とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part08

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「やっほーぅ! これで上条さんは貧乏生活とはおさらばだぜーぃ!」

上条はスキップしだしそうな勢いで満面の喜びを顔から放出していた。
その手には封筒がある。
その中にはバイトの給料が入っていた。
だが、上条当麻は不幸な人間である。
そんな簡単に神様は幸福になどしてくれるはずがなかった。

「へ?」

突然の、突風。
喜びで封筒を握る手の力が弱くなっていたせいか、封筒は上条の手を離れ、風に乗って飛びはじめた。
だが、そこは不幸な目にいつも遭う上条。すぐに呆然としていた頭を切り替え、封筒を睨みつけ

「うおおおおおおおおお!!!!」

封筒を追い掛けてダッシュ。
そして、もうすぐ手が届く、というところで上条は足を引っ掛けた。

「なっ!?」

上条は盛大に転び、封筒は飛んでいく。
なんとかすぐに起き上がって追いかけようとしたとき、封筒は地面に落ちていた。

「ふっ、今回は俺の勝利だったようだな」

上条は己の勝利を確信する。
だが、運(敵)はそんなに甘くはなかった。
その封筒に清掃ロボットが近づいていた。

「ッ!!?? さっ、させるかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

上条は気づいて走り出し、飛び込む。
だが、封筒まであと3cmというところで、無情にも清掃ロボットはその封筒を飲み込んだ。
上条はあと一歩届かず顔面から落下。
当然上条は飲み込まれる様子を間近でみることになった。

「…………はは、は」
「ど、どうしたの? なんかすごい暗いけど」

乾いた笑いしか出てこなかった。
偶然路地から出てきて上条が倒れているのを見た美琴はそんな上条の様子を心配そうにみている。

「ふ、ふふふふふ。ふふふふふふふふふ………………」
「ちょ、ちょっと聞いてる?」

上条はユラリと立ち上がり清掃ロボットを見つめている。
上条の周りには何か黒いものが漂っている気がする。
美琴は思い切り無視されているのだが、上条の周りに漂う空気が何故だか怒るのを躊躇わせた。
そして。

「うわーん!! 川に落ちて死んでやるぅぅぅぅ!!!!!!」
「えぇえ!!?? ちょっ、ちょっと!!?? 待ちなさいってば!!!!」

上条はそう叫ぶとどこかへ向かって一直線に走りはじめた。
なんとなく、走り出すときに上条の目から透明な雫が零れたのが見えた気がする。
美琴は上条の突然の行動に驚きながらもとりあえず後を追い掛けた。


その後、本当に川に飛び込もうとした上条を美琴は本気で止めることになる。



終わり。


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