とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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パパの日常はママの異常




「ホントにお効きになりますの?…それ」

白井は美琴が枕元に置いたアロマオイルを訝しげに見つめる。
情報提供者が『あの』佐天だけに、色んな意味で心配だ。

「う~ん……でもまぁ、面白そうだし。
 それにせっかく貰ったんだから、一回ぐらいは使ってみないとね」

そう言いながらディフューザーのスイッチを入れる美琴。
彼女もまた佐天同様、良くも悪くも面白い物好きなのだ。

「それにもし、本当に未来が視れたら素敵だと思わない?」
「そんな安物では期待薄だと思いますわよ…」

「未来が見れたら」…と、美琴は言った。
そうなのだ。このアロマオイル、実はただの癒しグッズではない。
その香りの中で眠りに就くと、
無数にある未来の事象の中から自分の望みに近い物を夢で見せてくれる、という代物なのだ。
使い方も簡単で、まず現実で寝ると夢の中で目が覚める。
そして擬似未来【ゆめのなか】で眠ると現実世界で目を覚ますのだ。
もはや22世紀のネコ型ロボットが持っていそうな道具である。
そんな物が一般の学生でもお手軽に購入できる辺り、
さすがは科学力が数十年は先行ってる学園都市と言わざるを得ないが、
白井はやはり不審がっている。
何しろ、これを持って来たのは『あの』佐天なのだから。大事な事なので2回(ry

本日の昼間に、毎度お馴染みいつものファミレスで佐天はバッグからそのアロマを取り出した。
聞けば、レベル4の予知能力者らしき人物が開発に協力した物らしく、その信憑性は高い…らしい。
らしいらしいと連呼しているのは、あくまでもその情報が佐天経由だからだ。
彼女は悪い子ではないのだが、面倒事を更にややこしくする才能がある。
今回のこのアロマも、本当に大丈夫なのかどうか若干怪しい。と言うか、胡散臭い。

しかしそれでも、「未来が視えるかも知れない」というのは魅力的だ。例えそれが夢であっても。、

美琴は「じゃ、おやすみ黒子」と軽く挨拶し、部屋の電気をパチッと消す。
そしてそのまま眠りに就いた。
果たして彼女は、一体どんな夢を見るのだろうか…?



「う~…ん」

美琴は目を擦りながら目を開く。まだ朝も早いようで、少し肌寒い。
と、ここで彼女は、まず最初の異変に気づく。

「………ここどこ?」

目の前に広がるのは見知らぬ、天井。
少なくとも、いつも自分が寝ている常盤台女子寮の一室ではない。
その事実に気づきガバッと上半身を起こし身構える。何かトラブルに巻き込まれたのではないかと。
だが次の瞬間、本日二度目の異変に気づかされるのだった。
上半身を起こした時に、体がやけに重く感じた。ふと視線を下ろすと……

「っ!!? な、ななな、何このメロン!? えっ、えっ、ど、どうなってんのっ!?」

たわわに実った二つの乙π。それは明らかに昨日までは無かった物だ。
美琴は恐る恐るそのお肉の山を揉んでみる。……感触がある。どうやら本物のようだ。

(こ、れは……どういう…?)

混乱に混乱を重ねる美琴。しかし、この後ふと隣を見た時、本日最大の混乱を味わう事となる。

この状況が何なのか、他に異変は無いかどうか確かめる為に周りを見渡してみる。
すると自分の隣には、自分以外の布団が二つ並んでいる。
真ん中に寝ているのは、年の頃なら10歳ぐらいの女の子。
黒髪をしているが、どこか打ち止めに似ている気がする。
そしてその子を挟んで一番奥に寝ているのは、

「くかー、くかー……う、ん…むにゃ………不幸だー…」

とよだれを垂らしながら寝言を言っている、ツンツン頭の男性。
おそらく30代~40代のその男性は、とある少年にそっくりだった。
「あの馬鹿」…美琴がそう呼んでいる、レベル0の少年に。

