とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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小ネタ とある美琴の大人階段【ハツタイケン】 前日談




学校の放課後、帰宅途中に『たまたま』『偶然』『バッタリ』と美琴と会った上条は、
そのまま雑談しながら一緒に歩いていた。

「―――そしたらさー、レジに並んでる時に財布忘れてる事に気付いて…はぁ…不幸だ」
「あははは! 何かサザエさんみたいな話ね!」
「いや、それが笑い事じゃねーんだって! その後―――」

こんな、とりとめのない会話が美琴にとっては幸せだった。
上条と一緒の時間を過ごせる、それだけで今は十分だと思っていた。
しかし、何気なく目に入ったカップルの様子を見た時、

「はまづら。私たちは恋人同士なんだから、一緒に歩く時は手を握るべきだと思う」
「うえっ!? いや、でも恥ずかしくね?」
「や。握ってくれないともう歩かない」
「~~~! ホ、ホラ!」
「……♡」

ちょっとだけ欲が出た。

(…いいなぁ。私もあんな風にコイツと……)

と、考えた所で「いや無理か」と心の中で溜息をついた。
美琴は自分の性格をよく分かっている。上条に対して、いつも素直になれない事を分かっている。
今まで何度も直そうとしたが、何ともならなかったからこそ、未だに友達どまりなのだ。
だがせめて、

(本当にそれでいいの…?)

友達以上恋人未満くらいにはなりたい。

(ずっとこのままでもいいの?)

少しでも自分の事を想って欲しい。

(そんな訳ないでしょ!?)

だから美琴は振り絞ったのだ。

(行け! 御坂美琴!)

ほんの少しだけの勇気を。

(アイツにレベル5の実力を見せてやれ!!)



上条がふと気付くと、美琴は自分の2~3m後方を歩いていた。
「いつの間にか早く歩きすぎてたか?」と歩幅を合わせる為にその場で立ち止まろうとしたその時、
美琴がタタタッと小走りしてきた。
そして―――

きゅっ…!

「えっ…?」

上条の左手がじんわりと温かくなる。
見ると左手の小指と薬指を、美琴の小さく震える右手が握っている。

「えと…み、美琴…さん?」
「……………」

美琴は何も答えず、耳まで真っ赤になり、ただただそのまま俯いてしまっていた。
こんな女の子を目の当たりにして、男が思う事はただ一つだ。

(な、何なのですか!!? この可愛い過ぎる生き物はっ!!!)

思わず上条の顔も「かあぁ…」と赤くなり、二人はお互いに無言のまま再び歩き出した。
間に微妙な距離を開けて、それでもしっかりと『繋がった』ままで―――



ただ、最後に雰囲気を打ち壊すようで申し訳ないがこれだけは言いたい。
この二人、一人は中学2年生で、もう一人は高校1年生である。

   ウ ブ か っ !!!








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