぁ…しゃあねえなあ。

「………ああそうだよ……恥ずかしくねーのかよお前ら」
「なんだと?」
「こんな大人数で女の子一人を囲んで情けねえ」

「お前らみたいな群れなきゃ何も出来ないようなヤツらはムカツクんだよ!!」

ハハハ、自分は御坂に何も出来ないで終わっちまったけどな。とりあえず挑発してみた。

「………おい、コイツヤっちまうぞ」

よし、これで怒りの対象は俺になったな。
俺は小さい声で女の子に言った。

「俺が引き付けておくから君は早く逃げて!」
「で、でも………」
「いいから早く!!」
「………………は、はい!」

取り巻きからは外に出られてたのでなんとか女の子は逃げられたようだ。
よし、これであとは俺が……………………

「オイテメエ、覚悟は出来てんだろうな?」

俺が………………………………………どうする?





「いてぇ……………」

無様だ。いつもなら俺は人を助ける為に囮になり走り回って撒くくせに、今回は気分で戦い、そして負けた。
当たり前だ。結構修羅場は通ってきたが所詮はただの高校生。普通のケンカで5、6人を相手に勝てる訳が無い。
それで今俺は大の字に倒れているワケだ…………無様だな……ホントに。
まぁ、あの子は助かったんだろうからいいよな。

「…………体中痛くて動けねぇな。どうするか」

幸いこの裏路地は人が通らないようなので人に迷惑を掛けなくて済みそうだ。

「ふぁぁ……………………………………眠いし、痛い、心も体も……なんてな」

昨日いろいろと考え込んでてほとんど寝てないせいだな。
こんな…所で……眠ると………風邪ひきそ………う……………だ………………




目を開けて最初に見たのはいつもの病室の天井ではなく、御坂美琴の顔だった。あれ?

「………………………………………………え~と、一体どういう状況なんでせう?」
「あ、えっと、その……アンタの助けた女の子が偶然私の友達で…」

………あぁそういえば御坂をファミレスで見かけた時にいた気がするな…長い黒髪に白い花飾りの子。

「で、助けてほしいって言われてここに来たんだけど、アンタがボロボロで眠ってるから…」

あの子がそんなことをしてくれたのか。

「ち、ちなみに私の友達は危ないからって来させなかったんだけどね!」
「ふ~ん、で、なんでそのひ、膝枕なんでせう?」
「い、いいい今はそんな事どうでもいいでしょ!!そ、それよりアンタはどうなのよ!」
「お、俺か?えっと………」
「いつもだったら逃げてるじゃない。なんでやられてるのよ?」

ど、どどどうしよう。まさか、あなたに失恋して自暴自棄になってケンカしました、なんて言える訳無いし……
う~…………………………………………あ!そうだ!

「いや~逃げてたら行き止まりの所に行っちまってさ。で、なんだかんだでこうなったんですのことよ」
「も、もうまったくアンタは無茶ばかりして……………し、心配するこっちの身にもなりなさいよね」
「あ、ああごめんな?」

……心配、か。

「じゃ、じゃあ俺は帰るわ。じゃあな……うわっと?」

あ、あれ?体がふらつくな……まだダメージ残ってたか?

「フラフラじゃない!!……ほ、ほらかかか肩貸すから…アンタの寮まで行くわよ。ここなら近いし、ね?」
「……………そ、それじゃお言葉に甘えて……」

ここで甘えた事を後悔する事になる。
いやただ単に周りの「なに可愛い子に肩貸してもらってんだよコノヤロウ」的な視線が死ぬほど痛かっただけだが。

「それにしても女の子に肩貸されてる高校生って……………………はぁ」
「お、女の子………………………」

やっぱ情けないよなぁ。


上条宅

俺は御坂にベッドに横にさせてもらった。

「本当にありがとな、御坂」
「ど、どどういたしまして」

本当に助かる。大げさかもしれないけど御坂がいなかったら寮に帰れなかったかもな。

「そ、そろそろ夕飯時だし何か作ってあげる。ほら、その体じゃ何も作れないでしょ?」
「……………………ほ、本当にありがとうございますですよ、御坂さん。うぅ………」
「ちょ!な、なに泣いてんのよ……………えっとこの材料だったら……う~ん、カレーでいい?」
「あぁ、いいぞ~」

な、なんか夕飯作ってくれる感じになっちゃったぞ?
い、いいんだよな?こ、これくらいはいいんだよな?な?




