あの後は、結局黒子を呼び出してテレポートをお願いした。
その道中は…まぁ省略。難無く常盤台寮には行けましたよっと。
夜は黒子もお疲れらしく、邪魔される事無く2人して安眠出来た。
その道中は…まぁ省略。難無く常盤台寮には行けましたよっと。
夜は黒子もお疲れらしく、邪魔される事無く2人して安眠出来た。
――――翌日。
私が起きて、んーっ、と大きく伸びをしていると、見計らうようにケータイが鳴り始める。
手を伸ばして取ると、ケータイに付けたクリアブラウンの宝石が揺れる。
ああ…昨日は終わったんだな。
感慨深さがあった。アイツと一緒に、聖夜――正確には違うけど――を過ごせた。
神に感謝ね。…非科学的だけど、さ。
手を伸ばして取ると、ケータイに付けたクリアブラウンの宝石が揺れる。
ああ…昨日は終わったんだな。
感慨深さがあった。アイツと一緒に、聖夜――正確には違うけど――を過ごせた。
神に感謝ね。…非科学的だけど、さ。
とっくに鳴り止んでいたケータイを開く。メールだった。
……アイツ…じゃなくて、当麻からだ。
……アイツ…じゃなくて、当麻からだ。
『おはよう。昨日は楽しかった。ありがとな …最後はやりすぎた、と自ら思うが…。
流石に今日は白井とかと遊ぶんだろうし。楽しめよな。メリークリスマス』
流石に今日は白井とかと遊ぶんだろうし。楽しめよな。メリークリスマス』
改めて認識。
当麻は自分を不幸とか言いつつ、気配りとか出来てて…好きだ。
私もポチポチと粗末ながらも精一杯の文章を作って返した。
当麻は自分を不幸とか言いつつ、気配りとか出来てて…好きだ。
私もポチポチと粗末ながらも精一杯の文章を作って返した。
「ふわぁ…あ、お姉様おはようございますですの」
黒子が起きて来た。
私も「おはよう」と返事をする。
私も「おはよう」と返事をする。
「あ、初春から昨日パーティーの招待が来ましたの」
「ん、ああそう。今日かしら?」
「ええ、そうですの。お姉様行かれますか?といっても、いつもの面子ではありますが」
「勿論、行くわよ」
「ん、ああそう。今日かしら?」
「ええ、そうですの。お姉様行かれますか?といっても、いつもの面子ではありますが」
「勿論、行くわよ」
やる事もあるし。
「では、えーっと…6時20分必着、との事でしたのでそれに合わせましょう」
「6時20分ね。オッケー」
「…何故そんな中途半端な時間を選んだのか甚だ疑問ですが…。
まぁ黒子はお姉様とそれまで甘いクリスマスデイを過ごせるので気にしませんの♪」
「珍しく追試喰らったの誰でしたっけー?」
「うぐっ! …いや、それはその…」
「ジャッジメントが忙しいーとかでもギリギリだったから仕方ないーとか言い訳よ?」
「……分かりましたですの。
レベル4の威厳に掛けて、追試ではありますがちゃんとそれらしい結果を残してやりますの」
「うん、頑張ってね。さぁーて私も調べ物っと…」
「6時20分ね。オッケー」
「…何故そんな中途半端な時間を選んだのか甚だ疑問ですが…。
まぁ黒子はお姉様とそれまで甘いクリスマスデイを過ごせるので気にしませんの♪」
「珍しく追試喰らったの誰でしたっけー?」
「うぐっ! …いや、それはその…」
「ジャッジメントが忙しいーとかでもギリギリだったから仕方ないーとか言い訳よ?」
「……分かりましたですの。
レベル4の威厳に掛けて、追試ではありますがちゃんとそれらしい結果を残してやりますの」
「うん、頑張ってね。さぁーて私も調べ物っと…」
黒子の勉強机から少し遠い位置でパソコンを開く。
「あら、パソコンを使うとは珍しいですわね」
「んーちょっとね…」
「んーちょっとね…」
カタカタカタ、と慣れた手で操作していく。
イルミネーション、電気、管理―――アクセスログ――――――ああ、やっぱりか。
分かった所で、パソコンを終えた。
イルミネーション、電気、管理―――アクセスログ――――――ああ、やっぱりか。
分かった所で、パソコンを終えた。
「早っ!」
「終わったわ。黒子の分の朝ご飯も買ってくるけど、何がいい?」
「じゃあ私はサンドイッチで」
「りょーかい」
「終わったわ。黒子の分の朝ご飯も買ってくるけど、何がいい?」
「じゃあ私はサンドイッチで」
「りょーかい」
ちゃっちゃと制服に着替えて、私は黒子の背に応援を掛けて出て行った。
―――――――――
18時19分。
私と黒子は初春さんの家の前にいた。
私と黒子は初春さんの家の前にいた。
「…お姉様、何で2分近くココに立っていらっしゃるのですか」
私は何も言わない。
「…もしやこの前では3分間直立したまま黙秘してないと道が開けないとか!
