大学で始まる恋の予感
4月某日
御坂美琴は学園都市最難関の大学に入学することとなり、今日はその入学式。
本来ならテンションも上がるはずなのだが彼女はどことなく暗かった。
原因はもちろんあの馬鹿こと上条当麻である。
最近彼からの音沙汰はなく、音信不通の状態である。
勇気を出してこっちからかけるも見事に玉砕。
「一体どこで何をしてるのやら・・・」
そう言って操作した携帯の画面には上条からのメールが表示されていた。
12/24 15:47
from:上条当麻
to:御坂美琴
件名:別れ
しばらく学園都市からいなくなるけど別に心配することないからなー。
んじゃあな。
このメールを見た御坂は暴走し、世界中のネットワークに侵入し上条の姿を求めた。
その結果御坂が手に入れた情報は以下の通りである。
上条は知らない女性と学園都市を出てハワイ方面へ向かったということだけ。
防犯カメラに映されていた浮気(本人談)を垣間見た御坂の様子を間近で見ていた白井はそれを境に変態行為をやめたという。
どれほど恐ろしかったのだろう。
しかし彼女は決して語らない。
さらにそこが限界。
これ以上のことは全くの謎で、それがよけいに彼女をもやもやさせていた。
入学式の最中もそのことで頭がいっぱいで学長の言葉など頭に入らなかった。
気づけばサークル勧誘の真っ只中にいた。
特に興味もなかったのでそういったもの全てを笑顔でかわしていった。
校門まであと5mというところで、左に女子大生の集団が視界に入った。
どうやら男と話しているようだ。
上条みたいな奴がいるのかと軽く受け流して過ぎ去ろうとした・・・
その瞬間、なにか見逃してはいけないものがあったような気がしていた。
立ち止まる。
深呼吸。
振り返る。
いた。
奴がいた。
両手に花どころか毎日とっかえひっかえしても2ヶ月はもつんじゃないかという程の数の女子大学生に囲まれた上条当麻が。
考えるよりも先に異能が彼めがけて放たれた。
うーん、まだイライラする・・・
「御坂てめぇ!!」
数ヶ月ぶりに聞いたその声はひどくなつかしく、無意識に視界がぼやけた。
「あれ、なんで貴方様は泣いていらっしゃるんでせうか?」
「だんでもでゃいばよ、ヴァカ!!(なんでもないわよ、ばか!!)」
「ほら、なんで泣いてんのかは知らねえけど、泣き止んでくれよ」
上条はそう言って、御坂を優しく包み込むように抱きしめた。
普段はツンツンなお嬢様もこの時ばかりは素直に甘えることができた。
夜
「で、なんでアンタがあそこにいたのよ。失礼だけどアンタがあそこに受かるなんて到底考えられないんだけど」
「直球で来たな。ああ、簡単に言うとコネで入った」
「コネ?」
「ほら、入学式で話していた学長とちょっとあってな・・・」
頭の中でパズルが完成した気がした。
「まさか・・・!?」
ベッドに投げ捨てた教科書とともに積まれてるパンフレットのページをペラペラめくる。
(やっぱり・・・!!)
御坂の通う大学の学長と防犯カメラで見た上条の浮気(?)相手の顔が一致していた。
「やっぱり浮気かああぁぁ!!」
「何の話だあぁ!!」
「だって私というものがありながら、他の女といちゃいちゃして・・・!」
「お前な・・・よく思い出せ。俺たち付き合ってたか?」
「・・・えっ?」
「どうだ」
「いいえ・・・////」
会えなかった寂しさを埋めるために色々妄想してて、現実との区別がつかなくなったのだ。
「はぁー。この数ヶ月学園都市にいなかったのは学長の秘書という高時給のバイトのためだったんだよ」
「んで、なんでそんなことをやってたかというと・・・なぁ御坂」
「なに・・・?////」
「お前さえよければなんだけど・・・」
「お前の妄想、現実にしてみないか?」