とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

27-790

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

美琴 2




(どこだ。どこにいるんだビリビリ!!)

夜の学園都市。完全下校時刻は既に過ぎており、周囲の店はシャッターを閉じている。
何とか塾帰りがいる時間帯ではあるが、それが過ぎれば不良が幅を利かす。
いくら美琴が超能力者であろうとも、一人の少女。それも過労で倒れたばかりを放っておけない。
あてなど無い。きっと彼女が抱えている問題は、上条の想像以上なのかもしれない。
放っておけない。
その一心で、息を切らしながら彼は街を駆ける。

「お、小萌先生とこの悪ガキじゃん」

何処かで聞いた事のあるような声だった。
声がした方向を見てみると、警備員の制服を着た、上条の隣のクラスの担任。黄泉川愛穂だった。

「もう完全下校時刻は過ぎてるじゃんよ。お前は早く帰れ」
「あ、黄泉川先生!人を探してるんです!!常盤台の制服を着た、茶髪の、短めで!――」

彼女の特徴を、思い出せるだけ思い出す。
それを聞いて黄泉川の額から、冷や汗のようなものが出た。

「…待つじゃん。そいつの名前、まさか」
「御坂美琴、です」
「……一週間前、常盤台の生徒が行方不明になったって捜索願いが出されたじゃん。学校の体面もあるから公にはなってないけど、見てったんなら別じゃん。どこで見た?」

……一週間。いや、もしかしたらそれよりも前から、彼女が苦しめられていたのかもしれない。
その間、何も知らなかった自分を恨めしく思った。

「もう遅いから、後は私達に任せるじゃん。お前はもう帰れ。言う事聞かないと、私がお前を補導する事になっちまうじゃん」
「……わかりました」
「また御坂を見たならすぐに警備員に連絡するじゃん」
「はい」

返事をして、黄泉川と別れた。
彼女が見えなくなったところで上条は走り出す。
もちろん、寮とは別方向だ。
黄泉川先生には悪いとは思っていても体が動いてしまう。

(……!)

どこかで、ビリビリと電撃が走る音がした。
上条は、その音がした場所へと向かった。


「ビリビリ!」

美琴がいたのは、表通りから外れた、薄暗い小道だった。
辺りには誰もいないが、壁が焦げ付いている。
振り返った美琴の息は絶え絶えで、上条を見ると、まるで避けるように右足を半歩後ろへ下げた。

「こんなところで何してんだよ。病院抜け出して」
「なんだっていいじゃない。アンタには関係ないでしょ」

スタスタと、上条の横をすり抜けようとした美琴。
それに対し、上条は美琴の腕を掴んでひき止める。

「離しなさい」
「いいや。病院に戻るまでは離さないぞ」
「今はまだ戻るわけには行かない。私にはやらなくちゃいけない事があるのよ!邪魔するってんならアンタも……!!」

脅しで言っているわけではない。本気だと上条にはわかった。
それでも今、この手を離せば後悔すると、上条は思った。

「だったら俺の所に来い!問題が解決するまで、いつまでも!!だから、自分を大切にしてくれ」
「何、言ってるのよアンタ」
「放っておけないんだよ。倒れて、病院まで抜け出して……そんなやつを見て何もしないなんて、俺には出来ない」

その言葉を聞いて、美琴はふふっ、と笑う。
逃げようともせず、その体を上条に寄せた。顔を上条の体に埋めて、決して上条からは見えないようにしながら。

「……やっぱ馬鹿ね。アンタ」










タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー