とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part06

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被害者・グループ


喫茶店の外にあるテーブル席は、曇天といえども蒸し焼けるような温度の中にある、
そこで土御門元春は灰色の空をを睨むかのように眺めていた。

(仕方がないとは思ってるんだがな…)

アレイスターを半年前、上条と共に倒した。
しかし現実とは、魔王を倒せば平和になる御伽噺ではない。
絶対的な強者が消え、その隙間を縫うように野心を持ったものが蠢く。
これが現実。

「そのために私たちのような人間がいるんですよ」

そんなに顔に出ていただろうか?
いや、出せるようになったことを喜ぶべきか?
土御門は正面を一瞥する。
海原光貴、
イケメンの顔を借りるイケメンだ。
……腹立たしい。

「すみません、あまりにもわかりやすい表情だったもので」

「そんなところがあなたは胡散臭いのよ」

空席だったはずの隣にいつの間にか人が座っていた。
結標淡希。
相変わらずの格好だ。
恥ずかしくないのか?

「なんかすごく失礼なこと考えてない?」

「………………集まってもらった理由は…わかるな?」

「親船さんが統括理事長としてはじめて公式に姿を出す、今日の式典の件ですね」

「無視ということは、認めたようなものね。
 まあいいわ、その式典は今度新しくできる博物館で行われるはずよね?」

「確か、セブンスミストの隣でしたっけ?」

「そう、その式典で親船暗殺を計画するやつらがいる」

「あの人も大変ね」

「彼がいないのは……」

「あぁ、もう隣でボディガードしてるよ」

「熱心ね」

「組織の名は『太平道』。科学による支配からの脱却を唱える魔術結社だ」

「なんとも定番ですね」

「まったくだ」

土御門はため息とともに外を見る

腹立たしいことに周囲は平和ボケしてるやつしかいない。
例えばそこのカップルなどは、
まだ初々しく手もつなげておらず、
目があっては脇へ逸らし、一定の距離を保ちながら、
無言と、繋がらない会話を繰り返している。

しかし、あのツンツン頭のへたれ顔はたしか……

「カミやん?」

その一言に他の二人も同じ方向に視線を移した。

そいつは明らかに上条当麻だった。
微妙に赤い顔が、ムカつくくらい気持ち悪い。
そして隣にいるのは……

「確か常盤台の前でカミやんに抱きつ「御坂さん!!!!!「超電磁砲!!!!」」……」

やかましい。



そうこうするうちに二人はこっちに近づいてくる。
三人はとりあえず顔をそむけるしかない。
だんだん会話が聞き取れるほどの距離になる。

『い、いや~、いい天気ですね!! 御坂さん!!』

『ほ、ほんとね~!!』

「いやいや、カミやん、冒頭にもあったけど、今日は一面の曇り空だぜい。
 さっすがにいい天気はムリがあるとおもうんだがにゃ~」

「「……にゃ~??」」

「い、いや」

(こっちに日常を持ってくるんじゃねーよカミやん!!)

「あの二人は何をしてるのかしら?」

「さあ、どうもいつもとは空気が違う気がしますが?」

「そうね、いつもならそろそろただの口論になるはずだし」

(なんでお前らがあの二人の日常を知ってるんだよ?)

『そ、それでさぁ』

『な、なんでしょう?』

『今日の、で、でで、でででででデートの予定はどうなってんの?』

(な、なんだとおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!)

あの上条に彼女ができた。
これが意味することは。

(……戦争が起きるぞ)

ありえないと言いきれないのが大問題だ。
思い浮かぶのは五和や神裂、バードウェイ。
結構なレベルでやばい。
いったいどうしてくれるんだと素直に頭を抱える。



そんな時、土御門は気付いてしまった
『日常』にはない匂いがすることに。
人が傷つくことでしか生じない匂い。
生命力が減っていくときに生じる匂い。
嗅ぎ慣れてしまった匂い。