「うん、よし、カレー出来たわよ~」
「お、おう」

御坂がカレーが盛ってある皿をテーブルの上に置いた。あぁいい匂いだ。

「…美味そうだな」
「でも、男の人に料理って作ってあげた事無いから口に合わなかったらごめんね?」
「あぁ大丈………」

……………………………………………………ん?今御坂は何て言った?

「あ、あれ?御坂って彼氏いるんじゃないのか?」
「か、かかかか彼氏?ア、アアアアアンタなななな何言ってんのよ!」

………動揺するって事は、いるってこと、か?

「いやだってさ、この前男と一緒に仲良さそうにファミレスに入っていったの見たぞ?あれはどう見ても彼氏だろ?」

ど、どう……なんだ?

「こ、この前?………………………あぁその人ね」
「その人?」
「えっと、アンタがそれを見た前の日にその人が不良に絡まれているのを私が助けたのよ。で、その時はさっさと
帰っちゃったんだけど、次の日に偶然バッタリ会っちゃってさ。お礼をさせてくれって言うから仕方なく受けたのよ。
まぁちょうど小腹が空いてたからあのファミレスはちょうどよかったわね。
…………そ、それにお礼をしたいのに出来なくてすっきりしないのは私もその、分かるからさ……」
「そ、それじゃ、あの楽しそうにしてたのは?」
「ん?あぁ、楽しそうにしてたのって多分私が笑ってるように見えたからじゃない?」
「笑ってるように見えた?」
「営業スマイルってやつよ」
「な、なるほど……」

え、え~と?つまりなんだ?御坂には彼氏がいないって事か?全ては俺の勘違いだったという事か?
……………………ってことは、俺が今こ、告白とかしてもいいんだよな?いいんですよね?いいんだよ!の三段活用!!
……もう、何もしないで後悔するなんて嫌な気持ちは二度と御免だ。
それに玉砕したってきっと友達としてやっていけると思う…………たぶん。
と、とにかく!私上条当麻は一世一代の賭けというか勝負というヤツをします!よし!


「「………………………………………」」

と、思ったは良いものの中々切り出せない訳で……美琴も俯いたまま黙っちゃうし。

「「………あ、あの!!!」」
「……………………」
「……………………」

うぅ、気まずい。

「ア、アンタから先にいいわよ?」
「そ、そうか?じゃ、じゃあ…………」

美琴が言いたい事ってなんだ?まぁそれはそれとして……

「えっと…………」

覚悟を決めろ、上条当麻!今までだってそうしてきただろ?
…………………まずは深呼吸だ。すぅ…はぁ、すぅ…はぁ………………よし!

「突然だけどさ、お、俺、お前が……御坂の事がす、すすす好きなんだ!大好きなんだ!
こんな不幸な俺だけど、その、つ、つつつ付き合ってくれないか!?」

ついに言った!言っちまった!

「ふぇぇぇ!?……え、えええええっと……そそそその……………ふ…」

ふ?ま、まさか…………………………………

「ふにゃー」ビリビリ!
「ふにゃーじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!!!!」イマジンブレイク!

そのまま美琴は気絶してしまった。


そんなに………そんなに嫌、だったのかな………………………………………………………………

日頃の悩みとか愚痴とか普通に言える良い友人、くらいにもし思ってくれていたとしたら(それ以上でもそれ以下でもない)
その友人から突然告白なんかされたら嫌だと思う、いや、怒ったかもしれないな。
だって良い友人だと思ってたのにそれが目的で仲良くなった、なんて女の子からしたら最低だろ?
じゃあどうすんだよってなるけどさ。
もう…………元の関係にも戻れないかもな……

………あぁ、ダメだ。悪い方にしか考えられなくなってきた。

なんであんなその場のノリみたいな感じで告白なんかしちゃったんだろ。いや気持ちは本気だったけどさ。
…………ホントなにやってんだろ、俺。

「ん………うぅん…………」

どうやら起きたみたいだ。

「あれ?どうして?えっと………………あ…あぁ、あああああああああああああ!!!」

思い出したっぽい。

「お、おおおおお落ち着け!御坂!」
「ふぁいぃ!!」
「そ、その…さっきの事は忘れてくれ!!!変な事言ってごめんな?そ、それよりもさっさとカレー食べようぜ?冷めちまう」