その瞬間、美琴の脳は完全に停止【フリーズ】した。
美琴にとって、とんでもない一日が始まろうとしているのだった。



~朝の風景~


あれから2時間。美琴は台所に立ち、朝食を作っている。
そしてリビングからは先程の二人の声が聞こえてくる。

「ねぇパパー。今日はどこか行かないの?」
「んー、そうだなー…せっかくのお休みだし天気もいいし、どっかお出かけするか?」
「ホント!?」
「ホントホント。麻琴の行きたい所でいいぞ」
「じゃあ動物園か水族館がいい!」
「またか? 水族館はこの前行っただろ?」
「それでもいいの!」
「…分かったよ。じゃあ動物園にしようか」
「わーいやったー!」
「やれやれ…麻琴は本当に動物が好きなんだな。ママに似たのかね?」

どこにでもある、ごく一般的な家庭だ。
しかしそれ故に、今のこの状況が異常事態である事が分かる。
美琴の体は冷静にネギを刻みながらも、頭の中はパニクっていた。

(ええええぇぇぇぇ!!? 何これ、何なのコレっ!?
 いや、これがあのアロマの効果であろう事はもう何となく察してるけど、
 ででででもだとしたらコレが私の望みって事になるじゃないの!!!
 ああ、あの馬鹿とその……け、けけけ、結k…とかしてっ!
 あまつさえこここ子供! がいるとか! それってつまりアレじゃないのよっ!!!
 私と…アイツがその………ごにょごにょ………しちゃってるって意味じゃないのよおおおお!!!)

しかも確か、この夢は「無数にある未来の事象の中から」、という話だった。
つまりこれからの美琴の頑張り次第で、これが現実になる可能性もあるという事だ。
そう考えると一気に「ふにゃー」しそうになるが、
美琴は気合と根性でそうならないように踏みとどまっていた。
何故ならこの世界での「睡眠」は現実世界の「起床」を意味するから。
ならば気絶しても同じ事が起こるかも知れない。
要するにまだ起きたくないのだ。何だかんだ言いながらも、
もっと上条との夫婦生活【このせかい】を楽しみたいのである。

と、そんな事を考えながらもお味噌汁が完成した。
頭の中がグルグルと回りながらでも料理はしっかりできている辺り、
どうやら「料理を作る」という行動がこの体に染み付いている事が分かる。
きっと未来【この】美琴は主婦として、毎日当たり前のように行なっているのだろう。

「あー、いい匂いだな」

調理中、ふいに後ろから話しかけられ、美琴は思わずビクッとする。
振り向くとそこには、スンスンと鼻をひくつかせながらボリボリとお腹を掻く、
ちょっと頼りなさげな夫の姿があった。
「コイツが夫」である事を否応なく自覚させられ、美琴は顔を沸騰させる。

「今朝は和食なんだ」
「えっ!? ああ、あの…ち、違う方が良かったかしらっ!?」
「? いや和食好きだし、てかママが作ってくれたモンなら何でも好きだし」
「ママっ!!?」

「美琴が作った物なら何でも好き」という無自覚フラグ強化フレーズと、
「ママ」呼びのダブルパンチである。

「ああ、そうそう。今日、麻琴と一緒に動物園行く事になったんだけど、ママはこの後、何か予定ある?」
「な…ないれしゅ……」
「じゃあママも一緒な! 麻琴ー! ママも行くってさー! 朝ごはん食べたら、すぐに支度なー!」
「きゃほーい!」

大喜びする父娘をよそに、すでにいっぱいいっぱいな母であった。



~昼の風景~


「見て見て! 象さん大きい~!」
「ホントだ。すげーデカイな」
「あっちにはパンダさんがいるんだって!」
「よし、じゃあ後で行ってみようか」
「トラさんだ! かっこいいー!」
「シベリアトラか…そういや、パパ昔ロシアに行った事あるぞ」
「本当!?」

仲良くおててを繋いで動物園を歩くほのぼの家族…きっと周りからはそう思われているだろう。
確かにそうなのだが、その中で一人、この状況でほのぼのできていない者がいる。

