とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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小ネタ 黒子→美琴×上条の日常 2

元ネタは「黒子→美琴×上条の日常」です。


美琴が白井を追いかけ、白井が上条を追いかける。といった不思議な追いかけっこが始まって、数時間。
三者ともに相変わらずで、終わりの見えない追いかけっことなっていた。

「許すまじ、類人猿!!」
「不幸だー!!」
「ま、待っててばっ!」

上条は上条で持ち前のタフな体力で逃げ続け、白井は能力を使用しながら上条を追いかけていた。
しかし。

「…ま、待って…てば」

美琴の方は、体力が限界に近づいていた。息が荒く、視界にある前の二人の背中が小さくなる。
美琴は普通の女の子としてはかなりの体力を持っている。たとえば一日中誰かさんと追いかけっこするなど。
なので美琴はそう簡単に体力は切れない。
しかし、今回の場合追っている速さが違った。
白井は空間移動(テレポート)を使用し、能力者としてかなりの速度で上条を追いかけ、
追いかけられる上条は何かのスイッチが入ったのか、人間とは思えない速さで逃げていた。
つまり、この二人は常人では追いつけないほどの速さで追いかけっこをしているのだ。
いくら美琴でも、上条と白井特有の常人ではない能力を使用した追いかけっこに追いつけるわけが無い。
無理をすれば、どんどん体にダメージが蓄積されていく。

「ま、…きゃ!」

そして美琴は無理に二人を追いかけようとしたため足をもつらせ、倒れてしまう。わずかな悲鳴を上げて。
異変に気づいた、誰かが美琴の名前を呼ぶ。
しかし、その美琴の異変にいち早く気づき美琴を呼んだのは近くにいる人でもなく、前にいる白井でもなかった。
いち早く気づいたのは、聞こえるはずのない所にいた上条だった。

「美琴っ!」

上条は顔を真っ青にして、彼女の名を叫んでいた。
白井も、その上条の叫びを聞いて異変に気づく。後を振り返って白井は驚いた。美琴が倒れているのだから。

「?お、お姉様!?い、今っ!!」

白井は混乱していたためテレーポートを使用せずに、美琴の下へ向かおうとした。それでも白井は美琴と20メートルぐらいしか離れていなかったので、
テレポートを使用しなくても、いち早く美琴の下へ駆けつけられると思っていた。
しかし、白井の予想は外れた。なぜなら60メートル以上も離れた上条の方が早く白井を抜かし美琴の下に駆けつけたからだ。
その速さは、さっき追いかけていた速さよりも数倍速かった。
白井は上条に追い抜かされ、それ以上動くことが出来なくなった。
上条当麻、常盤台のエース御坂美琴の唯一のより所。白井が手を伸ばしても届かない場所にいる男。
白井は、ただ立ち尽くす。

(……お姉様…………)


白井より早く美琴の下に駆けつけた上条は美琴の背中を抱きかかえ、安全を確認する。
当の美琴はこけただけで傷はないのだが、上条があんなに遠くにいたのに自分の異変に気づいてくれたことと、
今上条に抱きかかえられていることで顔が真っ赤になってしまっていた。

「おい、大丈夫か美琴」
「だだ、大丈夫よ!か、掠り傷すらないし。……そ、それよりも…当麻に………かかえ…………られてる方が………」
「ん?何か言ったか?……顔が赤いな、走ったし風邪引いちまったか?」
「ぅ…だ、大丈夫だけど、もし風邪だったら当麻に看病してほしいかな?」
「ああ。って、え!?」

白井は遠巻きに上条と美琴を見ていた。その白井の顔はとても複雑で感情は読みとれない。
そして白井は何かを決心すると、上条と美琴のいる下へとテレポートではなくゆっくり歩いて何かをかみ締めながら近づいた。

「…上条さん」
「だ、だからな美琴!」
「聞いてますの?それとも、今度こそ体内に金属を埋め込まれたいんですの?」
「!?いやいや、そんなわけないです。だから、ごめんなさーい!」
「別に謝る必要はありません。あれは、私も冷静ではなかったので」

やれやれ、と白井はため息をつく。そして、さっきとは打って変わって雰囲気を変えた。

「ただ、確認したいことがお一つあります。」

白井は淡々と言葉を口にする。まるで感情を押し殺しているように。
上条はそれに気づいたのか、さっきまでの態度を改め、真剣な顔つきになる。
美琴は何か言いたげだったが、この二人割り込むことは出来なかった。

「なんだ白井?」
「あの、私を助けて下さった時に貴方がおっしゃった言葉を覚えておいでですか?」
「ああ、もちろん」
「あの言葉、実はまだわたくし半信半疑だったのですよ。だから、それを確認したいのです!」

と突然白井は無防備だった美琴に渾身の蹴りを入れる。
しかし、上条がそれを身を呈して美琴を庇った。美琴はただただその二人に唖然とする。
上条は少し間を置き、白井に問いかける。

「これで、いいか?」
「まだ、と言いたいところですがこれで良しとしましょう。………上条さん、お姉様を悲しませたらただじゃおきませんことよ」
「そんなこと、絶対にさせるもんか」

白井は上条の返事を聞くと、悪者は逃げるといわんばかりに、消えていった。
残された二人は暫く、白井の去ったあとを見つめていた。


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