小ネタ 上条「スキだ、御坂!」
ここは学園都市第7学区にある橋の近くの河川敷
そこではとある二人の男女が、ひと気のない夜に激しいファイティンをしていた
上条「だから言ってんだろ。お前の能力は俺には効かねぇって」
彼の名は上条当麻。学園都市に住む『無能力者(レベル0)』の少年
御坂「あ あ あ もーっ! 相っ変わらずうざったい右手ね!」
そして、彼の言葉に顔を真っ赤にしながらプンスコしている少女の名前は御坂美琴。学園都市に7人しかいない『超能力者(レベル5)』の少女だ
ちなみに、少年の肩書きは無能力者ではあるが、その右手にはどんな異能でも打ち消す特殊な力があり。その力のせいで御坂の心は傷物にされてしまったのだ
結果がこのファイティン! 気づけば彼女は少年の姿を捜して、昼夜問わずにファイティンのお誘いをするようなっていた
御坂「だったら、これなら!」
御坂が一気に前に駆け出し上条との距離を詰める! と、振りかぶった右拳に電撃を纏わせ、それを相手の顔面目掛け一直線に突き出した
ーーバキィン!
御坂「!!」
…が、上条の右手に阻まれ、拳を掴まれてしまった
上条「残念。そんなミエミエのパンチが当たってたまるかよ」
御坂「そ、そんなの分かってるわよ! 今からすっごい大技出してやるから、くっ! ぬっ! その右手離しなさいよぉおお!」グイグイ
上条「……」
慌てる御坂をジッと見つめる上条
いつもの彼ならサッサと手を離して逃げるための距離を取るのだが。今回は何を思ったのか、とんでもない言葉を口にした
「ハァ……その短気な所が『好き』なんだよなぁ」
御坂「…………………………………………………へ、、隙?」
上条「ほら見てみろよ、お前の右手が俺の右手に掴まれてんだぞ。そりゃあ上条さんも心臓バクバクだったが、お前の好きが生まれるチャンスだからな、見逃してたまるかよ」
御坂「なな! しゅ、わたっ! しゅき!?」///
上条「ああ、正直に言うとかなりのレベルの好きだ。嘘じゃない」
御坂「 う、うう、嘘よ! 一体何処でどうなったら好きになんのよ! 適当ほざいてんじゃにゃいわよ!」
上条「どこって、…まぁ他にもあるし言わねぇとわかるわけないよな」
上条「えっと、すぐにカッとなってビリビリするところだろ? テンパッたらアタフタしてるところとか……はは、考えたらもう好きだらけだな。後は…」
『うわぁああああああああ!』
御坂は言葉を遮るように掴まれていた右拳を強引に剥がすと、真っ赤になった顔を伏せつつ、上条に向けて両手を広げて突き出した
でれ隠しの奥義。いわゆるもうやめてのポーズである
御坂「 も、もういい! 私の、その…き、は分かったから!」///
上条「……本当に分かってんのかよ」
御坂「えっと、その、そりゃあ、いきなりす…きとか言われても……分かんないわよ!」///
モジモジ御坂の返答に、上条は少し考えて…
「そっか。ならしょうがねぇ、特別に上条さんの好きをお前の体に直接教えてやるよ」
…………
御坂「うええええええ!! きゃきゃきゃりゃだぁああ! いいいいいいいいいから! 言葉でっ言葉だけでじゅーぶんだから!」///
上条「いや俺って頭悪いし、言葉だけじゃ絶対に無理っつーか。大体、分かんないって言ったのは御坂の方だろ? 教えてやるんだからワガママ言ってんじゃねーよ」
御坂「で、でも! わた、私、そういう経験ないし! まだ中学生だし、その、、」
上条「? 大丈夫だって、今からやるのはシミュレーションに決まってんだろ。それに、俺の好きを知ってどうするかは御坂自身が決めることなんだぜ。しっかりしろよ」ニコ
御坂「…………ん」///
上条「素直でよろしい。……あ、また好きを発見しちまったかな」
御坂「ふにゃ!!」
上条「純粋っつーか、なんっつーか…あーもう見つけだしたらきりがねぇな。好きが多すぎる」
御坂「な……ばっ…!」///
連続告白ラッシュを受け続けて頭の中がふらふらクラクラしている御坂美琴
彼女はまだ14歳の純粋な乙女であり、なんとなーーーく気になる相手にここまで直球な言葉を言われ続ければ、さすがの電撃姫もふにゃりかけるものである
そしてもちろん、これで終わるわけはなく
上条「まぁいいや、とりあえず」
言うと、上条は左手で御坂の腕を掴んで、強引に自分の側まで引き寄せ…そして優しく抱き寄せた
上条「いきなりで悪い、これが一つ目の好きだ。なんとなくだけど分かるか?」///
御坂「あの、え、は、はい!」///
上条「おお、御坂さんは物分りが良くて助かりますよ。まぁ、そんな所も好きなんだけどな」
御坂「はひぃ!」
上条当麻の言葉と抱擁によってふにゃふにゃ状態の御坂
そんなもうどうにでもな~れな彼女に更なる追い打ちが!
上条「じゃあ次は…えっと、夏休みの最後の日に俺を押し倒したアレ、、やってみ」
御坂「ふへぇ、わりゃしが? なんで?」///
上条「なんでって言われても、これが俺の好きを教える手っ取り早い方法だし……御坂が良いなら俺が押し倒すけど」
御坂「いい! わたしゅがおしたおすから! アンタはジッとしてて!」
足元がおぼつかないながらも上条から少し距離を取ると、腰をやや低く落とし突撃体制に入った
上条「や、殺る気満々だな。……しゃあねえ、こいよ御坂!」
御坂は……思った
『もう…どうなってもいい…だから ありったけを』
御坂「ふにゃああああああ! ごめ~んまったぁああああああああああ!!」
ドーン! とまさにあの時の再現通りのアメフトタックルが炸裂し、再び二人の体がコンタクトした
体が傾き、背後に地面が迫る中、上条は御坂を庇いながら背中からタッチダウン
青天はラインマンにとっては最大の屈辱なのだが、しかし上条はアメフト選手ではないから事なきを得た
上条「痛っ! 大丈夫か御坂」
御坂「あ……う」///
倒れこみ見つめ合う男女。完全下校時間はとっくに過ぎており、あたりに人の気配はない
そして、お互いの顔の距離はわずか数センチ
乙女の色々な部分が上条の身体に触れていることに気づいた瞬間、御坂のとった行動は…
上条「まぁ、この状況になったらいくらなんでも分かるよな、……後は腰を…」
御坂「こっ、にゃっ! ふっ!」///
上条「両足でホールドして相手に抜け出させないようにしつつ拳を……って」
御坂「ふにゃ~~」///
上条「ちょっ! みさぎゃばばばばばばばば!!!」
ふにゃ~(漏電+気絶)だった
ーーー
ーー
ー
あれから一時間後
時刻は午前1時
意識を取り戻した上条の胸元には、すーすーと可愛い寝息を立てる御坂の姿があった
上条(……あー、あのままお互い気を失っちまったのか)
御坂「……ふにゅ」zzZ
上条「……本当に隙だらけだよなぁ、御坂って」ナデナデ
後に、デンマークで上条当麻に教えられた技を実際に使うことになることを御坂美琴はまだ知らない