失ってしまった幸せ
第1章 その手から零れた掛け替えがないもの~sacrifice~
美琴が目を覚ましたらそこは病院だった。
(あれ?私、たしか、階段から落ちて・・・・・・それで)
「そうだ、当麻、当麻は!?」
「みこと、起きたの?」
病室のドアを開けて入ってきたのは白い修道服を着た少女、インデックスだ。
「ねえ、インデックス。当麻は!?」
「・・・・・・」
インデックスは何も答えない。
「答えなさい、インデックス!」
「・・・・・・ついて来て、美琴」
美琴はインデックスと共に隣の病室へ向かう。
そこには体中に包帯を巻き、ベッドに眠る上条の姿があった。
「とう・・・・・・ま?」
「お医者さんの話だとしょくぶつじょうたいっていうらしいんだけど」
「そんな、あ・・・・・・ぁぁぁ」
「とうま、治る・・・・・・よね?」
これ以上美琴はなにも言えなかった。
ただ泣くことしかできなかった。
病室に戻った美琴はインデックスと別れた。
今日はこもえという人の家に泊まるそうだ。
「どうやら起きたみたいだね?」
入ってきたのは白衣を着たカエル顔の医者、冥土返しだ。
生気の無い美琴の顔を見て冥土返しは話す。
「彼に、会ってきたのかい?」
「はい」
「救急車を呼んだ人の話だと彼、君を庇うように倒れていたんだよ?」
「え?」
「彼が庇ってくれたから君はその程度で済んだんだよ?彼に感謝することだね?」
「立ち直るまで、ここにいていいからね?」
そう言うと冥土返しは部屋から出て行った。