小ネタ 2年後の真夏の上琴
(だぁー暑い)
湿気が無くなったと思えば次はかんかん照り。
夏休みであろうが容赦なく学校に召喚される高校三年生の夏休み。
「……あれ?」
いくら窓を開けておいたとはいえここまで涼しい風がくるはずがない。
そもそも風が来ているというより、この部屋全体が冷やされている。と言った方が正しい。
「エアコンか……てことは」
上条の予想通り、彼女は彼のベッドで寝っ転がりながら雑誌を読み漁っている。
そして彼に気付いて万弁の笑みで、彼を受け入れた。
「ただいま。美琴」
彼女、御坂美琴は、現在上条当麻の彼女である。
常盤台中学を卒業した彼女は何故か、上条が通う高校へと進学してきた。
元々付き合っていたわけではあったが、同じ高校で生活することで、周囲にイチャつきっぷり(本人達の自覚無し)を見せつけている。
ちなみに上条のハブラシの隣に、緑色のハブラシがあることなど、言うまでも無い。
「おかえり。調子はどうよ」
大学進学の為の面接や夏期講習で学校にいることも多く、美琴に構っていられる時間も減っているが、彼女もそれを理解し、応援してくれている。、
「あんまり。いざ面接ってなると、やっぱ本番じゃなくても緊張するよ」
「ふふ。まだ時間はあるんだから。焦っちゃだめよ。汗かいたでしょ。拭いてあげるからYシャツ脱ぎなさい」
そう言う彼女は母親のように見えたが、最後の方は悪戯者のようにも見えた。
「べ、別にいって」
「いいじゃないの!風邪ひいたらどうすんの」
逃げようとする上条であったが、美琴に捕まりテキパキと上半身の着替えを脱がされた。
そのままタオルを頭に被され、完全に美琴のターンとなった。
「うぁっ、ちょ、自分で出来るから!」
「いいからいいから。美琴ママに任せなさい」
わしゃわしゃわしゃーと、上半身を美琴の思うがままにタオルで拭かれていく。
最初は足をばたつかせながら体を揺らし抵抗する上条であったが、次第にその無意味な抵抗が子供っぽいと思い、動きを止め、美琴に体をゆだねる事になった。
そしてその内、美琴に包まれている事に心地よさを覚え、全身の力が抜けていった。
(うぅ。最近、美琴のペースに乗せられてる気がする)
「わしゃわしゃわしゃー」
じゃれてくる美琴と、抵抗しても勝てない上条。
彼はどうにかしたいわけではあるが、結局、デレた美琴の可愛さに負けてしまうのだ。
「……というか、長くない?」
「…………わしゃわしゃわしゃー!」
「お前絶対楽しいだけだろ?!」