とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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小ネタ 悪条さんの悪戯




美琴は第7学区の病院へとやってきていた。カエル顔の医者がいる、上条御用達の病院である。
上条御用達…そう、つまりここで上条が入院しているのだ。
『独自のルート』で上条が病院に運ばれた事を知り、速攻でお見舞いに駆けつけたらしい。

「また知らない所で何かを守る為に戦っていたのではないか」と心の底から心配した美琴だが、
医者は「柱の角に頭をぶつけたみたいだね?」と語っており、
ヘナヘナと力が抜けたのだった。怪我自体は大した物ではないらしい。
だが同時に、医者は気になる事も言っていた。

「…ただ頭を打った影響で、脳に何らかの後遺症が残る可能性は否定できないね?
 彼が目を覚ましてからでないと、何とも言えないがね?」

医者はあくまでも、可能性の話をしただけだ。
しかし美琴の不安をかきたてるには、十分すぎるほどの言葉だった。


 ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘


美琴は上条が寝ているベッドの隣で、パイプ椅子に腰掛けながら彼の手を握っている。

(とっとと目を覚ましなさいよ……)

という美琴の願いが届いたかどうかは分からないが、次の瞬間、上条はパチッと目を覚ました。

「っ!!!」
「…よぉ…美琴……」

上条の意識ははっきりしているらしく、起きてすぐに視界に入った少女の名前も正確に言える。
どうやら心配はなさそうだ。
だが上条が起きた事は医者に報告しなければならないので、美琴はナースコールに手を伸ばす。
しかし、何故か上条本人がそれを止めるのだった。

「!? ちょ、ふざけてる場合じゃないでしょ?」
「俺なら平気だって。それよりせっかく二人っきりなんだから、もう少しこの状況を楽しもうぜ?」
「……は?」

違和感。
普段の上条からは想像できないような台詞だ。

「え、な、どうしたの…?」
「どうしたもこうしたもないだ…ろっ!」
「ひにゃっ!!!?」

そして違和感は、確信へと変わった。
先程の医者の言っていた事…『脳に何らかの後遺症が残る可能性』。
明らかに今までの上条と性格が違っていた。何故なら、

「な、ななな、何、私の胸をガッツリ揉んでくれてんのよこの変態いいいいいいい!!!」

それはもう、見事にモミモミしていたのだ。

「ミコっちゃんがお胸の事でお悩みなんじゃないかと思って、
 こうやって大きくしてやろうという上条さんの優しさですよ。
 決してやましい気持ちじゃありませんぞ!?」
「うううう嘘つけゴルァ!!! てか、ちょ、やめっ……そんな激しく…んあぁっ!!!」

思わず恥ずかしい声を出してしまい、顔が真っ赤に染まる美琴である。
対して上条は、益々調子に乗ってくる。

「おやおやぁ? ひょっとして感じちゃったのでせうか?
 いけませんな~! こっちはマッサージのつもりでやってんのに」
「…う…うっさい!!! いい加減止めないと、そろそろ本気で怒るわよっ!!?」



恥ずかしいのを誤魔化すかのように、美琴は声を荒げた。
だがそんな美琴を見透かすかのように、上条はニヤリと笑う。

「嫌なら手で払うなり、電撃ぶっ放すなりすればいいだろ?
 そうしないって事は、実は美琴も満更じゃないんじゃねーの?」
「んなっ!!?」

今の上条は色々と鋭くなっている。非常に厄介である。
しかしその厄介さは、まだまだこんな物では終わらなかったのだ。

「つーか全然嫌そうに見えないんだけど、もしかしてアレか?
 美琴センセーは俺の事が好きなのか?」
「なあああああっ!!!?」

モロ図星である。

「へえええ、そうなんだ~♪ 道理で胸を揉まれても嫌そうにしない訳だ♪」
「あ…あああ…あ………」

美琴はもう、有り得ないくらい赤面していた。…そして胸を揉まれ続けていた。
とりあえず今の上条は何とかしなくてはならない。
医者に相談するべきか、食蜂の能力を借りるべきか、自分の電撃で何とかならないだろうか、
というか上条自身の能力【イマジンブレイカー】では直らないのか、
いっそ魔術とかに詳しいあのシスターに聞いてみようか、等々と様々な案が美琴の頭を駆け巡る。
が、一向に考えはまとまらない。
レベル5第三位の演算能力を持ってしても、今の上条からは抗えないのだ。

だってずっと胸を揉みしだかれているのだから。
…とりあえず、上条から離れては如何だろうか。

「は、ぁ…もう…ホント……や、めっ…………あぁああん!!!」

荒く息を吐き、段々何も考えられなくなっていく美琴。完全にアウトなレベルのプレイである。
しかし上条は更に攻める。

「……そろそろ胸だけじゃ物足りなくなってきたんじゃねーの…?」
「は…ぇ…?」

もう悪戯じゃ済まなくなりそうな所へと、上条は手を伸ばす。
その時―――

「なああああにをしとるんじゃこの腐れ類人猿があああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「タコスッ!!」

白井のドロップキックが上条の脳天に直撃した。
白井は風紀委員の特権をフルに使い、
愛しのお姉様のケータイGPSにちょっとした『細工』をしていた為、
美琴の位置情報が丸分かりなのだ。
もっとも今回に限っては、そのストーキング行為が功を奏した訳だが。


 ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘


「すんませんでしたっ!!!」

上条は上条家に代々伝わる、「ものすごく綺麗な土下座」を繰り出していた。
ショック療法というヤツだろうか。
白井からの、殺意が込められた強い衝撃【ドロップキック】を食らった上条は、
あっさりと元に戻っていた。
そして元に戻ってからやる事はただ一つ、誠心誠意ひたすら謝る事である。

未だに殺意の消えない(当然と言えば当然だが)白井は、
美琴になだめられ何とか落ち着きを取り戻しているが、
またいつ気持ちが沸騰するか分からないので、別室で待機してもらっている。
だが問題は白井ではなく美琴である。もはや全然目を合わせてくれないのだ。

「み、美琴…さん。えっと…その…本当に悪かった!
 謝って済む問題じゃないけど、その……とにかくごめん!!!」
「べ、べべべ別に怒ってないしっ!!!!!
 あ、ああ、あれはちょっとした事故みたいなもんだし!!?」

そんな事は無いだろう。
と、ここで上条は、性格が変わっていた時に自分が言った言葉を思い出す。

「ところでその……美琴が俺の事好きって…マジでせうか…?」

すでにいっぱいいっぱいだった美琴は、上条のその一言が色々な意味でとどめとなったのだった。










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