小ネタ わたしの場所
たぶん魔術とかいうやつが、魔人目掛けて落ちてくる。そのうちのひとつの前に右手を出して立ち塞がるアイツ。
「ちょっとアンタ!なんでそいつを庇うのよ!」
「約束しちまったからな。こいつを、オティヌスを守るって」
そう言い返すアイツに、わたしは思わず尋ねていた。
「そいつを守るってことは、八月三十一日の約束より大事なの?」
「その約束を守るためにも、俺はオティヌスを守らねえならねえんだよ」
アイツが真っ直ぐにわたしを見て言う。
「…ったく、それじゃあしょうがないわね」
ポケットからコインを取り出して指で弾き、そのままアイツの後ろから飛んでくる魔術の塊に向かって超電磁砲を放ってから、わたしはアイツの左隣へ移動した。
「アンタが約束を守ってくれているなら、ここはわたしの場所よ」
「御坂?」
「それに、わたしの周りにはアンタが必要不可なの。たとえ世界を敵に回すとしてもね」
「お前、それがどういうことか本当にわかってるのか?」
「わかってるわよ。それでもわたしは、アンタを信じてるから」
「御坂…」
「なによ?変な顔して。この美琴さんが信じられないとでも言うの?」
「いや、ありがとう」
「いきなり素直になられると、なんかこそばゆいわね」
「そういうもんか?」
「そういうものよ」
「よし、じゃあ一丁やりますかね」
「終わったら一日付き合いなさいよね」
「ああ、約束だ」