とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ ちいさなぬくもり



「当麻、夜は何食べたい?」
「いやー、いつも悪いな。とりあえず美琴の作ってくれるものなら何だって食べたいさ」
「ばか。そこは『お前が食べたい』とか、そういうこと言うもんじゃないの?」
「上条さんはそんな恥ずかしいことを堂々と言うキャラじゃありませんよ」
「へー、はずかしいんだー」
「あ、当たり前だろ。つーか、お前は恥ずかしくないんかよ?」
「私は、当麻だったら……。そりゃ、ちょっとは恥ずかしいけど」
「やばいですよ皆さん! この美琴たん可愛いです可愛すぎます!!」
「や、そんないきなり、ぎゅって……」
「お前が可愛いすぎるからじゃねえか」
「ほんとに?」
「当たり前だろ。俺の彼女なんだからな」
「じゃあ、いっぱいキスしてくれる?」

       ・

       ・

       ・

「とぅ…まっ、……えへへ」
「きぃぃぃッ! お姉様はわたくしというものがありながら一体何の夢を見ていらっしゃるんですのぉぉぉッ!!」
「そこ、ダメ…ぁ……」
「おのれぇあの愛玩奴隷がぁぁぁぁぁッ!」

ものすごく悔しいのですが、いまのお姉様はとっても幸せそうですの。
上条さんもなかなか侮れませんわね。



       *



「よービリビリ擬人化美琴たん。って、また自販機蹴ってんのか?」
「ッ!! なな、なによアンタ、何の用よ! 別に良いじゃない私が自販機蹴ろうが何蹴ろうが!」
「いや、良くねえしそれ完全に犯罪だろ? いい加減やめろっての。
 つーか、スカートめくれるからあまり激しく動き回るのはやめたほうがいいぞ。
 いくら短パンはいてるつっても、ふとともがほとんど際どいところまで丸見えだろ。
 お前も一応常盤台のお嬢様なんだし、おとなしくしてりゃあ可愛いんだから」

(か、可愛い!? こ、コイツが私のこと可愛いって……
 う、嘘よ、いつもビリビリだの何だのって!
 そういえば今日見た夢って……うぅ)

「……。」
「ありゃ? いきなりどうしたんだ? 借りてきた猫みたいにおとなしくなって」
「ふ、ふにゃあ……」
「なんでだああああッ!」

反射的に美琴の頭に右手を乗せる。
既に何度も漏電を経験しているため、すっかり身についてしまったようだ。

       *


あれから20分ほど美琴の髪を撫で続けたが、離すと途端に激しく電気を漏れ散らすため、
上条はやさしく包み込むように隣に座る美琴の肩へ手を回し、ぎゅっと抱きしめた。

「な、なな、なにすんのよ……!」
「い、いやお前、離すとビリビリするだろ」

(い、いきなり、ぎゅって……。どうしよう、居心地よすぎちゃうじゃにゃぃ……)

「ぁぅ……」
「あ、あのー、御坂サン? なぜ俺の背中に手を回されるのでせう?」

(御坂ってやっぱり、こうやっておとなしくしてるとすげえ可愛いな。
 って、まてまて! 何を考えている上条当麻! 御坂はまだ中学二年生だぞ!
 美琴は可愛い女の子、美琴は可愛い女の子……、じゃねえっ何考えてる!)

(こ、コイツの顔が目の前に……。どうしよう……。き、キスするみたいじゃない!)

「……。」

(そもそもお前は俺のことが嫌いなんじゃなかったんですか??
 いや確かに俺はお前のことが……)

(ぃゃ……。キス、したい……、なまえ呼びたい……)

「とぅ、まぁ……」

美琴は目を閉じ、そして顎をあげた。
それはキスを求める少女の精一杯のサイン。

そして、上条は――――、

「んっ……」

ちゅっ、と唇が触れるだけの短いキスをする。

それは、ほんのちいさな、わずかなぬくもり。

しかし、彼女にとって、それはずっと想い焦がれたもの。
ずっとずっと欲しかった、ちいさくても大きなプレゼント。

そして、それをもっと大切なものとするために、

「……もっと、ちょうだい」

恥じらいながらも、さらなるキスを求める。
それは彼の心を、彼女への想い一色へと染め上げる。

「美琴」
「とう、ま……」

もう一度キスをした。
それは、互いを求め合うような、熱い激しい口づけだった。


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