とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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少年の覚悟と少女の決意




chapter3 大切な人のために~love~


AM10;03
第23学区空港内

上条とトールは空港にいた。
あとはイタリア行きの飛行機に乗るだけだ。
『上条ちゃん、準備は出来たか?』
『ん?・・・・・・・ああ』
『どうした、上条ちゃんらしくない』
涼しい顔をしている雷神トールだがらしくもなく内心焦っていた。
『(もうすぐ時間だぞ。まじで来ねえつもりか?)』

あと10分で飛行機に乗らないといけない。
時間はもうない。

『時間だ。いくぞ』
『ああ』
2人が搭乗ゲートに向かおうとしたその時

『待って!!』

美琴だ。走ってきたのか汗をかき、息を切らしている。
『み、さか・・・・・・どうして・・・・・・』
『あんたはまた、勝手にどっかにどっかへ行くんでしょうね』
驚いている上条に、
でも、と美琴は言う。

『言ったでしょ。今度は一人じゃないって、あんたと同じ道を進んでるって』

この言葉に上条は思い出す。

夏休み最後の日に恋人のフリをしたのは。
罰ゲームで携帯のペア契約をしたのは。
第22学区で代わりに戦うと言ってくれたのは。
落下しようとするベツレヘムの星に、自分を助けに来てくれたのは。
失くしたはずのゲコ太のキーホルダーを渡してくれたのは。
今度は一人じゃないと、ハワイまでついてきてくれたのは。
道を外そうとした自分を連れ戻してくれたのは。

いつだって彼女ではなかったか。
気がついたら隣に美琴がいた。
それはいつの間にか居心地のいいものになっていった。
いつの間にか、彼女に惹かれていたのではないか。



『(ああ、そっか。)』
上条の中のモヤモヤは消えた。
『(俺、御坂が好きなのか・・・・・・でも)』
好きだからこそ傷ついて欲しくない。巻き込みたくない。
『ごめん。でも、これで最後待っててくれ。だから』
『あんたの事情なんて関係ない!!』
上条の言葉を遮るように美琴は叫ぶ。
『誰も傷ついて欲しくないとか、巻き込みたくないとか。そんなのどうだっていい。
 私は私のしたいようにあんたを助けるって決めたの!!』
『どうして、俺なんかのために』
美琴は言う。



『あんたが好きだからに決まってんでしょ!いい加減気づきなさい!』

それは突然の告白だった。
『好きでもない人とペア契約なんてしない。
 好きでもない人のためにロシアまで助けに行かない。
 好きでもない人のためにハワイまでついて行かない!
 だからっ!』
『ねえ、この指輪、ハワイで買ったの。2つを合わせると1つの模様になるの。受け取ってくれる?』

美琴の気持ちを初めて知った。
彼女と一緒にいたい。
もっと彼女を知りたい。
でもだめだ。今だけは。

『(いや、違うだろ。結局、御坂を守る自身がないだけじゃないのか。
  なにが守れないだ。そんな幻想、ぶち殺せばいいだけだろ。)』

少年は覚悟を決めた。
少女とともに戦うと。

『御坂、返事は全てが終わってからにさせてくれ。』
『それとさ』
覚悟を決めた少年は迷わない。

『ついてきてくれるか。美琴』

その拳で幻想を壊してきた少年は、
その意思で、自らの幻想さえ壊して乗り越える。
『当然じゃない!』
そして少女もその手を取る。
守る覚悟を決めた少年と、放さない決意を決めた少女は共に歩き出す。


『ピンク空間展開してるとこ悪いが、飛行機の時間ないぞ?』
2人に話かけてきたのは、今の今まで空気だった雷神トールだ。
『そうだ、御坂、パスポートとかチケットとかどうすんだよ?』
『もう準備はしてあるわよ。最初から付いてくる気だったし』
『もしかして御坂さん?何も言わなくてもついてくる気だったのせうか?』
『そ、そうよ。悪い!?』
『いいえ!別に何も!』
『じゃあいいじゃない!さっさと行くわよ!』
美琴が上条の手を掴んでゲートへと向かう。
恥ずかしながらも2人の顔は晴れ晴れとしていた。


PM11;40
学園都市から1人の魔術師と、共に歩き支え合うと決めた男女を乗せた飛行機が空へと飛び立った。



capter3 終了




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