空箱
ぼんやりとした意識からふと美琴の目が覚める。
まず見えたのは広くすがすがしい青い空。
そして気持ちがいいくらいのそよ風が感じられた。
それだけで自分が外にいるということが理解できた。
「(ん・・・?なんで私は外で横になっているのだろう・・・?)」
なぜ自分が外で寝ているのかわからない。
そしてなにより頭の下にあるやわらかい物は何だろうと美琴は思う。
そのとき空を見ていた目の端にチラッと何か黒い物が映った。
首を少しだけ動かすとツンツン頭の少年の顔が映った。
「ぇ・・・・・・?」
美琴の脳がフリーズする。
「(なんであいつの顔が私の前に?てか私は今上を向いて横になってて、そんで目の前に
あいつの顔があるってことは、私の頭の下にあるやわらかい物ってあいつのふとも
m─────!!!!????)」
「おっ、美琴起きたk「は、離れろーーーーーーーーーーー!!!!」ゴフゥ!!!」
恥ずかしさや戸惑いから美琴はとっさに右手でアッパーを繰り出す。
美琴のアッパーが綺麗に上条の顎に決まり上条の体が大きくのけ反る、と同時に美琴は
ガバッと勢いよく起き上がる。
美琴は現状の理解に頭をフル回転させており、アッパーを受けてもがく上条は気にも留
めてない。
訳がわからなすぎて美琴は顔を真っ赤にしながら
「あ、あんたここでなにやってるのよ!!てかさっき私のことひ、膝枕してたし!!
今だって私のこと美琴って////」
「なに付き合い始めたころみたいなこと言ってんだお前!?それに今日はデートの約束
してたからいつもの集合場所のこの公園来たら美琴がベンチで寝てたからおきるの
まってたのにいきなりアッパーはいくらなんでもヒデェぞ!?」
上条は顎を押えながら泣き目で訴えてきたが美琴は上条がいま言った
「付き合い始めたころ・デート」という単語が脳内でリピートされていた。
「わ、わ、わたs、あ、あんたが、つ、つつつつきあってて、今日がデ、デート!?」
「そうだよ、まったく・・・。なんだ?いつもは遅れてくる俺のこと怒ってるのに
今日は美琴がわすれちまったのか~?」2828
「」
「あ、あの~・・・美琴・・・・さん・・・?」
「ふにゃー」
「だぁぁぁぁああああああ!!!!!不幸だーーーーーー!!!」
「き・・・み・・と!!・・お・・ろ・・・こと!!・・おき・・・美琴!!」
暗い意識の中で美琴はだれかの呼ぶ声で覚醒した。
また意識を失っていたみたいだった。
目が覚めた後だれの声で起きたのかは考えるまでもなかったが、外はもう夕暮れで
空は薄暗くなっていた。
「おぅ。起きた美琴。平気か?」
「え?あぁうん。平気よ」
「無理すんなって美琴。おまえ疲れてるんだろ。まったく、体調が優れないなら日にち
ずらしてとかメールしてくれればよかったのによ。まぁとりあえず今日はもう
寮かえって寝ろよな」
「えっと・・・はい。」
美琴は考えていた。あいつ<上条当麻>と付き合っているのは嬉しいが、
告白した覚えもなければ、された覚えもない。
どうなっているのだろうと美琴は思っていた。
「おーーーい?美琴ー?聞こえてるかーーーー?」
ちなみにさっきから上条は美琴のことを呼んでいるが美琴は一向に
それに気がつかなかったりする。
「(昨日までは普通だった。いつものようにあいつのことを待ちb・・・偶然見つけて
ちょっと話した後すぐ別れちゃって、寮に帰って・・・このあとから思い出せないわ
ね・・・)」
「・・・・・・ふ~」
「ひゃぁぁぁぁぁあ!!!!!????」
すると上条がいきなり耳に息を吹きかけてきた。
「なにするんだあんたは~~~~~~~!!!!!!」ビリビリビリ
「どわー!!!ごめん!!謝るから電撃だけは勘弁してください!!!」
、と瞬時に土下座モードに入る上条。
それをみて美琴も電撃を納める。ついでになにを考えていたのかも忘れてしまった。
「すっかり外も暗くなっちまったなぁ・・・デートはまた今度でいいか?」
「そ、そうね・・・」
美琴は考えるのも疲れたのではやく寮に帰って寝たいと思った。
ふたりともベンチから腰を上げそれぞれの寮の方向へ歩き出して帰る。。。
のかと思いきや上条は急に美琴の肩をつかむ。
「(ひゃっ!?)・・・な、なによ?」
美琴は内心驚いていたがあくまで平静を保って答える。
「?今日はしないのか?」
「する?なにをよ?」
「え?いや~それを言うのはさすがに上条さんでも恥ずかしいのですが・・・//」
「な、なによ?ほら美琴センセーが聞いてあげるからいってみなさい。」
「・・・・・・・」スッ
「!!!!!!!!!!?????????」
すると上条は肩をつかんだまま顔を近づけてくる。
「(顔!顔近い!あいつの顔が目の前に・・・・!!!!????)」
「・・・・・美琴」
「(ま、まだ心の準備が!!!あーーーーーーー!!!もうすぐでついちゃう//////
・・・・・でも、こいつとなら、私は、したい、な・・・)」
二人の唇が触れ合うまであとわずか。というところで
パチッと目が覚めた。
目の前にはいつも通りの常盤台中学の寮の天井。
そしてとなりのベットには一つ年下の後輩の白井黒子が眠っていた。
「ア、ハハハハハハハ・・・・・・・・・・・・はぁ~~~~~~~~~。。。。夢オチ!!!!????」
夢とは思えないほどリアルな夢だったからこそ現実に戻された時の虚無感は大きかった。
「はぁ~~~(・・・でも、夢の中では確かに私たちは付き合ってたならもっと素直になえば私もあいつと・・・////)」
そして美琴はベットから起き上がると身支度を整えて部屋を出る。なぜだかいまならあいつ<上条当麻>に会えそうな気がするからだ。
今日は休日。いまならあいつの前でも素直になれそうだった。
このあと結局素直になれずに追いかけまわすことになるのはまた別のお話。