嗚呼それなら黒子、今喋ってしまったので一旦マップを切り替えてもう1度…」
「また懐かしいシステムを…。違うわよ」
嗚呼それなら黒子、今喋ってしまったので一旦マップを切り替えてもう1度…」
「また懐かしいシステムを…。違うわよ」
腕時計を見る。
細い針が『11』を過ぎた。
細い針が『11』を過ぎた。
「4…3…」
黒子は理解不能、という顔で私を見ている。
「2…1…」
静かなせいか、カチャカチャ、と鍵が開く音が聞こえる。
「0」
ばたんっ!!
ばたんっ!!
「「メリークリスマスっ!」」
初春さんと佐天さんが扉を開けた瞬間、クラッカーが連続して音を立てた。
私の横にいた黒子が、驚いて後退する。
私の横にいた黒子が、驚いて後退する。
「…あれー、御坂さん驚いてないや」
「さっすが、御坂さん。レベル5となれば、こんぐらい慣れちゃってますか」
「いやー…あはは… メリークリスマス」
「……酷過ぎますの」
「さっすが、御坂さん。レベル5となれば、こんぐらい慣れちゃってますか」
「いやー…あはは… メリークリスマス」
「……酷過ぎますの」
心臓部分を押さえる黒子に肩を貸してあげながら、家の中に入った。
折り紙の輪っかを鎖状に繋いだ飾りが、壁にたくさん貼られていた。
折り紙の輪っかを鎖状に繋いだ飾りが、壁にたくさん貼られていた。
「常盤台には敵わないだろうけど、なるべく派手にしてみましたー!」
隅に物々しい物体があると思ったら、装飾されたモミの木があった。
「あ、それホログラムなんですよ。流石に入れ込むのは大変なんで…」
と、初春さんがキッチンから言う。
木に手を伸ばすと、それはすり抜けていった。便利なもんねぇ。
黒子は私の分の座布団も引いて、早々に座っていた。
佐天さんは、一仕事終えて自分の座布団で、肩が凝ったのか揉んでいた。
木に手を伸ばすと、それはすり抜けていった。便利なもんねぇ。
黒子は私の分の座布団も引いて、早々に座っていた。
佐天さんは、一仕事終えて自分の座布団で、肩が凝ったのか揉んでいた。
「あ、座る前に御坂さん、ちょっと手伝って貰っていいですか?」
初春さんが言う。
私は返事をして、キッチンに行く。
私は返事をして、キッチンに行く。
「ちょっとシチューの味を見て欲しくて…」
まろやかなシチューの中で人参やらじゃがいもが泳いでいる。
初春さんは小皿に少量取り、私に手渡す。
初春さんは小皿に少量取り、私に手渡す。
「…うん。水っぽくも無く、丁度いいんじゃない?」
「ホントですか!ありがとうございますっ」
「ホントですか!ありがとうございますっ」
初春さんがにこっと笑う。
私はその笑顔に圧倒され、少し戸惑ったが、口を開いた。
私はその笑顔に圧倒され、少し戸惑ったが、口を開いた。
「―――ありがとね」
「ん?ああ、パーティーなら私も招待受けてくれて"ありがとう"ですので気にしないで…」
「じゃなくて」
「ん?ああ、パーティーなら私も招待受けてくれて"ありがとう"ですので気にしないで…」
「じゃなくて」
湯切りされたブロッコリーの入ったザルがあった。
