これがレムリア
竜騎士団を屠った『鉄竜』か。
砲の射程、命中精度、発射速度、そして砲弾の威力。どれをとっても我々を圧倒、いや超越している。これでは
レムリア王国東方総軍が全滅するのも無理は無い、こんな連中相手に陣形を組んで突撃など、勇敢ではあるが無謀だ。
平野部での戦闘は自殺行為でしかない、敵の火力が十分発揮できないような山岳部におびき寄せ、白兵戦でも挑む(相手が乗ればの話だが)か?敵の補給を断つのもいいだろう、少なくとも輜重部隊は戦闘部隊よりは弱いはずだ。・・・何れにしろ、空で勝てないまでも『負けない』事が前提ではあるが。
攻撃力で戦竜を圧倒している事は分かった。じゃあ防御力はどうだ?こいつはどれ程の『鎧』で覆われている?
…?思ったより薄い、大型の鉄竜でも最大で2センチ、小型の鉄竜では1センチという所か。だがこの材質はなんだ?少なくとも我等の知る鉄よりも遥かに硬そうだが、本当に鉄か?ああ成る程、装甲板に自信を持っているからこその『薄さ』か。
確かに撃破するのも『一苦労』だが『不可能』じゃあない、ましてあの小型の鉄竜なら。
鉄竜の鎧を打ち抜くのは不可能だ。我々の砲ではそれ程の高初速は得られないし、砲弾の材質も『鎧』より弱い。大質量の砲弾をぶつけて叩き割るしかないだろう、小型の鉄竜ならそれで撃破できるかもしれない、衝撃で鎧を留めている鋲が外れ、中の兵が死傷することも期待できる。後は常識から考えて下面や上面の『鎧』が最も薄いはず、地雷や
ワイバーン・ロード?による攻撃が効果的だろうな。
帝國軍との戦闘を想定し対策を検討していたが、直ぐに放り投げた。『効果あり』と考えられる対策は、その大半が政治的にも社会的にも実行不可能なものばかりだったからである。
…現状では戦争にならない、タブーが多すぎる!
これでもまだマシになった方といえるだろう。レムリア王国滅亡により各国はようやく重い腰を上げ、より『現実的な』対策を練り始めたからだ。だが彼に言わせれば、未だ『枠の中』で小細工をしているに過ぎない。帝國と戦い勝利を得るには、それこそ形振り構わずどんな手でも使えるようにならねばいけない、それでようやく帝國と同じリングに上がれるのだ。
最終更新:2006年05月05日 12:19