とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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少年の覚悟と少女の決意




chapter1 電撃少女と雷様


PM4;35

一端覧祭から1週間
学園都市第7学区、いつもの公園のいつもの自動販売機の前に学園都市第三位、御坂美琴はいた。
目的はあのつんつん頭の少年だ。
『(はぁ、一体いつになったらあの馬鹿に会えるのやら・・・)』
もはや否定すらしなくなっていた。それだけ彼女の中でその少年の存在は大きくなっていたのだ。



『いよーっすミコっちゃん。元気にしてたー?』

そんな彼女に話しかけてきたのは例のつんつん頭の少年でない。
一週間前、フロイライン=クロイトゥーネをめぐる戦いで共に戦った、
腰まで伸びた金髪の少年、元グレムリンの戦闘専門、現在は雷神トールだ
現在はグレムリンを裏切り、オッレルス勢についている。
『で、今度は一体何の用?』
『俺と上条ちゃんは明日イタリアへ行くけど、ミコっちゃん、どうする?』
『え・・・?』
あの馬鹿こと上条当麻はいつものように勝手にどこかへ行き、勝手に怪我をして、いつの間にか帰ってくるだろう。
それが上条当麻という人間なのだから。



美琴はそれを嫌というほど理解していた。
だが、雷神トールの「どうする?」という発言だけは理解できなかった。
『え・・・どうするって?』
『たぶん、生きて帰ってくる確証はない』
『明日の10時、23学区の空港。来るかどうかは自分次第だ』
そう言うと、雷神トールは去っていった。
『え、あ、ちょ、待っ・・・』
1人取り残された美琴。これ以上上条を待つ気にもなれず、彼女も学生寮へと帰っていく。




capter1 終了





少年の覚悟と少女の決意




行間


1日前、上条は雷神トールと再開していた。
「久しぶりだな、上条ちゃん」
「お前、トール!」
「まあ、待て。なにもここで戦おうってわけじゃまい。少し落ち着けって」
一端覧祭ではフロイライン=クロイトゥーネをめぐる戦いのあと、自分で脇腹を拳銃で撃ち、上条と戦い
上条は敗北をした。
そんな人間がいきなり自分の目の前に現れたのだ。驚くのも無理はない。
「そうか、で、お前らは今度は何をするつもりだ」
今度は何を企んでいる。上条の顔は険しくなる。



おいおい、今はグレムリンじゃねえよ。諸事情により今はオッレルスの側についている」
「信じていいんだな?」
「ああ」
「そうか、で、お前は一体何をしに来たんだ?」
「俺たちはグレムリンと決着をつけに行く」
「!?」
「そのためにまず、オッレルスたちと合流するためにイタリアへ行く。上条ちゃんも来るか?
別に、断ったってかまわねえ」
せっかく手に入れた平穏。ここで『行かない』と言っておけばこの平穏を堪能できる。
しかし、そんなことはできない。

ラジオゾンデ要塞は上条を追い、学園都市は巻き込まれた。
ハワイではグレムリンの魔術師と戦った。
バケージシティではグレムリンの首領、魔人オティヌスと対峙した。
一端覧祭では、フロイライン=クロイトゥーネをめぐる戦いに介入した。
もう、巻き込まれただけとは言えない。これは上条自身が選んだ道だ。



行くに決まってんだろ」
「そうか、それでこそ俺の敵だ」
「明後日の10時、23学区の空港に集合だ」
「わかった」
こうして2人は別れた。




行間終了






少年の覚悟と少女の決意




chapter2 悩める少女と最高の後輩~best firend~


PM9;30
常盤台中学寮208号室

美琴は悩んでいた。
『(あいつは止めったって勝手に行くことはわかってる。今更止めるなんてできない。
  でも、ついて行くなんて、あいつは喜ぶの?)』

美琴は上条とともにグレムリンを追い、ハワイへ行ったことがある。
そこでバードウェイに騙され、道を外そうとした上条を美琴は元の道へと連れ戻した。
それでも上条は1人でバゲージシティまで行ってしまった。



