とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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white's story


ココロはいつも。 の美琴verです。



12月27日 AM 01:27

日付も変わり、人々が眠りにつく静かな時間帯だ。
外では雪が降り積もり、外はもちろん家の中でもかなり冷え込んでいた。
そんな中―――御坂美琴は1人、目を覚ましていた。

ここは上条の寮であり、現在美琴は泊まりに来ている。
ベッドの上で寝返りを打ち、穏やかな寝息を立てる上条を見つめた。

「(当麻・・・)」

美琴は起きないようにそっと近づくと、手をのばして彼の頬に触れた。

「(今日はごめんね)」

心の中で謝る。彼女は、昨日あった出来事が不安で眠れなかったのだった―。


26日―――つまり昨日、2人は仲良く買い物デートをしていた。
一通り買い物を済ませると、休憩として近くの公園でクレープを食べに行ったのだが。

「美琴はクレープ買ってきて。俺はあったかい飲み物買ってくるからさ」

「分かった。何味がいい?」

「美琴が決めて。おすすめとか知らないし」

「りょーかい」

この、一瞬だけ別行動になったのが間違いだった。

10分後、美琴は2人分のクレープを買いさっきの場所に戻ると、彼はまだ来ていなかった。

「(遅いなぁ・・・どこまで行ったんだろ。そう遠くないはずなんだけど)」

自販機で買うにしては遅すぎると思い、上条を捜しにあたりをウロウロしていた。
すぐ来ると思い、メールもしなかった。

うーん・・・と考えていると、ドンッ!と見知らぬ男性と正面からぶつかってしまった。
しかも不幸なことにクレープを持っていたので、相手の服にべっとりついてしまったのだ。

「きゃあッ・・・す、すいませんッ!ってうわッ!」

「おっと・・・クリームが」

「ごめんなさいッ!あ、えっと今ティッシュを」

「あ、いや、大丈夫だ」

そういうとその男性はポケットからウェットティッシュを取り出し、素早くクリームをふき取った。

「すいません、本当に」

「気にしなくていいさ。慣れてるから・・・ん?」

「はい?」

「ちょっと君、よく顔みせて」

するといきなり男性はしゃがんで美琴の両腕を掴み、まじまじと顔を覗き込んできた。

「え!?ちょッ、ちょっとやめてくださいッ!」

「可愛い・・・」

「はぁ!?」

しゃがんでいた男性が突然立ち上がり、美琴に言った。

「ねぇ、クリームつけた代償として

    ―――ちょーっと遊ばない?」

「ッ!!このッ・・・!!」

美琴が電撃を飛ばそうとしたその時。

「何やってんだよ・・・ッ」

タイミング良く助けにきたかのように。

上条当麻が来た。


「人の彼女に・・・手ェ出してんじゃねぇよッ!!」

上条はその男性のわき腹に拳を叩きこんだ。
ドスッ!!と、鈍い音とともに男性が地面に転がった。

「うぐッ!!お、お前ッ・・・この女の・・があぁッ!!!」

まだ口答えするその男性にキレた上条が足で腹を何度も殴った。
しかし驚いて動けなくなっていた美琴が我に返り、上条にギュッとしがみついた。

「当麻ッ!やりすぎだよ!私はもう大丈夫だからやめて!」

「美琴・・・」

「か、かわいそうだよ・・・この人・・・だから、ね?」

「うっ・・・」

必死に止める美琴を見て、ようやく少しだけ怒りが収まった上条は、
「2度と美琴に近づくんじゃねぇぞ!!」
と怒鳴って美琴の手を引き、その場を去った。


その後はさっきの出来事がなかったかのように時間が流れた。
普段通りの優しい彼。いつも自分のことを考えてくれる―・・・。


同日 AM 01:38

そう。美琴は自分が他の男性の近くにいるだけで上条は今日のようになってしまうのだろうかと不安なのだ。
下手すれば警備員行き、相手は病院行き―――。
自分のせいで、当麻を不幸にするかと思って。
そう考えるとゾクっとした。
美琴は起き上がり、上条の上にそっと覆いかぶさる。

「もう、今日みたいな当麻にならないで」

そして―・・・

彼の頬に、キスをした。

すると、上条の瞳が開き上条の右手が美琴の後頭部に回された。

「分かんねぇよ・・・そんなの」

「俺は・・・他の奴には美琴の指1本・・・いや髪の毛1本触れてほしくない・・・」

上条が美琴の髪を優しく梳く。
サラサラの茶色の髪からふわっとトリートメントが香る。

「だから・・・もしかしたら、また」

「どうして私のためにそこまでするのっ!?」

もうやらないと誓わない上条に叫ぶ。

「そこまでする理由なんてどこにもな」

「愛してるから」

髪を梳いていた手を離し、起き上がって美琴を抱きしめる。

「好きだから。愛してるから・・・誰にも渡したくないから・・・」

「と、当麻・・・んっ」

唇を塞がれる。上条の独占欲に顔が熱くなる。


美琴・・・寒いから布団入れよ」

風邪引いたら大変だぞ、と言って布団をかぶせる。
外では相変わらず雪が降っていた。
美琴は布団にもぐると、すぐに上条の胸に顔をうずめる。
上条はそんな彼女の頭を撫でた。

「・・・当麻が血まみれになったらイヤ」

「美琴が他の奴にチヤホヤされるのは嫌だ」

「「・・・・、」」

「わ、私そんなに他の男と面識ないよ!」

「美琴が可愛いからすぐ寄ってくるんだよ」

今度はおでこにキスをされた。

「ほら、もう寝る時間だぞ。早く寝てください、お姫様」

「・・・もうっ・・でも、ありがと」

「なにが?」

「私のこと愛してるって言ってくれて」

「美琴たんはどうなの?」

「たんゆーな。決まってるじゃない」


「誰よりも愛してるわよ」

二人はくすっと笑い、それからぐっすりと眠りについた。
粉雪が羽のように舞い散る。全て優しく包み込むように。

君が守ってくれるから。

   私はずっとそばにいることを誓うよ。


―Fin―






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