失ってしまった幸せ
第3章 絶望の底に差した光~salvare000~
「失礼するのよな」
白井の次に病室に入ってきたのはクワガタ頭の男、建宮斉字だ。
「あなたは?」
「建宮斉字。上条当麻の知り合いだ」
建宮は美琴を見る。
「何ですか」
美琴の顔は無気力で、ひたすら自身を責めているように見える。
「いや、上条当麻が命をかけて守った奴が、どんな女かと思ったが」
建宮は心底呆れたように言う。
「こりゃぁ犬死だな。正真正銘の犬死だ。これじゃ、馬鹿が馬鹿を助けて馬鹿やったって話だ」
「何ですってえぇー!!」
美琴が怒りで顔を歪め、前髪からも電撃がバチバチと出ている。
「あんたに何が分かるの!?私の気持ちが分かるの!!?」
「分かるのよな」
建宮はあっさりと答える。
「大切な人が傷ついているのに何も出来ない奴の気持ちは俺にも分かるのよな」
「証明してみせろ」
「え?」
突然の建宮の言葉に美琴は困惑する。
「お前を助けてよかったって思えるような最高の女になってみせろ」
「でも・・・・・・わたし・・・・・・どうしたら」
「なーに俺に任せとけ」
建宮はいつものような軽い調子で言う。
「お前を救える最適な人を俺は知っている」
そういうと建宮は帰っていった。
次の日、建宮は身長2mほどの女性と共にやってきた。
「貴女が御坂美琴ですね?私は天草式十字凄教女教皇神裂火織です。事情は建宮斉字から聞きました」
「え~っと、何をすればいいんですか?」
何も知らない美琴は2人に尋ねる。
「男を掴む時はまず胃袋からって言うのよな。過ぎてしまったのもはしょうがない。
お前さんにできることは、上条当麻が起きた時に最高の料理を振舞うことなのよな
な~に、うちの女教皇の和食は世界一なのよな」
「それでは御坂美琴。退院ししだい、料理の練習を始めましょう」
「え、あ・・・・・・はい」
突然のことに美琴はただ従うことしかできなかった。