『お姉さま』

そんな美琴に話かけてきたのは同じ部屋に住む、唯一無二の親友の白井黒子だ
『お姉さまは何をそんなに悩んでおられるのですか?』
これ以上後輩に心配をかけてはいけない。
美琴は無理やり笑顔を作る.
『ううん。別に何もないよ』
なんとか誤魔化そうとしても白井は納得しない。
『夏休みの後半にお姉さまが何か思いつめていたのは知っていました。
 今のお姉様はあの時と同じ顔をしておられます。
 黒子はお姉さまのパートナーです。何か悩みがあるなら相談して欲しいですの
 お姉さまが自ら相談してくれるまで、黒子は待っていますの』



あの時,追い込まれていたことを気づかれていた。
周りに心配をかけまいと隠していたのに。
隠し通せたと思っていたのに。
それでも黒子は自分が相談するまで待っていたのか。
そんな後輩を持てて自分は幸せ者だ。

それでも今は言えない。自分で解決しなければならない。
『ごめん。でも、これだけは自分で何とかしないといけないから』
『そうですか。それでは、最後に余計なお世話ですが。
 お姉様は自分の心に素直に突き進むところが輝いていられるのですの。
 それではおやすみなさいませ。お姉さま』
『ありがとう黒子。お休み』



黒子と美琴は自身のベッドで眠りにつく。
『(自分の心に素直に進む・・・か)』
『(そうよ。そのとおりじゃない!)』

こうして少女は覚悟を決め、眠りにつく。



capter2 終了






少年の覚悟と少女の決意




行間2


PM11;00
とある高校の学生寮 上条の部屋の風呂

インデックスは明日早朝、ステイルと神裂が迎えに来る。
上条がいない間、イギリスで預かってもらうのだ。
何かあってもステイルに神裂、天草式の皆がいるのだ。安全だろう。
イタリア行きのチケットもトールがとってあるという。
準備もできた。後は寝て明日に備えるだけだ。
でも、何かモヤモヤする。
なんで、

『(なんで、御坂が頭に浮かんでくるんだ?)』

鈍感な上条はまだこの気持ちに気づかない。



行間2終了





少年の覚悟と少女の決意




chapter3 大切な人のために~love~


AM10;03
第23学区空港内

上条とトールは空港にいた。
あとはイタリア行きの飛行機に乗るだけだ。
『上条ちゃん、準備は出来たか?』
『ん?・・・・・・・ああ』
『どうした、上条ちゃんらしくない』
涼しい顔をしている雷神トールだがらしくもなく内心焦っていた。
『(もうすぐ時間だぞ。まじで来ねえつもりか?)』

あと10分で飛行機に乗らないといけない。
時間はもうない。

『時間だ。いくぞ』
『ああ』
2人が搭乗ゲートに向かおうとしたその時

『待って!!』

美琴だ。走ってきたのか汗をかき、息を切らしている。
『み、さか・・・・・・どうして・・・・・・』
『あんたはまた、勝手にどっかにどっかへ行くんでしょうね』
驚いている上条に、
でも、と美琴は言う。

『言ったでしょ。今度は一人じゃないって、あんたと同じ道を進んでるって』

この言葉に上条は思い出す。

夏休み最後の日に恋人のフリをしたのは。
罰ゲームで携帯のペア契約をしたのは。
第22学区で代わりに戦うと言ってくれたのは。
落下しようとするベツレヘムの星に、自分を助けに来てくれたのは。
失くしたはずのゲコ太のキーホルダーを渡してくれたのは。
今度は一人じゃないと、ハワイまでついてきてくれたのは。
道を外そうとした自分を連れ戻してくれたのは。

いつだって彼女ではなかったか。
気がついたら隣に美琴がいた。
それはいつの間にか居心地のいいものになっていった。
いつの間にか、彼女に惹かれていたのではないか。



『(ああ、そっか。)』
上条の中のモヤモヤは消えた。
『(俺、御坂が好きなのか・・・・・・でも)』
好きだからこそ傷ついて欲しくない。巻き込みたくない。
『ごめん。でも、これで最後待っててくれ。だから』
『あんたの事情なんて関係ない!!』
上条の言葉を遮るように美琴は叫ぶ。
『誰も傷ついて欲しくないとか、巻き込みたくないとか。そんなのどうだっていい。
 私は私のしたいようにあんたを助けるって決めたの!!』
『どうして、俺なんかのために』
美琴は言う。



