小ネタ 揺れる電車と二つの心
第7学区へと帰る電車の中、ワタクシ御坂美琴は現在微動だにできません。
何故なら隣で、
上条 「……むにゃむにゃ…もう食べられねぇよ………」
などと寝言の代名詞をのたまいながら、コイツが私の肩に寄りかかってるからです。
正直に言います。
うわっうわっ!! なにこれどうしよ!! なんかむにゃむにゃ言ってる!! やだこれカワイイ!!
と、いうわけで、私は今指一本動かせずにいる訳です。
決してこの状況を手放したくない訳ではありません。起こすのがかわいそうだからです。
そう、起こすのがかわいそうなのです。
大事なことなので2回言いました。
にしても、ホントよく寝てるわね……また何か寝言言ってるし。
上条 「…みこと……」
えっ!!? わ、私!? 私の夢見てんの!!?
上条 「ミコトン…ドリア……」
ミコトンドリア!? ミコトンドリアって何!? ミトコンドリアのこと!?
何で真核生物の細胞小器官の夢なんか見てんのよアンタは!!
上条 「…すき…だ……」
す、すき!? 好きって言ったわよね!! 今度は何の夢!? てか誰の夢!!?
上条 「隙…だらけだぜ……お前の背後はよ…ククク………スヤスヤ…」
だから! アンタは何の夢見てんのよ!!
その時です。電車が大きく揺れました。
コイツの頭は私の肩からずれ落ち、私のふとももにダイレクトアタックしてきました。
つまりはアレです。膝枕です。
正直に言います。
うわきゃああああぁぁぁ!!!!! どうしよどうしよ!!!
コイツの寝顔とか今のうちに写メっちゃおうかな!!? てかコイツの髪って意外とフワフワしてるんだぁ……
いや待て、ちょっと冷静になってみよう。
周りからくすくすと笑い声が聞こえてくる。そしてなにやら生ぬるい視線も感じる。
そりゃそうだ。私だってこんな面白いシチュ、まず間違いなく見ちゃうだろう。
そんで佐天さんあたりにメールするかもしれない。
………この場に佐天さんがいなくて本当に良かったわ……あと黒子も。
とにかく、これはさすがに恥ずかしすぎる。
名残惜し……くは全くないけど、コイツを起こそう。
「ちょっと! ちょっとアンタ起きなさいよ!」
上条 「う~ん……やだ……」
返事した!?
「えっ、ちょっ、アンタ起きてたの!!?」
だとしたらどこから!?
アンタの髪をワシャワシャしてた時!? それともほっぺをぷにぷに触ってた時!?
もしかして耳たぶをコネコネしてた時!? ま、まさか思い切って、ちょっとギュッてした時!?
は、は、恥ずかしいいいいぃぃぃぃ!!!!!
上条 「やだ…やだよ……もう補習は勘弁してくださいよ………スピー……」
寝言かよっ!!! テンパって損したわよ!
「てか、本当に寝てるんでしょうね……」
上条 「…寝てるよ…だから今のウチに採掘しちまおうぜ……グー…」
モンハン!? 今度は夢の中でモンハンやってんの!?
さっきから何で、寝言で会話できんのよ!器用ややこしいわね!!
「あ~もう! いい加減起きなさいよ!!」
上条 「や~だ~! 絶対ここから離れねぇもん…むにゃ……」
「は、離れないって何よ!! そういうことはちゃんと起きてる時に……じゃなくて!!
いいから起きろバカ!! 今、私達めちゃくちゃ目立ってるんだから!!
あっ!コラ!! 抱きつくな~~~!!!」
けど次の瞬間、コイツは寝言でとんでもないことを言いやがったのです。
上条 「…俺はもう……美琴から離れない………ずっと…一緒に…いてくれ………」
……分かってる。コイツが今どんな夢を見てるかは知らないけど、これはただの寝言だ。
しかも、現実【ほんとう】の私に言ったことでもない。それは分かってる。
だけど、正直に言います。
くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!!
第7学区へと帰る電車の中、ワタクシ上条当麻は困惑しております。
どうやら揺れる電車の中で、つい、うたた寝をしてしまったらしいのですが、
目が覚めるとそこは誰かの膝の上(正確にはふとももの上だけど)でした。
周りからはくすくすという笑い声と、なんだか生ぬるい視線。
ふと見上げるとそこには、
美琴 「ふにゃー……」
真っ赤な顔して気絶してる美琴の顔。
正直に言います。
不幸だああああぁぁぁぁ!!!!!
そういえば、何かとんでもない夢を見たような気がしたけど……何だったっけかな……