こんなことで許してくれるわけがないのは分かってる。でもこれ以上は俺の頭では思いつかない。
ってかもう早く断ってほしいという感じだ。

「いや!!!!!!!」
「………そうだよな、こんなので許してくれるわけが……」
「あぁそうじゃなくて!!!」
「…………そうじゃない?え?どういう意味だ?」

「あ~~もう!!!!だから!!私も!!アンタが大好きってことよ!!!!!!!!!!!!!!」

「キ~ン」ってホントに耳鳴りってするんだな。っじゃなくて!!え?え?えええええええええええええええええ!?
御坂が俺をす、好き?え?いやいや……ええええええええええええ!!!!!!!!????????

「だ、だから!その………………………………………これからもよろしくね?」

上目使いでうるうるしながら顔真っ赤にしてそれを言うのは反則だと思う上条さんです。

わ、我が一生に一片の悔いなし!!(ありまくりだけどな!!!!)

「プシュー」←上条の顔とか頭とか
「バタン!!」←上条さん倒れました

「えぇ!?ちょ!!ア、アンタ何で真っ赤になって気絶??…………カ、カレーホントに冷めちゃうわよ~…なんて」
「そうでした!!!」ガバッ
「回復するの早っ!!」



おわり

上条さんを悩ませたかったんです 2



夕食後


「ってかそろそろ門限ギリギリじゃねぇか?」
「あ、そうね………」
「だからその…………送ってくよ…………………………か、彼氏だし?」
「う、うん。あ、あああありがとう………………」




帰り道(美琴の女子寮への)



うぅ、な、何話せばいいんだ?

「…………きょ、今日は何だか色々あったな」
「そ、そうね。当麻はボロボロだし突然その……こ、告白してくるし…」
「あ、あぁそそそうだったな……………」

やべ、墓穴掘っちまった。あぁもう、何を話せばいいんでせう?



「あ、ここまででいいから。さすがに寮の前まで送ってもらうのはちょっと、ね?」
「あぁなるほど。確かにマズイよな」

誰かに見られたらヤバイ気がする。特に白井とか。
ってもう着いちゃったじゃん!!ぬぅ、まぁ明日もあるしいい、か?うん。

「じゃあまた明日な!美琴」
「………ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!!」
「………………………………なんでせう?」
「…………………………………ん…………………」

な、なんだ?美琴が顔真っ赤にして上目遣いで俺の顔の方を向いたまま目を閉じて何かを待っているっぽい。
え?も、もしかして?……マジで?そ、そそそそそそそれはそのあのアレです………かね?

「…………………………………ん!!」

……………そうっぽいな。え、えええっと…………………………よ、よしやってやりますよ、やってやります!やってやるです!!

俺は美琴の肩に両手を乗せそして………………………………美琴とキスをした……………

「こ、ここここここここれでよろしいでしょうか?」
「う、うん。ああああああああああありがと…………………………そ、それじゃまた明日ね!」
「お、おう!ま、また明日な!」

今きっと俺の顔はすげー真っ赤でにやけてるな、うん間違いない。幸せだ。













当麻(大人)「…………………………………………………………………………っていうのがママとの馴れ初めってヤツだぞ?」
美子(4~6歳くらい?)「へ~そうなんだ~。それで今もラブラブなんだよね!」
当麻「そうだぞ~今もラブラブだぞ~」
美琴(大人)「ちょ、ちょっと当麻!!!娘に何て話してるのよ!!!!!!!」

当麻「別にいいじゃねーか、美子が聞きたいって言ってんだからさ」
美子「そうだーいーじゃねーかー」
美琴「もう!美子もパパの真似しない!」
当麻「ん?だったら美琴も話してやればいいんじゃね?あの時の気持ち~とかさ」
美琴「わ、わわわわわわ私!?……………………………………………………………ま、まぁ話してあげてもいい、かな?」
当麻「んもう!可愛いな~ツンデレ美琴たん!!」
美琴「たん言うな!!…………………………ええっと、あの時は…………………………………………………………………………」


おわり


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