とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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本日のチュウ




美琴は第7学区のコンサートホール前の広場にいた。
いつぞやの罰ゲーム以来、彼女と上条の待ち合わせは、決まってこの場所がお約束となっている。
そう、つまり美琴は今現在、上条を待っているのだ。
しかしせっかくのお出かけだと言うのに、何故だか美琴の表情は曇っている。

(はぁ……ホントあの馬鹿にも困ったもんよね……)

何だか上条の事でお悩みの様子だ。その理由は……

(ああんもう! アイツってば、チュウばっかするんだもん!
 そりゃ私だって嫌いじゃないけど! ……てか好きだけど…気持ち…いいけど………
 でも! 本当はもっとロマンチックな雰囲気でしてほしいのよね!
 なのにアイツったら、朝起きたらチュウしろだの、出かける前にもチュウしろだの、
 挙句の果てにはムラムラしたからチュウしろだの! もっとこう情緒ってもんがさあ!)

完っっっ全っっっに、ただのノロケである。純度100%のノロケである。
だが本人は本気で悩んでいるらしく、「今度チュウしようとしたら、ガツンと言ってやろう」
と考えているようだ。
正直な所、勝手にやってくれと思わなくもない。

美琴がそんな事を思っているとは露知らず、待ち合わせ場所に上条が到着する。

「悪い悪い。ちょっと待たせちまったか?」
「…別に待ってなんぶっ!!?」

美琴が言い終わるその前に、さっそく唇を奪われた。
本日、チュウ1回目。記録4秒。

「…ん……はぁ……じゃ、行くか」

当たり前のように、何事も無く。上条にとっては、これが唯の挨拶だとでも言うのだろうか。
さぁ、ガツンと言うチャンスだ。

「あ………ひゃい(はい)…///」

駄目だこれは。



二人は手を繋ぎながら…と言うよりは、お互いの指と指を絡ませ合いながら、
次なる目的地・映画館へと向かっている。
手からじんわりと熱が伝わり、汗をかいていないかと心配になる美琴である。
それでも手を離すつもりは全く無いようだが。

「ねぇ、今日はどんな映画観るの?」
「普通に恋愛映画だよ。前から美琴と行きたかったんだよな~♪」

何故か妙に上機嫌な上条。
美琴の趣味に合わせたのだろうが、彼自身はあまり興味の無さそうなジャンルである。
もしかして、と思い美琴は一つ質問してみた。

「……べ…ベッドシーンとかあったりする…?」
「ああ、うん。あるぞ」

あっさり肯定。やはりそれか。

「や~らし~い! それが目当て!?」
「…まぁ、半分正解ってとこかな」
「何よ、半分って」
「ま、行けば分かるよ。それにベッドシーンだけじゃなくて……」
「んんっ!!?」

そのまま上条は、再びキスをした。
チュウ2回目。記録1秒。

「…って感じでキスシーンもあるぞ」
「…ふあ………不意打ち…反則…///」

とは言いつつ、満更でもないご様子。
頭がポケーとしてしまったせいで、『半分』正解の意味を考えられなくなってしまった美琴である。
ヒントは、上条自身が出していたというのに。



映画館に入り、美琴は不思議に思っていた。
上条が指定した座席は、N-12と13。ホールの最後列である。

「…? もうちょっと前の方が良くない?」
「いや、いいんだよここで。ここなら後ろに人がいないから、迷惑かけないだろ?」

ニヤッと不敵に笑う上条。
意味の分からなかった美琴だったが、映画が上映して初めてその恐ろしい計画を理解する。
上条は、

「ん…あ…んんっ…///」

キスシーンやベッドシーン流れる度に、

「ちゅぷ…らぁめ……ん、ふ……///」

美琴と、

「んー! ん、んー!///」

唇を重ねるのだった。

先程の半分正解とは、確かにお目当てはベッドシーンだったのだが、
上条はそれ自体が目的ではなく、そこに託けて美琴とイチャイチャする事を意味していた。
なるほど、こんな事をされた日には、後ろの座席の人は背もたれを殴り続ける事となるだろう。
と言うかもはや、映画の内容などどうでもいいのだろうか、上条は。