「…どうしたママ? さっきから黙ってるけど」
「ママお腹痛いの? あたしがお腹摩ってあげる!」
「だ、だだだ大丈夫だから! し、心配しないで!」

美琴である。

「心配するなっつってもなぁ…何か朝から調子悪そうだし、ホントは無理してるんじゃないのか?
 やっぱり少し休もう。そこのベンチに座ってさ」
「あたし背中も摩ってあげる!」
「ホ、ホントに平気だってばっ!」

気を使われているのが分かってしまい、二人の優しさが逆に辛い。
とにかくこの状況に一刻も早く慣れなければ、二人に申し訳ない。
特に麻琴【むすめ】は、三人でお出かけするのを本当に楽しみにしていたのだから。

美琴は一度大きく深呼吸をし、頬をパンッ!と叩き気合を入れる。
そして「よし! もう大丈夫!」と二人に宣言しようとした。…その時だった。

「んー……熱…は無いみたいだな」

夫がおでこをくっつけてきやがった。
顔が、近い。
美琴の顔が再び赤く染まり上がる。「ボンッ!」と爆発音を立てながら。

「おわ、あっつ!? 急に熱がっ!?」
「ら…らいじょうぶれしゅ……こんにゃの、じぇんじぇんへいきれしゅかりゃ……」
「大丈夫じゃないじゃん! 目ぇ回してるし、逆にろれつは回ってないし!」
「しょしょしょ、しょんにゃことにゃいわよっ!!! にゃにへんにゃこといってんにょよアンタ!」

しょんにゃことにゃくないその様子に、夫は首をかしげる。

「……何か今日のママ、俺達が付き合い始める前みたいな反応するな…
 俺の呼び方も『アンタ』に戻ってるし。いつもは『パパ』とか『アナタ』なのに」

ギクリッ!と心臓が飛び出しそうになる美琴。
そりゃそうだ。体は結婚して出産もしている美琴ママの物だが、
心は中学二年生のツンデレ全盛期のミコっちゃんなのだから。
その上、

(パ、パパとか! アナタとか! そんなの呼べる訳ないでしょおおおおお!!?)

未来世界【こっち】のローカルルールに適応できずにいるのだ。
そんなどこか不自然なママに対し、娘がポンと手を叩きある提案をしてきた。

「あっ、分かった! 今日はいつもの『アレ』してないから、ママ不機嫌なんじゃないかな!?」
「ああ! そう言やまだやってなかったな、『アレ』!」
「ア…『アレ』…?」

何だか嫌な予感がした直後、夫が娘を抱きかかえ、そして…

『チュッ!♡』

と耳元で音が響き、両頬にやわらかい感触が広がる。
両サイドから、夫と娘が美琴をサンドイッチする形でキスしていたのだ。
娘を抱きかかえたのは、身長の足りない娘を美琴の顔まで近づけさせる為の処置である。

「なっ! ななな、なあああああ!!?」
「全く…チュウしてほしいんなら、素直にそう言えばいいのに」
「チュ、チュチュ、チュ……」
「ママのチュウ好きにも困ったもんだよなー、麻琴?」
「なー、パパ!」

この父娘は何かを勘違いしているらしいがそれはさておき、
とりあえず美琴はもう一度顔を爆発させたのだった。



~夜の風景~


家に帰ってきた三人は、今現在リビングで寛いでいる。
まぁ例によって一人、ママだけは寛げる様な状況ではないのだが。

ママの調子が悪いという事もあり夕ご飯は出前で済まし、
今は三人でソファーに腰掛けながらテレビを観ている。
何となく点けっぱなしになっているその番組は、
芸人達が「どんなプロポーズをされたいか」で議論【トーク】している。
それを観ながら、娘がこんな事を聞いてきた。

「そう言えば、パパとママはどんなプロポーズしたの?」

ママは口に含んできたコーヒーを噴射した。

「ど、どんなって…なぁママ?」

ちょっと照れながらこちらにキラーパスを出してくる夫。そんな事を聞かれても困る。
だってそれは、美琴にとってこれから経験する…かも知れない出来事なのだから、
当然知っている訳がない。
しかし、ここで「覚えていない」とは言いたくなかった。何となく。