『あんたが好きだからに決まってんでしょ!いい加減気づきなさい!』

それは突然の告白だった。
『好きでもない人とペア契約なんてしない。
 好きでもない人のためにロシアまで助けに行かない。
 好きでもない人のためにハワイまでついて行かない!
 だからっ!』
『ねえ、この指輪、ハワイで買ったの。2つを合わせると1つの模様になるの。受け取ってくれる?』

美琴の気持ちを初めて知った。
彼女と一緒にいたい。
もっと彼女を知りたい。
でもだめだ。今だけは。

『(いや、違うだろ。結局、御坂を守る自身がないだけじゃないのか。
  なにが守れないだ。そんな幻想、ぶち殺せばいいだけだろ。)』

少年は覚悟を決めた。
少女とともに戦うと。

『御坂、返事は全てが終わってからにさせてくれ。』
『それとさ』
覚悟を決めた少年は迷わない。

『ついてきてくれるか。美琴』

その拳で幻想を壊してきた少年は、
その意思で、自らの幻想さえ壊して乗り越える。
『当然じゃない!』
そして少女もその手を取る。
守る覚悟を決めた少年と、放さない決意を決めた少女は共に歩き出す。


『ピンク空間展開してるとこ悪いが、飛行機の時間ないぞ?』
2人に話かけてきたのは、今の今まで空気だった雷神トールだ。
『そうだ、御坂、パスポートとかチケットとかどうすんだよ?』
『もう準備はしてあるわよ。最初から付いてくる気だったし』
『もしかして御坂さん?何も言わなくてもついてくる気だったのせうか?』
『そ、そうよ。悪い!?』
『いいえ!別に何も!』
『じゃあいいじゃない!さっさと行くわよ!』
美琴が上条の手を掴んでゲートへと向かう。
恥ずかしながらも2人の顔は晴れ晴れとしていた。


PM11;40
学園都市から1人の魔術師と、共に歩き支え合うと決めた男女を乗せた飛行機が空へと飛び立った。



capter3 終了





少年の覚悟と少女の決意




終章 全てを見通す科学者~wizard~


学園都市 窓のないビル
 
その一室には液体に満ちたカプセルのようなものの中には
男にも女にも聖人にも囚人にも見える『人間』アレイスター=クロウリーが逆さに浮いていた。

「幻想殺しに超電磁砲・・・・・・か。さて、私の計画をどれほど壊してくれるのか。
 計画の大幅な修正が必要だな・・・・・・」

アレイスターは数ヶ月前、土御門元春に言われた言葉を思い出す。
「いつか寝首をかかれる・・・・・・か。できるものならやってみたまえ」
逆さの『人間』は不敵な笑みを浮かべる。



終章終了






少年の覚悟と少女の決意




番外編1


目が覚めたら、そこは見慣れた病院の天井だった。
いつもと違うことは、目の前に、頭に包帯を巻き、左目に眼帯を着けた美琴の姿がそこにあったことだった。
「み、さか?っ!!」
起き上がった上条に美琴が抱きついた。
「よかった!本当によかった!!あんたが起きなかったらわたし、わたし!」
泣きじゃくる美琴を上条は優しく抱きしめる。
「心配かけてごめんな。でも大丈夫だ。俺もお前もこうして生きてる。もう終わったんだ」

隻眼のオティヌスはその右手で倒した。
もしかしたら負けていたかもしれない。
それでも立ち上がれたのは美琴がいてくれたからだ。



5分後、上条は泣き止んだ美琴に話しかける。
「なあ、返事を聞いてくれるか?」
「うん」
「夏休みの最後の日にある男と約束したんだ。御坂美琴とその周りの世界を守るって。
 最初は責任みたいものと思ってた。でもお前と過ごしていて心からそうしたいと思うようになっていった。
 守りたいって。一緒にいたいって気づかないうちにそう思うようになっていった」
上条は心の全てを打ち明ける。
「俺も御坂が好きだ!お前といると楽しい。お前と一緒にいたい。俺と付き合ってくれ!一生そばにいさせてくれ美琴!」
少女が自身の気持ちを打ち明けたのだ。
自分も気持ちを伝えなくてはならない。
今にも泣きそうな美琴が答える。
「とう、ぜんじゃない」

