選択と決着 終章 独白と幸福
『だから、たまにはアンタからも誘えっての!!』
「美琴サン、『アンタ』に戻ってます。朝っぱらからそんなに怒鳴らなくても」
『モーニングコールいらないのね「いります、ごめんなさい」よろしい』
上条はなんだかんだ言っているが、彼女との会話にニヤニヤしている。
「しかし、しかめっ面は眉間に皺できるぞ」
『うるさいっ!!『あら、御坂さん』あ、婚后さ『なにをニヤニヤと、……ああ、あの時の殿方ですね!!』ちょっ、ちょっと!!!』
増えるのは笑い皺のようだ。
ん? 婚后さん?
ん? 婚后さん?
「……美琴様、今何時でせう??」
『えっ『あの時は』八時の十分前だけど?『苦戦しましたが』』
「なんで!!? 交代で七時にって約束だろ!!?」
『しっ『最終的には』仕方ないじゃない、ドキドキして通話ボタン押せなかったんだから『向こうから白状しましたわ』』
「美琴かわいいなぁ。……ってちがーう!! それだと遅刻しちゃうでしょオレが!!?」
『そっそれくらい『やはり』受け入れなさいよ。かっか彼氏でしょ『この婚后光子に畏れをなしたのでしょう』』
「かわいいけど、モーニングコールやめるぞ『ごめんなさい。許してください』はぁ」
不幸だ。と呟き、どたばたと準備する。
今までとは異なる朝の風景にようやく慣れてきた。
朝食を要求するインデックスも、朝食をかすめ取る猫もいない。
あの日常が楽しかったことは否定しない。
でも、
朝食を要求するインデックスも、朝食をかすめ取る猫もいない。
あの日常が楽しかったことは否定しない。
でも、
『今日はセブンスミストにいかない?』
「……またゲコ太か?」
『ブフゥ!! な、なんのことよ!!』
「また、ちょうどフェアがあるなんて知らなかった~だろ。わかったよ」
こちらの幸せをオレが選んだんだ。
これで周りが泣いたとしても、オレは、オレだけは後悔してはならない。
そして絶対に後悔なんてするわけがない。
これで周りが泣いたとしても、オレは、オレだけは後悔してはならない。
そして絶対に後悔なんてするわけがない。
『な~にだんまりしてんのよ?』
「……美琴」
『何よ?』
「好きだぞ」
『ふぇ? わっわ、たっ、しも、しゅしゅしゅきにょ!!』
「ははは……」
この道を美琴も歩いてくれているから。
左手薬指にある、キューピッドアローのタグリングが、一層輝いた気がした。