「ア…アンタ…が言いなさいよ……あ、『あの時』の…事……」

美琴に言えるのはこれが精一杯である。
『あの時』がどの時なのか、美琴自身皆目見当もついていないが、
美琴も非常に興味のある話題なので、夫に委ねる。

「ま…まいったな……」

頬を染めながら頭をポリポリと掻く夫【おじさん】は、ポツリポツリと昔話を始めた。
これは長くなりそうである。

「あれは俺が高二で、ママが中三になったばかりの頃だな。
 俺は 《いつの間にかママの事が好きになってて》 さ、
 自然とママの事ばっか考えるようになってたんだよ。んで告白したらママが泣いちゃって…
 で、そのまま付き合い始めて、それからずっとママと付き合ってて……
 そんで俺が大学卒業した日に、勢いでママに『結婚してくれ』って言っちゃって、
 そしたらその時もママ泣いちゃってな…その半年後に結婚したんだ」

意外とそこまで長くは無かったし、そこまでドラマチックな展開も無かったようだ。
しかしそれよりも何よりも気になる事が。

(コ! コココ、コイツが高二で私が中三って!!! それ、もうすぐじゃないのよっ!!!
 し…しかもコイツから告は…く……とか! そそそ、そんな都合のいい展開ある訳っ!
 ……あ…あるの…? これからそうなるの? き、期待しちゃっていいの!? ねえ!)

美琴の脳内が、てんやわんやのお祭り騒ぎと化す。
もう一度言う。この世界は、これからの美琴の頑張り次第では起こり得る未来の姿なのだと。
しかしママの気が動転しているとは露知らず、娘は無邪気に質問を続ける。

「じゃあ、あたしが産まれたのはいつ?」
「麻琴が産まれたのはそこからしばらく経ってだな。……あっ」

夫はふと何かを思い出し、ぷっと吹き出した。

「ぷっくくっ…! そう言えばママ、あの事覚えてるか?
 ママが中二の頃、俺に『赤ちゃんできちゃったら責任取ってもらう』とか言ってたのをさ。
 あの後大変だったんだぜ? 何か、学級裁判にかけられたりとかしてな。
 あれって結局、寝惚けてたのか?」
「ふぁえっ!!? さ、さささぁ!? ど、ど、どうだったかしら!?」

勿論、美琴には身に覚えが無い。
しかしそれ以上に、そんな事を自分が言ったという事は……

(ちゅ、ちゅちゅ、中二の間に『そういう事』しちゃうって事っ!!?
 いやいやいやいや! な、何かの間違いよねきっと!
 うん! そうに違いないわ! うん! ………じぇったいに、にゃいんらかりゃ…しょんにゃの…)

さすがにそれは無いと言い聞かせ、ふにゃりかけた自分を制する。
色々と危ないので、「はい! この話はもうお終い!」と、話題を美琴自ら強引に打ち切ったのだった。



~深夜の…~


大分夜も更け、今日が昨日になり、明日が今日となったこの時間、川の字に寝る三人親子。
しかし母親の目はギンギンに冴えており、全く眠る様子がない。
「ここで眠ってしまったらこの夢も終わって現実の世界で起きてしまう」という理由もあるが、
それ以前に眠気がやってくる気配が無いのだ。
今日一日あれだけの経験をして、興奮が冷める訳がない。
布団を頭から被り、中で悶絶するのに忙しいのである。

そんな時だ、美琴の布団に誰かがモゾモゾと潜り込んできた。
「麻琴ちゃんが甘えにきたのかな?」と思い隣の布団を見てみたが、
娘は気持ち良さそうに寝息を立てている。つまり……