ここに新たなカップルが誕生した。



「ねえ、受け取って欲しいモノがあるの」
美琴が上条の右手にあるものを握らせた。
ハワイで買ったキューピットアローのタグリングだ。
「これは?」
上条は尋ねる。
「ハワイで買ったの。浮気防止用の指輪。2つを合わせると1つの模様になるの」
「ありがとう御坂。一生大事にする」
「そ、それとさ」
美琴が少し顔を赤らめながら言う。
「み、御坂じゃなくて、美琴って読んで欲しいな。わ、私も名前で呼ぶから」
「だめ、かな?」
「だめじゃない」
上条の鉄壁の理性も、美琴の上目遣いの前では紙にも満たない。
「み、美琴」
「と、当麻」
お互いの名前を呼び合う2人。
甘い雰囲気が漂う。
「美琴」
「当麻」
2人が口づけを交わそうとしたその時

「上条ちゃーん!起きたかー?」

病室のドアを開けたのは雷神トールだ。
どうやら最後の最後に不幸の女神は上条に微笑んだようだ
「ト、トール!」
「お、上条ちゃん起きたようだな。それに」
そして雷神トールはとんでもない事を口にする。




「いやー良かった良かった。ミコっちゃん、無事に指輪渡せたようだし、告白も成功したみたいだし」
「「・・・・・・え?」」
驚く2人を二人に雷神トールは言う。
「あ~ミコっちゃんには言わなかったっけ?ハワイでのことは全部FCEで見てたって。
 指輪のことも空港でのことも全て筒抜けだったってわけ。当然、ミコっちゃんが上条ちゃんが好きってことも。
 いやーあん時ミコっちゃんを呼び出し甲斐があったもんだ」

「ふ、ふにゃ~」
恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になって上条に倒れこむ美琴。
「み、美琴!?」
当然、上条も恥ずかしいのだが愛しの彼女が倒れ込んだのだ。介抱するしかない。
「じゃあねーお二人さん。幸せに~。結婚式には読んでくれよ~」
からかうだけからかって帰っていく雷神トール。
病室には顔の真っ赤な2人が取り残されただけだった。







少年の覚悟と少女の決意




番外編2 その手で掴んだもの


雷神トールが帰って20分後
美琴は病室の片隅で体育座りで呟いていた
「(恥ずかしい恥かしい見られてた全部見られてた指輪のことも空港のことも
 そういえば告白したのも空港だったしあん時たくさん人いたしいろいろ叫んだし絶対聞かれてた
 恥ずかしい恥かしいもうやだ死にたい死にたい恥ずかしい
 もうお嫁に行けない恥ずかしい恥ずかしい)」

なにやら声をかけづらい雰囲気だが上条は勇気を出して話しかける。
「み、美琴」
「なによ」
珍しく、恨めしくて涙目の美琴が可愛いと感じたが口にしないほうが良さそうだ。
「その目さ、大丈夫か」
「カエル顔の医者の話だと1週間もすれば眼帯もとっていいって。視力も問題なしらしいし」
「ごめん、美琴。お前にこんな怪我させちまって」
「なんで当麻が謝るのよ」
美琴の答えに上条は驚く。
「いったでしょ。私は私がしたいことをしただけなの。その結果怪我をしても私の力不足だっただけ。
 あんたが自分を責めることなんて何もないのよ」
その言葉に上条は嬉しかった。
「ありがとう。美琴。お前がいたから俺も生きて帰ることができたんだ。
 俺はもう不幸じゃねえ。お前に会えて本当に良かった」
「は、恥ずかしいこというんじゃない!」
「もう~美琴たんは本当に可愛いなあ」
「み、美琴たん言うな!」
美琴は顔を赤らめながらもどこか嬉しそうだ。

上条は心に決めた。
2人を妨げるものはこの拳で、いや、2人で乗り越えると。

笑顔の2人の病室を夕日が照らす。
2人を祝福するかのように








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