私は食器棚からシチューを入れる器を4つ取り出す。
私は食器棚からシチューを入れる器を4つ取り出す。
「……バラしちゃいました?」
「ううん、でも私達は姉妹よ?言いたい事は分かるって。あとワザとでしょ」
「ううん、でも私達は姉妹よ?言いたい事は分かるって。あとワザとでしょ」
あの子の言葉を租借する。
―システム不調もアンタが?―――
――――いいえ、"それは"違います―
――――いいえ、"それは"違います―
初春さんが、声を殺しながら笑っていた。
「どうしたのよ」
「いえ、別に私は何が、とは言ってませんし…」
「いえ、別に私は何が、とは言ってませんし…」
皿を1つ手にして、それにシチューを注いでいく。
「――そうね。私のは、寝言だったかも知れないわ」
「よくありますよねー」
「でも、夢の中の事なのに、今ここにいる初春さんにお礼しないといけないような気がするの」
「よくありますよねー」
「でも、夢の中の事なのに、今ここにいる初春さんにお礼しないといけないような気がするの」
注ぎ終わりシンクの上に置き、また1つ手にする。
「夢の中の話ですよね?」
「そうよ。でもしないといけない気分なのよ」
「そんなの私が頂くわけにはいきませんよ。
私は御坂さんが"楽しく過ごせて"いて、"お話出来る"だけでいいです」
「……んじゃ、またモーニングでも食べて話そうか」
「ええ、近い内に」
「わかったわ」
「そうよ。でもしないといけない気分なのよ」
「そんなの私が頂くわけにはいきませんよ。
私は御坂さんが"楽しく過ごせて"いて、"お話出来る"だけでいいです」
「……んじゃ、またモーニングでも食べて話そうか」
「ええ、近い内に」
「わかったわ」
最後にブロッコリーを、全ての皿に2個ずつ盛り付けていく。
「……A、くらいですか?」
ぽつり、と初春さんが呟く。
「………はい?……って、え、…えっ!?」
「ふふ、冗談ですよ」
「…………え、いや、その……」
「うーいーはーるぅー。お腹ぺっこぺこだよー?初春の分のケーキだけ消えちゃうよー?」
「ふふ、冗談ですよ」
「…………え、いや、その……」
「うーいーはーるぅー。お腹ぺっこぺこだよー?初春の分のケーキだけ消えちゃうよー?」
佐天さんが大きな声でこちらに訴えてくる。
「ええ、そ、それはダメですよ!今そっち持って行きますから!!」
初春さんが2つだけ手にして、足早に2人のいる所へ行く。
一旦振り返って言う。
一旦振り返って言う。
「あ、御坂さん、その2つお願いします!」
「えっ、ああ、オッケー」
「えっ、ああ、オッケー」
シンクの上にある2つを私も手にして、そっちに行った。
「では、私、佐天涙子が音頭を取らせて貰い……」
「お腹空いてたのにそういうのはしっかりやるんですね」
「こういうのはちゃんとしとかないとっ。こほん、えーでは、みなさんコップを手に――」
「お腹空いてたのにそういうのはしっかりやるんですね」
「こういうのはちゃんとしとかないとっ。こほん、えーでは、みなさんコップを手に――」
「「「「かんぱーいっ!!」」」」
グラスがぶつかり合い、透き通った音が鳴り合った。