結局ろくに映画の本編を観ないまま、スクリーンにはEDのクレジットが流れるのであった。

チュウ3回目。記録2分19秒。
チュウ4回目。記録21秒。
チュウ5回目。記録1分57秒。
チュウ6回目。記録5分9秒
チュウ7回目。記録13分16秒。

…13分もしていれば、そりゃ映画なんて観れないだろうよ。
最終的には、内容に関係なくキスしていたようだ。
おかげで美琴は、

「…あー……♡ ぁ…あー……♡」

クッタクタになっていた。



映画館から出た二人は、そのまま食事する為にファミレスへと来ていたのだが、
美琴は何だか不機嫌そうに目の前のジェノバソースパスタを食べていた。
ふと、ハンバーグ定食を食べる上条の手が止まる。

「どうした? 美味しくないのか?」
「違うわよっ! 私はね、怒ってんの!」
「何で? えっと…俺何か悪い事したか…?」

本気で分かっていない上条に、美琴は声を荒げる。

「ア、アアア、アンタねえ!!! あんだけの事しといて!!!」

あんだけの事とは、勿論映画館での上条の行動だ。
正直美琴も気持ちよすぎて、軽く意識が飛んでしまった訳だが、それは内緒だ。
だって上条が付け上がるから。
しかし上条も黙ってはいない。彼は彼なりに、考えあっての事だったのだ。

「俺だってなあ! コレでもかなり我慢してたんだぞ!?
 俺の父さんも美琴の親父さんも、キス以上の事は結婚するまで駄目だって言うし……
 キスだけで理性抑えるのがどれだけ大変だと思ってんだ! 高校生の性欲ナメんなよっ!?」

店内で、そして大声で何を言っているのだこの男は。
ツッコミたい箇所が山ほど出てきた。さり気なく「結婚」ってワードもあったし。
父親達は駄目、という事は母親達的にはOKなのか。二人がキス以上の事をしても。
詩菜さん美鈴さん。初孫が早く見たいのは分かるが、もう少し二人の年齢を考えてはくれないか。

「で、ででででもっ! 私はその…め…迷惑してるの!」

ツンデレの悪い部分が出てしまったようだ。
本当は美琴も嬉しいくせに、つい口をついて反対の事を言ってしまう。
上条はその言葉に、腕を組みながら返答する。

「……分かった。じゃあキスすんの止める」

意外すぎる程アッサリ。

「え………えええっ!!? そんな、きゅ、急にっ!?」
「迷惑してるんだろ? 俺としては、そりゃキスしたいけど、美琴が嫌なら止めるよ。
 だって……」

そう言うと上条は、ふっと笑いながら一言。

「美琴の事が世界一大切だからな」

ずどーん、と何かを打ち抜かれる美琴。
顔を真っ赤にしながら、美琴は本当の気持ちを打ち明ける。

「…そだから……」
「ん?」
「嘘だから! ホントは私も、いっぱいキスしてほしい!
 で、でもアンタ、どんどんキスが上手になっちゃって…
 私も…これ以上されたらおかしくなっちゃいそうで……
 だ…だからその……す、少しだけお手柔らかに……その……んっ!!? んぁ…///」