「やっ! マ~マさん♪」

ひょこっと布団の中から顔を出したのは、ツンツン頭の夫である。

「なっなななな何やってんもがふぁっ!!?」

堪らず大声を出そうとする美琴に、慌てて口を塞ぎ「し~~~っ!」と人差し指を立てる夫。
そして小声で話しかける。

「アホかっ! 麻琴が起きちゃうだろ!」
「もごもごもごっ! っぷはっ!」

夫が手をどかしたので、改めて聞き出す。ただし今度は、美琴も小声で。

「ア、アンタねぇ! な、なな、何しに来たのよ!?」
「何って…夫婦の営みを」
「いいい、いと、いと、営みってっ!!!」

アッサリ答える夫。そりゃまぁ、夫婦ならば何も問題ないが。
パニクる美琴を楽しむように、夫は言葉を続ける。

「今日は『美琴』があの頃みたいな反応するから、『上条さん』も昔に戻ったみたいですよ。
 ま、たまにはそういうプレイも悪くないよな」

あの頃に戻った(という体の)彼は、夫から上条へと変わる。
つまり美琴も、ママではなく一人の女性として見ている…というプレイをするつもりのようだ。

「いいいいいや、あのその、そういうのはさすが、にっ!!!?」

美琴が言い終わるその前に、上条からの強引なキス。
ただし昼間のような「ほっぺにチュウ」程度の甘っちょろい物ではない。
唇と唇が重なり、舌と舌がを絡まり、唾液と唾液が混じり合う。所謂、濃厚なヤツである。
美琴にとってはこれがファーストキスになるが、夢の中なのでセーフ判定だ。

上条が唇を離すと、チュルルっと唾液が糸を引いていた。
そして美琴の耳元で、「愛してるよ、美琴」と、とどめの一言。
一方美琴は、と言えば、

「わ…わりゃひも~……♡」

と正常な判断のできない状態になっていた。
美琴のトロけきった表情に我慢できなくなったのか、上条は美琴の下半身に手を伸ばし―――



と、ここらで美琴の身に何が起こったのか説明するのはやめておこう。
だってここエロスレじゃないし。
ただ一つ言えるのは、この夢は夢の中で眠りに就くまで終わらない訳で、
上条が「朝まで寝かせてくれなかった」ら、それまでずっと夢は続くのである。
つまり、美琴はこの日、『色々な事』を体験してしまったのだ。
美琴にとってはこれが初体験になるが、夢の中なので…いや、夢の中でもアウト判定だ。



この後現実世界で目を覚ました美琴は、レベル6に到達できそうな勢いで漏電したという……



その日、美琴は佐天から貰ったアロマオイルの『絶大』な効力のせいで朝からポワポワしており、
呆けながら通学路を歩いていた。だがそんな時に限って、

「はよっすー、美琴」

このツンツン頭は暢気に話しかけてくるのである。
いつもの美琴なら、内心嬉々として会話に応じるのだが、
今日は色々と余裕が無いので、美琴も言いたい事だけを言う。

「あ、あああ、あんな事してもし赤ちゃんできちゃったら責任取ってもらうからねっ!!!!!」
「ほわっつ!!!?」

ただしそれは、とんでもない台詞だったのだが。しかも有り得ないくらい赤面させて。
そして彼女は捨て台詞を残し、あっという間にどこかへ走り去った。
当然、上条には身に覚えが無く「えっ、えっ……えっ?」と混乱するばかりであった。

だが上条の不幸がこれで終わる訳が無い。
この時の様子を偶然にも青髪【クラスメイト】に目撃され、
その日の放課後上条は、学級裁判にかけられるのだった。
だが弁護してくれる者はおらず、吹寄裁判長の下した判決は「有罪」。
クラス全員でタコ殴り【しけい】が執行されたのだ。

薄れゆく意識の中、「こうして冤罪が生まれるんだなぁ…」としみじみ思い、同時に

(美琴…寝惚けてたのか? けど『そんな』夢見るって事は……いや、まさかな…)

と頭をよぎり、徐々に美琴の事が気になり始める。
まさかこれが、 《いつの間にかママの事が好きになってて》 のきっかけになるとは、
上条も美琴も、思いもよらない事だろう。










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