血の匂いがした。

土御門は静かにそちらに視線を向ける。







海原が血の涙を流していた。

「そこかよ!!!!!!!」

2ℓほど。

「量とかどうでもいい!! って死ぬぞこの量!!!!!」

「……違うんです、これは、喜びの、涙なんです」

「喜びで血の涙は出ねーよ!!! 俺のシリアスを返せ!!」

これだからストーカーは


一方で後方からはイチャイチャする声が聞こえる。

『ああ、それはそのですねぇ』

『え、えーっと、どこに行くの?』

『あ、ああ、映画館とか、考えていますです』

『ゲコ太ね』

『へ? なんのこ『ゲコ太の宇宙エレベーターね!!』…はい?』

『ピョン子の友達にしてカエル村一の歌姫アマ音と出会ったゲコ太が宇宙エレベーターを舞台に縦横無尽に活躍する物語で今回はなん『いやですよ!!』なんでよ!!』

『なんでこの歳になってそんな映画を見なくちゃなんねーんだよ!!』

『なに言ってんのよ!! これは老若男女が楽しめる映画なのよ!!』

『エンゼルフォールの時ぐらいだそんなの!!!』

『なによそれ? でも、ここは絶対譲れない!!』

『……』

『なによ?』

『なんか、やっと美琴とデートをしてる気がする』

『なななんあななきき急になに言ってんのよ!!!』

『いや、なんか無理してたなと思ってさ、……お互い自然体じゃなかっただろ?』

『……うん』

『それじゃゲコ太に感謝だな、仕方ない、映画に付き合って差し上げよう』

『ホント!!?』

『はいはい、ホントです。だから、その笑顔やめて、萌え死ぬ』

『な、何言ってんのよ!!!』//////




おい、殴るべき壁はどこだ?
こちとらもうすぐ殺し合いをするんだよ。
士気下げてんじゃねーぞ!!


そんな時土御門の耳に異音が入る。
固いものをこすりつける音。
魔術の儀式かはたまた能力の予兆か。
土御門は臨戦態勢に入る。






結標がすっごい歯ぎしりしてた。

「やっぱりそこか!!!!!!!」

ツッコミの構えをして正解だった。
誰でもわかる展開だ。

「まだまだだなボンクラ作者」

「わたしのとうまきゅんとなにイチャイチャしてんのよ!!!!!」

「え? オレの親友をそんな風に見てたの!!?」

そこだけは予想外。
ショタコンすら敗れるカミやん病恐るべし。
たしかにロシア編あたりから少し童顔になった気がするが……。

そんな思考が再び奴らに阻害される。


『……そうね、ちょっと無理してたかも』

『俺たちらしくいけばいいんじゃないか?』

『うんうん、ということで』

『ん?』

『勝負よ!!!』

『何言ってやがりますかこの子は!!?』

『せいっ』ガシッ

『み、みみ美琴さん!!!? 
おれの腕になんか抱きついちゃったならば
そのつつましやかなあれが当たっちゃったりなんかしまして!!!!!」

『なにがつつましやかだ!!!!!  …………あててんのよ』

『ぐっは~!!! 威力でかすぎ!!』

『と、とにかく、耐えられなくなった方の負けね!!!』

『お、おう!! 上等だ!! やってやりますともさ!!!』




土御門はマジな顔になっていた。
どれくらいかって言うと、新約7巻の71ページなみの顔である。
その表情のまま土御門は携帯で連絡を取った。

「舞夏か、今日は会えないなんて言ってたが、絶対会う。会ってみせる。
 大丈夫だ。課題や後始末もすぐに終わらせてやる。
 だから、待っていてくれ」

土御門は他の二人を引きずって歩きだす。
彼の怒りは頂点に達していた。

「ただでさえ俺と舞夏とののどかな休日をつぶして、そのうえあんなものを見せつけた責任は取ってもらうぞ」

その後、『太平道』は、土御門達の八つ当たりを全力で受ける。
しかも、

『それで、映画館ってどこ?』

『ん? セブンスミストの中』

とどめにヒーローが来ちゃったりするのだった。










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