またもや不意打ち。
チュウ8回目。記録2秒。

「い…言ったそばかりゃあ……♡」
「えっと……スマン…いやでも、今のは俺は悪くない! 美琴が可愛すぎる事言うのが悪い!」

8回目のキスは、デミグラスソースとバジルの味がした。
ちなみに二人には、周りのお客様達が椅子やら壁やらを殴っている事には気づいていない。



食事が終わった二人は、まんが喫茶へとやって来ていた。
誘ったのは上条だが、その目的は当然まんがを読む為ではない。
狭い個室へと美琴を連れ込み、

「んぶ……れぁ…は、あ、ぁ……あん…んふっ……ぷあっ!///」

思う存分キスする為だ。
チュウ9回目。記録9分44秒。
入店していきなりの9分台である。

「ア…アンラねぇ……しゃっき言ったころ、もうわるれらの…?」

大分ろれつもおかしくなってきたようだ。
しかし、それでも上条は止まらない。

「忘れる訳ないだろ? 美琴が、『ホントはいっぱいキスしてほしい』って言った事をな」
「おおお、おてやわりゃきゃに、とも言ったりゃない!」
「無理! 今日の上条さんは攻め上さんです!
 美琴のあんな告白聞いて我慢できたら、そいつはもう男じゃねーよっ!」
「だ、だかりゃって、こんにゃねちっこくキシュされたりゃ……んんんっ!!!///」
「ん…みほと(美琴)……ちゅぷ…くちゅ…は、ぁ、美琴!」
「あ…りゃめ……ん…ほんろに……んちゅ、ぷちゅ……おはひきゅ…ぁ…なりゅううう!!!///」

チュウ10回目。記録37分19秒。



「はぁ……はぁ……」と二人の荒い息遣いだけが、個室の中でこだまする
もう舐りすぎて、口の中の味が自分の唾液の物か相手の唾液の物かも分からない。

さすがにちょっとやりすぎたかな、と上条が美琴に声をかけようとしたその時。
ドンッ!と上条は押し倒された。
何事かと見上げたその先には、

「はぁ…はぁ……と~うみゃ(当麻)~…♡」

顔をトロトロにさせながら覆いかぶさる美琴がそこにいた。

「え、み、美琴さん…? 一体どうしましんぐっ!!?」
「とうみゃ…しゅき…んぷっ…ちゅきちゅきぃ……んくちゅ…らいちゅきいぃ!♡」

今までとは逆に、上条が唇を奪われる形となっている。

「んぴちゅ…くちゅ……とうまとのキス、しゅきい! とうみゃのことしゅきい!
 もっろ…んっふ…してぇ……ちゅくちゅく…いっぱいキシュ、してぇ!」

説明しよう! 美琴は限界までなぶられ続けるとスイッチが入ってしまい、
上条以上のキス魔へと変身してしまうのだ!
つまり、攻守逆転である。
チュウ11回目。記録4分8秒。
だがしかし、美琴はただキスしていた訳ではなく、

「!!? がっ、あ…!?」

美琴は口から電流を流し、上条を痺れさせる。
幻想殺しの性質上、右手には能力が効かないが、逆に言えば右手以外の全身には能力が効くのだ。
美琴が上条を麻痺させたのには理由がある。それは、

「今日はい~っぱい愛してもりゃうんらかりゃね~♡」

上条を動けなくし、逃がさない為だ。
今日、好き勝手に美琴を弄り回した報い…と言えるのかも知れない。



この後、上条は美琴にキスを何度もされる訳だが、
しかし、キスというのは唇以外の部分にしてもキスである。
例えば、ほっぺとかおでことか。他にもまぁ…色々だ。
つまり何が言いたいのかと言われると、

美琴は上条の全身の、『 あ り と あ ら ゆ る 部 分 』にキスしまくったのだ!
だが先程彼が説明したように、
美琴の最終防衛ラインにまで手を出す事は、刀夜と旅掛によって禁止されている。
もっとも、そうでなくとも今は全身痺れていて自由に動けないのだが。
よって上条は、美琴になぶられ続けている間、ずっと生殺し状態を味わう事になったのである。
それに対し彼はこんな感想を漏らしている。「不幸だ」、と。

では最後に、誰もが思った事を代弁して言わせてもらおう。

『お前のどこが不幸じゃボケッ!』



本日のチュウ。
最終回数 105回。
最長記録 2時間29分36秒。





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最終回数

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最長記録

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